欠点が多い映画であることは認める。初日にかけつけた息子は
「いくらなんでも省略しすぎじゃない?」
と突っこんでいた。なるほど、地球外生命体であるヴェノムが地球を○○する理由はいまひとつ弱いし、レイティングの関係から(らしい)バイオレントさに欠けるような気もする。まあ、ヘビのようにクチをあけて人間を丸呑みするシーンがありつつもっと暴力を!というのもわがままな話ですが。
でもわたしはこの映画が好きだ。
主演のトム・ハーディは不思議な役者で、どんな役を演じても、うっすらとオブラートでラッピングされたように正体がつかみづらい。「裏切りのサーカス」しかり、「ダークナイト・ライジング」しかり、そしてあの「マッドマックス/怒りのデスロード」にしてもだ。
今回も、単純な正義漢、みじめなルーザー、いずれにも属していない浮遊した雰囲気。まあ、身体のなかにヴェノムがいるってことを差し引いても(笑)。そしてそのどっちつかずな感じが後半に生きてくる。
なぜか女学生のようなファッションのミシェル・ウィリアムズは、前から思っていたけれどコロンビア映画のオープニングに出てくる自由の女神(ではなくてコロンビア・レディというんですって)にそっくりなので、これからもSONYは彼女を起用するように。
そしてサンフランシスコが舞台とくれば、やはりカーチェイス。「ブリット」から50年たってもお約束。今回はドローンまで使って大騒ぎ。
監督があの「ゾンビランド」の人なので、笑いのセンスがなんとも渋い。
ヴェノムがミシェル・ウィリアムズに寄生したからって、妙になまめかしいスタイルになるのっておかしいでしょ(笑)。悪役が主役なのに、終わり方が多幸感でいっぱいというのもこの監督のセンスのおかげだろう。
およそ信じられないくらい長いエンドタイトル。MARVELがらみだから何かあるだろうと思ったら……そうだよね、このお話ってスパイダーマンのスピンオフだったのを忘れてました!
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