国際児童文学館で『ドラえもん』調査

 昨年12月に「「ドラちゃんのおへや」今後の方針」で宣言したように、昨年末から『ドラえもん』の初出誌調査を開始している。
 とりあえず、大阪府の国際児童文学館で、調査できる範囲のものは調査してしまい、そこで調べられなかったものは他の図書館を当たるという計画を立てている。そこで、今回は国際児童文学館での調査について書いてみる。

 まず、国際児童文学館は東大阪市の大阪府立中央図書館内にある。以前は、万博記念公園内に独立して存在していたのだが、大阪府の方針の変更により中央図書館に統合された形だ。
 この図書館の最寄り駅は近鉄の荒本駅だが、梅田方面から地下鉄に乗ると一駅だけ近鉄に乗ることになって料金が割高(一気に200円上がる)なので、私のようにせこい人は一駅前の長田駅で降りて、少し歩くのがお勧めだ。長田駅からでも、15分くらい歩けば図書館に到着できる。

 国際児童文学館を利用するにあたって、漫画雑誌を閲覧したい場合は一つ注意点がある。それは、前日までに閲覧予約を申し込んでおかなければいけないと言うことだ。これを忘れて、当日に行って頼んでも出してもらえない。幸い、ウェブから簡単に閲覧予約ができるので、目当ての雑誌をきちんと申し込んでおけばいい。
 ただし、小学館の学年別学習雑誌(いわゆる「学年誌」)は分類上は「漫画雑誌」ではないので、これにはあてはまらない。学年誌はいくらでも当日に頼んで出してもらえるので、『ドラえもん』を調べるにあたってはあまり関係がない。これは、『ドラえもん』以外の藤子・F・不二雄作品にもあてはまるのは言うまでもない。
 学年誌以外の、たとえば藤子不二雄A先生の『狂人軍』をぜひ読みたいというような場合は、前もって少年チャンピオンを予約しておかなければならないわけだ。

 実際に閲覧する場合、貸出は1回に15冊までという制限がある。この冊数であれば「『小学一年生』1983年10月号から1986年8月号まで」などと大ざっぱに頼んでも、一気に出してきて順番に15冊ずつ見せてくれる。あくまで、一度に手元に置けるのが15冊なのだ。
 閲覧した雑誌は、著作権法上で認められる範囲でコピーもできる。これは一度に何冊までできるのかわからないが、一枚の複写申込用紙には6冊分しか記入欄がないので、このくらいにしておくべきだろう。どうせ、大量に頼んでもできあがるまでに時間がかかるので、その間は動きが取れなくなる。
 複写は国際児童文学館内ではなく中央図書館の2階にある複写カウンターで、できあがったものを受け取る形だ。そこで、料金も支払う。カラーは1枚80円でモノクロは1枚25円だ。
 1980年代の『小学一年生』に掲載された『ドラえもん』は、1話あたり7ページでカラー掲載が基本となっている。7ページなら見開きで4枚となるので、カラーコピーの場合は1話あたり320円となる。『ドラえもん』の初出誌は全てコピーできればいちばんいいのだが、1話320円はけっこう金銭的にきつい。だから、『ドラえもんカラー作品集』にカラーで収録されている話はとりあえず置いておいて、てんとう虫コミックスにモノクロでしか収録されていない話を優先的にコピーするようにしている。
 よって、『ドラえもんカラー作品集』収録作品については、ひたすら初出データ(サブタイトル、ページ数、色数など)をチェックしてメモしている。作品自体は加筆もない(すべて藤本先生が亡くなられたあとの収録)ので、単行本で読むのとサイズ以外は変わらないから、データをリスト化できればいいのだ。

 ともかく、このようにして年末と三日前の2回、とりあえず調査を行った。両日共に昼過ぎに図書館に到着して半日滞在したが、ようやく『小学一年生』の調査を終えて『小学二年生』に入ったところだ。この調子だと、全ての学年誌掲載の『ドラえもん』を調査し終えるまで、あと何回通う必要があるのかまだ見当もつかないが、気長に行くしかないだろう。
 私の国際児童文学館での『ドラえもん』調査は、こんな感じだ。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

映画「グッバイ、ドン・グリーズ!」感想

 昨日、映画「グッバイ、ドン・グリーズ!」を観てきた。
 ここで、その感想を書きたい。例年のドラえもん映画感想と同じく、思いっきりネタを割って書くので未見の方はご注意いただきたい


 さて、「グッバイ、ドン・グリーズ!」は、テレビアニメ『宇宙よりも遠い場所』(よりもい)のスタッフが再び結集して作られた劇場アニメだ。ただし、よりもいスタッフのうちシリーズ構成・脚本を担当した花田十輝先生だけは抜けている。今回の脚本は、花田先生ではなくいしづかあつこ監督が自分で手がけているのだ。
 なぜこのような座組になったのかはわからないが、脚本を監督自らが手がけたことで、監督が伝えたいことがよりストレートに表現された作品になったのではないかと思う。

 本作の予告編を見た段階では、どんな作品になるのかあまり予想が付かなかった。おそらく、少年たちの一夏の冒険といった話になるのではないかとは思っていたが、その程度だった。
 この予想は、半分は当たっていた。実際に「少年たちの一夏の冒険」は描かれていたからだ。しかし、それだけでは話は終わらなかった。映画の後半には少年たちは日本を飛び出して、アイスランドへと行くことになる。そこで繰り広げられたもう一つの冒険は、作品前半で描かれたドローン回収の旅と比べると、非常にスケールの大きなものであった。
 二人が確かめに行った「黄金の滝」と、その傍にあるという電話ボックスで起きた出来事については、色々な解釈ができるところだ。
 本当に、ドロップがいた時に間違い電話があの電話ボックスにかかったのか。それが起きたのだとしたら、「盲亀の浮木」に匹敵するほどの信じられないほどのものすごい偶然だ。しかし、だからこそあの場面では非常に胸にくるものがあった。
 ドローンさがしの冒険だけでも話としては成り立っているのだが、それだけで終わらせなかったことで話のスケールが地球規模に広がった。その分だけ、受ける感動も大きくなったと思う。

 ここで、前半のドローンさがしの旅についても触れておこう。
 この旅は、ドローンが放火の無実の証拠を撮影しているのではないかと言うところからはじまったもので、正直言ってちょっと情けない動機ではあるなとは思った。
 しかし、この旅を通じて三人が心を通わせる様子は非常に丁寧に描かれており、特にドロップについてはほぼ全てが後半への伏線となっていたのだから、物語の組み立てが非常に周到ではあった。
 「よりもい」にも言えたことだが、本作でも挿入歌が効果的に使われており、印象に残る。特に、ドン・グリーズの三人で歌う「Twinkle Twinkle Little Star」がよかった。

 最後まで観て、この作品からは「よりもい」にも勝るとも劣らない感銘を受けた。
 とりわけ、アイスランドの雄大な自然風景と、そこで描かれた「物語の結末」は印象的だ。そこに至るまでで、あえて描かれなかったこともある。ドロップがどうやって亡くなったのか、具体的なことは何一つ描かれていないが、この作品ではそれでいいと思う。そこまで描かなくても、十分に「何が起こったか」は伝わってくるからだ。
 それにしても、最後に電話ボックスにかかってきた電話は、いったい誰からだったのか。謎を一つ残していることになるが、そこからまた想像をふくらませることもできる。いい終わり方だった。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

昨年末はコミックマーケット99へ

 いささか旧聞に属するが、昨年末は2年ぶりに上京して、藤子・F・不二雄ミュージアムと東京ビッグサイトで開催されたコミックマーケット(コミケ)99に行ってきた。そのうち、今回はコミケ99について書いておこうと思う。

 そもそも、コミケ自体この2年間、開催されずに来た。
 コミケ97が開催されたのが、2019年の12月だった。その後、世界的な新型コロナウィルスの蔓延により、2020年5月に予定されていたコミケ98は中止となった。従来通りならば8月の開催のはずだったが、東京オリンピック開催との絡みでビッグサイトが使えなくなるために、5月に開催するはずだったのだ。
 そして、今回昨年末に開催されたコミケ99も、本来予定されていた開催時期から大幅に延期された。重ねて言うが、全てはコロナ禍のせいだ。

 コミケ99は、最終的には無事に開催されたが、コロナが収まったわけではない。だから、非常に気を遣った上での開催となった。
 これまでとの大きな違いは、一般入場がチケット制になった点だ。コミケ97で、すでに入場用のリストバンドは採用されていたが、それでもリストバンドは冊子版カタログを買えばついてきたし、そうでなくても昼頃には入場フリーとなり、好きに入場できていた。
 しかし、今回は事前販売されるチケットを買った者でないと入場できなかった。昼になっても、入場フリーとなることはなかったのだ。さらに、東と西・南でチケットは分けられており、それぞれ希望する側の棟にしか入れないという徹底ぶりだった。もっとも、これに関しては昼過ぎに東西の行き来はできるようになってはいたが。
 そんなわけで、今回はまずチケットを入手しなければならなかったが、抽選制であるので当然ながら落選して入手できなかった人もいたようだ。2次販売は先着制だったが、サーバーが非常に脆弱だったらしく、なかなか購入手続きが先に進めず、入手は困難だった。

 私自身はどうだったかというと、とりあえず12月30日・31日の両方にチケット抽選を申し込んだのだが、30日だけが当選した。ネットでできる限り調べてみたが、30日・31日両日のチケットが当たったという人は見当たらなかったので、存在しないか、いたとしてもごく少数なのだろう。いずれかの日に振り分けるように調整が行われていたのではないだろうか。
 せっかく上京するのだから両日参加したいと思い、31日のチケット2次販売に挑戦してみたところ、何とかこれを取ることができた。前述のようにサーバーが脆弱だったせいか購入手続きのページが非常に重く、なかなか先に進まない状況が1時間弱続いたのだが、その後「サーバーメンテナンスに入ります。しばらくお待ち下さい」とのメッセージが出るようになり、それでも諦めずにリロードを繰り返していたら10分ほどでメンテが終わったのだ。張り付いていた人もメンテ終了はもっと後になると思っていたのか、メンテ終了後はスムースにチケットを購入することができた。

 このように、なんとか2日分のチケットを入手することができたので、30日・31日ともに参加してきた。
 30日は、東棟へのチケットで、集合時間が9時30分となっていた。予定時間頃に集合場所付近に行ったところ、すでに列ができていてしばらく並んだが、10時頃にはチケットとワクチン接種証明、身分証明書の三点セットによる入場チェックをすませることができた。
 非常に不思議なことに、この入場チェックまでの間の時間に、時たま反対方向へ帰っていくらしき人を見かけた。まだ開場前だったので、用を済ませた人とも考えにくい。想像するに、参加にチケットが必要と知らずに来て、入場チェックではねられてしまったのではないだろうか。そう言う迂闊な人がいたとしても、不思議ではない。
 10時頃に入場チェックをすませてリストバンドを受け取り、正式な待機列へと並んだ。一般入場の集合時間は、早い人で7時30分だったが、実際に入場できたのは11時からだ。開場自体は10時だが、チケットに5000円払ったアーリー入場者が10時からの入場だったからだ。
 11時に一般入場者の入場が始まり、私自身は11時15分頃に入場できた。7時30分に集合した人と9時30分に集合した人で、待ち時間は2時間も違うのに、入場時間は15分しか違わないのだ。正直、早く来るのがバカらしくなることではある。

 ともかく、11時15分に入場して、そこから先は普通にコミケの一般参加なので、特筆すべき事は少ない。
 ただ、一つ書いておくと、一般参加・サークル参加ともに人の少なさが感じられる光景が、そこにはあった。参加を取りやめて空いているサークルスペースがそこら中にあったし、一般参加者の人口密度も、これまでと比べて明らかに小さいものだった。コロナ禍でコミケを開催するというのは、こういう事なのかと思い知らされた。一言で言うと「寂しい」。

 次のコミケ100は今年8月に予定されている。コミケ99と同様の体制での開催となるのか、それともまた違った形を取るのか、それはまだわからない。
 ただ、コロナによってコミケの形さえも変わらざるを得なくなったのは間違いない。何も気にせず楽しめるのがいちばんであるが、そんな時はいったいいつになるのだろう。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

わが家のテレビアンテナについて

 このブログでも触れているが、私は働き始めてから何度か引っ越ししている。そのたびに、考慮しなければならないのはテレビ放送のアンテナ設置環境だ。
 と言っても、地上波のアンテナは付いているのが普通なので問題はほぼないが、注意しなければいけないのはBS・CSのアンテナだ。名古屋にいた頃は、ベランダが西向きに付いている部屋ばかりだったし、個別に付けるのもOKな物件だったので、全く問題はなかった。
 BS・110度CS共通のアンテナと、スカパー!プレミアム用のアンテナの二つを付けていたので、やや手間ではあったが、あらかじめ角度を測った上で、根気よく調整すればなんとかなるものだ。ちなみに、BS・110度CS用よりは、スカパー!プレミアム用の方が、より受信にはシビアな調整が必要のようだ。ほんのわずかにずれるだけで、入力が0になってしまう。

 このような感じで、アンテナの設置環境は、名古屋から大阪に引っ越すにあたって、引っ越し先で重視した要素の一つだった。
 最終的に選んだところは西向けに窓が開いていなかったが、大家に確認して屋上へのアンテナ新規設置が許可されたので、引っ越すことを決めた。実際、アンテナは設置できたのだが、業者にたのんだところ、高所作業をともうあったため作業代はけっこう高くなってしまった。

 最後が、現在住んでいる家で、引っ越してきたのが2年3ヶ月前のこと。
 この家は、かなり古くから建っている家だったので、テレビアンテナについても設備が旧式で、今どき3Cの細い線を屋上から壁を通して直にケーブルが部屋の中につきだしているという状態だったのだ。
 さらに、そのケーブルをテレビに繋いでも、一部のチャンネルは映らない状態だった。前の住人がテレビをどのように視聴していたかはわからないが、私にとっては話にならないので、屋根にBS・110度CS用アンテナを設置した上で、途中にブースターをかませることによって、ようやく一通りの局が普通に試聴できるようになった。なお、この作業も業者をたのんだので、またしても高所作業代が高く付いてしまった。
 しかも、たのんだ業者がスカパー!プレミアム用アンテナは扱っていないところだったため、こちらは自力で付けるしかなかった。自力で屋根に登るのは危険だし、そもそも仮に自力で取り付けることができたとしても細かな調整は不可能だ。困ったところだったが、意外な解決策が見つかった。
 この家は、西向きに庭が面しているのだが、道の向かい側には家が建っているので、一階の高さにはスカパー!プレミアム用アンテナの設置はできないと思い込んでいた。しかし、試しに付けてみたら受信できたのだ。角度的に、どうもギリギリ受信できる位置だったらしい。
 一階の高さにアンテナを付ければ、角度の微調整もたやすい。結局、スカパー!プレミアム用アンテナについては、自力で設置できてしまった。

 ここまでが2年前までのこと。
 それ以降、全く問題なく地上波もBSも受信できていたのだが、問題は昨年末に起こった。ある日、急にBSが受信できなくなったのだ。原因としてはアンテナだったりケーブルだったりと色々と考えられたが、しばらく様子を見たところ、同じ時間帯でも地上波は受信できてBSは受信できないことがあり、しかもBSも完全に受信できなくなったわけではなく、断続的に受信できる状態に戻ったりしていたのだ。
 この家ではBS・110度CS用アンテナからのケーブルと、地上波アンテナのケーブルが屋上の混合器で一つのケーブルにまとめられて家の中に来ているので、少なくとも地上波が問題なく受信できている以上、ケーブルの問題とは考えにくい。と、なるとBSアンテナの不調を疑うべきだろう。なにしろ、名古屋に住んでいた時から使ってきたアンテナで、長年風雨にさらされてきたので、ある日おかしくなったとしても不思議はない。
 結局、しばらく様子を見ても状況は好転せず、BSの受信はできたりできなかったりだったので、私は業を煮やした。屋上のアンテナをあきらめて、スカパー!プレミアムと同様に1階の高さにBS・110度CS用アンテナも新たに設置することにしたのだ。

 そして、結局どうなったか。結論から言うと、最終的には再度業者に頼ることになった。1階の高さにBS・110度CS用アンテナを設置するところまでは上手くいったのだが、従来のアンテナケーブルとの混合がどうやっても上手くいかなかったのだ。それに、今どき4Kも観ようというのに3Cのケーブルでは貧弱すぎる。
 そこで、屋上から部屋までのケーブルを全て張り替えた上で、1階の高さに設置したBS・110度CS用アンテナと混合することにしたのだ。大がかりな作業になるので、さすがに自力で行うのは無理だった。業者も2時間以上かけてやっと完了したくらいだ。たのんで正解だったと言えるだろう。

 ともかく、この工事を行ったのが1月10日で、それから12日が経ったが、さすがにBS・110度CS用アンテナは新品なので、今のところ全く問題ない。地上波に関しては、Eテレとテレビ大阪の受信品質が少し悪いようだが、これは業者に確認してもらった上でも変わらなかったので、今の家では限界なのだろう。
 長々と書いてきたが、結局言えるのは、アンテナの設置や修理には金がかかると言うことだ。一回業者を頼むと、簡単に数万円が飛んでいってしまう。その性質上、高所に設置する必要があるので、仕方のないところではあるのだが。
 願わくば、当分の間(10年くらい?)は新たな問題が起きませんように。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

手塚治虫原作の歌劇を鑑賞

 1月9日は、名古屋へ行っていた。
 目的は、河井質店さん(@kawai_shichiten)が出演される名古屋二期会ニューイヤーコンサートを鑑賞することだった。

 このコンサートは全3部の歌劇より成っており、第1部が「再生」で歌劇「ブラック・ジャック」抜粋、第2部が「道」で歌劇「仏陀」抜粋、そして第3部が「復活」で歌劇「火の鳥[ヤマト編]」抜粋となっていた。
 第1部と第3部は手塚治虫作品を原作としているが、第2部はあくまでも「仏陀」であり、手塚作品の「ブッダ」ではない。それでも、話としては「ブッダ」でも描かれたシッダルタの出家と悟りを描いており、手塚版「ブッダ」の読者にはなじみ深い内容だった。
 第1部の「ブラック・ジャック」はさらに三つのエピソードから構成されており、それは「あるスターの死」「ミユキとベン」「おばあちゃん」の三編だった。それぞれ今回は、「87歳の反逆」「お前の中の俺」「母と子のカノン」という題になっていた。

 河井質店さんは、「ブラック・ジャック」の中の「母と子のカノン」に出演されており、息子・猪一と言う重要な役だった。
 原作の「おばあちゃん」を読むとわかるが、おばあちゃんと妻の板挟みとなって苦悩しつつも、最後は母親であるおばあちゃんを助けるために、ある決意をするという役だ。
 今回の歌劇では、原作の名場面や名台詞がちりばめられており、河井質店さんが「払いますとも、一生かかっても」と歌い上げるクライマックスは感動的な場面だった。ブラック・ジャックの請求する手術代が原作の三千万円から一千五百万円になぜか引き下げられていたのは不思議だったが。「さんぜんまんえん」の方が歌いやすそうな気もする。

 第2部の「仏陀」は、シッダルタが王子の地位を捨てて出家して、苦行林で修業をして、ついには悪魔マーラの誘惑にも打ち勝って悟りを開くまでの物語。手塚治虫『ブッダ』で言えば、第2部から第3部の物語にあたる。ストーリーとしてはよく知った展開であり、わかりやすかった。

 第3部は「火の鳥 ヤマト編」が原作だ。
 ヤマト編は、『火の鳥』全シリーズの中でも、もっともギャグ色が強いエピソードであり、今回の歌劇でも大王をコミカルな人物として描いており、十分に原作を尊重した作りになっていたのはよかった。角川が作ったアニメ版「ヤマト編」は、大王が普通の権力者でつまらなかったからなあ。
 今回は、特に原作で歌われた「十万馬力だ、鉄腕大王」という大王のテーマソングが実際に大王役の演者によって歌われたのは、ちょっと感動した。もちろん、メロディーはよく知られている「鉄腕アトム」そのまんまだ。

 このように全3部、色々と見どころのある歌劇だった。しかし、個人的に、歌劇というものを鑑賞するのが生まれて初めてと言うこともあり、正直に言うとやや戸惑うこともあった。
 最大の問題は、特に女性の演者が高らかに歌い上げている時、なんと言っているかなかなか聞き取りにくかった点だ。それを補うためか、舞台上には歌詞が映し出される装置もあったのだが、最初に座った位置からでは、角度が悪くてその装置が全く見えなかったのだ。2階の自由席だったので、第2部が始まる前に席を動いて、ようやく歌詞が読めるようになった。
 とは言え、今回は全てストーリーがわかっている状態で鑑賞したので、付いていくことはできた。しかし、手塚マンガを全然読んでいない人が今回のを初めて鑑賞したら、ちょっときつかったかもしれない。
 また、今回は「抜粋」と付いているように、名場面集に近いもので、場面場面のあいだはナレーションで展開が説明されるようになっており、第3部では敵対していたはずのオグナとカジカが唐突に愛し合って結婚しようとするなど、やや急展開過ぎる部分はあった。

 ともあれ、「手塚マンガを原作として、こんな風に歌劇にするのか」と、実際に鑑賞して非常に興味深かったし、名場面や名台詞の使い方など、原作のツボは押さえられた作りで、悪くはなかったと思う。
 また、機会があれば他の歌劇も鑑賞してみたい。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 前ページ 次ページ »