カンヌ映画祭パルムドール受賞作品。なんて解説はもう不要なくらいの大ヒット。こんな地味な作品が40億もかせぐことができたのはもちろんカンヌのおかげ。
長年、是枝裕和の作品を見続けてきたファンとしてはもちろんうれしいが、だったら「空気人形」や「歩いても 歩いても」にもっと客が入ってくれてもよかったんじゃないかと……そうです偏狭な男ですわたし。
すでに見ている同僚も多く、
「あれ?そういえばなんで『万引き家族』の話しないんだ?事務だよりにも載ってないし。まさか見てないとか」
と挑発される。
「あの映画はすごいぞ。だってさ」
「言うな!」
同僚の気持ちもわかった。これは見終えてから激しく感想を言い合うためにあるような映画だったからだ。
下町。高層マンションのなかにぽつんと存在する廃屋のような一軒家。住んでいるのは“おばあちゃん”(樹木希林)“おとうさん”(リリー・フランキー)“おかあさん”(安藤サクラ)“おかあさんの妹”(松岡茉優)、“息子”(城桧吏……人気爆発とか。わかる)“妹”(佐々木みゆ……7才)。彼らがやっていることはすべて“悪いこと”だ。そして……
この作品の凄みは、画面に出てくることは穏やかなのに、それ以外で行われていることが次第に明らかになる経緯にある。ストーリーはおよそ明かせない。
いま日本の映画界で“見たい”役者であるリリー・フランキーと樹木希林と安藤サクラをそろえ、あろうことかあの人とかあの人とかあの人などの名優も配したオールスターキャスト。そのなかでも、安藤サクラの演技は日本映画の到達点のひとつと言っていいと思う。帰ってから妻に宣言しました。
「安藤サクラは天才だ」
「知ってるわよ」
「いやなんかもうこれまで以上だ。」
以下次号。
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