あれほど日本国中を騒がせた農薬入りギョーザ、
あの事件は一体どうなったのだろう?
日本政府は原因究明の努力を続けているのだろうか?
あ
さて…
日本でも一時問題となったのでご承知の方も多いだろうが、
米国では昨年11月から今年の2月にかけて
中国からの原材料をもとに製造された
ヘパリンが原因と見られるアレルギー反応で数十人の死者が
出るという問題が発生した。
その原因として、中国からの原材料に混入していた不純物が
疑わしいとされてきた。
この件をめぐって、米国、中国間で議論のせめぎ合いが
続いている。
あ
ヘパリンは、血液の凝固を防ぐ目的で用いられ、
血液透析や血栓症治療には欠かせない薬剤である。
この不純物混入ヘパリンについては、本年3月に問題となった。
常州SPLという中国にある工場から原材料を輸入し、
米国の Baxter International 社によって製品化された製剤が
リコールの対象とされた。
同じ原材料を使った製剤は日本にも出回っており、回収が行われた。
幸い日本では、これに関連する死亡例は報告されておらず、
目下のところ対岸の火災視的立場をとっている。
しかし、ヘパリンは医療に必須の薬剤であることから、
事は重大であり、米国と協調して日本からも積極的に
中国に働きかけるべき、と思うのだが…
4月22日付 New York Times 紙に、この件に関する
米国と中国の姿勢が載っていたので紹介する。
(4月22日付 New York Times 紙、ウェブ魚拓)
『ヘパリンに混入した不純物と、
81例を死亡に至らしめた重篤な反応との間に
明確な関連を見い出したと、連邦当局は月曜日に発表した。
この不純物が死亡に関連しているとの主張に
中国政府は反論、
問題のヘパリン・バイアルを製造していた米国の工場に対して
中国の査察官による査察を許可するよう要求した。
また、今後、米国により中国企業の査察を行おうとするなら
その合意は相互的であるべきだと述べた。』
つまり、不純物の混入は中国で起こったという確証はない、
むしろ米国内で混入した可能性が高いのだから
こちらから米国の工場を査察させろ、との主張である。
『中国産』農薬入りギョーザの時と全く同じ言い分だ。
中国の開き直り、恐るべし…
『米国の食品医薬品局(FDA)は、不純物混入ヘパリンが
12の中国企業により、11ヶ国に供給されていたことを
明らかにした。
その11ヶ国は、オーストラリア、カナダ、中国、デンマーク、
フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ニュージーランド、
米国、そして日本である。』
確かに、これら11ヶ国の中で死亡例が報告されたのは
米国だけだった。
中国側の先の主張の根拠はそこにある。
ただし、ドイツでも、このヘパリンを使用した透析患者に
異常反応が見られたと報告されているらしい。
『一方、FDAの言い分では、症例が米国に集中した理由として
海外の同様の機関に比べ副作用をより厳密にモニターしている点や
米国内ではヘパリンを大量に急速静注するケースが
多い点を挙げている。
中国側はさらに、自国で製造されたヘパリンに
不純物の混入があったことは認めるが、
死亡等重大な有害事象を生じた原因がヘパリンあるいは
その混入物質であることを示す確固たる証拠はない、
と主張している。
この論争は中国製品の安全性について、両国間で
高まりつつある緊張の表れである。
中国はこれまで、毒入りハミガキ、鉛塗料の玩具、
毒入りペットフード、汚染された魚、そして今回の
不純物混入薬剤と、
続けざまに問題となる製品を輸出してきている。
そのような経過から、FDAは中国国内の工場に対する査察を
行ってゆきたい意向だ。
これに対して、今のところ中国政府は査察を許可する
姿勢は示していない。』
あ
中国ではオリンピック開催を間近に控え、
(開催を妬む?)(日本を含め?)欧米諸国から
チベットをはじめとする様々な問題でいちゃもんをつけられ、
種々の『いじめ』を受けているとの被害者意識が
強まっているという。(中国政府の誘導によるのだろうが)
あ
農薬入りギョーザでは幸い死者は出なかった。
一方、この不純物入りヘパリンでは、FDAによると、
81人もの犠牲者が出たという。
(Baxter International 社の主張では、ヘパリンに関連した
可能性があるのはわずかに5例だけだということだが)
いずれにしろ、これだけの数の死亡に関わっている可能性が
あるならば、ここはもはや面子にこだわっている場合ではないだろう。
原因の解明に早急に全力で取り組んでもらいたいと思う。
そうは言うものの、中国は “面子の国” といわれるくらい、
中国人にとって、“面子” は命の次に大切とされるもの、
他人の言いなりになることだけは
絶対に避けたいところだろう(ならば自発的にやれよっ!)。
面の皮の厚さで “面子” を最優先しようとする神経は
私たち日本人には、理解の遠く及ばないところかもしれない。
(おみそれしましたっ!)