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MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

テングじゃないよデングだよ

2008-11-08 00:07:19 | 健康・病気

日本国内では感染しないが、熱帯、亜熱帯地域から感染症が

輸入され国内で発症する熱帯感染症が増えている。

それにとどまらず、さらに地球温暖化が進むと、日本国内でも、

熱帯感染症がアウトブレイクする恐れもありそうだ。

デング熱 dengue fever は、東南アジア、中南米、アフリカ、

南太平洋にみられるウィルス感染症で、

なんと毎年 5000 万人以上の感染者が推計されている。

Photo感染症情報センターHPより

また、悲しいことに、その重症例は小児が多く、

毎年多くの子供たちが命を落としているという。

日本ではなじみの薄い疾患ではあるが、

今夜はちょっと勉強してみようと思う。

11月3日付 New York Times 電子版

The War on Dengue Fever (デング熱戦争)

Photo

2週間前、デング熱でバンコクにある主要な小児病院に運ばれた3才の男の子に対し医師たちができることはほとんどなかった。
これまでの何千人の患者と同じように、彼はこの病気の最も危険な局面であるデング・ショック症候群 dengue shock syndrome に陥り、入院して3日後、皮下出血と臓器不全で死亡した。

道路を隔てた真向かいにある米陸軍最大の海外医学研究所では、軍の科学者たちが次世代に希望を提供しようとしているところだ。ワクチンである。
長期間の試行の末、開発され、専門家たちがこの5年のうちに商業化されると信じている2つの実験的ワクチンの一つである。

デング熱(英語では“デンゲ”と発音)は蚊によって媒介される伝染病である。
関節と筋肉の強い疼痛と激しい頭痛のため、かつて "breakbone fever" (骨折熱?)として知られていた。
死亡率は意外に低く、入院患者の約 2.5 %と World Health Organization (WHO)は報告している。

死亡率は低いが、患者には注意深い持続的な観察が必要とされるので、熱帯地域では最も費用のかかる疾患の一つとなっている。
毎年、世界中で約50万人の入院患者が発生しているという。

デング熱は米国やヨーロッパではめったにみられないが、途上国から帰国した西洋人の旅行者の発熱症状の原因としてはマラリアに次いで2番目に多い。

一方、米軍にとっても重要である。米軍兵士はハイチやソマリアへの派遣で 1990 年代からデング熱に罹患しはじめている。
このため、本疾患は、ここ Armed Forces Research Institute of Medical Sciences(国防医科学研究施設)での研究の焦点となっている熱帯疾患の一つである。
この施設は、軍が50年前からタイ王国軍とともに運営しているものだ。

数百人の人々を雇用しているこの研究施設は、食物の露店商人が油で揚げたバッタやすり潰したパパイヤ・サラダを売り歩く油にまみれた裏通りのそばの人目につかない1960年代の建物の中にある。

「カンザスにはデング熱はありません。マラリアもです。我々がここにいる理由はこのためです」と、この研究所の司令官である James W Boles 大佐は言う。

過去の戦争において、疾病はしばしば敵軍以上に大きな敵となっていた。
19世紀後半の南アフリカで起こったアングロ・ボーア戦争では、戦闘よりもチフスで失われた兵士が多かった。
ベトナム戦争中、兵士の間で起こった何千もの肝炎の発生は、現在、A型肝炎、B型肝炎の予防に用いられている二つのワクチンの開発援助に軍の研究者たちを走らせることとなった。

「我々が最も関心を持っていることは、ただ兵士を守るワクチンを手に入れることです。
幸いにも、我々の関心事の多くはまた世界的な衛生上の関心事でもあります」と、バンコク研究所のデング・ワクチン開発部の部長である Stephen J Thomas 中佐は言う。

マラリア治療に用いられてきた主要な薬剤は、これまで何年もの間、米軍によって開発されてきた。
今日、熱帯病の研究はより広い集団に広がってきている。デング・ワクチンの開発においては、タイ政府、Bill and Melinda Gates Foundation などの nonprofit organizations(NPO)、および米軍と提携している GlaxoSmithKline などの製薬会社から費用や研究成果が寄せられる。

実用化に近い開発段階にあるもう一つのワクチンはバンコクの米軍研究所と同じ通りにあるフランスの製薬会社 Sanofi-Aventis とタイ大学によって共同開発されている。

「これまで以上に我々はデング・ワクチンと付き合っていかなければなりませんが、今後5年から7年の間にワクチンを手に入れる可能性が高いと思われます」と、シンガポールの emerging infectious diseases department of the Duke-N.U.S. Graduate Medical School の Duane J Gubler 部長は言う。

デング・ウィルスは主として Aedes aegypti(ネッタイシマカ)と呼ばれる蚊によって媒介され、ヒトの血液中で生き延びる。
この蚊はまれに、孵化した場所から100ヤード以上移動し、人口の多い地域でその数を増す。

この蚊はソーダの瓶のような小さな場所でも繁殖するが、理想的な繁殖環境は、東南アジアの多くの場所で見かける飲み水を貯めるための大きな容器である。(この領域での第一人者である Davis にある University of California の
Thomas W Scott 教授によると、この Aedes aegypti は他の蚊と異なり、きれいな水を好むそうである)

この蚊は寒冷な気候では生存できず、生息域は米国の一部(特に南部)に限られるが、専門家によれば公衆衛生を徹底すればデング・ウィルスの蔓延を防げるという。
それは普通に家屋の中にいて、クローゼットやカーテンにたむろしている。

WHOは毎年 5,000 万人が感染していると推計している。
しかし感染者の大部分、およそ90%は軽度の感冒様症状を示すか、全くの無症状のまま経過する。

先月ここで死亡した少年のように、重症の例では、激しい頭痛、突発性の高熱、衰弱をもたらす関節や筋肉の疼痛、嘔気・嘔吐、さらに皮下出血の症状が見られる。
しかし、一般には、時期を逸することなく病院に運ばれ、適確に診断される限り、デング熱は治療可能であると考えられている。

科学者たちは本疾患が何世紀にわたって存在していたものと信じている。
爆発的流行は 1780 年にフィラデルフィアで起こっていたようである。
しかしデング熱はこの半世紀に、より頻繁に認められるようになり、伝染力も強くなってきている。

1970 年には、この疾患の最も重篤な病態であるデング出血熱の流行があったのはわずかに9ヶ国だった。
しかし、1990 年代半ばまでにこの数は4倍となり、専門家たちは、なんらかの変化がこの疾患を航空旅行や国際貿易の時代に特異的に順応させているのだと言う。

デング・ウィルスには4タイプがある。
それらの一つに感染した患者はそのタイプだけに免疫を発現すると信じられている。
そして、皮肉なことに、もしそこで二番目のタイプに曝されるとデング出血熱を発症しやすくなるという。

人々が遠方へと航空機でウィルスを運ぶ時、これら4タイプは混合されてしまう。
これまでの出血熱の大流行は、特定の飛行路と通商航路に沿って発生していた。

「我々がとってきた行動には、これらのウィルスが世界中に広まるための理想的な条件が提供されています」と40年近くデング熱を研究してきた Gubler 博士は言う。

第2次世界大戦中、東南アジアにデング熱の最初の拡大を起こさせたのは恐らく兵士であろう。

「イギリス、米国、オーストラリア、そして日本から兵士の移動がありました。兵士たちは町から町へと移動したわけです」と、本疾患の治療法についてのハンドブックを作成したデング熱研究の先駆者である Suchitra Nimmannitya 医師は言う。

この戦争のさ中、日本の科学者が最初にウィルスを分離し、米軍の医師 Albert Sabin 氏が区別されるウィルス・タイプがあることを発見した。
(Sabin 医師は引き続きポリオワクチンの開発に協力した)

「デング熱はきわめてユニークです」と、以前 Centers for Disease Control and Prevention にいて、今は韓国に拠点を持つNPOである Pediatric Dengue Vaccine Initiative の責任者である Harold S Margolis 医師は言う。
「私は何年もの間、伝染病の仕事を多くしてきましたが、デング熱は恐らく最も複雑なものの一つです」

ワクチンが4つのすべてのタイプのウィルスに対抗する必要があることからその開発は特に困難を極める。

「もしデングが単独のウィルスであれば、我々はすでに確実にワクチンを手に入れていたでしょう」と Sanofi の新ワクチンプログラムで研究と開発の責任者を努める Jean Lang 医師は言う。

Sanofi のデング・ワクチンは2、3ヶ月のうちにタイで 4,000 人の子供たちに臨床試験が行われる予定だが、本ワクチンは遺伝子工学を用いて作成された最初のワクチンの一つである。

これと同じような開発段階にあり、米国、プエルトリコ、タイにおいてボランティアで臨床試験をされた米軍のワクチンは伝統的手法である弱毒化ウィルスを用いて作成された。
これは何ヶ月かの間を空けて2、3回注射で投与する。

営利目的の者もいれば、そうでない者もいるが、関係する多様な研究者たちのおかげで、成功の可能性が高まっており、このワクチンを途上国の人々が手に入れることになるだろうと専門家たちは言う。

「我々は常に研究開発ベースを広げるよう努力してきました」と、ジュネーブにあるWHOでワクチン研究を調整している Joachim Hombach 氏は言う。
「結局のところ、製品の価格を押し下げるのは競争なのです」

本疾患は対症療法が中心で、ウィルスを撃退する特別な治療法は

ない。

重症型のデング出血熱では、出血傾向と血管内から血漿成分の

漏出が顕著となる。

血漿漏出が高度の場合、循環血液量が不足し血圧が下がる

最重症型のデング・ショック症候群となり、

全身の循環不全をきたし死に至る。

記事にあるように、いまだワクチンが確立されていないため

予防は蚊に刺されないようにするしかない。

しかし、途上国の人々に早急な衛生改善を求めても

無理であることは自明だ。

こうした熱帯疾患に対する治療の開発が、

これまでは軍主体で行われてきたことは皮肉なことだ。

今、国家や企業、NPOなどが参画し始めていることは

明るい眺望と言えるかもしれない。

このデングをはじめ HIV など様々な病原体の脅威に

さらされ続けている途上国の子供たちの状況を、

どげんかせんといかん、と思うのだ(ばって、どげんもならん)。

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『レッドクリフ Part Ⅰ』(ネタばれ注意)

2008-11-04 20:54:39 | 映画

『レッドクリフ Part Ⅰ』

名匠ジョン・ウー監督が100億円を投じ製作した『三国志』の

映画化作品ということで、ずいぶん期待を持って見に行った。

その感想は…

2

あくまで『三国志』とリンクさせて見るとしたら、

失望は否めないだろうと思う。

しかし、本作を単に『三国志』にかこつけた

エンターテインメント映画、として楽しむ分にはよい。

『赤壁の戦い』に焦点を当てているため、

それまでの複雑な経緯については、全く描かれていない。

『三国志』で馴染み深いはずの主要な人物の登場はそれぞれ唐突で、

個々の人物像の描写はない。

『三国志』は横山光輝の漫画でしか知らないので

偉そうなことは言えないのだが…

テレビの予告で、突き出された何十本もの槍の下をくぐり抜けるような

派手なシーンが流れているのを見て、

ある程度予測はしていたのだが、

映画の半分を占める戦場のシーンは、

スローモーション、大仰なアクションやパフォーマンスの連続で、

そこにはリアリティは全くない。まさにテレビゲームの世界だ。

欠かすことのできない戦場での残虐な殺戮シーンを、

映画の中でどこまで詳細に描くべきかは、

かなり難しいところかと思う。

本作では、その血なまぐささは、血しぶきと、時折、槍が身体を

貫通する程度の表現にとどめ、過度な残酷さは封印されていた。

その分、趙雲、関羽、張飛ら豪傑の、カンフーのような、

はたまた歌舞伎の大見得のような大仰な立ち回りの方に

観客の目が向けられるよう意図されていたように思う。

1

正直、延々と続く戦場シーンには辟易とした感がある。

大音響の馬の蹄の音ばかりが、心と身体に残っている。

しかし激しい戦闘シーンを当てこんだ観客の期待には

ある程度応えることができたかもしれない。

上映時間は、2時間25分だったが、とにかく長く感じた。

前半の劉備軍が曹操軍に追い詰められる

『長坂(ちょうはん)の戦い』と後半の『赤壁の前哨戦』の、

両戦闘場面の間に、

劉備軍の軍師、諸葛孔明(金城武)と

孫権軍の司令官である周瑜(トニー・レオン)の

出会いが語られる。

そこには、周瑜のカリスマ性を描くための

わざとらしいエピソード(部下の兵士の罪を大目に見る?)の他、

馬の助産師・孔明先生の大活躍、

孔明と周瑜とが意思を通じた琴の連弾、

赤面し見るのがつらかった周瑜とその妻小喬とのベッド・シーン、

優柔不断な孫権に同盟を決断させるきっかけとなった虎狩りシーン、

などなど、さして重要とは思えないシーンが延々と続き、

この間あやうく眠りに落ちるところであった。

主人公の周瑜と孔明を前面に出したいがための構成と思われるが、

これは失敗と思う。

さらに、後半の戦いの後からエンディングまでがまた長かった(溜息)。

この最後の部分は Part Ⅱへの繋ぎとして重要な位置づけが

なされていたのであろう。

しかし戦場のシーンは、さすが中国と思わせる人海戦術で

圧倒的なスケールで見せてくれた。

孫権・劉備連合軍が、亀の甲羅の模様のように陣形をとり、

敵を誘導する『八卦の陣』から太鼓に合わせて次々と

陣形を変えてゆく様は、あたかも北京オリンピック開会式の

マス・ゲームの再現を思わせた。

いずれにしても、

中国人と日本人の感性の違いを随所に感じさせらた作品であった。

最後に、もう一つ注文をつけさせてもらえるなら、

タイトルの『レッドクリフ』は少なくとも日本では『赤壁』で

良かったのではないだろうか。

回りの観客席からも「レッドクリフってこのことだったのか~」の

声が上がっていた。

よく知らない人は、三国志とは全く関係のない映画と思うだろう。

(関係ない、でいいのかも知れないが…)

エンドテロップの冒頭、

「最後に Part Ⅱの予告があります。席を立たずにご覧ください」と

表示が出たのだが、

alan の歌う主題歌 『RED CLIFF ~心・戦~』 が終わるのを

待つ時間のなんと長かったことか。

できれば、早々に席を立ちたかったが、あいにく中央の席だったので、

我慢した(意外にも誰も席を立とうとしなかった〔涙〕)。

本作に対する MrK の感想、

きっと十分にご理解いただけたことことと思うが、いかがでしょう?

コメント (6)
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学ぶことを学ぶこと

2008-11-02 08:30:32 | 受験・学校

自分には全く関係のなかった“ハロウィーン”も無事(?)終わり、

今年も残すところあと二ヶ月を切った。

しかし見回しても明るい話題ニュースは殆どない。

外交問題、経済危機、食の安心崩壊、年金問題、医療崩壊…

教育に目を転じれば

受験戦争が続く中、落ちこぼれや不登校対策は後手に回り、

教育の格差は広がるばかり。

勝ち組のはずの一流大学のエリート学生さんたちは

大麻を吸ったり栽培したり…。

管理教育のひずみは随所に現れている。

そこで今回は、ちょっとまじめなお話を…

これからは個人の特性に合わせた教育が必要では、

と考えさせられる記事 ↓ 。

10月28日付 Washington Post 電子版

"Learning About Learning" 

『学ぶことについて学ぶこと』
―脳研究は教室内で成果を生むか―

暗い筒の中、仰向けに寝た Blair Smith さんがじっとしている間、スキャナーが磁波で彼女の脳を細かく調べていた。
単語が彼女の目の前に短時間現れる。
tack(方針)、vase(花瓶)、hope(希望)、glow(輝き)、vague(漠然とした)、cade(ビャクシン属の木)などなど。
11才の子はもしその単語に意味があると思うなら右手のボタンを押し、意味のない単語なら左手のボタンを押すように言われていた。
この検査では解答そのものより、単語に取り組む間に Blair の脳のどの領域に活動が見られるのかをスキャナーが作成してくれる地図がより重要なのである。

Learning

子供たちが文章を理解しようとする時、脳の特定の部位が活性化する。脳スキャンによって、研究者たちはその過程を測定することができる。

この研究の目的は、すぐれた読書能力のある生徒、読書に問題のある生徒、および学習能力障害と診断された生徒の間に存在する神経学的な違いを理解することである、と Baltimore にあるKennedy Krieger Institute で Education and Brain Research Program の責任者を務める Laurie E Cutting 氏は言う。
読み手が知らない単語に頭を悩ませる時、脳のどの部分が活性化するかを神経科学者が特定できるとすると、最終的には教師たちが個人に合わせて読書の指導を調整する助けになるかも知れない。

これはまだ始まったばかりだ。
多くの教育者は、授業法を構築する助けとなる科学的データを切望している。
一方で、神経科学はどのような作業がベストかについて幅広い指針を提供し始めている。
神経科学領域で最近の最も驚くべき新事実の一つは、脳の構造は以前考えられていたよりはるかに適応性があるということだ(神経可塑性 neuroplasticity と呼ばれる概念)。
これに対する理解は、脳を鍛えて算数の問題を解決したり本の内容を理解したりすることを向上させる手段を教師たちが見出す助けとなるかもしれない。

「神経科学が広範な脳梗塞患者で明らかにしてくれることが実にたくさんありますが、それらは教育にも密接な関連があり、10年20年後には我々に規範となる情報を与えてくれるでしょう」とヴァージニア大学の Curry School of Education の Robert C Pianta 学部長は言う。
「私は今こそ研究材料の豊富な5年間であると思っています」

脳研究はすでに、教師たちが複雑な病態―たとえば、注意欠陥多動性障害、失読症、失算症など―を感知し、この取り組みの支えとなる方法を展開してきている。
そもそもこれらの障害は血液検査や他の簡単な医学的診断法が役に立つようなものではない。

認知に関わる科学者たちは、これまでのいくつかの授業の計画をひっくり返すような "micro-development" 説を展開している。
子どもたちや大人たちが、分刻みに、思い出したように学び、しばしば後退することが、いくつかの研究で明らかにされている。
これは、生徒たちが理解に至るまで手探りで進むことが許されるべきであることを示している。
たとえば、電気の理論の説明を受ける前に、バッテリーと銅線を用いて電球を明るくすることを問われることによって理解するような感じだ。

脳の機能はどこまで深く神秘的で謎が続くのか。研究はすこぶるゆっくりとしたペースで展開してゆくように見える。

音声学に焦点を当てることで、読むことに難渋している子どもたちを救うという多くの教育者らの考えが、脳や行動の研究からのデータやその他の情報を解析した研究者たちによって確かめられるまで何十年もかかった、とある専門家は言う。

そんな経緯はあるが、神経科学と教育手段を結びつける動きは勢いを増してきている。
Fairfax 郡の Mantua Elementary School の Jan-Marie Fernandez 校長は、過去2年間にボストンで行われる脳科学会議に5人のスタッフを連れて行った。

「研究からわかったことで最も驚くべきことは、我々の脳が神経可塑性を持っているという事実であると思います」と Fernandez 氏は言う。
「たとえば障害を持った形で配線された脳があるとします。しかし、その配線を時間の経過とともに変えることができます」
脳の配線のつなぎ替えの話は、神経科学の世界で注目されている。
脳障害を持つ人に再び歩いたり話したりすることを教え得るという展望を供するものだ。

その会議で学んだことから、Fernandez 氏は読書が困難な生徒に対して、音素の認識、すなわち、文字を音にリンクさせる能力、に焦点を当てたプログラムを立ち上げた。
「今までのところ、実際に有用であるように思われます」と彼女は言う。

彼女がこれまで読んだ研究にヒントを得た新しい提唱には、子ども達が算数の授業の前にエアロビクス体操をするというものがある。
この試みのポイントは、算数に取り組めるよう彼らのニューロンに下準備をさせることにある。

最先端の教育施設は最近、脳の活動と教育の関連に新たな関心を示してきている。
Harvard University は mind, brain and education degree program を 2002 年に設立した。
Johns Hopkins University は今年、現在の研究成果が教育の実践にどの程度応用されているかを探索することを目的とした神経・教育計画について Maryland State Board of Education に報告した。

先月、Journal Nature に掲載された研究は、算数の授業における、初歩的な直観的な数の大きさの感覚と成績との関連について報告している。
これは算数に問題のある生徒を特定し、彼らへのよりよい指導法を構築する方向へ導くことを可能とする発見だ。
また幼稚園に入る前の授業拡大の提唱者は、柔軟な若い心への早期の教育の重要性を示す研究に注意を向けている。

前出の Curry School の Pianta 氏は、神経科学は自閉症の生徒の教育にも影響を与えてきていると言う。

「20年前なら、これらの子どもは、まあ言ってみれば、愛情を持たせる努力一辺倒に向けられた介入がなされていたかもしれません。
あるいは療法士はスキンシップを嫌う子ども達にスキンシップを薦めていたことでしょう。
しかし今、我々はこの子供の行動は彼らの脳の社会的、感情的情報を処理する能力の結果であるとの見方で、その行動を捉えています。
そういった情報処理能力を押しつぶすことのないよう、自閉症児との交流を構築してゆくことになります」と、Pianta 氏は言う。

Harvard's mind, brain and education master's degree program の責任者である Kurt Fischer 氏は、多くの教育理論が科学に基づいていると主張しているが、実際にはそうではない事実を警告する。

「我々が直面する主要な問題の一つは、実際には意味を持たない“脳科学を根拠とした教育”を謳ったものが多く存在することです。
例えば、それらの一つに、少年少女が全体的に異なった脳を持っており、全く異なった学び方をするという考えがあります。
それはエビデンスが示すものではありません。エビデンスは皆無です。
もう一つは感受期間というものが存在するという一種の凝り固まった考えです。例えば、ある一定の年齢以後は外国語を学ぶことができないというものです。
また、左脳人、右脳人という言い方を聞いたことあるでしょう。これは彼らが左半球あるいは右半球を取り除かれているのでなければ、全くのナンセンスです。
我々すべては脳全体を使っているからです」

Fischer 氏はさらに、新生児用ベッドでバッハを聞かせると赤ちゃんを賢くするという、広く支持されているが疑わしい考えを挙げる。
しかし そのような考えの流行は、教育者と大衆が教室の改革に科学的な裏づけを切望していることを示している、と Fischer 氏は指摘する。

冒頭の Kennedy Krieger のCutting 氏は若い研究対象者の Blair に彼女の脳スキャンの素敵なコピーを手渡した。

得られたデータを元に、研究チームは今度は Blair の一卵性双生児の妹にスキャンのためチューブの中に入ってもらう準備をした。
彼女らはともに全く良好に本が読めるが、彼らの調査から得られたデータは別の子供たちの助けとなることだろう。

将来は獣医になりたいという Blair は彼女の母親である Stephanie Smith さんの横に座ってはしゃいでいた。
でも脳をスキャンされるのはどんな気分だっただろうか?

「気味が悪かったけど、同時に平気でした。他の子供たちの助けになるんだからオーケーです」と彼女は言った。

例えば失読症(難読症)では、

『窓ぎわのトットちゃん』の著者、黒柳徹子さんも

読書・計算障害を持っているといわれている。

リトミック教育で有名なトモエ学園に通い、

その後音楽の道に進んだ後、女優となり、

現在テレビタレントとして多彩な能力を発揮しているのは

皆様、よくご存知の通りだ。

失読症は特に英語圏に多い学習障害の一つで、

俳優のトム・クルーズもこの障害を抱えていることは

有名である(MrK は“英語失語症”だが〔涙〕)。

このように、知的能力に問題がないにもかかわらず、

特定の学習能力に問題がある子供たちは思いのほか

多いのかもしれない。

このような子供たちを一緒くたにして教育する現代社会で

彼らに成績不良の劣等性のレッテルを貼ることは、

隠された優れた能力を殺してしまうことにもなりかねない。

この記事に出てくる検査は恐らく機能的MRIであろうが、

この検査は生徒全員に行うわけにはいかない。

単に成績の出来不出来を決めるのではない個性検査としての

簡便で確実な評価方法…その確立が今求められていると思う。

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