或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

すべてがFになる

2006-09-18 06:43:31 | 010 書籍
最近ようやく読了したのが、森博嗣(もり ひろし)の「すべてがFになる」(1996年)。学科は違うけど、自分と同じ大学、学部の出身で、最近まで、そこの現役助教授だったということで、親近感がありました。それでとりあえず処女作でも読んでみようかと。でも定職を持ちながら、長編小説をバンバン書き続けるなんて、凄い才能と根性だなあ。上には上があるってことですね。

この作品は第1回メフィスト賞を受賞。といってもこの賞を知らなかったので調べると、出版社への“持ち込み”を制度化したもの。創設には“持ち込み”によってデビューした京極夏彦の存在が大きく、裏では彼を第0回?受賞者とすることがあり、森博嗣を衝撃的にデビューさせるために設けた賞とも言われてるんだとか。そうか、二人はここでつながっているのか。

それで読み終わった感想は、これは凄いの一言。京極の「姑獲鳥の夏」と、ある意味似た印象。どちらも長編で、けっこうくどい。でも構成がしっかりしていて、トリックも本格的。京極を“伝統的陰湿陵辱SM系”と形容したけど、森は“未来的空想数学PC系”とでも言っときましょう。でもね、この作品も京極と同じく後味が悪い。どうも空想系は苦手。それと登場してくる西之園萌絵と真賀田四季。なんか名前がタカラズカみたいで、キャラも少女漫画の主人公のイメージがぬぐえないなあ。

面白かったのは、「すべてがFになる」というタイトルの意味。彼の作品は”理系ミステリー”と呼ばれているらしいけど、自分も理系出身。だから中で出てくる業界用語は馴染みがあって理解できる。その意味でタイトルとトリックのつながりは面白かった。でもコンピュータに詳しくない人には分かりにくいだろうなあ。ということで、一応上の写真で説明しておきます。ネタバレ注意だけど。

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