今秋、鳴り物入りで始まったドラマ「不毛地帯」が局側の予想を下回る視聴率となり話題となっている。超豪華キャストだし金は掛かっているし、原作も申し分ないだけに少し残念な気もします。
少々、時代背景が古過ぎる事や、2クールドラマの為か少々テンポがゆっくりと物語が進行していくということもあるのでしょう。プロレスに例えるのも何ですが、昔はゆっくりと技を仕掛けていって、流れの中で最後にだけ大技を決めるというものでしたが、90年代以降は最初から大技を繰り出し続けるというスタイルに変貌しています。世の中がせっかちになってしまったのでしょう。
また、このドラマにかかわらず、ドラマの質の低下というか幼児化が叫ばれて久しい。それは私も確かに感じるところだ。それは私が歳をとったことによる懐古趣味も多分にその理由だろうから、出来るだけ客観的事実らしい理由を書いてみたい。
まずは制作費の減少、これはよく言われています。時代劇なんかのフィルムからビデオへの変更もこれの一環だと思います。折角の雰囲気が台無しです。
それから、脚本の弱さ。先に書いた「せっかち」化もあるのでしょうけど、全体の構成がいい加減になっていて次から次へと刺激的な場面を続けるだけになっている。たとえ、30分や1時間であっても、勧善懲悪でラストが決まっていても、出来うる限り脚本を練って飽きさせない工夫をしていたものだ。
また、脚本に対する規制の多さも脚本の弱化に拍車をかけているのは間違いない。時代劇の必殺シリーズも「仕掛人」「仕置人」の頃と中期「仕事人」の頃とではほとんど別物と化しています。大人向けから随分と幼児化してしまっていますね。タブーであったり性表現であったり。
観る側も昔に比べると幼児化しているように思える。「バカの壁」という本でも言われたように、少しでも難しいと感じると避けるといったように変わっているのもあるだろう。もう、TVのドラマは、とんでもなくかっこいい男優かとんでもなく魅力的な女優が出演したドラマぐらいしか無くなってしまうのかもしれません。