(1)テレビ(ビデオ)ゲームは子どもの発達に悪い・・・・という認識は根強い。
しかし米国では、注意欠陥多動障害(ADHD)の症状を改善する「医療用ゲーム」の承認をめざす臨床試験が始まった。
(2)2016年2月、注意障害の専門誌にADHDの注意力を高めるゲーム「ATENTIVmynd」のプレ臨床試験に関するレビューが掲載された。試験では、
(a)8~12歳のADHD小児40人を2群に分け、
①ゲームを提供・・・・8週間、週に1時間もくしくは20分×3回のゲームで遊ぶ。
②通常のケアを提供
群とも3ヶ月間、経過観察した。
(b)両群とも3ヶ月間、経過観察した。3ヶ月後、医療者と両親が、ADHDの症状評価スコアを使って日常生活を採点した結果、(a)-①の場合、
①医療者の評価では36%
②両親の評価で31%
改善していた。具体的には、衝動的な行動が有意に改善し、宿題や算数のテスト、国語の文法の間違いが減ったという。
(c)このゲームの肝は、
「目標に向けて注意や行動を制御する機能:実行機能」
の訓練ができること。いわゆる「ラン&ジャンプ系ゲーム」の一種で、用意された山あり谷ありのコースをキャラクターが走る。ゲーム自体はシンプルだが、要所でアイテムを獲得し、不要なものをパスする注意力と認知的制御が要求される。タブレット用アプリなので、日常生活に取り入れやすい点もポイントだ。
(3)もうひとつの「Project:EVO」というゲームは、2016年5月から承認をめざす最後の臨床試験を開始。8~12歳のADHD小児が参加する。
こちらもマルチタスクを要求されるラン&ジャンプ系ゲームで、処理の優先順位をつけ、課題を切り替える能力の訓練が可能だ。
(4)ADHDの行動改善は、これまで行動療法や薬物療法が主流だったが、最近は「実行機能」の改善をめざす認知トレーニングが注目されている。(2)と(3)の2つのゲームもその一つ。
ゲームで獲得した「実行機能」を生活にどう落とし込むか、という課題はあるが、近い将来、「ゲーム療法」がADHD支援の必須アイテムになるかもしれない。
□井出ゆきえ(医学ライター)「ADHDに「ゲーム療法」?/2製品が臨床試験へ--米国 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.2~」(「週刊ダイヤモンド」2016年6月4日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【保健】眼底検査で何がわかるか ~眼疾患だけではない~」
「【保健】弾性ストッキングが効果的 ~エコノミークラス症候群対策~」
「【保健】マインドフルネスで腰痛改善 ~認知行動療法と同じ効果~」
「【保健】歯磨きが心血管疾患を予防 ~毎食後で発症リスクを軽減~」
「【保健】ガン=生存時代の就労支援 ~治療と仕事の両立に指針~」
「【保健】糖尿病患者の降圧目標値 ~140mmHgでよい?~」
「【保健】睡眠不足でスナック菓子を渇望、体重増加 ~大麻並みの快楽」
「【保健】コーラ1缶で薬の吸収率がアップ ~抗癌剤の薬効~」
「【保健】その一言で妻の2型糖尿病リスクが減少 ~「先に寝ていて」~」
「【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~」
「【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~」
「【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~」
「【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~」
「【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高」
「【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~」
「【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~」
「【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~」
「【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~」
「【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~」
「【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~」
「【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~」
「【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~」
「【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~」
「【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~」
「【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~」
「【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~」
「【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・」
「【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~」
「【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~」
「【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~」
「【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~」
「【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~」
「【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?」
「【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~」
「【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~」
「【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~」
「【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~」
しかし米国では、注意欠陥多動障害(ADHD)の症状を改善する「医療用ゲーム」の承認をめざす臨床試験が始まった。
(2)2016年2月、注意障害の専門誌にADHDの注意力を高めるゲーム「ATENTIVmynd」のプレ臨床試験に関するレビューが掲載された。試験では、
(a)8~12歳のADHD小児40人を2群に分け、
①ゲームを提供・・・・8週間、週に1時間もくしくは20分×3回のゲームで遊ぶ。
②通常のケアを提供
群とも3ヶ月間、経過観察した。
(b)両群とも3ヶ月間、経過観察した。3ヶ月後、医療者と両親が、ADHDの症状評価スコアを使って日常生活を採点した結果、(a)-①の場合、
①医療者の評価では36%
②両親の評価で31%
改善していた。具体的には、衝動的な行動が有意に改善し、宿題や算数のテスト、国語の文法の間違いが減ったという。
(c)このゲームの肝は、
「目標に向けて注意や行動を制御する機能:実行機能」
の訓練ができること。いわゆる「ラン&ジャンプ系ゲーム」の一種で、用意された山あり谷ありのコースをキャラクターが走る。ゲーム自体はシンプルだが、要所でアイテムを獲得し、不要なものをパスする注意力と認知的制御が要求される。タブレット用アプリなので、日常生活に取り入れやすい点もポイントだ。
(3)もうひとつの「Project:EVO」というゲームは、2016年5月から承認をめざす最後の臨床試験を開始。8~12歳のADHD小児が参加する。
こちらもマルチタスクを要求されるラン&ジャンプ系ゲームで、処理の優先順位をつけ、課題を切り替える能力の訓練が可能だ。
(4)ADHDの行動改善は、これまで行動療法や薬物療法が主流だったが、最近は「実行機能」の改善をめざす認知トレーニングが注目されている。(2)と(3)の2つのゲームもその一つ。
ゲームで獲得した「実行機能」を生活にどう落とし込むか、という課題はあるが、近い将来、「ゲーム療法」がADHD支援の必須アイテムになるかもしれない。
□井出ゆきえ(医学ライター)「ADHDに「ゲーム療法」?/2製品が臨床試験へ--米国 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.2~」(「週刊ダイヤモンド」2016年6月4日号)
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【参考】
「【保健】眼底検査で何がわかるか ~眼疾患だけではない~」
「【保健】弾性ストッキングが効果的 ~エコノミークラス症候群対策~」
「【保健】マインドフルネスで腰痛改善 ~認知行動療法と同じ効果~」
「【保健】歯磨きが心血管疾患を予防 ~毎食後で発症リスクを軽減~」
「【保健】ガン=生存時代の就労支援 ~治療と仕事の両立に指針~」
「【保健】糖尿病患者の降圧目標値 ~140mmHgでよい?~」
「【保健】睡眠不足でスナック菓子を渇望、体重増加 ~大麻並みの快楽」
「【保健】コーラ1缶で薬の吸収率がアップ ~抗癌剤の薬効~」
「【保健】その一言で妻の2型糖尿病リスクが減少 ~「先に寝ていて」~」
「【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~」
「【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~」
「【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~」
「【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~」
「【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高」
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「【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~」
「【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~」
「【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~」
「【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~」
「【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~」
「【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~」
「【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~」
「【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~」
「【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~」
「【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~」
「【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~」
「【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・」
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「【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~」
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「【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~」
「【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~」
「【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~」
「【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~」