北海道美術ネット別館

美術、書道、写真などの展覧会情報や紹介。毎日更新しています。2013年7月末、北見から札幌に帰還。コメントはお気軽に。

佐藤泰子展

2005年11月30日 15時32分46秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 札幌在住で、自由美術協会会員のベテラン佐藤泰子(たいこ)さんの個展が、11月21日から26日まで、札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)でひらかれていました。

 佐藤さんは昨年まで、抽象画の「finish」シリーズと、パステルの比較的小さな作品を主体にした「さくらさくら」シリーズを、1年おきに交互に発表していました。
 今回は、自由美術展に出品していたため札幌ではまとめて見る機会のなかった「finish」シリーズの、2001年から05年までの9点を陳列しており、その間に「さくらさくら」を7点挟んでいます。ちょっとした回顧展的な構成といえそうです。

 次の写真は「finish」シリーズの最新作。
 画面を細かいストロークがびっしり覆っています。
 ときおり画面を残像のように横切る矩形が、全体を緊密なものにしています。


 下の写真の右側は「finish 影になった人」。

 鮮烈な緑色が目を奪います。
 それでいて、生っぽく下品な発色ではありません。

 佐藤さんはこの絵を、今年亡くなられたお兄さんのことを思いながら描いたそうです。副題にも、鎮魂の意味が含まれています。



 これまで何度か書いてきたことですが、佐藤さんの絵は、フラッシュバックとか、一瞬よぎる光とか、目をつぶったときにまぶたの裏に見える光芒とかを、思わせるものがあります。
 それでいて、その瞬間性というものは、どこかで、死につながっているような気がします。
 根拠はないのですが、筆者にとって佐藤さんの絵は、瞬間の光のように、あるいは、さくらの盛りにように、短く、同時に、永遠のように長い、人間の生の暗喩であるように思われるのです。

 「北海道美術ネット」の過去のファイルへのリンクです(「美術ブログ」にあるのとおなじものです)。

 ■04年4月の個展

 ■03年12月の個展(画像あり)

 ■自由美術北海道グループ展(03年8月)

 ■02年の自由美術北海道展

 ■さくらさくら展(02年4月。画像あり)

 ■佐藤泰子展(01年11月)

 ■自由美術北海道グループ展(01年8月)
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篠木輝子展

2005年11月30日 15時27分43秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 筆者の北見時代の知人が、11月21日から26日まで、札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)で個展を開いていました。カラースプレーと型紙を駆使して描かれた絵画です。
 草花などは実物を紙の上に置いて、その上から銀色などが噴射されています。

 蝶というモティーフは、ずいぶん以前から篠木さんがとりあげていました。

 出品作は
「誘う」(同題2点)
「蒼い花」(同題2点)
「白い花」
「白い月」
「ロマンス」
「契約の月」
「闇の蝶」(写真の作品)
「激別の朝」
「凍土」
「霧」
「黄の月」

 
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写真4人展

2005年11月30日 15時27分15秒 | 展覧会の紹介-写真
 北大構内のファカルティハウス・エンレイソウで、11月25日まで、北大の院生・学生による「写真4人展」がひらかれていました。

 「エンレイソウ」は、教員向けの施設だと思われます。
 地下鉄南北線の北12条駅を下り、道路1本南(約50メートル南側)のところから北大構内に入って、薬草植物園や弓道場の南側の道路を直進すると、見えてきます。

 建物の前には
「人工雪誕生の地」
と記された碑が立っています。
 建物の北側は、大野池です。

 下は「北海道美術ネット」の地図ですが、実際よりちょっと北側に★が書かれています。

 http://www5b.biglobe.ne.jp/~artnorth/m-hokudai.htm

 さて本題の写真展ですが、院生の齊藤市輔さんと原田玄輝さん、学生の宮本朋美さん、北大水産学部生の庭亜子さんが出品しています。

 齊藤さんと原田さんは、これまで何度も「北海道美術ネット」で紹介しています。
 参考までに、いちばん下に、これまでのファイルにリンクをはっておきました。

 齊藤さんは
「バス停」
「月光」
「飾り木」
「波面」(2枚組み)。
 前半の3枚が夜景だったので、勘違いしましたが、じつは「波面」は昼の写真です。船の上から、海を撮ったものです。
 波は、なんだか生き物のようになまめかしいです。

 「バス停」は、国道36号沿いにある「月寒東1条19丁目」の中央バスの停留所を正面からとらえたものです。
 一見すると町外れにあるようなさびしい風景ですが、これは、後ろ側の土地が、羊ガ丘の農業試験場であるためです。
 無人で、バスも写っていないバス停の静かな雰囲気がよく出ています。
 昔は、ここが、豊平・月寒方面のバスの始発・終点でした。
 他の2枚は、齊藤さん得意の夜の風景です。



 原田さんは
「北大」
「モエレ沼」(同題2点)
「小樽」(同題2点)
です。
 「モエレ沼」のうち1枚は、モエレ沼公園の舗道と、周辺の送電線が被写体になっています。同公園で、わざと送電線をフレームに入れる人はめずらしいと思うのですが、幾何学的で冷ややかな公園の特性がよく出た写真になっています。
 「小樽」は、冬囲いされた噴水と倉庫街を撮ったものと、倉庫の上をオリオン座が周回運動しているものの2枚で、冬の夜の、人気のないさびしげなたたずまいがよくとらえられています。後者は、絞りを開放にして、10-15分は露光しているとのことでした。



 宮本さんは
「colors」(カラー6枚組み)
「ノクターン」
「学び舎」(4枚組み)
「車窓から」
「untitled」。
 「学び舎」は、つたの絡まる夜の校舎を長時間露光した写真などです。
 夜の長時間露光が、北大写真部でははやっているんでしょうか。

 庭さんは
「海の時間」と「宮本さん・市輔くん・原田くん」。いずれも組み写真です。

 庭さんだけは函館キャンバスで学んでいるので、そのうち函館でも4人展をひらきたいとのことでした。

 2004年3月の展覧会

 Sスクール写真展

 2003年の北大写真部展

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2006年度の道立函館美術館

2005年11月29日 07時19分58秒 | 新聞などのニュースから
 11月25日の「北海道新聞」道南版に、道立函館美術館で来年度ひらかれる特別展の内容が紹介されていましたが、それによると、4月1日から「子どもたちの夢やあこがれを描き続けた画家 小松崎茂展」が開催されるそうです。
 小松崎さんは、少年雑誌の口絵やプラモデルの包装などで、ゼロ戦と艦船が戦ったり、宇宙船が飛んでいたりといった迫力満点の絵を描きつづけた画家で、30-60代の男性で幼いころに彼の絵に想像力をかきたてられた人は多いはずです。
 展覧会では初期の日本画やスケッチなど約300点を展示するそうです。

 5月20日からは「魅惑のシルクロード展」
 タジキスタンなどの文化財や美術品約300点。

 7月15日から「日本近代洋画への道 高橋由一から藤島武二まで」
 何年か前におなじようなのを旭川でやったような…。

 9月2日から「美術館に行こう! ディック・ブルーナに学ぶモダンアートの楽しみ方」
 これ、昨年、芸術の森美術館でひらいた展覧会ですよね。まだ巡回していたのか…。

 10月15日から「金子鴎亭展」
 定番の書展。松前出身の、近代詩文書を創始した書家の生誕百年を記念した展覧会。

 12月17日から「マジカル・ミュージアム・リターンズ」
 所蔵品を使った体験型の展示だそうです。

 貸し館ですが、行動展(行動美術協会展)は2006年1月が最後の巡回となるため、06年度の予定には入っていません。
 函館では半世紀にわたってつづいてきただけに、さびしいですね。
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3連休!(初日の朝に仕事したけど)

2005年11月27日 23時26分02秒 | つれづれ日録
 さて、1週間ぶりの札幌だが、11月末だというのに、イチョウやプラタナスやカシワにはまだ葉がついている。
 たしかに例年、落葉の遅い種類の木ではあるが、札幌ではこれは異常である。
 11月というのは、すっかり葉が落ちつくして、みぞれや雪が降っては解ける季節なのだ、本来は。
 ところが、道立近代美術館の庭がこれだもんな。
 いいのかこれで(←誰に言ってるんだ)。

 
 24日は、着替えなどの入ったバッグを札幌駅のコインロッカーに突っ込んだあと、まず北大のファカルティハウス・エンレイソウで、北大写真部の4人展を見た。
 薫風書林に寄ったら、休みだったので、弘南堂書店に行ったら、偶然会社(本社)の同僚に会い、昼食を食べる。

 つぎに、なにわ書房に寄る。
 本の配置が変わっている。
 「新刊書を前に出して売ろうと思って…。ただ、文芸書の棚が3つ減っちゃったんですよー。文芸書は動かないからー。まあ、文芸書以外も売れてないんですけど、はははー」
と同書房のKさんは、自らツッコミを入れている。
 季刊「札幌人」を見たら、おお、薫風書林の写真が出ているではないか。買う。
 「安田講堂1968-1969」(島泰三、中公新書)
 「メディア写真論」(佐野寛、パロル舎)
 「破壊者のトラウマ」(小坂洋右、未来社)
も買う。
 いったいいつ読むんだと自分でも思うが、とめられない。

 この時点で、当初の予定より4時間遅れになっていたが、STV北2条ビルで藤田尚弘展、札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)で佐藤泰子展を見る。
 偶然、同ギャラリーで、北見時代の知己が個展を開いていたので入ったら、本社のOさんに会う。

 さらに、バスで道立近代美術館へ。
 しかし同館には入らず、おとなりの三岸好太郎美術館で真砂雅喜展を見る。
 三岸の庭のポプラもこの通り。葉がついている。


 ギャラリーカフェ市田で置田貴代美さんの写真展を見る。
 西18丁目から地下鉄とバスを乗り継いで旭ヶ丘へ行き、ギャラリー門馬アネックスで神谷泰史個展。
 旭ヶ丘からは札幌の夜景が見えるが、なんと、おなじ高さに、マンションが建っている。
 そんな山際に高層住宅を建てるなバカヤローと思う。

 都心に戻り、ギャラリー大通美術館(中央区大通西5、大五ビル)のタニグチススム展をのぞき、ほくせんギャラリーで下澤トシヤ陶芸展を見る。
 最後に「地ビール工房」に向かうが、地下鉄を北24条駅で下りて、石狩街道沿いを歩いているとき…

「さあ、あと1ヵ所だ。そのあとは、札幌駅に戻って、コインロッカーの荷物を持って…」

 ポケットにあるはずのコインロッカーのキーが、ない。
 あわてて札幌駅へ。
 ひえー、かばんごとなくなってたらどうしよう。
 あせる。
 ふだんの筆者からは信じられないほどの動揺である。
 なにせ筆者は、高校入試のとき、上履きを忘れていき、何食わぬ顔でそこらへんに置いてあった知らない先輩の靴をはいていったほどの、神経の太い人間である。めったなことでは動揺しない。
 しかしこのときは、不安で胸がいっぱいになった。

 コインロッカーの前からケータイで管理会社に電話。
「あのー、かぎ落としちゃったみたいなんですけど」
「いま、行きますから。どこに預けたか、おぼえてますか」

 おじさんが5分くらいしてからやってきた。
「お客さん、かぎつけたままだったよ」
「!?」

 筆者は400円入れたが、キーを抜き忘れていたのである。
 管理会社の人が気を利かせて、施錠してくれていたのだ。

「無くしたら2000円だからね、気をつけてくださいよ」

 もちろん、かばんはあった。

 さすがにふたたび北24条駅まで行く元気はなく、パセオのラーメン屋で夕食を食べた。

(つづきは後ほど)
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ほんとは5連休だったのだ

2005年11月27日 22時47分44秒 | つれづれ日録
 とにかく仕事が終わらない。
 ハマトリ、葛飾北斎、プーシキン美術館展、李禹煥、ドイツ写真などなど予定は完璧だったが、しゃーない。
 23日も24日も八雲で過ごす。

 ようやくめどがついた24日深夜、すでにパジャマに着替えていたら、支局の電話が鳴った。

 相手は東京の国際部長。

「いま早版の刷り見てたら、徳川義宣さんの死亡記事が載ってるんだけど、八雲とのかかわりについて、ぜんぜん書いてないんだけどさ。やっぱりあったほうがいいんじゃないかな、そのくだり」

 死亡記事の後ろにつける5行のために、メーワクだろうなと思いつつ関係者に電話し、札幌に原稿を書いて送る。

 そして、翌日、朝イチで役場に行き、町長にちょこっと話を聞いてから、支局に戻り、地方版用の関連原稿を書いて送稿。
 この時点で午前9時。

 9時25分には、八雲から特急北斗に乗り込んでいたのだった。

 しかし、特急の車内でも札幌でも、函館のデスクから、ケータイでの問い合わせがじゃんじゃん入るので、ますます休日の気分が薄れるのであった。
 
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徳川義宣さん死去

2005年11月25日 00時23分41秒 | 新聞などのニュースから
 徳川美術館の館長で、尾張徳川家第二十一代当主の徳川義宣(よしのぶ)さんが23日死去しました。71歳でした。
 「源氏物語絵巻」などに造けいが深く、「殿さまのひとりごと」などの著書があります。

 http://www.tokugawa.or.jp/
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新道展 50周年記念展・続き

2005年11月24日 22時42分14秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
 前エントリが総論で終わってしまったので、気になった作品について。
 全部をとりあげるとタイヘンなので、ごく一部ですが…。

 今荘義男「古里」(空知管内栗沢町)
 三つの支持体が横に接続されているが、いわゆる三連画とは反対に、中央の部分が狭く、左右がF100号のキャンバスを縦に用いているようです。
 沈んだ色調の抽象画から連想されるのはマーク・ロスコですが、ロスコの絵がどこまでもキリスト教を想起させるのにくらべ、今荘さんの作品は、茶系の地の上にベージュの塊が浮かんでいるだけなのに、日本的ななにかにつながっています。しかもそれは、表層的なナショナリズムとはことなり、わたしたちの精神のもっとも奥深いところにある響きのようなものと共鳴しているように思えます。抵抗感あるマチエールも魅力です。

 居島恵美子「春雪の韻」(苫小牧市)
 居島さんは数年前に、女性像やピアノなどを組み合わせて「おしゃれにまとめる」ことをやめ、抽象画に移行してから、悪戦苦闘していますが、その苦闘ぶりが筆者には好ましく思われます。単純な四季面を配してどう絵画空間を構築するか、その探求は、着実に画面に成果を見出しているのだと思います。

 遠藤厚子「鬼の栖(すみか)」(函館市)
 はじめて見た人はかならずおどろく、モノクロ写真のコラージュ。この方法論で、なにか別の絵が浮かび上がってくるともっとおもしろいのでは。

 大塚富雄「許しの秘跡」(同)
 焼却炉をひたすら描き続けてきた大塚さんですが、さいきんモティーフが広がりつつあります。それにしても、錆の表面をとらえようとする姿勢の、良い意味での「しつこさ」には、頭が下がります。

 亀井由利「永遠の記憶」(札幌市)
 モノクロによる裸婦はかわりませんが、よりエネルギーと流れを感じさせる画面になっています。

 工藤悦子「夜の鼓動」(江別市)
 やや彩度が下がり、暗い色調になっています。基本は変わりませんが。

 黒田孝「MONUMENT」(伊達市)
 こちらも基本は変わりませんが、戦場を思わせるクレーターがうがたれた灰色の卵は、反戦の意思を語っているようです。

 後藤和司「緑のScene ’05III」(札幌市)
 ツイード織りを思わせる抽象画面は、明暗のリズムを新たに得て、これまでにない浮遊感を漂わせています。単純な繰り返しなのに、いつまで見ていても飽きない魅力的な作品。

 佐藤愛子「夜」(函館市)
 祭の場面など、とにかくにぎやかな画面が多かった佐藤さんが、今回は鉛筆だけで制作しました。色がなくなると、これほどまでに印象が違うものかとおどろきです。

 鈴木秀明「聖遺物」(同)
 横384センチという大作。バロック的な崩壊の一場面をえがいて、今回も異様なまでの迫力に満ちています。

 永井美智子「Dance with a Gentle wind」(札幌市)
 色の重ね塗りのおもしろさを追求した抽象画。油彩ならではです。これほど厚塗りしていながら、軽さを失わないのも魅力です。200号の大作。

 中村哲泰「エベレストと対峙する山、ギャチュンカン峰」(恵庭市)
 ヒマラヤの高峰をモティーフとした200号の大作。堂々たるスケール感です。

 西田靖郎「巡礼」(渡島管内八雲町熊石)
 宇宙船の基底部を思わせる謎の物体が二つ、空中に浮かぶ不思議な光景を描いています。中央からはチューリップのような茎がにょきにょきと伸びています。地面には僧侶のような人々がさまよっています。これも200号の大作。

 野又圭司「自家中毒」(空知管内栗沢町)
 昨年の「札幌の美術」で発表した、部屋のようなインスタレーションを改作したものと思われます。異なっているのは、部屋の中央の砂漠に、ホワイトハウスを思わせる建物の模型とその廃墟がすえつけられていることです。

 藤野千鶴子「宙-3つの楽団」(札幌市)
 ますます白の部分が増え、明るさと光に満ちてきたようです。

 丸山恵敬「トウモロコシ・ひげの構成II」(札幌市)
 ここ数年は少年の郷愁を思わせる具象に転じていましたが、トウモロコシをモチーフにふたたび抽象的な世界へ戻りつつあります。白と藍色の縞模様の織りなす波模様がほとんど全面を埋め、独特のリズムを生んでいます。
  
 池田宇衣子「金曜日の集会」(会友、札幌市)
 超大作。ボルタンスキー作品の顔写真の部分が、電子部品や古い写真やスピーカーなどに置き換えられたような。すごい労作であり、独特の雰囲気-それもいかにも新道展的な-をかもし出していることは認めるけれど、いまひとつ作者の意図がわからないのがすごく惜しい。

 今回は、一般や会友の人も出品しているのですが、やはり会員とは、力量の差が歴然とあります。
 その差をいかに埋めていくかも、新道展に残された課題と思われます。

 それにしてもアンケートに答えた人全員に図録を進呈していたのは、太っ腹でした。
 出品者の負担はかなりのものだったと聞いています。会員が少ない分、一人当たりの負担は道展や全道展より大きくなったのでしょう。
 お疲れさまでした。

 (なお、筆者は、全道展の記念展は時間がなかったので拝見していません)
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新道展 50周年記念展

2005年11月24日 20時37分02秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
 道立近代美術館ではこの秋、道内の三大公募展といわれる全道展(全道美術協会)、新道展(新北海道美術協会)、道展(北海道美術協会)の記念展が、それぞれの毎年の展覧会とは別個にひらかれています。 
 古いほうからかぞえると、道展は創立80年、全道展は60年、新道展は50年をむかえたのです。

 1990年代以降は全国紙が日展などの公募展評を掲載しなくなったこともあって中央での公募展は相対的な地位を少しずつ下げつつあるという印象がありますが、北海道は、吉田豪介さん(美術評論家、市立小樽美術館長)が近著「創造への軌跡」でも述べられているように、まだまだ「公募展王国」の色あいを濃くのこしています。
 これは、行政などと距離を置き、複数の公募展がしのぎをけずってきたことも背景にあるでしょう。

 さて、新道展ですが、展覧会は、毎年のものよりも、会員の気合が入っていることが一目瞭然で、見ごたえがありました。
 ただし、心配になったこともありました。図録でもみなさん指摘なさっていますが、後進の育成についてです。
 教育大、大谷短大、道都大の卒業生は道展に集中しています。また、全道展は有名な画家が多く、教室をもっている人もたくさんいるので、それぞれの教室の生徒さんが出品します。
 いちばん歴史の浅く、一般的には比較的フレッシュな存在だと信じられている新道展が、実は、新顔が加わってくるルートをあまり持っておらず、会員、出品者とも高齢化していることは否定できません。

 活性化策については、図録で吉田豪介さんらが、積極的な出品勧誘や高齢者へのアプローチなどを提案しています。これを読むと、みんな新道展のことを、なんだかんだ言って心配しているのだなと思います。
 古い伝統と相次ぐ新人の登場で活気づく道展や、多くの大家を擁してきた全道展にくらべると、どうも傍目には新道展が危なっかしく見えて、心配したくなるのかもしれません。
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藤田真理展

2005年11月24日 20時11分50秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 出品点数は6点で、うち、会場の左側にある3点は、この夏に開かれた「絵画の場合」展に出品されたものをふくむ大きな絵画作品。「人のなる樹」「ピラミッド」「こうべを垂れる」と、それぞれ題がついています。
 のこる3点は、教室にある黒板のようなつくりの壁掛け型立体に、小さな球がおびただしく附着した、めずらしいスタイルの作品で、色は真っ白に塗られています。うち2点は「沈黙の壁」。1点は、壁と平行した部分がなく、そのぶん球の連なりが強調されており、「沈黙-表出」というタイトルがついています。

 前者の絵画は、茫漠とした背景に、太い藍色のシンプルな線が曳かれています。
 藤田さんの見たものが、彼女の内部でゆっくり反芻され、焼き付けられて、そうして出てきたように感じられました。
 
 後者は、「絵画の場合」展の関連行事として行われた、カフェエスキスでの小品展で発表された作品に通じるものです。
 黒板でいうと、黒板消しやチョークを置く部位の下側に、ぶら下がるように連なっている小さな球体は、樹脂系の粘土をひたすら丸めてこしらえたものだそうです。
 作者は冗談交じりに
「そんなにイクラがすきなのかと、見に来た人に言われた」
と話していましたが、筆者にはむしろブドウのように見えました。
「言えないでいるもの、内側にたまっているものが、ああいう形で出てきたんです」
とは作者の弁ですが、逆に言えば、はっきりしたメッセージとか、なにかの表象というわけではなさそうです。もちろん、小さな球体が、作者にとって切実なものの表れなのでしょう。


11月16日(水)~12月4日(日)、月曜休み
12:00~19:00(最終日~17:00)
ギャラリーミヤシタ(中央区南5西20)

 参考までに、過去の「北海道美術ネット」のファイルです。

 ■絵画の場合・アーティストトーク(2005年8月)

 ■2004年11月の個展の出品作
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11月15-23日の動き

2005年11月23日 17時16分46秒 | つれづれ日録
 15、16日は函館へ会議のため出張。

 16日、函館美術館と、おとなりの芸術文化ホールに立ち寄る。
 八雲駅からまっすぐ労働金庫に向かい、強盗訓練の取材。そこから商工会などに寄って帰る。

 17日、八雲町議会。助役選任など。夜は飲み会。

 18日、組合の集会のため急きょ札幌へ。日帰り。

 駅前の旭屋書店で
「グレー=シュル=ロワンに架かる橋 黒田清輝・浅井忠とフランス芸術家村」(荒屋敷透著、ポーラ芸術文化研究所)
「美術、マイノリティ、実践」(白川昌生、水声社)
「クロニクル 20世紀のポピュラー音楽」(平凡社)
「ロダン 神の手を持つ男」(創元社、知の再発見双書)
と、月刊ギャラリー11月号を買う。
 10000円札をくずすつもりだったが、おつりは200円程度。がっくり。

 新道展の記念展を見る。
 K野さんに、吉田豪介さんの「道展・全道展・新道展」をいただく。帰りの特急で読了。
 このほかは、ギャラリーミヤシタの藤田真理展しか見られなかった。

 19、20日はすでに別エントリで書いたので省略。
 20日は道議選の補選。八雲町の投票率は33%だった。開票作業はスムーズ。

 21日から22日にかけ絶不調。
 記事が書けないし、取材していても、つぎのことばが出てこない。
 22日は休む。

 23日。
 落部漁協などのイベント、町民水泳大会、剣道大会の取材。
 休日に催し3本というのは、まあ標準的なほうだと思う。

 23日から夏休みを取り、横浜トリエンナーレをみに行く予定を立てていたが、仕事が終わるめどが全くたたないので、断念する。
 こういう職場にいるかぎり、じぶんのおもうようにはいかないのだと、みずからをなっとくさせるしかない。
 
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書家の村上三島さん死去

2005年11月21日 20時10分09秒 | 新聞などのニュースから
 各紙のサイトなどによると、戦後日本を代表する書家の村上三島(さんとう)さんが亡くなったそうです。
 93歳でした。
 以下、毎日新聞から。

48年、日展に「杜甫九日詩(とほきゅうじつし)」で初入選。49年、52年には特選となり、一躍書壇の注目を集めた。その後も日展、毎日書道展、日本書芸院展などで活躍。中国・明代末期の王鐸(おうたく)の草書連綿体に傾倒しながら、独特の解釈を加え、円熟した枯淡の書の世界を開いた。64年日展文部大臣賞、68年日本芸術院賞。85年から日本芸術院会員。98年に文化勲章。

 これまで文化勲章を受けた書家は、筆者の記憶では4人しかいません。
 これは、たとえば小説家や洋画家に比べて書家がいかに低すぎる評価しかされていないかということの証ですが、それはともかく、その受章者のひとりが村上さんでした。

 村上さんは、日展や毎日展にくらべて後発の読売書法展の最高顧問に就任して、同展に、美しい調和体の作品を出していました。
 筆者は札幌に住んでいたころ、読売書法展北海道展を何度か見に行きましたが、それは半分くらいは、村上さんの、背筋のぴんと伸びた作品を見るためだといっても過言ではありません。
 筆者が見た村上さんの字体はくせのない楷書の漢字かなまじり文で、華麗な技法を駆使した多くの作品とは対照的でしたが、しかしどこまでも伸びやかで、味わいの深いものでした。
 ご冥福をお祈りします。

 なお、出身地の愛媛県今治市には、村上三島記念館があります。

 http://www.go-shimanami.jp/shisetsu/kamiura/003.html

 さて、はなはだ不謹慎ではありますが、あすの朝刊各紙の扱いを予想します。
 道新、朝日 ベタ
 毎日 2段
 読売 2か3段
 
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11月19、20日。東野芳明さん死去など

2005年11月20日 21時51分22秒 | つれづれ日録
 けさの朝刊各紙に美術評論家東野芳明さんの訃報が載っていた。
 「美術ブログ」のほうにエントリーをたてておいた。ぜんぶ記憶で書いたので、まちがっているところもあるかもしれないが。

http://bijutsu.exblog.jp/2655474/

 19日はやたらとねむい1日だった。
 取材の合間を見てうたた寝ばかり。
 熊石まで車で往復したが、なぜか筆者は、運転中はあまりねむたくならない。

 夜も8時半に寝る。

 20日はめずらしく取材ゼロの日。
(23日訂正。夜は選挙の開票があった)

(以下追記)
 景気の悪い話だけど、本ブログへのアクセスがどんどん少なくなっている。
 先々週はだいたいアクセスポイント60あたりを前後していたが、先週は50前後に落ち込み、PVも1000余りに激減。
 やっぱり2つに分けたのがいけなかったか。
 でも、1つのブログに、単なる告知と日記の要素がまじっているのも、どうも気に入らなくて…。
 トラバ打ってすこし宣伝すっかー、とも思ったけど、筆者のブログと分野が重なるブログって検索してもほとんどひっかかんないんっていうか、たぶん、ないんだよな。
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北海道の詩歌と書の世界(函館)

2005年11月20日 20時24分57秒 | 展覧会の紹介-書
 道立函館美術館は、近傍の松前町が近代詩文書の創始者・金子鴎亭が出生地だということもあって、道立5館の中でも、書のコレクションと展覧会に力を入れている美術館です(ちなみに、金子鴎亭の鴎のへんは「區」。このパソコンでは「鷗」と出るけど、機種依存文字だと思われます)

 今年の「北海道の詩歌と書の世界 書と写真が奏でる北のイメージ」は、同館が一から十まで企画した展覧会ではなく、各社中や団体、公募展のわくを超えた集まりである「日本詩文書作家協会」の約260人の作品と、写真家山梨勝弘さん、永田勝茂さんの風景写真によるものです。ただし、同協会の展覧会をそのまま持ってきたのではなく、会員らが北海道を題材にした和歌や俳句、詩をあらためて書いた、オリジナルの展覧会です。なんでも、この展覧会の作品のために、わざわざ北海道の雪を見に来た書家がいるとのことですから、安直な企画ではないといえると思います。

 筆者は、見る前には
「どうして書展なのに写真と一緒にするかなあ。イメージを広げるのに、妨げになるんじゃないのかなあ」
と、ばくぜんと思っていたのですが、見てなっとくしました。
 こりゃ、写真でも展示しないと、間が持たない。
 いそいで付け加えますと、書の作品が悪いといっているのではありません。
 ただ、260点は、いかにも多い(北海道弁でいうと「あずましくない」)。壁面がぎっしり詰まっている感じで、あちこちに2段がけがあります。
 好みの問題と言われればそれまでですが、美術館で2段がけというのは、非常に狭苦しい印象です。
 したがって、ところどころに写真を添えたというのは、むしろ展覧会の体裁というか、メリハリにとって必要なことだと思いました。
 ちなみに写真は、道内の風景を写した、非常にオーソドックスなもの(カラー)ばかりでした。
 作品も3尺×3尺などで、北海道書道展より小さい。
 ひとつずつていねいに見ていくと、たいへんな時間がかかります。しかも、出品規定のためだと思いますが、大きさにはバリエーションがほとんどありません。
 バリエーションといえば、さすがに260点もあれば、近代詩文書とはいえ、そうそう書法にたくさんの種類はないことがわかってきます。
 そこで、たとえば、ろうけつ染めによる作品で知られる石川錦京さん「測量棒立てる春泥に足埋めて」とか、平田文子さん「はまなすの朱き実ほどの胸燃やす」のぴょんぴょん跳ねているような文字とか、他と一見して違った作品がどうしても目に入ってきます。
 
 石川さんは札幌の書家ですが、ほかに太田義文さん、辻井京雲さん、渡辺美明さんといった人たちも道内から出品しています。
 我妻緑巣(あづまりょくそう)さんは
「霧の野に丹頂鶴を残しけり」
という句を書いています。
 もちろん大御所、中野北溟さんも出品しています。

 近代詩文書の良いところは、もちろん
「読める!」
という点です。
 しかも、この展覧会では、道内の近代詩文にありがちな、語の途中で行を分かつ作品が1点もありませんでした。
 詩人は、どこで改行するかということにも、神経を注いでいます。単語の途中で平気で改行する書家というのは、詩人の神経を逆撫でしているようなものですから、これがないというのは、とても良いことだと思いました。

 あと、近代詩文書の展覧会でいつもふしぎに思うのは、筆者の知らない俳人や詩人の作品がやたらと多いことです。
 「そりゃお前が知らないだけだ」
と言われればそれまでなのですが、この種の展覧会に当然あってしかるべき、伊藤整、吉田一穂、鷲津繁雄、三木露風といった名がないのは、奇妙に思われてなりません。
 書家の人たちは、詩や短歌や俳句の世界での評価というものを、たぶん意に介していないのだと思われます。
 そんな中で、啄木の詩や短歌を書いた作品を見つけると、なんだかホッとします。
 百瀬大蕉さんの作品
「さいはての駅に下り立ち雪あかりさびしき町にあゆみ入りにき」
は、筆づかいもほんとうにさびしそうな1点でした。

 12月18日まで。月曜休み。
 午前9時半から午後5時(入館は午後4時半)まで。
 一般600円(700円)、高大生300円(340円)、小中学生200円。()内はミュージアム・コレクションとの共通券
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斎田英代陶芸展

2005年11月20日 19時20分50秒 | 展覧会の紹介-工芸、クラフト
 小樽在住の陶芸家による、札幌・丸井今井の恒例の個展ですが、今回ついに(?)、小石の形をした花器が登場しました。2002年12月、マリヤクラフトギャラリーでたくさん並べていたものですが、これまで丸井今井では展示していませんでした。
 外観は石そのものなのですが、ぱかっとふたつに割れて、内側には釉薬が塗られているという、遊び心いっぱいの蓋物です。どうやって作るのかは聞き漏らしました。数点でしたが。
 このシリーズは、ことし春、東京・銀座でひらいた2人展でも出品したとのことです。

 メーンは、彫文の陶器。波のような文様をした黒い器や、斜め線が互い違いに入った白っぽい器です。
 かきおとしの技法で作られたものですが、彫刻刀ではなく、木の棒に金属をつけたもので、表面の土を掻いて文様をつけています。
 筆者はいつもふしぎに思うのですが、蓋物などの器にこういう文様をつけていって、一周しても文様の規則性がまったく狂わないというのは、すごいことですよね。「まあ、長年やってますから」というお話でしたが。

 ほかに、百人一首を書いた陶板が4点。
 「久方の光のどけき春の日にしずこころなく花のちるらん」
などですが、見事なかな書も斎田さんの筆になるものだそうで、いやはや多才な人です。
 文字を書いた小さな皿、織部釉の茶碗などもあります。

 斎田さんは、ろくろを使わずに、上品で丁寧に仕上げるのが持ち味です。
 個展は21日まで。
 丸井今井札幌本店 一条館8階美術工芸ギャラリー(中央区南1西2)。
 
 ■2003年12月の個展(画像あり)
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