先月下旬、
54例目の脳死下臓器移植が
行われた。
1997年の臓器移植法施行から
10年。
年間6例に満たないペースだ。
わずかながら増加傾向にはあるが
脳死下臓器提供が飛躍的に
伸びてきているとはいえない状況だ。
一方で、心臓停止後でも移植可能な
心停止下での腎臓提供の増加も
顕著ではない。
このような移植医療の停滞状況において
手続きが不透明な生体腎移植や
病気腎移植が話題となるなど
臓器移植にはマイナスの
イメージばかりが目立っている。
脳死下臓器移植を推進させる目的で
昨年3月に提出された臓器移植法
改正案(脳死患者自身の拒否がない
場合、家族の同意のみでの提供容認、
また臓器提供者年齢の15歳以上から
12歳以上への引き下げ)も、
昨年は先送りとされ、今国会においても
採決が行われるかどうかは不透明という。
現行の厳密な手続きを経て行われてきた
これまでの脳死下移植は、
確かに国民の不信を招くことなく
円滑に行われてきたといえる。
しかし、前述のごとく、現在の法制下では
今後提供者の著増を望むことは期待薄だ。
現在、脳死下臓器提供には、
臓器提供意思表示カードに
本人の提供意思が明示してあることが
必須であり
さらに家族の同意がなければならない。
そのような状況を考えるに、
カードに本人意思の記載があることが
重要なのではなく
日ごろから本人の意思が
明確に家族に伝えられており、
家族もその意思をよく理解しておく
ことが大切なのではないかと
MrKは思うのである。
家族の知らないところで、
本人がこっそり、カードに
提供意思を記載していたとしたら、
いざというとき
家族は苦渋の決断を迫られる
ことになるだろう。
臓器不全で苦しみ、
ひたすら移植を待ち続ける
多くの患者さんがおられることを思うと
一刻も早い国会での審議、採決を
願ってやまない。
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