MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

猫の口にはご用心

2013-01-28 23:15:27 | ペット

どうも MrK は猫が苦手なのだが
可愛くてたまらないという人もおられることだろう。
しかし日頃、猫と異様にじゃれておられる方、
気をつけられた方が良い。
ワシントン在住の
医療・科学分野のライター Marie Joice 女史は
かなり“痛い目”に遭われたようである。

1月21日付 Washington Post 電子版

Cat bite puts woman in the hospital with a serious infection 猫に咬まれた女性はひどい感染症で入院となる

Catsbite_2

プロレスごっこをしながら咬みついたり引っ掻いたりする猫は良い遊び方をしているとはいえないようだ。

By Marie Joyce,
 眠そうな目をして滑稽に尻尾を捻じ曲げる Sammy は危険なキャラクターには見えない。しかし Sammy のおかげで私は入院した。
 4日間も。
 何時間も抗生物質が入れられた点滴につながれてベッドに横になっていたため、自分がここに来ることになった愚行を後悔する時間はたっぷりあった。
 Sammy が私に咬みついたのだ。その時はそのことを深刻には考えていなかったが、小さな猫に咬まれても大きな問題となる可能性があるのだ。それは、咬傷の特性、猫や人により媒介される細菌の種類による。実際にそれが致死的となる人もいる。
 「猫による咬傷は軽視されるべきものではありません」と Humane Society of the United States(全米人道協会)のネコ・プログラムマネージャーの Nancy Peterson 氏は言う。
 猫咬傷の50%近くで感染が見られると、MedStar Georgetown University Hospital の感染症部門の部長 Princy N. Kumar 氏は言う。しかし、私と同じように、多くの人たちはこのケガを深刻に考えない。
 Kumar 氏によると、「人はその危険性を甘くみており」、咬傷はただちに見てもらうべきだということを理解していないという。「猫に咬まれると、2人に1人は感染する可能性があるということを知らないのです」
 私の第1の失敗は、喧嘩をしている最中に近づいたことです。
 私たち家族に加わったばかりだった街猫の Sammy は、すでに定着して住んでいた Blue が好きではなかった。ある日の夜遅く予備の寝室からゾッとするような鳴き声を聞いたとき、喧嘩中の片方を排除しようと思った。
 Sammy を拾い上げようと手を伸ばしたとき、脚を私の腕に巻きつけて私の手首に牙を立てた。2ヶ所の傷から暗赤色の静脈血が吹き出し、その箇所が腫れ出した。私は(もちろん悲鳴を上げてその猫を落としたあと)傷を十分洗い、氷を当ててしばらく高くしていた。朝までにはその腫れは引くだろうと考えていた。
 その翌日、私の腕はパンパンに晴れ上がり、指を十分に動かすことができなかった。私の手首は触ると熱かった。さらに氷を当て、拳上に努めた。
 それが私の2つめの失敗だった。問題を最小限に考え、咬傷に自分自身で対処したこと。結構な猫咬傷は常に医学的介入を要するのである。
 「もし実際にひどく咬まれたら、予防的な抗生物質の投与を受けるべきです」と Kumar 氏は言う。彼女によると軽い傷は問題ないが、もし猫が確実に深々と咬みついていたなら治療を受けるべきだという。「刺し傷があって、そこから血液が出てくるような場合です」
 組織に深く貫通しない表面的な圧搾するような咬傷をもたらす傾向のある犬と異なり、猫はその長い牙で穿通創を負わせるため、猫の口やその周囲から組織深くに細菌が注入される。
 さらに Peterson 氏によると「猫はきわめて強力な細菌を持っている」という。猫は口の中に様々な微生物を持っているが、実際の疾病は問題となる感染症を起こしうる細菌 Pasteurella multocida によってひき起こされる。ある研究によると、飼い猫の90%がこの細菌を保有しているという。Louis Pasteur によって初めて同定され、彼の名前がつけられたこの細菌を犬も保有しているが、咬傷からの感染率は猫の50%には及ばない。(ちなみに Pasteurella は猫ひっかき病を起こす微生物ではない。この疾患は通常、子猫のひっかき傷や咬み傷から感染し、ほとんどの人ではリンパ節の腫脹を引き起こすが、重篤な局所感染は起こさない)
 私たち人間もまた、皮膚表面にブドウ球菌や連鎖球菌などの細菌を持っており、それらは動物の歯に付着し、咬傷によって感染する細菌群の一つに加えられる。
 どうやらかなりの数の人たちが私のような状況になっているようだが、どれくらいの人たちが飼い猫から問題となるような傷を受けるのかについてはしっかりした統計はない。ニューヨークの公衆衛生部門による研究では、動物咬傷で緊急室を訪れた人たちの13%が猫によるものだったという。
 「まれな病態ではありません」と Kumar 氏は言う。彼女は入院を必要とするケースを年間5、6件は見るという。
 私の3つめの失敗は、2つめの失敗と関係しているが、咬傷がよくならないとわかったときに優柔不断だったことだ。
 今回の災難から3日後、私の右腕は詰め物でいっぱいになったソーセージのようだった。痛みがあり、指が全く使えなかった。それでも、Georgetown の緊急室に入っていくのは少し大げさに感じていた。事実その日そこには本当の病人が何人かいた。私は処方を受けて放免されるのをきまり悪げに座って待っていた。
 入院しなければならないと医師が私に告げたとき、自分の判断は間違っていたのだと思った。
 医師はさらに、明日手術になるかもしれないので今夜の食事はないと言った。
 後でわかったことだが、猫咬傷は骨の感染を起こしやすいという。それは傷が深いという理由からだけでなく、ほとんどの咬傷が手に起こり、そこでは骨や関節の位置が浅いからである。
 ありがたいことに私のレントゲン撮影では骨感染の所見は認められず、手術場は回避することができた。その代わり、2つの強力な抗生物質の静注を受けた。ブドウ球菌とレンサ球菌に対するバンコマイシンと、Pasteurella その他の細菌に対するユナシン(スルタミシリン)である。私は看護師の手をあまりわずらわすことのないように努め、特に目的なく玄関ホールにあるスナックの自動販売機まで自分の点滴の機械を転がして行ったりして3泊4日を過ごした。ようやく内服の抗生物質を持って帰宅が許されたときには私の腕はまだ少し腫れていた。今回の入院と治療の費用は15,524ドル(約1,412,700円)だったが保険から支払われた。
 完全に体調が戻り手や手首の腫れの症状が消失するまでにはさらに数日を要した。
 運のいいことに、私はほとんど健康だったのだ。猫咬傷が致死的な病状となるような医学的疾患はなかった。たとえば、基礎疾患に肝臓病のある人は、犬や猫の咬傷でしばしば認められる別のタイプの細菌に感染するリスクがある。これは脾臓が正常に機能していない人にとっても問題となる。Kumar 氏によると、そういった人たちは致死的な敗血症性ショックの危険があるという。
 まだ Sammy を飼っているのかと皆に聞かれます。そう、飼っています。そして彼は依然として Blue とは仲良くやっていません。
 しかし、少なくとも私は一つ賢くなりました。今は、もし喧嘩が始まったら、水の入ったスプレーの瓶をつかんでそれらに近づかないようにするでしょう。

記事中に出てくる
Pasteurella multocida(パスツレラ・ムルトシダ)感染症
(一般にパスツレラ症と呼ばれる)について
若干説明を加えておく。
従来から人畜共通感染症の病原菌として知られている
Pasteurella(パスツレラ)はグラム陰性短桿菌で、
ヒトを除く哺乳類の口腔内に常在する。
猫でほぼ100%、犬で15~75%、そのほか
ウサギ、ブタなど多くの哺乳類が保有している。
咬傷部や掻傷部からの蜂窩織炎のほか、
呼吸器感染症や敗血症をひき起こすことがある。
糖尿病患者やステロイド内服中の患者など
基礎疾患のある患者では発症率が高く、
小児や高齢者も注意が必要である。
犬や猫による咬傷・掻傷では、
早い場合には受傷後数時間程度で、局所に発赤、
腫脹、疼痛が発現し、そのうち20~40%が化膿する。
受傷が深部へ達した場合には、
骨髄炎、細菌性関節炎に至ることもある。
頻回に猫に顔を舐められたり、犬とキスしたりする飼い主では
気道感染のほか、中耳炎や副鼻腔炎などを起こすことがある。
肺への感染では血痰を見ることもある。
前述のように基礎疾患を持つ患者で発症することが多く、
日和見感染の傾向が見られる。
治療は早期の診断と抗生物質の早期投与が重要である。
Pasturella はペニシリンをはじめ多くの抗生剤に感受性があるが、
バンコマイシンやクリンダマイシンには耐性を示すことが多い。
多くは治療に反応するが、診断が遅れたり基礎疾患のある患者では
重症化することもある。
本症に対しては、予防が何より重要である。
ペットの小型化や室内飼育の増加が、ペットとの接触時間の
増加を招き、この菌への曝露機会が増しているという現実がある。
性格の激しい動物との接触を避ける、動物の爪切りをこまめに行う、
動物との接吻を避ける、接触後の手洗い・うがいの励行などが
勧められる。
パスツレラ症はペット飼育者の間でも
意外と知られていないことが多いため、
感染の危険性やその予防についての理解を
促していくことが重要である。
やっぱり猫は好きになれないのである。

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