はなバルーンblog

藤子不二雄や、好きな漫画・アニメの話がメイン(ネタバレもあるので要注意)

ドラマ版『怪物くん』感想

2010-05-03 22:18:18 | 藤子不二雄
 先月からドラマ版『怪物くん』の放送が始まったが、2話まで観て視聴をやめてしまった。

 このドラマの出来は、決して悪くないと思う。
 怪物くんが人間界でヒロシたちと交流して、大王として必要なものを学んでいくという設定はオリジナルだが、異種の存在である人間と怪物の交流を描く上では効果的だと思う。これは、物語の一つの「芯」となるものだろう。
 悪魔界の手先が人間界で悪事を働くというのもよくある展開だが、人間側の愚かさや心の弱さが丁寧に描かれており、こちらも怪物くんの行動の動機付けとしては悪くない。
 少なくとも、スタッフは原作に真摯に向き合って作られている作品だと思う。


 では、なぜ観なくなったかというと、原因は大野智の演じる怪物くんだ。
 放送が始まる前から心配だったのだが、やはり怪物くんを大人が演じるのは無理がある。大野智が怪物くんのコスプレをしているようにしか見えない。それだけならまだいいのだが、このドラマ版怪物くんは見ていて、行動の一つ一つが不快だ。
 原作漫画やアニメでは怪物くんはヒロシよりも背の低い子供に描かれているので、短気で怒りっぽい性格であってもかえってそれが可愛らしく見えるのだが、同じ事を大人がやると小物のチンピラにしか見えてしまい、不快でどうにも我慢できない。ドラマ版怪物くんは町を歩いていて肩がぶつかったら、因縁をつけてきそうだ。

 とは言え、全体的に見て配役は悪くないと思う。どうなるかと危惧していた怪物三人組や怪物大王も、実際に観てみると結構はまっていてしっくりくる。デモキンは原作の面影が全然ないが、回想でしかまともに動いていないのでそれほど気にならない。
 なのに、肝心の主役・怪物くんが私にはダメだ。これさえなければ「原作とは別物」として割り切って観られただろう。実に残念だが、おそらく大人であれば誰が怪物くんを演じても大差はないのではなかろうか。


 そんな訳で、私はドラマ『怪物くん』は2話で脱落してしまった。今も一応録画は続けているがHDDの肥やしになりそうだ。
 ドラマ版の感想としてはこんなところだが、おそらくドラマ放映のおかげでシンエイ版『怪物くん』のDVD-BOXが出る事になったし、ドラマをきっかけにして原作の『怪物くん』を読んでみようと言う人も出てくるだろう。藤子A作品に注目が集まる事自体は、ファンとして素直に嬉しい。
 だからこそ、ドラマ版をこれ以上「観よう」という気になれないのは残念だ。