10/21 ドラえもんSP「昔はよかった」ほか

 都合で一日遅れてしまったが、約一ヶ月ぶりとなるアニメ「ドラえもん」の感想。今回は、枠を拡大しての54分スペシャル。


「昔はよかった」(脚本/大野木寛、絵コンテ・演出/塚田庄英、作画監督/富永貞義)

 基本的に原作通りだったが、冒頭でパパが昔を懐かしむシーンや、のび太が昔に着いたシーン、医者を呼びに外へ出て星空を見るシーンなど、昔の世界の美しさが丁寧に描写されていた。それに加えて、生活の大変さもきっちりと描かれていたので、昔は昔で大変だったと言うことが、よく伝わったと思う。
 原作の微妙な改変としては、のび太の「とってもいい人なのに、びんぼうなんだ」と言うセリフが、原作ではドラえもんを連れて昔に向かう場面で発言していたのに対し、今回のアニメ版では、おじさんを助けて帰途につく場面に変わっていた点が挙げられる。この変更によって、のび太のこのセリフと、それに続くドラえもんの「あの時代はみんなあれくらいのくらしだったんだよ」が、このエピソード全体の締めくくりとして、原作以上に印象に残り、よい改変だった。
 それにしても、原作を読んだ時から突っ込みたかったのだが、あの時代に22世紀のテクノロジーをあんなに持ち込んでしまう事は、問題にならないのだろうか。改めて原作通りにアニメ化されると、余計に気になってしまう。



「宝星」(脚本/高橋ナツコ、絵コンテ・演出/鈴木卓夫、作画監督/田中薫)

 こちらも、内容は原作に忠実。「宝星」が大山時代にアニメ化されたのは1997年と比較的最近で、渡辺歩が演出を担当したためか、色々とアレンジされていた。中でも強烈だったのは、宝さがしの宇宙船が招き猫型になっていたところだ。原作通り、「宇宙空間には空気がないからどんなかたちでもいい」との理由付けはされていたが、ちょっとやりすぎだと思った。その宇宙船も、今回は原作通りに帆船型でアニメ化された。

 基本的には原作通りだったが、普段通りの生活をしているだけなのに、ロケットの打ち上げや宇宙船の発射で被害を被っていたママの描写が妙に笑えた。日常と非日常の組み合わせをギャグにするあたりは、いかにも藤子・F作品らしいアレンジで、好感が持てた。

 注文を付けるとすれば、冷静さを装いながら、ブザーが鳴ると慌ててしまうドラえもんの描写を、もう少し大げさにして落差を大きくすれば、更に面白くなったのではないかと思う。石器時代の星の場面なども、もう少し住民の反応をオーバーにした方が、いかにもお宝発見という感じが出たのではないだろうか。

 しかし、今回は2本とも過不足無く、アニメなりのアレンジを入れて作られていたと思う。特番なので、ある程度原作に長さに合わせた尺で作ることが出来たからだろう。ちなみに、レギュラー放送では1話11分だが、今回は「昔はよかった」18分28秒、「宝星」18分30秒で、普段の約1.5倍の長さだった。原作の長さによっては、これくらいが丁度いいこともあるだろうから、今後も特番でのアニメ化には期待したい。



 さて、今回の特番では、来年3月4日公開予定の映画「ドラえもん のび太の恐竜2006」の映像が、約3分にわたって紹介された。その映像を見た限りでは、テレビシリーズとはまた異なるタッチでキャラクターが生き生きと描かれており、超空間で迫り来る黒い男や、恐竜時代を飛ぶのび太たちも非常に動きがよく、かなり期待できそうだ。ただ、超空間でのドラとのび太の変な顔などを見ると、やっぱり渡辺さんが監督だと言うことを、改めて意識してしまう。末期大山ドラのような、渡辺色が強く出過ぎることがなければ、「のび太の恐竜2006」は、名作になるのではないだろうか。
 また、映画の製作発表記者会見の様子も流れて、ゲスト声優の神木隆之介と劇団ひとりが登場したが、私はこの二人について語るべき知識を持ち合わせていないので、現時点ではノーコメントとする。実際に映画を見て、二人の演技を聴いたら、その時に感想を書きたい。

 ノーコメントと言えば、番組最後に紹介された新OP「ハグしちゃお」についても同様だ。歌の一部が流れたが、あれだけでは評価のしようがない。この歌については、来週の「ドラえもん」で、実際にアニメ付きで歌を聴くまでは、コメントは差し控えたい。
 だが、ひとまず「ドラえもんのうた」に対しては、「長い間、お疲れさまでした」と、言っておこう。まだ、挿入歌や映画で使われる機会はあるそうだが、少なくとも番組の「顔」であるOPとしては、今回が最後となる。願わくば「ハグしちゃお」も、ちゃんと「ドラえもん」の主題歌として認知されて、長く愛される曲になって欲しい。
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