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オバマの目指すもの(11) 反資本主義?

2009-06-11 18:34:34 | 国際・政治

一時難航が伝えられたチャプター11(連邦破産法)の手続きが終り、クライスラーが伊フィアット社の下で再建を目指すことになったと報じられた。これでGMを含む自動車産業の救済の道筋が法的に確認されたといえる。だが、この個的資金を使った救済は誰にも歓迎された訳ではない。

この救済劇を通じてオバマ政権の平時なら「非アメリカ」と見なされた性格を有することが明らかになったように私は感じる。それは一旦会社を破産させた上で新会社を設立し、退職者を含む労働者、取引先(販売および部品供給会社)、資本家(債権者)に新たな条件で新会社の株式を分配する救済スキームが従来ルールに反するように思うからだ。

当然のように新会社への資産譲渡手続きに資本家側から待ったがかかった。通常なら優先順位の高い債権よりも、労働組合側に有利な比率で株式配分されたのが請求理由だ。明らかにオバマ政権の意向が優先された。資本家といっても金融機関やファンドもあるが、年金基金の機関投資家もいることを理解しなければならない。

実際、譲渡差止めを求めたのはインディアナ州の年金基金だった。クライスラーと異なり、つい最近まで世界最大の自動車会社で倒産することなど考えもしなかったGMには、老後の生活の為にと購入した社債保有者が多数おり、社会的な影響は更に大きいものと予測される。

今朝方、連邦最高裁はインディアナ州年金基金の差止請求を却下したと伝えられた。これで、新会社としての再建活動に支障が無くなったのは結構なことだが、救済の過程で市場ルールがないがしろにされたことが、後々大きなツケを払うことにならないか気になる。

これは異常な事態での特別な政府介入であることは理解できるが、オバマ政権の体質的なものを反映しているようにも感じる。実際には労働側と資本側の両方から不満が出ているらしいから、現実的なアプローチとして中間を取ったのかもしれないが、何が原則か良く分からない。

昨日の日本経済新聞は、米国の企業再建の専門家の中には、この救済により痛手を被った金融機関は融資基準を厳格化する可能性があると警告していると報じた。つまり、自動車産業の救済のかたに、一般企業への貸し渋りが助長されるという。原則か、現実か、微妙な狭間にいる。■

コメント (3)
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