NHKの連続テレビ小説 『だんだん』 の二人のヒロイン、
のぞみとめぐみ。
一見そっくりな二人だが、よく見ると顔が違う。
舞妓ののぞみの方がかなり不細工だ…(失礼)。
ま、それはよしとして、二人の体型はそっくりではないか。
二人の半生は、
ゆりかごの中で聞いた「赤いスイートピー」までは一緒らしいが、
その後は全く異なる環境で、
離ればなれに暮らしていたにもかかわらず、である。
な、ばかな、それはドラマ上の話でしょう!
実際の茉奈・佳奈の二人は同じ環境で育ってきたはず。
そう、確かに、そうなのだが、
一般に、同じ遺伝子を持つ二人なら、
それぞれが全く異なる食生活で育ったとしても
体型にそれほど違いが出ないのではないかと推察させる
研究成果がこのほど発表された。
食環境は違っても、結局のところおしなべて実際に食べる量が
あらかじめ脳にプリセットされているのではないかということらしい。
生来、設定の甘い人ならば、残念ながらその人は
肥満に陥ってしまう可能性がきわめて高いといえそうだ。
Obesity 'controlled by the brain'
肥満は脳によって制御されるあ
あ
科学者によって発見された7つの新しい遺伝子変異は、肥満がかなりの部分で精神的問題に関わっていることを強く示唆する。
この発見は、食欲の調整に脳が主要な役割を果たしており、肥満を安易に代謝障害のせいにはできないということを示唆するものである。
科学雑誌 Nature Genetics に発表された二つの国際的研究はごくわずかな遺伝子変化について数千人の人々から得られた検体を調べたものだ。
7つの重要な変異型の多くが脳内で活性化しているようである。
食欲や食行動への脳の影響は、脂肪を蓄えたり、燃焼消費したりするからだの能力を変化させるいかなる遺伝子の変異より重要である可能性を示す。
すべての7つの変異はアイスランドの会社 deCODE Genetics の主導による研究により発見されたもので、この7つのうち6つは Giant consortium の異名をとる国際チームによるもう一つの独立した研究によっても同定された。
両者とも、研究者らは微小な変異の影響を見極めるために数千人の人たちから得られたDNAのサンプルを精査した。
発見された変異のそれぞれは、肥満に対して与える影響は小さかったが、それらすべてを持つ人は平均より約 1.5kg から 2.0kg 体重が重かった。
身長と体重に基づいて算出される肥満度である body mass index の変動の 70%に相当する部分は環境要因よりむしろ遺伝的背景に依存していると推定された。
deCODE Genetics の研究者 Dari Stefansson 氏は次のように語った。
「肥満に対するより良い対策を開発しようとする時、少なくとも、からだがどのようにエネルギーを使ったり貯蔵したりするかという代謝因子に対するのと同じぐらい食欲の調整にも焦点を当てる必要があることを示しています」あ
Major step forward
重要な前進US National Human Genome Research Institute の Alan Guttmacher 博士は、本研究はヒトのからだが体重をどのように調整しているかを理解する重要な前進であると言う。
しかし、British Heart Foundation の Peter Weissberg 教授は警告を発した。
「本研究は、持っている遺伝子のために肥満に至る危険がより大きい人がいるという近年高まりつつある一連の証拠をさらに増大させるものです」「遺伝的背景のために他の人より食べ過ぎる誘惑に抗しがたい人がいることを示唆するとともに、もがき苦しむ人がいる一方でなぜ一部の人は何の問題もなく体重を低いままで保つことができるのかを説明できることになるでしょう」
「しかし、これらの遺伝子は何世紀も前から存在しており、また肥満の蔓延は比較的新しい現象であることから、この結果が肥満の現在の広がりの説明にはなりえません」
現在、イギリスのほぼ4人に1人が肥満であるとされており、専門家たちは、この割合は今後急速に増え続けるだろうと予測している。
ここに出てくる脳による制御とは、
意志の強弱といったレベルの問題ではなく、
摂食・満腹中枢の設定に関わる無意識下の体重コントロールを
指すのであろう。
いわゆる肥満遺伝子については、以前より話題になっていた。
それらの遺伝子は、本来肥満になるためではなく、
食糧不足の時代でも生き延びてゆくために
脂肪貯蔵のために変異を獲得したとも考えられる。
つい 100 年足らず前までの、食物が不足がちで、
移動には自分の足を使っていた時代には
必要な遺伝子であったと思われる。
そして、ここ数十年で人は急速に飽食の時代に突入し、
自動車などの移動手段が発達したことで運動量が激減した。
そんな急激な変化では肥満遺伝子に抑制がかかることはなく、
結果として肥満が激増することとなったのだろう。
肥満傾向の遺伝子を持つ人は
並大抵の心がけでは肥満を免れることはできないのかも知れない。
医療費削減の目的で減量の覚悟を決めさせるため、
遺伝子の検査結果を健診で告知される日も近いかも。
あるいは、いつまでもスリムなパートナーを欲する独身者には、
金に飽かしてでも手に入れたい貴重な婚前情報となるに違いない
(くわばら、くわばら…)。