夫の葬儀会場で倒れ、病院に運ばれすぐに手術を受けたKさんの様子を訊くため、
S総合病院を訪ねた。受付けでは病室を教えてくれたので、4人部屋に入る。
頭に包帯を巻き、顔全体で酸素吸入をし、動かない人がベッドに寝ている。
ベッド上に掛けてある名前は、確かに彼女であるが、声を掛けることも出来ないので、
看護師詰め所に行き訊ねると、「面会は出来ません」と言い、
何を訊いても、お答えできませんの繰り返しである。諦めて病院を後にする。
家に電話をして、たまたま来る息子さんの声を、期待するしかない。
彼女は夫と二人暮らしであった。
二人とも同時に消えてしまったので、連絡方法が分からない。
彼女が元気になり、退院してお喋り出来る日が来るであろうか?
親鸞聖人9歳の得度の時の歌と言われるのが、
「明日ありと 想う心の 仇桜 夜半に嵐の 吹かぬものかわ」である。
桜、桜今が見頃。向こうの白木山は雲の中。