はなバルーンblog

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「T・Pぼん」SP版第3巻「ローマの軍道」は加筆版!

2008-11-06 00:16:58 | 藤子不二雄
 本日、「T・Pぼん スペシャル版」第3巻が発売された。
 1・2巻は無理に発売当日に買うことはしなかったのだが、単行本初収録作品のある3巻となると話は別だ。特に、以前にこのエントリで書いた、未収録作品の描き足しの有無が気になっていたので、さっそく買ってきた。


 単行本初収録の3編を確認した結果、「古代の大病院」「神の怒り」は初出版と全く同内容だったが、「ローマの軍道」は初出版30ページに対して、今回収録されたものは34ページ。4ページ分の描き足しがある。
 もちろん、明らかに藤子・F・不二雄先生御自身の手によってなされた描き足しであり、F先生の死後に誰かが勝手に原稿をいじったというわけではない。その点で、コロコロ文庫版「ウメ星デンカ」での王様の描き換えとは訳が違う。
 先ほど、この描き足しを確認してから、今この瞬間までずっと興奮がおさまらない。何しろ、既存の作品への加筆とは言え、今まで見ることが出来なかったF先生の原稿が死後12年を経てようやく出版されたのだ。




加筆部分の冒頭。左が初出版、右が今回のスペシャル版



 それでも無理に気持ちを静めて描き足しの内容を見てみると、後半の戦争描写が初出版よりも詳しく描かれている。初出では、サムニテス兵の最初の夜襲以外は戦争そのものの場面は描かれておらず、F先生ももっと具体的に描きたいという思いをお持ちだったのだろう。
 そう思って「古代の大病院」「神の怒り」を読み返すと、この2編も後半の展開がやや駆け足に感じてしまう。特に「神の怒り」は火山の噴火が起こってから結末まで2ページしかなく、いかにもあっけない。もし、F先生のご存命中に単行本を出す機会があれば、こちらも描き足されたのではないだろうか。


 ともかく、未収録話に描き足し作業の完成していた作品があり、それが陽の目を見たのだ。その点で、今回のスペシャル版刊行の意義は非常に大きい。
 逆に言えば、今回も漏れてしまった「王妃ネフェルティティ」「ひすい珠の謎」は、以前に推測したように描き足し作業が中途半端なままだから出版できないのだろう。できれば、初出からの復刻で残り2編も収録して欲しかった。はたして、「T・Pぼん」全話が単行本にまとまる日は来るのだろうか。


 あと、作品そのものとは関係ないが、近所のE書店で今回のスペシャル版全3巻が1巻も欠けることなく入荷されていたのは有りがたかった。このスペシャル版はなかなか書店で見かけないと言う声をよく聞いていただけに、苦労なく3巻とも入手できて助かった。
 ただ、それほど大きな書店ではなく、特に藤子関係に力を入れているわけでも無さそうなので、なぜ入荷したのか、不思議な事ではある。もしかしたら、店員に「T・Pぼん」の熱心なファンがいたのかもしれない。