北海道美術ネット別館

美術、書道、写真などの展覧会情報や紹介。毎日更新しています。2013年7月末、北見から札幌に帰還。コメントはお気軽に。

続き■本田明二展 ひとノミ、ひとノミ、私は 木を削る。 (2018年11月2日~19年1月17日、札幌)

2019年01月16日 17時59分59秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
(承前)

 中央は「踊」(1979、ブロンズ)
 後ろに見える立像は「抜海 鳥を抱く」(1982、ブロンズ)

 「抜海ばっかい」は本郷新の、釣り人としての号。
 稚内近傍におなじ名の駅がある。

 それにしても、相当ふざけたというか、ユーモアあふれた作品である。
 本郷新の代表作に「鳥を抱く女」があるが、少女のかわりに本郷本人がニワトリを抱いている様子を彫刻にしているのだ。

 ちなみに、後列の右端は、本郷の肖像である。
 特徴的なあごひげが目立つ。




 左は「飛ぶ」(1962、木)
 右手前は「家族」(1957、木(マカバ)

 「盗作」というつもりはもちろんないのだが、本田明二の作品には、他者に影響を受けたあとが見えたり、他の作家と共鳴・共振している様子がうかがえたりするものが多いのではないか。
 先に述べたのは本郷新だったが、「家族」の有機的な曲線は、山内壮夫を思わせる。
 あるいは、ヘップワースやムーアといった、戦後の世界の彫刻界を主導した作家の影響かもしれない。




 左は「けものを背負う男」(1982、カツラ)
 右は「えものを背負う男」(制作年不詳、木)

 図録によると、このシリーズは本田明二が晩年に繰り返し取り組んだもので、1979年に道立近代美術館で見た「夷酋列像いしゅうれつぞう」が創作のきっかけになっているという。

 ただ、本田の場合は、作品をめぐる属性、すなわち、アイヌ民族とか蠣崎波響かきざきはきょうといった要素は後景に退いてしまい、純粋に造形をめぐる関心が前面に出てくるのだ。そもそも「夷酋列像」に描かれた男は、裸ではない。
 最初はわりあい写実的に彫っていた像も、上の画像や次の画像からわかるとおり、どんどんデフォルメされ、直線が主体の造形になってしまう。

 まあ、こういうレッテル貼りはあまり良くないのだろうけど、この造形第一の行き方は、いかにも全道展らしい近代主義だなと感じる。




 左は「けものを背負う男」(1984、クルミ)
 右は「狩人」(同)




 最後の画像は「けもの」(1976年ごろ、蝋型ブロンズ)

 こういう、遊び心が漂う小品も並んでいた。


 以下、図録の略年譜から。

 本田明二は1919年(大正8年)、月形村(現空知管内月形町)生まれ。
 旧制札幌二中(現札幌西高)で学ぶ。
 37年、上京して木彫家の澤田政廣に師事する。
 44年応召。色丹で終戦を迎え、約3年間シベリアに抑留される。

 48年復員、札幌に住む。
 50年、新制作派展(現新制作展)に「女の首」を出品し初入選。
 51年には全道展に初出品。いきなり会員となり、53年から60年まで事務局長を務める。

 札幌冬季オリンピックを記念して、真駒内の五輪小橋に「栄光」を設置(71年)。
 旭川には「スタルヒンよ永遠に」がある。
 1977年に「玄の会」を結成し、87年まで毎年出品する。

 89年、急性肺炎により死去。69歳。


2018年11月2日(金)~19年1月17日(木)、午前10時~午後5時(入場は30分前まで)。月曜休み(祝日の場合は翌火曜休み)、12月28日~1月3日も休み
本郷新記念札幌彫刻美術館(中央区宮の森4の12)

一般500(400)円、65歳以上400(320)円、高大生300(250)円、中学生以下無料
※( )内は10名以上の団体料金


関連記事へのリンク
本田明二「おおぞらの像」 苫小牧の野外彫刻(1)

本田明二「青空に限りなき夢を」(帯広)
本田明二「常紋トンネル工事殉難者追悼碑」(北見)
本田明二「朝翔」「夕翔」 (網走)
北海道の寒地稲作発祥の地にあった碑と本田明二(恵庭)
本田明二「母子像」(札幌)
本田明二「碧空(あおぞら)へ」 (美幌)
「朝翔」 (網走)


展覧会紹介
本田明二展(2010~11年)
札幌第二中学の絆展 本郷新・山内壮夫・佐藤忠良・本田明二 (2009年)
本田明二彫刻展 (2006年)





・地下鉄東西線「西28丁目」駅で、ジェイアール北海道バス「循環西20 神宮前先回り」に乗り継ぎ、「彫刻美術館入口」で降車。約620メートル、徒歩8分

・地下鉄東西線「円山公園」駅で、ジェイアール北海道バス「円14 荒井山線 宮の森シャンツェ前行き」「円15 動物園線 円山西町2丁目行き/円山西町神社前行き」に乗り継ぎ、「宮の森1条10丁目」で降車。約1キロ、徒歩13分

・地下鉄東西線「西28丁目」「円山公園」から約2キロ、徒歩26分
コメント

■本田明二展 ひとノミ、ひとノミ、私は 木を削る。 (2018年11月2日~19年1月17日、札幌)

2019年01月12日 09時52分00秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 戦後道内を代表する彫刻家のひとり、本田明二の業績を、わかりやすくまとめた回顧展。
 多くの人に見てほしい展覧会だ。

 本郷新記念札幌彫刻美術館は折に触れて、彼の作品を展示してきたが、本郷新などとセットの場合が多く、個展を開いたことはない。
 他の美術館でも、1991年の札幌・芸術の森美術館、2010年の中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館で開かれただけだから、これほどたくさんの作品をまとめて見たのは、実は筆者も初めてだ。

 図録の文章も、簡にして要を得た紹介になっていて、勉強になった。
 マリノ・マリーニやヘンリー・ムーアからの影響の大きさについても、きちんと書いてある。

 驚いたのは、巻末の参考文献一覧。
 かなり細かく網羅している。
 北海道新聞夕刊オホーツク版の連載記事までリストアップしているとは、思わなかった。
 察しの良い読者はお気づきかもしれないが、これは筆者がオホーツク管内の野外彫刻を写真付きで紹介した連載である。地方では夕刊を講読していない人が多いので、正直言って、この連載が関係者の目にとまるとは予想していなかった。



 さきほど「セット」と言ったが、旧制札幌二中(現札幌西高)の卒業生である本田と、本郷新、山内壮夫、佐藤忠良の4人を指す。
 そして、他の3人がいずれも上京して活動の場を求めたのに対し、本田は一貫して札幌に居を構え、他の3人が道内で仕事をする際の良いパートナーであったことが、大きい意味をもっている。

 たとえば、札幌・真駒内の五輪大橋附近の野外彫刻群はこの4人が手がけている。
 
 展覧会は

01 木と向きあう
02 北の生命をかたど
03 造形に遊びを求めて
04 素顔の彫刻家

の4部構成になっている。

 2枚目の画像は、最初の階段をのぼってすぐのところにおいてある「馬碑」(1967)。

 後ろに置いてあるのは、本田さんの肖像写真だ。



 中央が「裸婦」(制作年不詳)。
 左と右は「母と子」(同)。

 彼の造形上の特徴は、写実的なものからかなりデフォルメしたものまで多彩だということだろう。
 それも、晩年になるにしたがって抽象傾向を強めた―などと年代によって異なるいうことではなく、自在に作風を変えているという感が強い。



 「牛」(1951)



 「馬頭」(1972)

 今回は、いちおう木がメインということだが、この作品のような金属もけっこうある。

 一定以上の年代にとって、馬という題材はとてもなじみ深いものだろう。
 開墾も農作業も、馬がいなければとうていおぼつかなかったからだ。
 もちろん本田の場合、そういうノスタルジーよりも、造形上の興味が先立っているのだろうが。

 ところで、この作品で興味深いのは、頭部の左右で顔つきが異なって見えること。
 右の眼窩には目玉が入っていないようにも見える。

 こういうことは、図録の写真だけを見ていてはなかなかわからない。



 両側から撮った写真を上げておきます(言い忘れていたが、会場内は撮影可)。

 長くなってきたので、以下、次項


2018年11月2日(金)~19年1月17日(木)、午前10時~午後5時(入場は30分前まで)。月曜休み(祝日の場合は翌火曜休み)、12月28日~1月3日も休み
本郷新記念札幌彫刻美術館(中央区宮の森4の12)



・地下鉄東西線「西28丁目」駅で、ジェイアール北海道バス「循環西20 神宮前先回り」に乗り継ぎ、「彫刻美術館入口」で降車。約620メートル、徒歩8分

・地下鉄東西線「円山公園」駅で、ジェイアール北海道バス「円14 荒井山線 宮の森シャンツェ前行き」「円15 動物園線 円山西町2丁目行き/円山西町神社前行き」に乗り継ぎ、「宮の森1条10丁目」で降車。約1キロ、徒歩13分

・地下鉄東西線「西28丁目」「円山公園」から約2キロ、徒歩26分
コメント

■CUBE■ Re born ~愛のかたち~ 伊藤三千代(2018年12月26日~1月13日、札幌)

2019年01月08日 23時05分09秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 空知管内長沼町の彫刻家で、近年はインスタレーションの制作・発表が増えている伊藤三千代さんが、道銀本店1階らいらっく・ぎゃらりいで、道銀文化財団企画による個展を開いている。

 最近、たまにこの会場で行われる、入り口を施錠してガラス越しに中を見るという形式の展示。
 あいている時間帯が長いのが利点だが、やはり、近づいて見られないのが残念。


 2018年は災害の多い年だった。
 胆振西部地震の陰に隠れて忘れられているが、その前日には颱風たいふうで多くの木が倒れる被害が出ている。
 伊藤三千代さんは、そのときに出た枝を用いて、インスタレーションを制作した。
 床の上に2個のいすのような物体が置かれ、天井からは5個の立体がつりさがっている。

 明るい年になってほしい―という作者の思いが、ストレートに出ている作品だ。
「peace」「love」という文字まで導入しているから、ストレートすぎるぐらいといってもいいかもしれない。
 



 曲線が主体で、やわらかな感じがあふれる。それは、伊藤さんの「本業」である、石の彫刻にも通じる、海のような広がりをもつやわらかさだと思う。


2018年12月26日(水)~19年1月13日(日) ※30日(日)~3日(木)は休館
午前8時~午後7時 (照明点灯時間、最終日は5時まで) 
らいらっく・ぎゃらりい(札幌市中央区大通西4 北海道銀行本店)


関連記事へのリンク
石彫刻の8人展 (2018)

帯広コンテンポラリーアート2016 ヒト科ヒト属ヒト

伊藤三千代 彫刻空感展(2007年)

伊藤三千代 彫刻小品展“海からの贈り物” (2002年)

コメント

■ 岡沼淳一工房展 (2018年9月14日~10月8日の9日間、十勝管内音更町)

2018年12月02日 11時38分25秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 岡沼淳一さんは十勝管内音更町の彫刻家。
 9月から12月にかけて、音更町の隣町の帯広市にある道立帯広美術館で
「神田日勝と道東の画家たち & 岡沼淳一木彫の世界」
という展覧会が企画され、作品を運び出したあとの工房に空間が多少生じるため、期間中の9日間限定で、自作を展示することにしました。

 ただし、同美術館には、15点ほど(ほとんどが大作)が並べられているにもかかわらず、工房がすっからかんというわけではありません。
 むしろ、この隙間にどうやって入っていたんだろうと、驚くばかりです。
 また、美術館に代表作が行ってしまったので工房には「残り物ばかり」という感じでもありませんでした。
 美術館と工房展のいちばんの違いは、後者には初期の作品も並んでいたこと。
 1964年の石膏像は、道学芸大函館校(現北海道教育大函館校)で作ったものでしょう。よくぞ残っていたものです。
 ほかにも、冒頭画像のように、1970年代の「雲海」などを見ることができました。
 冒頭画像の左側にある白い円形の作品は、音更の文化センターにあるブロンズ像の原型だそうです。
 岡沼さんは
「あんまり良くないんだよなあ。ブロンズにすると、木のときと陰影が変わってしまう」
と話していました。


 次の画像の手前は、道立帯広美術館の中庭に常設展示されている作品の原型です。

 奥に並んでいるのは比較的初期の作品。
 シャープさとバリエーションに富む70年代以降の作品群に比べると、どこか砂澤ビッキを思わせる土俗的なところもあって、さすがに若い頃の模索の時期の作品ともいえそうです。



 3枚目の画像は2004年?「夜窓」。


 帯広美術館は撮影不可のため、ここには画像を上げられません。

 工房展との違いをひと口で言うと、照明です。

 毎年の全道展もそうですが、作者や筆者も含め誰もが、明るい環境で岡沼さんの彫刻を見ることに慣れていたと思います。
 しかし、帯広美術館は、照度をかなり落とし、会場が深い森の奥のような雰囲気をたたえています。
 こういう場所では、作品の持つ明快さやモダンさがやや後退し、神秘性やロマン主義的なものが感じ取れるようになってくるようです。

 これはもちろん、どちらが良いとか悪いという問題ではありません。
 ただ、照明だけで、これほど見え方が異なってくるとは、驚きでした。


 なお「岡沼淳一さんのこと」と題し、その彫刻の世界の魅力についてつづった記事があり、その文章はリーフレットに印刷されています(今でも一部の美術館のフライヤー置き場には残っているようです)。
 筆者のつたない文章はさることながら、同時収録された五十嵐典子さん(現在は道立近代美術館で、前の道立帯広美術館学芸課長)の文章がすてきですので、ご一読願えたらうれしいです。


=2018年9月14~16日(日)、22~24日(月)、10月6日(土)~8日(月)午前10時(14、15日は午後1時)~午後4時半(6日は午前11時半終了)
岡沼さん工房(十勝管内音更町)

【告知】「岡沼淳一工房展」(2018年9月14日~10月8日のうち9日間)と「神田日勝と道東の画家たち & 岡沼淳一木彫の世界」(9月15日~12月2日)

関連記事へのリンク
ひがし北海道:美の回廊 (2003、画像なし)
旧ミマンミニコレクション展(初回)=2003年
遠藤ミマン・岡沼淳一二人展(2002)
2002 北の彫刻展(画像なし)
コメント

■武藏未知 WORKS 4 (2018年10月31日~11月18日、札幌)

2018年11月21日 08時40分02秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 抽象彫刻の大作6点のみ。
 素材は、聞いていないが、発泡スチロールやスタイロフォームといった軽くて扱いやすい(成形しやすい)樹脂だと思われる。着彩した作品もある。

 床に直接置いているのは「雪の庭」と「眠れる庭」。
 いずれも白く、底部をのぞいて自由な曲線で囲まれている。公園にこういうフォルムの遊具が設置されていたら楽しいだろうな、と思う。
 天の側(上方)の表面に、やはり曲線で囲まれた平らなくぼみがあって、もし屋外に置いたら、水がたまりそうだ。

 もう1点、会場奥に作品があり、これは灰色に着彩されている。
 蛇腹状の形と色が、少し古めの暖房器具を想起させる。壁の前に置かれているためかもしれない。

 右側には「白昼夢(部分)」。
 これは、床置きと、壁掛けの組作品らしい。
 壁掛けは、壁にまっすぐ掛けているのではなく、部屋の隅で二つの壁に掛け渡すように斜めに設置している。

 そして、正面の壁には「花」「hana」の、おそらくは一対のレリーフ(と言ってよいのか)。
 前者は鮮やかな赤。後者は、水色やピンク色などさまざまに着彩が施されている。
 特定の花に似せたというよりは、花が持つ生命力を表現しようと試みたように思われる。エネルギーがみなぎった、力強い作品だ。

 武藏(藏は蔵の正字)さんは札幌拠点の彫刻家で、道展会員。
 道教育大で、故丸山隆さんの薫陶を受けた作家は多いが、彼女もその一人。


2018年10月31日(水)~11月18日(日)正午~午後7時(最終日~5時)、月休み
ギャラリーミヤシタ(札幌市中央区南5西20)

関連記事へのリンク
つながろう2018 TIME AXIS 時間軸 (2018年6月)
平面と立体の交差 ・北広島のコンテンポラリーアート (2017)
帯広コンテンポラリーアート2016 ヒト科ヒト属ヒト
首展 (2015)
Largo 武蔵未知彫刻展 (2014)
コメント

■カビラヤスヲ展 蟲跡−摩尼車のように− (2018年7月21~29日、札幌)

2018年08月01日 08時09分00秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 カビラヤスヲさんは、40年ほど前に沖縄県から北海道に移住し、留萌管内羽幌町で木彫に取り組んでいる。
 極東コンテンポラリーアート(北見市留辺蘂町)やハルカヤマ藝術要塞(小樽市)などに出品したが、札幌での個展は、じつに35年ほど前に、今はない大同ギャラリーで開いて以来という。

 ギャラリー門馬のサイトに、詩のような言葉が載っていた。「蟲」は、虫と同じ。

蟲跡
歩行する時
あれだこれだと悩む時
蟲喰いの跡をなぞる時
その時に
私と蟲との歩行が重ね合う


 丸太の皮をはがすと、虫が食った跡が現れる。
 表面が数ミリへこんだ部分が、大きな迷路のように広がっているのだ。
 ところどころにあいている小さな穴は、虫が出入りした跡だろう。

 だから、カビラさんは、基本的に作為を加えていないともいえる。

 表面の凹凸に紙をあててこすり取った、版画のような作品も数点、額装されて壁に展示されていた。

 これら作品の素材はスギとのこと。
 羽幌町内にスギ林があるという。

 同町のサイトによると、築別九線沢にスギ林がある。
 「明治中期に山形県庄内の温海村から移住した斉藤浅吉が大正4年(1915年)に郷里からスギ種子を取り寄せ、蒔きつけて大正7年に三年生苗4000本余りを植栽した中の一部」
という。

 札幌の円山にも杉林がありますね―と言うと、カビラさんは興味津々で、詳しい場所を知りたがっていた。



 大型作品のほかに、会場に並んでいたのが「摩尼マニ車」。

 摩尼車とは、チベット仏教で、回せば回すほど現世で徳を積んだことになるといわれる。
 カビラさんの、ひきうすにも似た形をした摩尼車も、実際に回転させることができる。カビラさんに促されて回してみたが、いくらか力を入れないと回らない感じだった。
 上の面に取っ手のようなものがついているが、これは飾りで、これをつかんでもうまく回らないのだ。

 このほか、羽幌の土を焼いてテラコッタにした、太いちくわのような輪を、木の棒にさした置物もあった。

 自然の姿をほぼそのまま提示したかのようでいて、自身の世界をも見せた、興味深い作品群だった。


2018年7月21日(土)~29日(日)午前11時~午後6時
ギャラリー門馬ANNEX (札幌市中央区旭ケ丘2)

ハルカヤマ藝術要塞 2017 FINAL CUT
コメント

■北村哲朗彫刻展―地平と辺縁Ⅱ― (2018年7月10~15日、札幌)

2018年07月15日 08時39分29秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 毎年札幌で彫刻の個展を開いている数少ない作家である、登別の北村哲朗さん。
 ことしは病気で入院したため「実質3カ月ぐらいで準備した」というからすごいエネルギーです。
 入院中、あらためて自分や世界に思いをいたしたことと関係があるのかどうかわかりませんが、チェーンソーの荒々しい痕が残っていた表面は、のみ痕に変わりました。ただ、表面を磨き上げた作品は1点しかなく、依然として、木という素材の質感を存分に生かしていることは変わっていないようです。


 会場に入って右手に並んでいるのが「ELEMENT」の5部作。
 右から「火」「風」「地」「水」です。
 世界は何からできているか―という、古代ギリシャからあった哲学的な問いに対するひとつの答えといえるでしょう。
 ただし「火」以外はそのまま形にするのは難しく、北村さんの苦労がうかがえます。

 「火」は、表面にざらざらした抵抗感のようなものがあります。
 「風」は一見モニュメンタルな塔のようにも見えますが、いろんな方向から集まった気流が上昇していくような場面を作者は想定して形作ったとのことです。

 「地」は、もともと別々に作っていた作品を組み合わせてつなげたもの。
 植物の根元にある大地―という要素を重視したつくりになっているようです。
 「水」は流れに石のようなものを投げ入れた瞬間を造形化したようにも見えます。


 「ELEMENT」のうち1点だけ、「くう」が入り口付近のちょっと離れた場所にありました。
 しかも北村さんには珍しい、具象的な作品で、ふくろうのようにも見えます。
 「自分で自分を見ている視線」というイメージから鳥を造形したとのこと。
 鳥は、何かをもたらしてくれるものの暗喩でもあります。

 他の4元素に加えて、「空」を設定するあたりが東洋的です。
 西洋では絶対的な「虚無」を意味する「空」ですが、東洋思想、とりわけ禅の思想では「空」を積極的なものとして評価するといわれます。

 この鳥は実物そっくりというより、北村さんが想像力を駆使して作り上げた空想の鳥なのです。


 冒頭画像の中央は、左が「無窮 ETERNITY I」、右が「無窮 ETERNITY II」。

 北村さんは伊達市大滝村も制作拠点にしていますが、そこに北米の先住民族から船便でおくられてきたトーテムポールが20基ほどもあるそう。
 それに刺戟を受け「自分のトーテムを作りたかった」と、作り上げたのがこの大作2点です。「II」の木が北米材であったことも、創作のきっかけになったとのこと。

 果てしなく天空を志向する姿は、抽象彫刻のパイオニアであるブランクーシの「無限柱」を想起させます。

 一方、左の「I」は、河川敷などによく生えているドロノキ。
 今回の個展で使用されている木材は、ニセアカシアやクルミ、ヤチダモなどをふくめ11種類もあります。素材の好き嫌いが少なく、どんな木でもその木の性質に応じて作り上げるのも、北村さんの柔軟な姿勢をあらわしています。



 左から
「受容 ACCEPTABLE」
「呼応 CALL AND RESPONCE」
「残心 REMAIN」

 「残心」は居合道などの用語とか。
 前述のとおり、この作品だけは表面が平滑にみがいてあります。
 

 「開闢かいびゃく BIG BANG」。

 恩師である理科の教師から、ビッグバンのような彫刻を作っては―と促されて制作したそうです。宇宙空間の始原を表現したような大作です。


 他に、壁掛けの「転生 TRANSMISSION」や「流動 FLOW」(DMの作品ですが、さらに手をいれています)、まるいかたちが人の手を思わせる「たなごころ」、ブロンズ鋳造に挑戦した「凹と凸」、連作「気 I~V」など。

「世界は人間だけではないこと、「いま・ここ」の世界は「いまではなく、ここではない」世界によって成り立っていることなどをあらためて考える機会になればと思います」
と、北村さんのステートメントにありました。
 しかし、かたちの世界に自由に目をさまよわせながら見るのもよいでしょう。
 いろいろな見方ができるのが抽象彫刻の良いところですし、見る人のイマジネーションを解き放つ力を、北村さんのエネルギッシュな仕事は、持っていると思うのです。


2018年7月10日(火)~15日(日)午前10時~午後7時(最終日~午後5時)
ギャラリーエッセ(札幌市北区北9西3)


北村哲朗 彫刻展―境界の構図 (2015)
首展 (2015)
北村哲朗彫刻展 (2010、画像なし)



コメント

■井越有紀個展 日を歌う (2018年6月20日~7月2日、札幌)

2018年07月02日 13時12分39秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 「ナイロンと綿によるスタッフィング」という技法で、立体造形に取り組んでいる井越有紀さんの個展。ストッキングに詰め物をして縫い合わせるーといったイメージでしょうか。

 これまではインスタレーションの個展もありましたが、今回は「一個一個を見せたかった」ということで、それぞれの作品が独立して展示されています。白い台も、会場にあわせて自作したとのことです。
 部屋に入って、向かって左側は、昨秋に函館で開いた2人展で発表した作品。右側は新作が主に並んでいます。

 冒頭画像、左手の作品は「ベアト・アンジェリコ『受胎告知』へのオマージュ」。
 ベアト・アンジェリコはフラ・アンジェリコともいい、初期イタリア・ルネサンスを代表する画家。静かな雰囲気が特徴で、この作品は、キリスト教絵画では代表的な主題を扱っています。
 つまり、右側は聖母マリア、左側はマリアに
「まもなく神さまの子を身ごもります」
と伝えに来た天使。
 井越さんの作品では、天使が鳥のようになっているところがユニークです。また、聖母も人魚のようにも見えます。

 その右は「とげのない薔薇」。


 「鳥を抱く女」。
 そういえば、本郷新に似た題の作品がありましたが、こちらは腰を下ろしています。
 鳥の羽は、本物の羽根を用いています。
 とても穏やかなたたずまいの作品だと思います。

 函館で発表した一連の作品は、とくにテーマは設けていないということですが、「祈り」「足を浸した羊」といった題の作もあり、宗教的な薫りが漂います。


 つぎの画像は、新作のコーナーで「待つ兎」など。

 「裸の熊」といった、頭部が毛むくじゃらで下半身が裸という風変わりな作品もありました。
 「弧を描く」は「この花を室野井洋子さんに捧げます」という副題がついた、壁掛け型の作品。
 室野井さんはダンサーで、ギャラリーのイベントなどによく登場していましたが、昨年、50代の若さで亡くなったとのこと。筆者はぜんぜん知りませんでした。

 昔の井越さんの作品は、もっとヒリヒリした感覚というか、生々しさや傷つきやすさを感じさせたのですが、今回はずいぶんと心安らぐ会場になっています。
 丸みを帯びたフォルムのせいかもしれませんが、作者の成熟を感じた個展でした。



2018年6月20日(水)~7月2日(月)午後1時~10時半(最終日~午後8時) ※火曜定休
ギャラリー犬養 1階 ピアノのある洋室(札幌市豊平区豊平3の1)


井越有紀個展「エレンディラのための小作品」(2015)
井越有紀個展 ある、あった (2013)





ギャラリー犬養への道順(アクセス)

・地下鉄東西線「菊水駅」2番出口から約550メートル、徒歩7分

・中央バス「豊平橋停留所」から約240メートル、徒歩4分
・地下鉄東豊線「学園前駅」1番出口から約970メートル、徒歩12分


※HOKUBU絵画記念館から約660メートル、徒歩9分
※市民ギャラリーから約980メートル、徒歩13分
※ト・オン・カフェから約1.5キロ、徒歩20分
コメント

■石彫刻の8人展 (2018年4月5~23日、札幌)

2018年04月23日 17時09分20秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 伊藤隆弘、伊藤三千代、菅原尚俊、野村裕之、藤田尚宏、山本良鷹、渡辺行夫、渡部陽平の8氏による、ギャラリーレタラの企画展。


 画像は、手前が菅原さん、その奥が渡部さん、さらに奥の台座に載っているのが伊藤三千代さんの作品。

 昨秋、展覧会企画を思いついたときにリストアップしたところ、札幌圏でいまもコンスタントに石の彫刻を作っている人は、この8人しかいないことがわかったという。
 札幌の野外彫刻は、ブロンズはもちろんあるが、石彫の存在感も大きい(大通西1の山内壮夫「希望」、大通西8~9のイサム・ノグチ「ブラック・スライド・マントラ」、札幌駅構内の安田侃など)こともあって、作家数のこの少なさは意外だった。
 そもそも彫刻を手がける人の数が絵画にくらべると圧倒的に少ない。そのうえ、FRPで代替がきくブロンズや、比較的材料の入手しやすい木に比べると、石彫は準備も制作もいろいろと大変なのだろう。

 そういった意味では、なかなかおいそれと個展を開くのもむずかしい石彫の作り手が集まる機会ができたことは、ありがたい。

 このうち藤田、山本の両氏は、作業場が屋外で、冬場の制作が難しいこともあって2年前の作品を出しているが、のこる6人は新作を出した。
 伊藤三千代さんのみが2点、あとは1点ずつである。


 伊藤三千代さん(空知管内長沼町)は、今回唯一の女性。
 曲線を生かしたやさしい作品が持ち味だ。
「途上の花 あるいは波紋」「植物と根」を出品している。

 もっとも、これは彼女に限ったことではないとはいえ、8人のうち石彫一本やりの人は少数派であり、伊藤三千代さんも、近年の野外展などでは、素材を多様化させている。


帯広コンテンポラリーアート2016 ヒト科ヒト属ヒト
伊藤三千代 彫刻空感展(2007年)
伊藤三千代 彫刻小品展“海からの贈り物” (2002年)


 伊藤隆弘さん(長沼町)の手がける石彫は、抽象彫刻の精髄と呼びたくなるほど、シンプルな美しさが際立っている。
 表面を研磨しつづけることで生まれる曲線は、じつにスムーズだ。

 今回の作品は「Spring Wind」。
 大理石と御影石による。
 伊藤隆弘さんは全道展会員。


伊藤隆弘「―未生―」 ハルカヤマ藝術要塞 (2012)
伊藤隆弘「雲の指標 2010」 ハルカヤマ芸術要塞常設展示
ひろがるかたち(2007年) ●告知記事
北海道立体表現展’06
北海道立体表現展2003
北の彫刻展 2002
伊藤隆弘 石の彫刻小品展(2001年)


 野村裕之さん「時間による風化 恨み節」。
 野村さんは1961年生まれ、札幌在住。

 風変わりな題がついているが、ギャラリーの泉さんによると、野村さんはある学校で非常勤で教えていて、虐待にあったりいじめられたりした生徒の話などを聞く機会があるという。
 この作品の素材は、やわらかいことで知られる札幌軟石。風化もしやすいのだろうが、人が心に負った傷は、なかなか風化しない。そのことを、傷を負わせた側はつい忘れてしまう。
 筆者が直接作者にたしかめたわけではないが、この作品には、しいたげられた側の人の叫びが込められているのではないかと思った。


さっぽろ雪像彫刻展2017
つながろう2016 Hard/Soft
さっぽろ雪像彫刻展2016
さっぽろ雪像彫刻祭2015
New Point vol.12 (2015)=画像なし

野村裕之 個展 ―浄化― (2014)
木 脇坂淳/陶 前田育子/画 別府肇/石 野村裕之/布 田村陽子(2013)
-の わ- 野村裕之・脇坂淳ユニット「エアーズ ウッド」 ハルカヤマ藝術要塞 (2011)

野村裕之 チビアートの世界展(2008)
ひろがるかたち(06年の4人展)
野村裕之彫刻展 なぞなぞ(03年)
野村裕之小彫刻展 ひそやか(02年、画像なし)


 山本良鷹さん「風琴」。
 素材は白御影石。

 筆者は恥ずかしながら知らなかったのだが、石の作品の表面によく見られる、筋状のへこみは、文様としてほどこしているのではなく、大きな石を割るときにのみを打ち込んだ跡なのだそうだ。
 石工や彫刻家は、ここにくさびを打てば巨石がパカッと割れそうだ―という見当をつけていく。2、3カ所にのみを入れただけで巨石がすらすらと割れていくときは、いいようのない快感を覚えるらしいーと、泉さんが教えてくださった。

 この作品も、ふたつの部材をつなげたように見えるが、じつは自然なかたちなのだろう。

 山本さんは道展のベテラン会員。
 グループ展にはときどき出品しているが、筆者の記憶の範囲では個展を見たことがない。


ひろがるかたち(06年の4人展)


 渡辺行夫さん(小樽)「OutRigger 花」。

 渡辺さんは、道内最大規模の野外美術展「ハルカヤマ藝術要塞」の実行委員長であり、パワフルなベテラン。
 近年はイタドリを素材とした彫刻に軸足を移している。
 こういう、曲線を主体とした作品を、どんどん制作している。


札幌のアーティスト50人展 (2017~18)
ハルカヤマ藝術要塞2017 FINAL CUT
渡辺行夫 イタドリ彫刻展 (2017)
渡辺行夫「木漏れ紅」 ハルカヤマ藝術要塞 (2011)
旭川彫刻フェスタの公開制作を見てきた (2012)
下町のコレクション展 2(2007)
北海道立体表現展’06 (画像なし)
北海道立体表現展'03(画像なし)

中山峠 森の美術館(2) 渡辺行夫「風紋のしるべ」
渡辺行夫「四角い波」 紋別・ガリヤ地区(2)
石の意
大山山頂園の作品
時空車
ボノボノ
陵線
大山山頂園の作品
大山山頂園の作品
石・穴・弧・ずれ 
大山山頂園の作品

空中分度器 ? 釧路の野外彫刻(14)


 菅原尚俊さん「Godilla の卵 IV ~拝啓アトム様 本当の正義ってなんですか?」。

 菅原さんは1964年生まれ、道展会員。 

 「ハルカヤマ藝術要塞」では、ピザ窯担当というイメージがあるけれど、2011年の大震災以降、「拝啓アトム様」という名を冠した作品を作り続けている硬派な作家でもある。

 黒い球体と、灰色の球体が、ところどころに怪獣の目のように埋め込まれている。いずれも、黒曜石というから驚きだ。
 川原に落ちているときは灰色だが、みがくと、わたしたちが知っているような黒曜石になるとのことだ。


ハルカヤマ藝術要塞2017 FINAL CUT
菅原尚俊「拝啓 アトム様 ここは安全ですか。」 ハルカヤマ芸術要塞
北海道立体表現展’06 (画像なし)
北の彫刻展 2002 (画像なし)


 手前は、出品者最若手である1979年生まれの渡部陽平さん「捩れる形」。

 花崗岩のブロックを重ねて置いたようにも見えるが、このような形に切り出して整形した作品。

 士別でのアーティスト・イン・レジデンスに参加するなど、精力的に活動している。


ハルカヤマ藝術要塞2017 FINAL CUT
渡部陽平「石の彫刻」(2015)
さっぽろ雪像彫刻祭2015
さっぽろ雪像彫刻展 (2014)
渡部陽平「カケラ」 ハルカヤマ藝術要塞


 藤田尚宏さんも1979年生まれ。
 道教大の大学院で学んでいる25歳で、道展の協会賞(最高賞)に輝いている。
 今回の「光を探す」は、大理石、御影石、金属を用いた作品で、上部の金属が、重厚な石と対照的な軽快さを見せている。


首展(2015)
【告知】藤田尚宏彫刻展「意識下のモンタージュ 2」(2011)=略年譜あり
風の中の彫刻展 (2008)
風の中の展覧会 IV (2007)
ひろがるかたち(2007年)
造形展 風の中の彫刻展 (2006)
藤田尚宏「意識下のモンタージュ」 (2005)


2018年4月5日(木)~23日(月)正午~午後6時、火休み
Gallery Retara (札幌市中央区北1西28 MOMA Place 3階)


・地下鉄東西線「円山公園」駅・円山公園駅バスターミナルから約360メートル、徒歩5分
・同「西28丁目駅」から約540メートル、徒歩7分
※円山公園駅は改札と地上の間が長いので、両駅からレタラまでの距離はそれほど違いありません

・ジェイアール北海道バス、中央バス「円山第一鳥居」から約690メートル、徒歩9分
※小樽行き都市間高速バス全便(北大経由除く)と、手稲、銭函方面行きの全便が止まります


コメント

■ 浅井憲一展「美しい影」 (2018年4月4~15日、札幌)

2018年04月11日 23時49分48秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 棒状の鉄を連続させて躍動感のある動物の彫刻を作る、札幌の彫刻家。

 団体公募展には所属せず、おもに個展を発表の場としているため、おそらく最もさかんに道内で個展を開いている彫刻家のひとりだと思います。

 今回は作者の許可を得て、メイン作品の動画を撮影してYouTubeにアップしたので、ご覧ください。30秒です。音声はミュートしたほうがいいです。



 この作品は「弧空」。
 馬をデフォルメして、トルソのように表現しています。あまり写生には重きをおかず、フォルムのまとまりと勢いを優先しているように見えます。

 天井からつるしているので、モビルのように、わずかの風で回転します。それがおもしろいので、動画にしました。


 今回の出品作には、その名も「馬」という、写実的な馬も計9点出品されています。

 ただし、写実的な仕事は作家が心の底から面白がっていたのではないようで、「ストレスがたまってきたので『弧空』を作ったんです」と浅井さんは笑っていました。



2018年4月4日(水)~15日(日)午前11時~午後6時(最終日~5時)、火曜休み
GALLERY 創(札幌市中央区南9西6 @GALLERY__SOU )


□浅井憲一 AZプロジェクト http://www5f.biglobe.ne.jp/~az_asai/

関連記事へのリンク
浅井憲一 トルソー むこうがわの風景 (2016)
浅井憲一作品展 夢の中 (2014)

浅井憲一展-むこうがわの風景 (2013)
【告知】浅井憲一作品展 むこうがわの風景 (2012年7月11~16日、札幌)

浅井憲一「夢の中」 ハルカヤマ藝術要塞

浅井憲一さん、東京の個展報告会(2009年)

鉄 強さとやさしさの間で(2007年、画像なし)
春展-浅井憲一・幸子作品展(2007年)

2004年11月の個展
■同3月の個展(画像なし)
■03年の個展
■02年の個展

「川」 釧路の野外彫刻






・市電「山鼻9条」から約110メートル、徒歩2分

・地下鉄南北線「中島公園駅」1番出口から約380メートル、徒歩5分

・ジェイアール北海道バス「循環啓55」「循環啓55」「循環啓65」「循環啓66」で、「南9条西7丁目」降車、約210メートル、徒歩3分
(ギャラリー門馬近くの「旭丘高校前」から「循環啓55」で直行できます)

・じょうてつバス「南9条西11丁目」から約750メートル、徒歩10分。(快速7、快速8は通過します)

・中央バス「中島公園入口」から約650メートル、徒歩8分

※ト・オン・カフェから約500メートル、徒歩7分。鴨々堂から約650メートル、徒歩8分。HOKUBU記念絵画館から約1.2キロ、徒歩16分。ギャラリー犬養から約1.9キロ、徒歩24分。れんがギャラリーから約700メートル、徒歩9分
コメント

■ 木彫三昧 小笠原み蔵作品展 春・小さな和解… (2018年3月14~19日、札幌)

2018年03月18日 22時42分04秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 個展のタイトルにはいつも「木彫三昧」とつけている札幌の木彫家、小笠原み蔵さんは、プロフィルによると1939年生まれだから、ことしで78歳ということになる。
 それで、年に数度にわたる個展を開いているのだから、驚くべきエネルギーである。

 冒頭画像は、カーリングで、いかにも時宜を得た新作である。
 冬季オリンピックで銅メダルを得たLS北見の選手はもっと美しいぞ―という声が聞こえてきそうだが、小笠原さんはゴリラやブタ、犬を人間くさく彫るのが作風なので、これは大目にみてもらえればと思う。


 お聞きしたところ、小笠原さんは、制作を終えた後で毎日のようにジムに通って体を動かしているらしい。
 昼下がりのジムにはもっと年上の方も来ているというから、さらに驚きである。
 夕方になり帰る時間帯になると、勤めを終えた若い女性たちが来るので、小笠原さんは
「もっと遅く来ようかな」
などと言っているとかいないとか。

 キャビンアテンダントの格好をしたブタ。
 ゴリラの首。
 「見ざる聞かざる言わざる」のサルたち。
 写真にわりあい忠実に彫った忠犬ハチ公。
 塔によじ登るカエルたち…。 

 リアルなのにユーモラスで、どこか人間のような動物たちが、会場にひしめいています。


2018年3月14日(水)~19日(月)午前10時~午後7時
新さっぽろギャラリー(札幌市厚別区厚別中央2の5デュオ2 5階)

□小笠原み蔵の世界 http://www8.plala.or.jp/grain/


西郊の杜 作家三人展 小笠原み蔵、植田莫、屋中秋谷 (2016)

【告知】おがさわら・み蔵 6回目の年おとこ 卯展 木彫三昧(2011年)

おがさわら・み蔵木彫展「ゴン.ありがとう!」 (2010年)

おがさわら・み蔵独展 (2009年11月)

小笠原み蔵・植田莫展(2007年)
CRAFT ON JAZZ (2007年)

道楽三昧 小笠原み蔵(木彫)とこじま陶山(陶芸)の二人展(2006年)

小笠原み蔵・木彫三昧V (2003年)
コメント

■藤沢レオ個展「ある一日、」 (2018年2月1〜27日、札幌)

2018年03月02日 19時39分09秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 苫小牧を拠点に、現代アート、金工、彫刻など幅広い分野で精力的に制作・発表を行う一方、「樽前Arty」としてアートと地域をつなぐ活動にも取り組む藤沢レオさん。
 2月に、札幌の西28丁目駅近くにあるカフェの壁で1カ月間、小品11点による個展を開いていました。

 作品はいずれも、太い針金を曲げてつくった壁掛け型の立体です。
 線を空中に走らせたような、シンプルな美しさが光ります。

 半数は、一部が蛍光ピンクに着彩されています。藤沢レオさんがよく作品に用いる色です。

 冒頭画像、左側は「静かな日ー柱」。
 昨年、茶廊法邑で開いた個展は、大きな驚きを与えましたが(そう言いつつ、ブログに書いていなくてすみません)、それを想起させます。柱を立てることは、旗を掲げることであり、物事に一歩踏み出すことでもあると思います。


 作品名はいずれも「静かな日―●●」というふうに「静かな日」を冠しています。
 出品作品は次の通り。

静かな日―ドア
静かな日―向こうのブランコ
静かな日―はしご
静かな日―イス
静かな日―ドアと部屋
静かな日―ベンチ
静かな日―空
静かな日―斜めのはしご
静かな日―ブランコ
静かな日―柱
静かな日―プール



2018年2月1日(木)〜27日 (火)午前10時~午後8時(日祝~午後7時)、水曜定休
TSURU CAFE ツルカフェ(札幌市中央区宮の森2の5)


http://leofujisawa.com/

平面と立体の交差 ・北広島のコンテンポラリーアート (2017)
北見赤十字病院のパブリックアート 藤沢レオさん
茶廊法邑のリニューアル後を見に行きました(2017)
REIJINSHA GALLERY’S EYE Vol.2 (2017)

紐解く時間 読む時を演出する作品展 (2016)

【告知】樽前arty2015 × 時間旅行/樽前堂 (2015)
【告知】想像の山脈 vol.1(2015年)

ICE HILLS HOTEL - アイスヒルズホテル in 当別 (2014)

札幌アートフェア2013に行ってきました。
【告知】樽前arty2013 アートセンターのある暮らし

【告知】藤沢レオ「森にて、」 (2012)
藤沢レオ「知ル」 ハルカヤマ藝術要塞

【告知】Approach デザインとアートの接近(2011年11月)
記憶の循環(2011年8月)

【告知】藤沢レオ小品展 Le Auction vol.2
500m美術館 (2010年)
アートとの対話~森迫暁夫&藤沢レオの場合~ 鉄筋布張り住宅(2010年9~10月)

水脈の肖像09-日本と韓国、二つの今日 (2009年12月)
■国松希根太・伴翼・藤沢レオ「ある」(2009年3月。執筆途中)

法邑芸術文化振興会企画展〔滲-shin-〕(2008年)
法邑芸術文化振興会企画展〔滲-shin-〕=品品法邑
ART BOX 札幌芸術の森・野外ステージ
藤沢レオ-パサージュ

鉄 強さとやさしさの間で(07年12月、画像なし)
藤沢レオ展(07年)
コメント

■平面と立体の交差 ・北広島のコンテンポラリーアート (2017年11月11~16日、北広島)

2018年01月22日 20時39分18秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 昨年の展覧会ですが、まだ書いていなかったので、簡単に紹介しておきます。

 北広島在住あるいはゆかりの4人によるグループ展。
 上ノ大作、谷口明志、藤沢レオ、武藏未知(藏は蔵の正字)の4氏が出品しています。
 「北広島のコンテンポラリーアート」という副題がついています。この展示内容が果たして contemporary なのかどうかはちょっと留保したい気持ちがありますが、それはあとで書くことにします。

 会場の展示順で、上ノさんと武蔵さんから(以下、藏が機種依存文字なため、新字表記の「武蔵」で表記します。ご諒承ください)。


 上ノさんは北広島に窯を持つ陶芸家。
 ですが「素材による違いはあまり考えない」と言うとおり、土以外の素材にも積極的に取り組んでおり、今回は「竹」です。
 「今回は意外と焼き物っぽい。過程は、手びねりで積み上げていくのと似ています」 

 最近は建築に興味があるといい
「立って半畳、寝て一畳のサイズ。茶室をイメージしてつくった」
と話していました。

 壁にうつる影が美しいですが、作者本人は、そこまで計算していなかったそうです。

 中に入ると、違った眺めが楽しめました。

 これほどまでにスカスカだと、そもそも建築における「外」と「内」とは何だろうと考えてしまいますよね。
 いや、「外」と「内」があるのは建築だけではなくて、たとえば細胞とか生物にもあるのですが。

 そういえば、作品の影からは、当然「虚」と「実」という問題の枠組みが浮かび上がってきます。

 シンプルなように見えて案外、いろいろなことを見る者に考えさせる奥深い作品なのかもしれません。


 武蔵未知さんの「原風景」。

 武蔵さんは小中高校生のとき北広島市西の里で育ったそうです。
 北広島といえば、住宅地のわきの自然豊かな丘陵を思い出すそうで、自分の原風景として、冬の丘陵地で立ち枯れていたオオウバユリがあるそうです。
 オオウバユリは多年草で、開花まで10年以上を要するにもかかわらず、一度花を開くと枯れてしまうとのこと。
 今回はオオウバユリの実からイメージしたそうで、解放感のある空間を生かすような作品を目指しています。

 以上は、会場で行われたアーティストトークの話から。
 ただし武蔵さんは当日欠席したため、谷口明志さんがメッセージを代読しました。

 会場からは
「これまで見た武蔵さんの作品でいちばん生命感、存在感がありびっくりしている」
という声も聞かれました。

 よく見ると、花弁にあたる部分を、天井からテグスでつり下げています。

 以前の武蔵さんは木をダイナミックに使った重厚な彫刻が多かったのですが、ここ数年は軽い素材に活路を見いだしているようです。


 ただ、この2人の作品が、「コンテンポラリーアート」なのかというと、ちょっと首をひねってしまいます。
 要は、従来の彫刻の延長線上にある作品ではないかと思うからです。
 そういう分類自体は作品の良しあしとはまったく関係ありませんし、どうでもいいこととはいえるのですが。


2017年11月11日(土)~16日(木)
北広島市芸術文化ホールギャラリー(北広島市中央6)


ハルカヤマ藝術要塞2017 FINAL CUT
第26回道銀芸術文化奨励賞受賞記念 上ノ大作々品展 (2017年1月)
帯広コンテンポラリーアート2016 ヒト科ヒト属ヒト
上ノ大作 器展 (2015)
、ノ記 上ノ大作作品展 (2014)
木が語る (2014年5月)
防風林アートプロジェクト (2014)
上ノ大作 作品展―森の生活― (2013)
上ノ大作「ムノウノ人」 ハルカヤマ藝術要塞(2011)
あな展(2010年)
花のある暮らし 身近な自然と暮らし(2009年)
新茶を愉しむ 旅する茶器(2009年)
第8回生まれ出ずる土塊展(2008年、画像なし)
第1回「凍土会陶芸展」 (2008年、画像なし)
上ノ大作作品展-陶ト木ト紙ト-(2007年、画像なし)

首展 (2015)
帯広コンテンポラリーアート2016 ヒト科ヒト属ヒト
Largo 武蔵未知彫刻展 (2014)


コメント

■続き・現れよ。森羅の生命― 木彫家 藤戸竹喜の世界 (2017年10月14日~12月17日、札幌)

2017年12月22日 20時24分00秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
承前

 前項が長くなりすぎたので、続きを別項にした。

 藤戸竹喜さんは1934年(昭和9年)、美幌(現オホーツク管内美幌町)生まれ。
 1歳になる前に母親と死別しており、その後、旭川の近文コタンに移る。
 近文の国民学校(小学校)は2年で中退。父親に熊彫りを習うが、図録によると、息子の作って持ってきた木彫りを黙って火にくべるような厳しい指導だったようだ。
 その後、阿寒湖の土産物店で腕を磨き、30歳のときに独立した。


 それから現在に至るまで、図録の年譜を見て、目を引くのは、30代のころ、写実力が認められて旧ソ連政府からレーニン像の制作を頼まれたこと、2015年に北海道文化賞を受けたことなどだろうか。
 レーニン像は、これはまあ当然だと思うが、今回の個展には出ていない。いまでもモスクワあたりのしかるべき施設に行けば、見ることができるのだろうか。

 近年では2014年、JR札幌駅構内に設置された「エカシ像 クリムセ」が有名だろう。
 周囲に配されたものは別人の作だが、これまで展覧会の過半数が道東で開かれてきた藤戸にとっては、札幌圏の人々に存在を認知させる大きな役割を果たしているのではないかと思う。
(※この段落、一部表現を変えました) 

 前項でも書いたが、藤戸氏のあざやかな作品を見ていると、木彫がアイヌ民族の伝統工芸のように思われてくるが、決してそうではない。
 いくらマキリ(小刀)の扱いに習熟しているとはいえ、もともと絵や彫刻を作ってきたわけではない。それを思えば、アイヌ民族が熊彫りをこれほどまでに自家薬籠中のものとしたことについては、驚きを禁じ得ないのだ。
 ここに掲げた画像は、ロブスターとカニ。会場では触れることはできないが、脚も可動式で自在に動くという。
 冒頭から2枚目はオオカミ。

 いったいどんな秘策を用いているのか知りたくなり、第2会場で流れていたビデオ映像をじっと見ていたが、いたってふつうに、木づちでのみをたたいて材木を削っていた。あんな作業から、どうしてあのような精緻かつリアルな質感描写が可能になるのか、皆目見当がつかなかった。
 それよりも、作者がオープンカートに乗って阿寒湖周辺の道路を走っている映像にびっくり。本人は「ストレス解消です」と笑っていたが、どこから見てもまさしく「ちょい悪オヤジ」だ。


 作者がことし83歳ということを考えれば信じがたいのだが、この展覧会のために、19点からなる連作「狼と少年の物語」を新たに作ったというからすごい。
 しかも、1900年前後に滅亡したエゾオオカミと、川で流され、オオカミに救われて育てられた男の子をめぐって展開する壮大なストーリーつきで、映画化できそうなほどだ。
 
 単に波瀾万丈なのではなく、作者の、すでに滅んでしまったエゾオオカミへ寄せる熱い思いが伝わってくるようだ。


 それにしても、と思うのは、作者はリアルな描写を旨とし、安直なキャラクター化やデフォルメ、擬人化などは一切していない。にもかかわらず、冒頭画像の親子熊などがいかにも人間らしく見えてくるのはどうしてだろう。
 赤ちゃん熊は、人間の子のように駄々をこねているわけではないだろうし、母熊も言葉をかけているわけではない。
 しかし私たちは、そこに、人間に共通する母子の愛情の表れを見てしまう。

 なぜだろう。



2017年10月14日(土)~12月17日(日) =前期~11月12日(日)、後期は11月14日(火)~12月17日 午前9時45分~午後5時(入館は午後4時30分まで)。11月3日まで無休。それ以降は月曜休み
札幌芸術の森美術館(札幌市南区芸術の森2)
一般千円 高校・大学生600円 小中学生300円

2018年1月11日(木)~3月13日(火)
国立民族学博物館(大阪府吹田市千里万博公園)

コメント

■現れよ。森羅の生命― 木彫家 藤戸竹喜の世界 (2017年10月14日~12月17日、札幌)

2017年12月22日 08時08分08秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体

 美術館学芸員が図録の文章に「神技」とか「藤戸に表現できないものはない」「あまりのリアルさに目が釘付け」などという表現を連発していれば、「いくらなんでも大げさでは」と眉をひそめたくなる人もいるだろう。
 しかし、実物の作品を目の当たりにすると、学芸員の大仰な形容もあながち的外れではなく、むしろいくら称賛の辞を書き並べても足りない―という思いを抱くのではないだろうか。
 

 阿寒湖畔に住み、自らを「熊彫り」と称する藤戸竹喜氏の展覧会を見た。キュレーションは、会場の札幌芸術の森美術館の学芸員ではなく、道立近代美術館の主任学芸員で、平易な語り口の文章には定評のある五十嵐聡美さん。他館で展覧会を開くこういうやり方もあるのかと、新鮮な思いを抱いた。
 だが、それ以上に
「こんなすごい彫刻家がいたのか」
と、作品の持つ力に驚かざるを得なかった。
 脱帽だ。


 これまで「アイヌ民族の美術家」というと、誰を措いても、砂澤ビッキの名を挙げたと思う。そのことには異論のありようがない。
 若い頃には団体公募展のモダンアート展に入選していたことからもわかるように、ビッキは、交友関係からみても、いわゆる美術界の中にいたのが明らかなのに対し、藤戸はその手の展覧会に出品しておらず、自らを美術家とか彫刻家と称することも良しとしていないようだ。
 つまり、全道展や道展、新制作展といった、いわゆる彫刻家の世界とは離れた場所で、もっぱらアイヌ工芸の枠組みのなかで活動していたので、幅広い評価が遅れたという側面は否定できまい。

 藤戸のすごさは、とくに芸術や彫刻に明るくない人でも、誰でも一目でわかると思う。
 ひとつは、その材質感の表現であり、もうひとつは、一本の木から彫るという過程が可能にする絶妙のバランス感覚だ。

 バランスや動きでいえば、たとえばこの「鹿を襲う狼」を見れば一目瞭然。
 こんなに後ろ脚を挙げた動物を彫るなんて、鹿と地面が同じ木でなければ、よほど強力な接着剤を用いても困難なことは言うまでもあるまい。
 この画像で右側のオオカミは鹿の首根っこにかみついているけれど、左側のオオカミは、まさにいま走ってきて現場にたどり着いたばかりという様子が後ろ脚から判断できる。

 材質については、五十嵐さんの「木彫であることを忘れさせる」という図録の文には、賛同しつつも、「ちょっと待って」と言わざるを得ない。
 藤戸さんの作品は、着彩を施していないこともあり、たとえば近年はやりの明治の工芸などと異なり、元の材質がわからないような本物そっくりの作品ではない。
 衣服は布にしか見えないし、砂はいかにも砂で、岩は岩で、枯れ木は枯れ木にしか見えないのだが、同時に、それでもなお木彫にしか見えないということが、藤戸作品の神髄なのではないか。


 藤戸の作品ではクマがなんといっても見事だし、数も多いが、人物彫刻も見逃せない。
 フチやエカシの立像が並ぶコーナーは圧巻だ。

 手前は「ふくろう祭り ヤイタンキエカシ像」。
 父親の姿である。次の画像は、背後から見た像。

 木彫であり、しかも生きた人間のようでもある、存在感。

 しかし、古代ギリシャからロダンへと続く西洋彫刻とは明らかに異なる。
 観音像のように、片脚を少しだけ前に踏み出すなど、ギリシャ彫刻の動きの表現を取り入れている部分もあるが。
 むしろ造形は、高村光雲のような日本の彫刻の流れに近いように感じる。
 もちろん「アイヌ民族の彫刻」としか言いようのない部分もあるが、このあたりはうまく言葉にすることができない。

 この圧倒的な、文様の再現力をみていると、この才能はどこからきたのだろうと思ってしまう。

 というのは、彫刻はアイヌ民族にとって昔からなじみ深いものでは決してなく、近代になってから取り組み始めたものであるからだ。白鳳文化、奈良時代からの伝統がある日本民族とはそもそもが異なる。
 にもかかわらず、あたかも昔から脈々と木彫の伝統があるかのように作ってしまえる能力があるというのは、どういうことなんだろう。

 アイヌ民族は、まったく木彫を作らなかったわけではない。
 小さなまじないの品などはこしらえていたし、イクパスイなどの文様に見られるようにもともと刃物の扱いにたけていたのは間違いない。

 それにしても、藤戸氏の、職人のような手業を見るにつけ、やはり不思議だなあと思うのだ。


2017年10月14日(土)~12月17日(日) =前期~11月12日(日)、後期は11月14日(火)~12月17日 午前9時45分~午後5時(入館は午後4時30分まで)。11月3日まで無休。それ以降は月曜休み
札幌芸術の森美術館(札幌市南区芸術の森2)
一般千円 高校・大学生600円 小中学生300円

2018年1月11日(木)~3月13日(火)
国立民族学博物館(大阪府吹田市千里万博公園)


コメント