MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

“ミイラ”が何を語るのか

2014-04-11 13:38:54 | 歴史

ミイラから古代の人たちの生活様式など
得られる情報は多い。
とはいえ、その棺をむやみに開けたり遺体を傷つけたりすれば、
死者の永年の安らかな眠りを妨げることになる。
そこで活躍が期待されるのが高解像度のCTということらしい。

4月9日付 Washington Post 電子版

New technology unwraps mummies’ ancient mysteries
新しい技術でミイラの太古の謎を解く

Mummiesancientmysteries

紀元前900年ころの神殿の歌手だったとみられる Tamut のミイラ(the Mummy of Tamut)が 2014 年4月9日水曜日にロンドンの British Museum(大英博物館)で行われた記者会見で示された。British Museum の科学者たちはCTスキャンとボリュームグラフィックス・ソフトウェアを用いて包帯の下を覗いて、皮膚、骨、内臓を明らかにしてきたが、ある一体では遺体処理人が頭蓋内に残っている脳を掻き出すヘラが認められた。これらの結果は、同博物館の8体のミイラとともにそれらの内部の詳細な3次元画像が用意された展示会で公開されることになっている。

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2014年4月9日(水)に大英博物館より提供されたこの日付のないこのサンプル画像は、名前の不明な成人男性のミイラの頭蓋骨のコンピューター処理されたCTスキャンを示している。このスキャン画像には、青色で塗られた脳の残存と、緑色となっているミイラ化処置の間の失敗として頭蓋内に残された道具の形跡が認められる。

By Associated Press,
ロンドン発―ミイラの魅力は決して廃れることはない。今、大英博物館は新しい技術を用いて太古の謎を解こうとしている。
 同博物館の科学者たちはCTスキャンと最新の画像化ソフトを用いて包帯の下を覗いて、皮膚、骨、残っている臓器を明らかにしてきた。そしてある一体では、遺体処理人が頭蓋内に残っている脳を掻き出すヘラが認められた。
 今回の発見は来月、同博物館の8体のミイラとともに、それらの内部の詳細な3次元画像や、それらに埋め込まれたいくつかのアイテムの3次元プリンターによって作られたレプリカなどが用意された展示会で公開されることになっている。
 生物考古学者の Daniel Antoine 氏は水曜日、その目的は、こられのはるか昔に亡くなった個体を“ミイラとしてではなく人間として”提示することだと述べた。
 1759年の開設以来、ミイラは大英博物館の最大の呼び物の一つとなってきた。館長の Neil MacGregor 氏によると、昨年、ロンドンにあるこの施設を680万人が訪れたが、「私どもの職員に対して誰もが『ミイラはどこ?』と尋ねるのです」と言う。
 同博物館は 1960 年代からミイラのX線検査を行ってきたが、近代のCTスキャナーははるかに鮮明な画像を与えてくれる。今回の展示会に選ばれたミイラは、生きている患者と同じようにロンドンの病院で検査された(とはいえ診療時間後に運びこまれるのであるが…)。
 もともと自動車工業技術用に作られたボリュームグラフィックのソフトが、スキャンの骨格に情報を付け加えるのに用いられた。つまり、骨格を表示し、軟部組織を付け加え、内部のへこみや空洞を探索した。
 この8体のミイラは紀元前3,500年から紀元700年の間にエジプトやスーダンに住んでいた人のものである。それらは、最も廉価な埋葬方法として土中にそのまま残された貧乏な人から、手の込んだ儀式的な葬儀が行われた高い身分のエジプト人まで様々である。
 「基本的に金を惜しめばそれなりしか得られないということです」と博物館のミイラの専門家 John Taylor 氏は言う。「ミイラには様々なグレードがありました」
 遺体処理人は鼻から死者の脳を取り出すなど非常に熟練した技術を持っていたが彼らはしばしばミスを犯していた。
 脳の取り出しに失敗するだけでなく、ある男性の頭蓋骨の内部からヘラの様な棒が発見され、同博物館の科学者たちは興奮した。
 「頭蓋骨の後ろの方ににあったその道具は驚くべき新事実でした。なぜなら遺体処理人の道具は私たちにはよくわかっていないものだからです」と Taylor 氏は言う。「ミイラの内部に実際にそれを見つけたということは途方もない前進です」
 紀元前600年ころに死亡したこの男性には痛みを伴うような歯の膿瘍があり、それによって命を奪われた可能性がある。別のミイラで、紀元700年ころスーダンで生活していた女性は、大腿の内側に Archangel Michel(大天使ミカエル)の名前のタトゥーを入れたクリスチャンだった。
 今回の展示のスターは Tamut で、彼女は高級な祭司の家系の出であり、紀元前900年ころテーベで死亡した神殿の歌手だった。鳥や神の絵で覆われ、鮮やかに飾られた彼女の棺はこれまで開けられたことはなかったが、CTスキャンによって、彼女の良好に保存された身体が、その顔や短く刈られた髪の毛にいたるまで、きわめて詳細に確認された。
 死亡したとき Tamut は30ないし40才代で、動脈には石灰化したプラークが認められた。これは彼女が脂肪の多い食事を摂っており社会的地位が高かったことの証である。おそらく、心臓発作あるいは脳梗塞で死亡したとみられる。
 彼女の身体にはいくつかの魔除けがきちんと並べられており、その中には彼女の喉の周りを守るように広げた翼を持つ女神の像がある。また、死後に内蔵を守るために彼女の胸の内部に置かれた蜜蝋でできた神の像を見ることもできる。
 「画像の鮮明度はきわめて急速に進歩しています」と Taylor 氏は言う。「科学技術の進歩とともに、ミイラの内部の物体に象形文字で書かれたものを読むことさえできるようになると期待しています」
 MacGregor 氏によると、同博物館は最終的には所有する全120のエジプトとスーダンのミイラを検査し、それらの生活についてさらに多くを明らかにする予定だという。
 「もう5年して再び来られれば Tamut が歌うのを聴くことができるかもしれませんよ」と彼は言う。
 『古代の生命:新たな発見』は5月22日より 11月30日まで開催される。

ミイラの作成には複雑な手順が必要で
完成まで一年近くの月日を要したようである。
遺体を永年に渡って残しておきたいというのが
当時の人たちの強い願いであったと思われるが
3,000年が過ぎても風化しないで存在し、
歴史を後世に伝え続けているということは
きわめて優れた保存技術であるといえる。
一度、大英博物館で実物を拝んでみたいものである。
詳細を知りたい方はここをご覧いただきたい。

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