或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

重力ピエロ

2006-02-11 06:08:48 | 010 書籍
今日は「ラッシュライフ」(2002年)に続いて、伊坂幸太郎のミステリー小説「重力ピエロ」(2003年)の紹介。図書館で予約していたら、意外に早く貸し出し可のメールが着てました。この作品は第129回直木賞(2003年)の候補作品。「ラッシュライフ」に魅了されたけど、飛び過ぎの「オーデュボンの祈り」でやや引いて、今度はどうだろうと読んでみるとなかなか面白かった。

テンポの良さと共に、ちょっと鼻につきながらも引き込まれるのが彼の“うんちく”。特に歴史上の人物の逸話や言葉からの引用。そこに彼なりの哲学が感じられます。例えばこの本で言えば、ガンジー、盲目のジャズサックス奏者ローランド・カーク、芥川竜之介のトロッコ、井伏鱒二の山椒魚、エッシャー、シャガール等々。でも若いのにちょっと悟りすぎ。年を取ったらうるさそう。(笑)

その中で印象に残ったのが、敬愛するベートーヴェンの同名のヴァイオリンソナタを聴いて書いたといわれるトルストイの小説「クロイツェル・ソナタ」(1891年)の話。引用はされてなかったけど、この本には「情欲をいだいて女を見る者は、すでにその女と姦淫したにひとしいという福音書の言葉は、他人の妻に対してのみ向けられたものではなく、何よりもまさに、自分の妻に向けられたものにほかならない」なんてのもあって。トルストイの禁欲主義は超強烈。よほどトラウマがあるんでしょうね。

トラウマで思い出したのが高校1年の音楽の授業。先生がレコードをかけて「この曲が分かる奴はいるか?」と。誰も手を挙げない。第5番「春」か第9番「クロイツェル」かどっちかだったよなあ、でも分からない、えーい言っちゃえと答えたのが「クロイツェル」、でも正解は「春」。当時片想いをしていた同級生がいたので、その子にいい所を見せたいと無理をしたんですね。ハズれて恥ずかしかったなあ。結局彼女とは何もありませんでした。まあこの話とは関係ないと思うけど。(笑)

上の写真は持っているCDのジャケット。ヴァイオリンがシェリング、ピアノがヘブラー。豪華な組合せ。でも昔のことを思い出しそうなので普段このアルバムはほとんど聴いてないんですよ。(笑)

重力ピエロ重力ピエロ

トルストイ クロイツェル・ソナタ/悪魔トルストイ クロイツェル・ソナタ/悪魔

CD ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ