「これが、江波(えば)にある「おさんぎつね」の像じゃ」
「まぁ、道の真ん中に堂々と建っとるんじゃねぇ。あれ、口に何かくわえとるよ?」
「ほうじゃのう。何をくわえとるかはわからんが、こんな話が残っとるんじゃ」
むかし、むかし、江波に、八五郎という人力車夫がいた。
その日も、八五郎は、仕事を終え、家に帰るなりいつものように金の勘定をした。
ところが、八五郎、何度数えても金がたりない。
たりないかわりには、財布の中に、柴(しば)の葉が2枚はいっていた。
八五郎は合点(がてん)がいかなかったが、ともかくその晩は寝た。
妙なことには、あくる晩も同じことだった。
八五郎は腹を立てたがどうすることもできなかった。
数日たったある晩のこと、八五郎はいつものように土手道を車を引いて歩いていた。
すると、後のほうからだれか声をかける者がいた。
八五郎はその奥さんから「料金は2倍払う」と言われ、よろこび勇んで城下へ車をはしらせた。
やがて車は城下の中の棚へついた。
その夕方も、八五郎は、稲荷神社からでてきた奥さんに出会い、奥さんをふたたび車にのせ、道を急いだ。
ほいさ、よっさ、ほいさ、よっさといい調子で八五郎が江波の長土手にさしかかったとき、「ここでおろしてや」と車の上から奥さんの声がした。
奥さんはこんどもよけいのお金を八五郎にわたすと竹やぶの向こうに消えていった。
思わぬもうけに気をよくした八五郎は家に帰るなりさっそく財布をあけてみた。
ところが、財布の中には、今取ったばかりのような柴の葉がぎっしりつまっていた。
人のよい八五郎は、そのとき初めて、おさんギツネにだまされたことに気がついたのだった。
―― コンコンチキのコンチキ。
(「おさん狐」『広島県大百科事典 上巻』1982年 中国新聞社)
「へぇ、こんな話があったんじゃね」
「おさんぎつねは、映画『ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!』(2008年)にも、チラリとじゃが出てきとるんじゃ」
「ほんま?」
「DVDを借りて来とるけん、見てみんさい」
「えぇっ、ネコ娘がデオデオでプラズマテレビを売っとるじゃん! なんで?」
「この映画は、公開する地域別に「ご当地バージョン」があって、中国地方はデオデオが出てくるんじゃ」
「おぉっと、ネコ娘じゃのうて、おさんぎつねの話じゃったね」
「この時にテレビでやっとった鬼太郎は、「妖怪四十七士」いうて、日本各地の「ご当地妖怪」が出てくるという設定じゃったんよ。ところが、24人までが紹介された時点で、テレビシリーズが最終回になってしもうたんじゃ。ほいで、映画には妖怪四十七士がすべて出てきたんじゃの」
「といっても、おさんぎつねは、ほんの一瞬しか出てこんのじゃね。しかも、なんの紹介もないけん、映画で観た人は、ほとんど気がつかんかったんじゃないんかね」
「この時の鬼太郎のキャラクターデザインをされた上野ケンさんは、おさんぎつねがお気に入りじゃったそうな」
――― 一番お気に入りのキャラはどれですか? …ネコ娘以外で
(略)
上野ケン氏(以下、上野):
その中でも、敢(あ)えて…というのなら。
んー、四十七士のほら、あのシュッとしたキツネのキャラクター……
――― “おさん狐”ですか?
上野:
そうそう、“おさん狐”! あれなんか上手くいったかなって。
色味がね、特に。
金の刺繍(ししゅう)とか良いアクセントになって、カッコよく仕上がったなと思います。
本編には登場できなかったから、凄く残念。
“おさん狐”の話、見たかったんですよねぇ。
なんか、キツネのキャラが好きみたいなんです。
――― 実は100話以降で“おさん狐”の回あったらしいですよ
上野:
え、そうなの!
うあー残念。
もったいないー。
(「『ゲゲゲのお部屋』 第2回ゲストは…【前編】」『ゲゲゲかわら版 - ゲゲゲの鬼太郎ブログ』 2009年5月12日)
↓映画『ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!』については、こちら↓
「劇場版 ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!」ウィキペディア
↓デオデオについては、こちら↓
edion Group:デオデオ
「今日は、江波のおさんぎつねについて話をさせてもらいました」
「ほいじゃあ、またの」
「まぁ、道の真ん中に堂々と建っとるんじゃねぇ。あれ、口に何かくわえとるよ?」
「ほうじゃのう。何をくわえとるかはわからんが、こんな話が残っとるんじゃ」
むかし、むかし、江波に、八五郎という人力車夫がいた。
その日も、八五郎は、仕事を終え、家に帰るなりいつものように金の勘定をした。
ところが、八五郎、何度数えても金がたりない。
たりないかわりには、財布の中に、柴(しば)の葉が2枚はいっていた。
八五郎は合点(がてん)がいかなかったが、ともかくその晩は寝た。
妙なことには、あくる晩も同じことだった。
八五郎は腹を立てたがどうすることもできなかった。
数日たったある晩のこと、八五郎はいつものように土手道を車を引いて歩いていた。
すると、後のほうからだれか声をかける者がいた。
八五郎はその奥さんから「料金は2倍払う」と言われ、よろこび勇んで城下へ車をはしらせた。
やがて車は城下の中の棚へついた。
その夕方も、八五郎は、稲荷神社からでてきた奥さんに出会い、奥さんをふたたび車にのせ、道を急いだ。
ほいさ、よっさ、ほいさ、よっさといい調子で八五郎が江波の長土手にさしかかったとき、「ここでおろしてや」と車の上から奥さんの声がした。
奥さんはこんどもよけいのお金を八五郎にわたすと竹やぶの向こうに消えていった。
思わぬもうけに気をよくした八五郎は家に帰るなりさっそく財布をあけてみた。
ところが、財布の中には、今取ったばかりのような柴の葉がぎっしりつまっていた。
人のよい八五郎は、そのとき初めて、おさんギツネにだまされたことに気がついたのだった。
―― コンコンチキのコンチキ。
(「おさん狐」『広島県大百科事典 上巻』1982年 中国新聞社)
「へぇ、こんな話があったんじゃね」
「おさんぎつねは、映画『ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!』(2008年)にも、チラリとじゃが出てきとるんじゃ」
「ほんま?」
「DVDを借りて来とるけん、見てみんさい」
「えぇっ、ネコ娘がデオデオでプラズマテレビを売っとるじゃん! なんで?」
「この映画は、公開する地域別に「ご当地バージョン」があって、中国地方はデオデオが出てくるんじゃ」
「おぉっと、ネコ娘じゃのうて、おさんぎつねの話じゃったね」
「この時にテレビでやっとった鬼太郎は、「妖怪四十七士」いうて、日本各地の「ご当地妖怪」が出てくるという設定じゃったんよ。ところが、24人までが紹介された時点で、テレビシリーズが最終回になってしもうたんじゃ。ほいで、映画には妖怪四十七士がすべて出てきたんじゃの」
「といっても、おさんぎつねは、ほんの一瞬しか出てこんのじゃね。しかも、なんの紹介もないけん、映画で観た人は、ほとんど気がつかんかったんじゃないんかね」
「この時の鬼太郎のキャラクターデザインをされた上野ケンさんは、おさんぎつねがお気に入りじゃったそうな」
――― 一番お気に入りのキャラはどれですか? …ネコ娘以外で
(略)
上野ケン氏(以下、上野):
その中でも、敢(あ)えて…というのなら。
んー、四十七士のほら、あのシュッとしたキツネのキャラクター……
――― “おさん狐”ですか?
上野:
そうそう、“おさん狐”! あれなんか上手くいったかなって。
色味がね、特に。
金の刺繍(ししゅう)とか良いアクセントになって、カッコよく仕上がったなと思います。
本編には登場できなかったから、凄く残念。
“おさん狐”の話、見たかったんですよねぇ。
なんか、キツネのキャラが好きみたいなんです。
――― 実は100話以降で“おさん狐”の回あったらしいですよ
上野:
え、そうなの!
うあー残念。
もったいないー。
(「『ゲゲゲのお部屋』 第2回ゲストは…【前編】」『ゲゲゲかわら版 - ゲゲゲの鬼太郎ブログ』 2009年5月12日)
↓映画『ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!』については、こちら↓
「劇場版 ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!」ウィキペディア
↓デオデオについては、こちら↓
edion Group:デオデオ
「今日は、江波のおさんぎつねについて話をさせてもらいました」
「ほいじゃあ、またの」