北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

■齋藤周個展「契機のあとに」 (2022年12月3~11日、札幌)

2023年01月03日 09時45分44秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 札幌を拠点に活動する齋藤周さんの個展。
 明度の高い不定型な色面のタブローと、人物のドローイング、壁面へのペインティングという基本は変わらないものの、筆者がうっかりしているうちに、以前はまったく接点がないと感じられていた父親の斎藤洪人さんの画風を想起させるものが、いまは周さんの個展会場のあちこちに見いだすことができる。

 たとえば、次の画面。
 左手の壁に並ぶ作品はいずれもニセコの風景をモティーフにしているという。
 この地方の山景は、洪人さんが生前よく描いていた。 
 周さんにとっても、スキーでたびたび訪れた思い出の地なのだろう。
 
 洪人さんの風景画は、一見抽象画ではないかと思うぐらいに、現実の要素をおおまかな色面へと解体し再構成したものだった。

 洪人さんは全道展会員で具象画だったし、周さんは道展会員(退会)でのちに「マイクロポップ」と称される絵画の潮流に近いものと目されていたので、筆者の目にはまるで無関係なものだと感じられていたのだ。しかし、それはこうして見ると、単に、筆者の目が節穴であったということの証左でしかないようだ。
 
 なお、会場の壁面には、周さんの高校生の教え子たちが参加して、直接描いた絵がところどころに交じっていて、複雑なポリフォニーを奏でている。
 
 
 テンポラリースペース名物の、2階へのはしごが復活していた。
 そのはしごを上り、2階に並んだ作品を眺めると、軽快な色彩で現実社会と距離を取っているように筆者には感じられた齋藤周さんの絵が、じつは、新型コロナウイルスなどの外界のざわめきを反響させていることにうっすらと気づく。
 それは直接的なプロパガンダのようなものからはごく遠い地点に存在しているのはもちろんだが、それゆえに、軽々しくは現実に絡め取られない精神のありかをそっと指し示しているようにも思うのだ。

 言葉足らずですみません。


2022年12月3日(金)~11日(日)午前11時~午後6時、月・水曜休み
temporary space (札幌市北区北16西5)

https://shusaito.com/

過去の関連記事へのリンク
齋藤周個展「継ぎ」 (2018)
齋藤周個展「片鱗」 (2017)

JRタワー・アートプラネッツ2012 楽しい現代美術入門 アルタイルの庭 (2012、画像なし)

齋藤周「ひろいよみ」 ハルカヤマ藝術要塞 (2011)
【告知】これから下りていこう/齋藤周(2011年、画像なし)
【告知】Pistol 3 (2011年2月26日~3月13日)

PLUS ONE THIS PLACE(2010年9月)
第7回北海道高等学校文化連盟石狩支部顧問展 (2010年1月)

水脈の肖像09-日本と韓国、二つの今日 (2009年12月)
いすのゆめ (2009年11月)
PLUS 1 Groove(2009年8月)
PLUS 1 +柴橋伴夫企画 千代明 秋山一郎 齋藤周 (2009年8月)
第6回北海道高等学校文化連盟石狩支部美術部顧問展 (2009年1月)=画像なし

ART BOX 札幌芸術の森・野外ステージ(2008年)
はしご展(2008年)
■齋藤周展 おおらかなリズム(2008年)
FROM PIECE TO PIECE ・齋藤周「あたらしくまえにすすむ」(2008年)
久野志乃と齋藤周展 かるいからだ(08年1月)

PLUS One Groove(07年8月)
■齋藤 周 個展「いろんなことが想いにたりない」
齋藤周「3月の次から」(07年3月)
PISTOL 2-SHU SAITO & HIROSHI TAKEDA a.k.a. Azkenpanphan Exhibition=武田・齋藤2人展

06年6月の個展
齋藤周「かかわり」(06年2月)

絵画の場合2005アーティストトーク

札幌の美術2004(画像なし)

個展「横移動の座標軸」(03年)
個展「細かい情感のイメージ」(03年)

個展「NEXT STEP」(02年、画像なし)
個展「多面に存在していくこと」(02年、画像なし)

01年の個展(画像なし)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。