2019年1月号「職員室の彼女。」はこちら。
この業界では“自分が退職間際になる”まで、退職手当だの年金だのには無関心な人が多いかも。
でも学校事務職員は違う。毎年のように退職の事務を行うわけだし、そのための説明会に毎年出席しているので意識せざるをえない。ということで、今年も三川町のなの花ホールで行われた庄内地区退職予定者説明会に行ってきました。隣のなの花温泉「田田」の誘惑を振り払いつつ会場へ。
驚きました。例年と確実に違っていることがあったのです。それは会場の広さ。例年の倍のスペースが用意されている。
これは庄内だけではなくて、山形ビッグウイングで開催された村山地区の説明会も、人数が多すぎるので退職予定者と学校事務職員が別々の部屋に集合だったとか。こんなことで大量退職時代を実感することになろうとは。
説明会は公立学校共済組合山形支部が主催。名前だけはよく聞く団体ですが(なにしろ多くの人の保険証の発行者だから)いったいどこにあるかというと、山形市松波二丁目です。要するに県庁。山形県教育委員会の福利課というセクションが運営しています。ということはすべて県職員なのかというとちょっと違って、組合が独自に雇用した“プロパー”と呼ばれる人たちもいます。
説明はその個性的なプロパーによって行われ、いきなり
「みなさん長生きしてください。長生きして、これまで(年金用に)積み立ててきた掛金をとりかえしてください!」
と熱弁してうけてました。まあ、実はこの発言は不正確で、年金財政のもととなるわたしたちの長期給付の掛金は、現在年金を受け取っている世代のために掛けているのです。あなたが退職してから受け取る年金は、現役世代の掛金が中心。若いもんは大切にしないと。
いよいよわたしとほぼ同世代の人たちが退職するわけなので、休憩時間とかにやけに質問される。
「ほら、おれは女房が年上だから」
「おれもだ。」だから誕生日が来るとすごく喜ばれます。
「こういう時はどうすればいいんだ?」
「うちは女房が年下だからその場合は」
プライベートさらしまくり。まあいちばん有益だったアドバイスは
「年金の口座を奥さんに握られるな」
ですかね。だって他の部分は正解がない話なんです。というのも、退職者がどれだけ病気になるか、何才まで生きるかがわからない以上、こうした方がいいですよとうかつには言えませんから。
たとえば、65才から満額支給される年金を、もっと前から受け取る【繰り上げ支給】を選択すると、1ヶ月あたり0.5%減額されます。で、減額されたまま最後(最期)まで支給。すると、たとえば2年間繰り上げると12%減額されることになります。早くから年金を受け取るメリットと、月額が減るデメリットの交差点はおおよそ79歳あたり。それ以上長生きすればそれだけ損ですよと。だけどこう考える人もいる。60歳の100万円と、80歳の200万円のどちらが金として活きるのか。正解はないでしょう?
喫煙スペースでは、退職予定者たちがこう嘆くのがお決まり。
「さっぱりわかんねえ。生徒の気持ちわかるなー」おい。
画像は「マスカレード・ホテル」(東宝=フジテレビ)
主演:木村拓哉、長澤まさみ 原作:東野圭吾
原作を読んだときにも思ったけれど(うちの図書館にはシリーズ全作あります)、ホテルマンとはマゾヒストの集まりなのかなあ。そんなに客に奉仕しなければならないの?まだドラマが続いている状況でキャストのテロップが出るのには理由があります。あの人が特別出演とは!
2019年3月号「平成」につづく。