エイベックスという会社は気合いが違っている。20周年記念映画のタイトルが「おっぱいバレー」である。わたしは劇場では見逃したけど、シネコンのカウンターで
「『おっぱいバレー』を。あ、55才以上です」
って言うのは勇気がいるなあ。
さて「おっぱいバレー」、タイトルとは裏腹に、割にシリアスで、しかも周到につくられた映画だった。
“バカ部”と吐き捨てられる、やる気のない男子バレーボール部。顧問を命ぜられた(「やっていただけますか?」という教頭の問いは、現実的には命令ね。ブラック部活動の世の中だし)綾瀬はるか。彼女は誤解が誤解を呼んで
「地区大会で一勝したら胸を見せる」
という約束を生徒たちにしてしまう。実話がもとになっているらしいけど、これ、ばれたらクビ確実。意図的なものではなかったとはいえ、このストーリーを聞いて観るのをやめた人は多かったと思う。わたしがそうだったもの。現役の学校事務職員としては当然です(笑)。
まあ、その無理矢理な展開を納得させられるのが綾瀬はるかという女優の強みだし、彼女だからこそ(ホリプロの宝なのだから)おっぱいを見せる展開にはならないんだろうなあとちょっと残念。
第一戦の相手が、メンバーが集まらないために結果的に不戦勝となってしまうあたりや、強豪校との勝敗の行方など、リアリティがある。なにしろ脚本は「ちゅらさん」「ひよっこ」の岡田惠和さんですからね。
しかしこの映画はわたしにとって徹頭徹尾、綾瀬はるかのものだ。彼女の明るさ、天然さ、運動神経の良さはやはり芸能界の宝。「いだてん」でも彼女はひときわ光り輝いているもの。
で、さすがエイベックス。出てくる音楽が70年代の名曲ぞろい。永井龍雲の「道標ない旅」なんて、この作品がなければもう一生聴くことはなかったと思います。