かぶれの世界(新)

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新・合理的消費者への回帰

2009-06-05 23:42:51 | 社会・経済

未曾有の世界同時不況もようやく底打ちの兆候が見られるようになってきた。景気回復した時の日本はどのようなものになるか、巨額の国債発行と過剰流動性や厳しい雇用環境が続くと、今まで予測を紹介してきた。今回は日本の消費者の劇的な変化について予測してみたい。

今夜のNHKのクローズアップ現代は350円の弁当屋さんを紹介していた。数年前まで安くて500円だった弁当が、今はもっと安くないと売れないのだそうだ。300円を切る弁当が現われたそうだ。私が良く利用する安売りのスーパーでは250円の弁当を売っている。夕方行くと先ず売れ残りがなく、無駄が生じないようにしているのが目に付く。

衣料品でも激変が起こっている。品質の良いカジュアル衣料品を安価に提供するユニクロが、激安ショップを展開すると数日前に報じられた。安価な衣料品を上手にコーディネートして着る若者が増えているそうだ。彼らにとっては別に新品である必要もなく、古着ショップも売れているらしい。昨日はスーパー西友が、世界一のウォールマート経由でファッション性と安さを追求する商品を提供し、消費者の低価格志向に対応していく方針が伝えられていた。

最も厳しい対応が迫られているのは、池袋の三越など地域の顔となっていた百貨店の相次ぐ閉店だろう。百貨店に利益をもたらしてきた海外高級ブランドは、主要顧客の所謂中間層の減少という構造的な長期低落に加え、昨年のリーマンショック以来売り上げが激減、96年をピークにその規模は半減したという。ブランドが価値になっていた高級品は全て同じ傾向を辿っている。

利幅の大きい大型車を作り続け経営危機に陥ったGMの経営を云々する人々が多いが、私に言わせれば利幅の大きい高額ブランド商品に頼った百貨店経営も全く同じだ。大型車が大好きな米国人、ブランド商品が大好きな日本人、大差ないではないか。自動車産業はすっかり軌道修正したが、果たして百貨店は何処に向かうのか興味あるテーマだ。

本題に戻ると、これは不況による一時的な傾向ではなく、景気回復後も続く根本的な変化であると考える。90年半ばに米国に住んだ時、生活に必要な食料や衣料品は日本に比べ圧倒的に安かった。これで日本も普通の国になるだけと思う。今まで高度成長からバブル時代の生活スタイルを引きずっていた。今回の世界同時不況でバブル部分がやっと剥落し、生きていくための生活費が他国に近づくと感じる。

かつては日本の若者が海外に出かけブランド品を買い漁っていた。ブランド品が珍しくなくなり若者のブランド離れが言われるが、リーマンショックまで他の国に比べて高級ブランド好きの日本の消費者には違和感があった。現在でも海外から日本を訪問し東京の街を歩いた人達の多くは、未だにこれが戦後最悪の経済危機に瀕した国かと驚く豊かさがある。バブル崩壊後も失われた10年の間でも、もっとそうだった。

品質と価格をバランスさせて購入を決める合理的な消費者が多数を占める普通の国になるということは、当座の日本経済に大変なインパクトが出るのは間違いない。この傾向を長期的なデフレになると恐れる専門家や経済学者も多い。その可能性はあるが、私には景気回復に向かい避けて通れない道であるように思う。決して悪いことだけでもないと思う。■

コメント
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