北海道美術ネット別館

美術、書道、写真などの展覧会情報や紹介。毎日更新しています。2013年7月末、北見から札幌に帰還。コメントはお気軽に。

■カビラヤスヲ展 蟲跡−摩尼車のように− (2018年7月21~29日、札幌)

2018年08月01日 08時09分00秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 カビラヤスヲさんは、40年ほど前に沖縄県から北海道に移住し、留萌管内羽幌町で木彫に取り組んでいる。
 極東コンテンポラリーアート(北見市留辺蘂町)やハルカヤマ藝術要塞(小樽市)などに出品したが、札幌での個展は、じつに35年ほど前に、今はない大同ギャラリーで開いて以来という。

 ギャラリー門馬のサイトに、詩のような言葉が載っていた。「蟲」は、虫と同じ。

蟲跡
歩行する時
あれだこれだと悩む時
蟲喰いの跡をなぞる時
その時に
私と蟲との歩行が重ね合う


 丸太の皮をはがすと、虫が食った跡が現れる。
 表面が数ミリへこんだ部分が、大きな迷路のように広がっているのだ。
 ところどころにあいている小さな穴は、虫が出入りした跡だろう。

 だから、カビラさんは、基本的に作為を加えていないともいえる。

 表面の凹凸に紙をあててこすり取った、版画のような作品も数点、額装されて壁に展示されていた。

 これら作品の素材はスギとのこと。
 羽幌町内にスギ林があるという。

 同町のサイトによると、築別九線沢にスギ林がある。
 「明治中期に山形県庄内の温海村から移住した斉藤浅吉が大正4年(1915年)に郷里からスギ種子を取り寄せ、蒔きつけて大正7年に三年生苗4000本余りを植栽した中の一部」
という。

 札幌の円山にも杉林がありますね―と言うと、カビラさんは興味津々で、詳しい場所を知りたがっていた。



 大型作品のほかに、会場に並んでいたのが「摩尼マニ車」。

 摩尼車とは、チベット仏教で、回せば回すほど現世で徳を積んだことになるといわれる。
 カビラさんの、ひきうすにも似た形をした摩尼車も、実際に回転させることができる。カビラさんに促されて回してみたが、いくらか力を入れないと回らない感じだった。
 上の面に取っ手のようなものがついているが、これは飾りで、これをつかんでもうまく回らないのだ。

 このほか、羽幌の土を焼いてテラコッタにした、太いちくわのような輪を、木の棒にさした置物もあった。

 自然の姿をほぼそのまま提示したかのようでいて、自身の世界をも見せた、興味深い作品群だった。


2018年7月21日(土)~29日(日)午前11時~午後6時
ギャラリー門馬ANNEX (札幌市中央区旭ケ丘2)

ハルカヤマ藝術要塞 2017 FINAL CUT
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■北村哲朗彫刻展―地平と辺縁Ⅱ― (2018年7月10~15日、札幌)

2018年07月15日 08時39分29秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 毎年札幌で彫刻の個展を開いている数少ない作家である、登別の北村哲朗さん。
 ことしは病気で入院したため「実質3カ月ぐらいで準備した」というからすごいエネルギーです。
 入院中、あらためて自分や世界に思いをいたしたことと関係があるのかどうかわかりませんが、チェーンソーの荒々しい痕が残っていた表面は、のみ痕に変わりました。ただ、表面を磨き上げた作品は1点しかなく、依然として、木という素材の質感を存分に生かしていることは変わっていないようです。


 会場に入って右手に並んでいるのが「ELEMENT」の5部作。
 右から「火」「風」「地」「水」です。
 世界は何からできているか―という、古代ギリシャからあった哲学的な問いに対するひとつの答えといえるでしょう。
 ただし「火」以外はそのまま形にするのは難しく、北村さんの苦労がうかがえます。

 「火」は、表面にざらざらした抵抗感のようなものがあります。
 「風」は一見モニュメンタルな塔のようにも見えますが、いろんな方向から集まった気流が上昇していくような場面を作者は想定して形作ったとのことです。

 「地」は、もともと別々に作っていた作品を組み合わせてつなげたもの。
 植物の根元にある大地―という要素を重視したつくりになっているようです。
 「水」は流れに石のようなものを投げ入れた瞬間を造形化したようにも見えます。


 「ELEMENT」のうち1点だけ、「くう」が入り口付近のちょっと離れた場所にありました。
 しかも北村さんには珍しい、具象的な作品で、ふくろうのようにも見えます。
 「自分で自分を見ている視線」というイメージから鳥を造形したとのこと。
 鳥は、何かをもたらしてくれるものの暗喩でもあります。

 他の4元素に加えて、「空」を設定するあたりが東洋的です。
 西洋では絶対的な「虚無」を意味する「空」ですが、東洋思想、とりわけ禅の思想では「空」を積極的なものとして評価するといわれます。

 この鳥は実物そっくりというより、北村さんが想像力を駆使して作り上げた空想の鳥なのです。


 冒頭画像の中央は、左が「無窮 ETERNITY I」、右が「無窮 ETERNITY II」。

 北村さんは伊達市大滝村も制作拠点にしていますが、そこに北米の先住民族から船便でおくられてきたトーテムポールが20基ほどもあるそう。
 それに刺戟を受け「自分のトーテムを作りたかった」と、作り上げたのがこの大作2点です。「II」の木が北米材であったことも、創作のきっかけになったとのこと。

 果てしなく天空を志向する姿は、抽象彫刻のパイオニアであるブランクーシの「無限柱」を想起させます。

 一方、左の「I」は、河川敷などによく生えているドロノキ。
 今回の個展で使用されている木材は、ニセアカシアやクルミ、ヤチダモなどをふくめ11種類もあります。素材の好き嫌いが少なく、どんな木でもその木の性質に応じて作り上げるのも、北村さんの柔軟な姿勢をあらわしています。



 左から
「受容 ACCEPTABLE」
「呼応 CALL AND RESPONCE」
「残心 REMAIN」

 「残心」は居合道などの用語とか。
 前述のとおり、この作品だけは表面が平滑にみがいてあります。
 

 「開闢かいびゃく BIG BANG」。

 恩師である理科の教師から、ビッグバンのような彫刻を作っては―と促されて制作したそうです。宇宙空間の始原を表現したような大作です。


 他に、壁掛けの「転生 TRANSMISSION」や「流動 FLOW」(DMの作品ですが、さらに手をいれています)、まるいかたちが人の手を思わせる「たなごころ」、ブロンズ鋳造に挑戦した「凹と凸」、連作「気 I~V」など。

「世界は人間だけではないこと、「いま・ここ」の世界は「いまではなく、ここではない」世界によって成り立っていることなどをあらためて考える機会になればと思います」
と、北村さんのステートメントにありました。
 しかし、かたちの世界に自由に目をさまよわせながら見るのもよいでしょう。
 いろいろな見方ができるのが抽象彫刻の良いところですし、見る人のイマジネーションを解き放つ力を、北村さんのエネルギッシュな仕事は、持っていると思うのです。


2018年7月10日(火)~15日(日)午前10時~午後7時(最終日~午後5時)
ギャラリーエッセ(札幌市北区北9西3)


北村哲朗 彫刻展―境界の構図 (2015)
首展 (2015)
北村哲朗彫刻展 (2010、画像なし)



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■井越有紀個展 日を歌う (2018年6月20日~7月2日、札幌)

2018年07月02日 13時12分39秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 「ナイロンと綿によるスタッフィング」という技法で、立体造形に取り組んでいる井越有紀さんの個展。ストッキングに詰め物をして縫い合わせるーといったイメージでしょうか。

 これまではインスタレーションの個展もありましたが、今回は「一個一個を見せたかった」ということで、それぞれの作品が独立して展示されています。白い台も、会場にあわせて自作したとのことです。
 部屋に入って、向かって左側は、昨秋に函館で開いた2人展で発表した作品。右側は新作が主に並んでいます。

 冒頭画像、左手の作品は「ベアト・アンジェリコ『受胎告知』へのオマージュ」。
 ベアト・アンジェリコはフラ・アンジェリコともいい、初期イタリア・ルネサンスを代表する画家。静かな雰囲気が特徴で、この作品は、キリスト教絵画では代表的な主題を扱っています。
 つまり、右側は聖母マリア、左側はマリアに
「まもなく神さまの子を身ごもります」
と伝えに来た天使。
 井越さんの作品では、天使が鳥のようになっているところがユニークです。また、聖母も人魚のようにも見えます。

 その右は「とげのない薔薇」。


 「鳥を抱く女」。
 そういえば、本郷新に似た題の作品がありましたが、こちらは腰を下ろしています。
 鳥の羽は、本物の羽根を用いています。
 とても穏やかなたたずまいの作品だと思います。

 函館で発表した一連の作品は、とくにテーマは設けていないということですが、「祈り」「足を浸した羊」といった題の作もあり、宗教的な薫りが漂います。


 つぎの画像は、新作のコーナーで「待つ兎」など。

 「裸の熊」といった、頭部が毛むくじゃらで下半身が裸という風変わりな作品もありました。
 「弧を描く」は「この花を室野井洋子さんに捧げます」という副題がついた、壁掛け型の作品。
 室野井さんはダンサーで、ギャラリーのイベントなどによく登場していましたが、昨年、50代の若さで亡くなったとのこと。筆者はぜんぜん知りませんでした。

 昔の井越さんの作品は、もっとヒリヒリした感覚というか、生々しさや傷つきやすさを感じさせたのですが、今回はずいぶんと心安らぐ会場になっています。
 丸みを帯びたフォルムのせいかもしれませんが、作者の成熟を感じた個展でした。



2018年6月20日(水)~7月2日(月)午後1時~10時半(最終日~午後8時) ※火曜定休
ギャラリー犬養 1階 ピアノのある洋室(札幌市豊平区豊平3の1)


井越有紀個展「エレンディラのための小作品」(2015)
井越有紀個展 ある、あった (2013)





ギャラリー犬養への道順(アクセス)

・地下鉄東西線「菊水駅」2番出口から約550メートル、徒歩7分

・中央バス「豊平橋停留所」から約240メートル、徒歩4分
・地下鉄東豊線「学園前駅」1番出口から約970メートル、徒歩12分


※HOKUBU絵画記念館から約660メートル、徒歩9分
※市民ギャラリーから約980メートル、徒歩13分
※ト・オン・カフェから約1.5キロ、徒歩20分
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■石彫刻の8人展 (2018年4月5~23日、札幌)

2018年04月23日 17時09分20秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 伊藤隆弘、伊藤三千代、菅原尚俊、野村裕之、藤田尚宏、山本良鷹、渡辺行夫、渡部陽平の8氏による、ギャラリーレタラの企画展。


 画像は、手前が菅原さん、その奥が渡部さん、さらに奥の台座に載っているのが伊藤三千代さんの作品。

 昨秋、展覧会企画を思いついたときにリストアップしたところ、札幌圏でいまもコンスタントに石の彫刻を作っている人は、この8人しかいないことがわかったという。
 札幌の野外彫刻は、ブロンズはもちろんあるが、石彫の存在感も大きい(大通西1の山内壮夫「希望」、大通西8~9のイサム・ノグチ「ブラック・スライド・マントラ」、札幌駅構内の安田侃など)こともあって、作家数のこの少なさは意外だった。
 そもそも彫刻を手がける人の数が絵画にくらべると圧倒的に少ない。そのうえ、FRPで代替がきくブロンズや、比較的材料の入手しやすい木に比べると、石彫は準備も制作もいろいろと大変なのだろう。

 そういった意味では、なかなかおいそれと個展を開くのもむずかしい石彫の作り手が集まる機会ができたことは、ありがたい。

 このうち藤田、山本の両氏は、作業場が屋外で、冬場の制作が難しいこともあって2年前の作品を出しているが、のこる6人は新作を出した。
 伊藤三千代さんのみが2点、あとは1点ずつである。


 伊藤三千代さん(空知管内長沼町)は、今回唯一の女性。
 曲線を生かしたやさしい作品が持ち味だ。
「途上の花 あるいは波紋」「植物と根」を出品している。

 もっとも、これは彼女に限ったことではないとはいえ、8人のうち石彫一本やりの人は少数派であり、伊藤三千代さんも、近年の野外展などでは、素材を多様化させている。


帯広コンテンポラリーアート2016 ヒト科ヒト属ヒト
伊藤三千代 彫刻空感展(2007年)
伊藤三千代 彫刻小品展“海からの贈り物” (2002年)


 伊藤隆弘さん(長沼町)の手がける石彫は、抽象彫刻の精髄と呼びたくなるほど、シンプルな美しさが際立っている。
 表面を研磨しつづけることで生まれる曲線は、じつにスムーズだ。

 今回の作品は「Spring Wind」。
 大理石と御影石による。
 伊藤隆弘さんは全道展会員。


伊藤隆弘「―未生―」 ハルカヤマ藝術要塞 (2012)
伊藤隆弘「雲の指標 2010」 ハルカヤマ芸術要塞常設展示
ひろがるかたち(2007年) ●告知記事
北海道立体表現展’06
北海道立体表現展2003
北の彫刻展 2002
伊藤隆弘 石の彫刻小品展(2001年)


 野村裕之さん「時間による風化 恨み節」。
 野村さんは1961年生まれ、札幌在住。

 風変わりな題がついているが、ギャラリーの泉さんによると、野村さんはある学校で非常勤で教えていて、虐待にあったりいじめられたりした生徒の話などを聞く機会があるという。
 この作品の素材は、やわらかいことで知られる札幌軟石。風化もしやすいのだろうが、人が心に負った傷は、なかなか風化しない。そのことを、傷を負わせた側はつい忘れてしまう。
 筆者が直接作者にたしかめたわけではないが、この作品には、しいたげられた側の人の叫びが込められているのではないかと思った。


さっぽろ雪像彫刻展2017
つながろう2016 Hard/Soft
さっぽろ雪像彫刻展2016
さっぽろ雪像彫刻祭2015
New Point vol.12 (2015)=画像なし

野村裕之 個展 ―浄化― (2014)
木 脇坂淳/陶 前田育子/画 別府肇/石 野村裕之/布 田村陽子(2013)
-の わ- 野村裕之・脇坂淳ユニット「エアーズ ウッド」 ハルカヤマ藝術要塞 (2011)

野村裕之 チビアートの世界展(2008)
ひろがるかたち(06年の4人展)
野村裕之彫刻展 なぞなぞ(03年)
野村裕之小彫刻展 ひそやか(02年、画像なし)


 山本良鷹さん「風琴」。
 素材は白御影石。

 筆者は恥ずかしながら知らなかったのだが、石の作品の表面によく見られる、筋状のへこみは、文様としてほどこしているのではなく、大きな石を割るときにのみを打ち込んだ跡なのだそうだ。
 石工や彫刻家は、ここにくさびを打てば巨石がパカッと割れそうだ―という見当をつけていく。2、3カ所にのみを入れただけで巨石がすらすらと割れていくときは、いいようのない快感を覚えるらしいーと、泉さんが教えてくださった。

 この作品も、ふたつの部材をつなげたように見えるが、じつは自然なかたちなのだろう。

 山本さんは道展のベテラン会員。
 グループ展にはときどき出品しているが、筆者の記憶の範囲では個展を見たことがない。


ひろがるかたち(06年の4人展)


 渡辺行夫さん(小樽)「OutRigger 花」。

 渡辺さんは、道内最大規模の野外美術展「ハルカヤマ藝術要塞」の実行委員長であり、パワフルなベテラン。
 近年はイタドリを素材とした彫刻に軸足を移している。
 こういう、曲線を主体とした作品を、どんどん制作している。


札幌のアーティスト50人展 (2017~18)
ハルカヤマ藝術要塞2017 FINAL CUT
渡辺行夫 イタドリ彫刻展 (2017)
渡辺行夫「木漏れ紅」 ハルカヤマ藝術要塞 (2011)
旭川彫刻フェスタの公開制作を見てきた (2012)
下町のコレクション展 2(2007)
北海道立体表現展’06 (画像なし)
北海道立体表現展'03(画像なし)

中山峠 森の美術館(2) 渡辺行夫「風紋のしるべ」
渡辺行夫「四角い波」 紋別・ガリヤ地区(2)
石の意
大山山頂園の作品
時空車
ボノボノ
陵線
大山山頂園の作品
大山山頂園の作品
石・穴・弧・ずれ 
大山山頂園の作品

空中分度器 ? 釧路の野外彫刻(14)


 菅原尚俊さん「Godilla の卵 IV ~拝啓アトム様 本当の正義ってなんですか?」。

 菅原さんは1964年生まれ、道展会員。 

 「ハルカヤマ藝術要塞」では、ピザ窯担当というイメージがあるけれど、2011年の大震災以降、「拝啓アトム様」という名を冠した作品を作り続けている硬派な作家でもある。

 黒い球体と、灰色の球体が、ところどころに怪獣の目のように埋め込まれている。いずれも、黒曜石というから驚きだ。
 川原に落ちているときは灰色だが、みがくと、わたしたちが知っているような黒曜石になるとのことだ。


ハルカヤマ藝術要塞2017 FINAL CUT
菅原尚俊「拝啓 アトム様 ここは安全ですか。」 ハルカヤマ芸術要塞
北海道立体表現展’06 (画像なし)
北の彫刻展 2002 (画像なし)


 手前は、出品者最若手である1979年生まれの渡部陽平さん「捩れる形」。

 花崗岩のブロックを重ねて置いたようにも見えるが、このような形に切り出して整形した作品。

 士別でのアーティスト・イン・レジデンスに参加するなど、精力的に活動している。


ハルカヤマ藝術要塞2017 FINAL CUT
渡部陽平「石の彫刻」(2015)
さっぽろ雪像彫刻祭2015
さっぽろ雪像彫刻展 (2014)
渡部陽平「カケラ」 ハルカヤマ藝術要塞


 藤田尚宏さんも1979年生まれ。
 道教大の大学院で学んでいる25歳で、道展の協会賞(最高賞)に輝いている。
 今回の「光を探す」は、大理石、御影石、金属を用いた作品で、上部の金属が、重厚な石と対照的な軽快さを見せている。


首展(2015)
【告知】藤田尚宏彫刻展「意識下のモンタージュ 2」(2011)=略年譜あり
風の中の彫刻展 (2008)
風の中の展覧会 IV (2007)
ひろがるかたち(2007年)
造形展 風の中の彫刻展 (2006)
藤田尚宏「意識下のモンタージュ」 (2005)


2018年4月5日(木)~23日(月)正午~午後6時、火休み
Gallery Retara (札幌市中央区北1西28 MOMA Place 3階)


・地下鉄東西線「円山公園」駅・円山公園駅バスターミナルから約360メートル、徒歩5分
・同「西28丁目駅」から約540メートル、徒歩7分
※円山公園駅は改札と地上の間が長いので、両駅からレタラまでの距離はそれほど違いありません

・ジェイアール北海道バス、中央バス「円山第一鳥居」から約690メートル、徒歩9分
※小樽行き都市間高速バス全便(北大経由除く)と、手稲、銭函方面行きの全便が止まります


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■ 浅井憲一展「美しい影」 (2018年4月4~15日、札幌)

2018年04月11日 23時49分48秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 棒状の鉄を連続させて躍動感のある動物の彫刻を作る、札幌の彫刻家。

 団体公募展には所属せず、おもに個展を発表の場としているため、おそらく最もさかんに道内で個展を開いている彫刻家のひとりだと思います。

 今回は作者の許可を得て、メイン作品の動画を撮影してYouTubeにアップしたので、ご覧ください。30秒です。音声はミュートしたほうがいいです。



 この作品は「弧空」。
 馬をデフォルメして、トルソのように表現しています。あまり写生には重きをおかず、フォルムのまとまりと勢いを優先しているように見えます。

 天井からつるしているので、モビルのように、わずかの風で回転します。それがおもしろいので、動画にしました。


 今回の出品作には、その名も「馬」という、写実的な馬も計9点出品されています。

 ただし、写実的な仕事は作家が心の底から面白がっていたのではないようで、「ストレスがたまってきたので『弧空』を作ったんです」と浅井さんは笑っていました。



2018年4月4日(水)~15日(日)午前11時~午後6時(最終日~5時)、火曜休み
GALLERY 創(札幌市中央区南9西6 @GALLERY__SOU )


□浅井憲一 AZプロジェクト http://www5f.biglobe.ne.jp/~az_asai/

関連記事へのリンク
浅井憲一 トルソー むこうがわの風景 (2016)
浅井憲一作品展 夢の中 (2014)

浅井憲一展-むこうがわの風景 (2013)
【告知】浅井憲一作品展 むこうがわの風景 (2012年7月11~16日、札幌)

浅井憲一「夢の中」 ハルカヤマ藝術要塞

浅井憲一さん、東京の個展報告会(2009年)

鉄 強さとやさしさの間で(2007年、画像なし)
春展-浅井憲一・幸子作品展(2007年)

2004年11月の個展
■同3月の個展(画像なし)
■03年の個展
■02年の個展

「川」 釧路の野外彫刻






・市電「山鼻9条」から約110メートル、徒歩2分

・地下鉄南北線「中島公園駅」1番出口から約380メートル、徒歩5分

・ジェイアール北海道バス「循環啓55」「循環啓55」「循環啓65」「循環啓66」で、「南9条西7丁目」降車、約210メートル、徒歩3分
(ギャラリー門馬近くの「旭丘高校前」から「循環啓55」で直行できます)

・じょうてつバス「南9条西11丁目」から約750メートル、徒歩10分。(快速7、快速8は通過します)

・中央バス「中島公園入口」から約650メートル、徒歩8分

※ト・オン・カフェから約500メートル、徒歩7分。鴨々堂から約650メートル、徒歩8分。HOKUBU記念絵画館から約1.2キロ、徒歩16分。ギャラリー犬養から約1.9キロ、徒歩24分。れんがギャラリーから約700メートル、徒歩9分
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■ 木彫三昧 小笠原み蔵作品展 春・小さな和解… (2018年3月14~19日、札幌)

2018年03月18日 22時42分04秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 個展のタイトルにはいつも「木彫三昧」とつけている札幌の木彫家、小笠原み蔵さんは、プロフィルによると1939年生まれだから、ことしで78歳ということになる。
 それで、年に数度にわたる個展を開いているのだから、驚くべきエネルギーである。

 冒頭画像は、カーリングで、いかにも時宜を得た新作である。
 冬季オリンピックで銅メダルを得たLS北見の選手はもっと美しいぞ―という声が聞こえてきそうだが、小笠原さんはゴリラやブタ、犬を人間くさく彫るのが作風なので、これは大目にみてもらえればと思う。


 お聞きしたところ、小笠原さんは、制作を終えた後で毎日のようにジムに通って体を動かしているらしい。
 昼下がりのジムにはもっと年上の方も来ているというから、さらに驚きである。
 夕方になり帰る時間帯になると、勤めを終えた若い女性たちが来るので、小笠原さんは
「もっと遅く来ようかな」
などと言っているとかいないとか。

 キャビンアテンダントの格好をしたブタ。
 ゴリラの首。
 「見ざる聞かざる言わざる」のサルたち。
 写真にわりあい忠実に彫った忠犬ハチ公。
 塔によじ登るカエルたち…。 

 リアルなのにユーモラスで、どこか人間のような動物たちが、会場にひしめいています。


2018年3月14日(水)~19日(月)午前10時~午後7時
新さっぽろギャラリー(札幌市厚別区厚別中央2の5デュオ2 5階)

□小笠原み蔵の世界 http://www8.plala.or.jp/grain/


西郊の杜 作家三人展 小笠原み蔵、植田莫、屋中秋谷 (2016)

【告知】おがさわら・み蔵 6回目の年おとこ 卯展 木彫三昧(2011年)

おがさわら・み蔵木彫展「ゴン.ありがとう!」 (2010年)

おがさわら・み蔵独展 (2009年11月)

小笠原み蔵・植田莫展(2007年)
CRAFT ON JAZZ (2007年)

道楽三昧 小笠原み蔵(木彫)とこじま陶山(陶芸)の二人展(2006年)

小笠原み蔵・木彫三昧V (2003年)
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■藤沢レオ個展「ある一日、」 (2018年2月1〜27日、札幌)

2018年03月02日 19時39分09秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 苫小牧を拠点に、現代アート、金工、彫刻など幅広い分野で精力的に制作・発表を行う一方、「樽前Arty」としてアートと地域をつなぐ活動にも取り組む藤沢レオさん。
 2月に、札幌の西28丁目駅近くにあるカフェの壁で1カ月間、小品11点による個展を開いていました。

 作品はいずれも、太い針金を曲げてつくった壁掛け型の立体です。
 線を空中に走らせたような、シンプルな美しさが光ります。

 半数は、一部が蛍光ピンクに着彩されています。藤沢レオさんがよく作品に用いる色です。

 冒頭画像、左側は「静かな日ー柱」。
 昨年、茶廊法邑で開いた個展は、大きな驚きを与えましたが(そう言いつつ、ブログに書いていなくてすみません)、それを想起させます。柱を立てることは、旗を掲げることであり、物事に一歩踏み出すことでもあると思います。


 作品名はいずれも「静かな日―●●」というふうに「静かな日」を冠しています。
 出品作品は次の通り。

静かな日―ドア
静かな日―向こうのブランコ
静かな日―はしご
静かな日―イス
静かな日―ドアと部屋
静かな日―ベンチ
静かな日―空
静かな日―斜めのはしご
静かな日―ブランコ
静かな日―柱
静かな日―プール



2018年2月1日(木)〜27日 (火)午前10時~午後8時(日祝~午後7時)、水曜定休
TSURU CAFE ツルカフェ(札幌市中央区宮の森2の5)


http://leofujisawa.com/

平面と立体の交差 ・北広島のコンテンポラリーアート (2017)
北見赤十字病院のパブリックアート 藤沢レオさん
茶廊法邑のリニューアル後を見に行きました(2017)
REIJINSHA GALLERY’S EYE Vol.2 (2017)

紐解く時間 読む時を演出する作品展 (2016)

【告知】樽前arty2015 × 時間旅行/樽前堂 (2015)
【告知】想像の山脈 vol.1(2015年)

ICE HILLS HOTEL - アイスヒルズホテル in 当別 (2014)

札幌アートフェア2013に行ってきました。
【告知】樽前arty2013 アートセンターのある暮らし

【告知】藤沢レオ「森にて、」 (2012)
藤沢レオ「知ル」 ハルカヤマ藝術要塞

【告知】Approach デザインとアートの接近(2011年11月)
記憶の循環(2011年8月)

【告知】藤沢レオ小品展 Le Auction vol.2
500m美術館 (2010年)
アートとの対話~森迫暁夫&藤沢レオの場合~ 鉄筋布張り住宅(2010年9~10月)

水脈の肖像09-日本と韓国、二つの今日 (2009年12月)
■国松希根太・伴翼・藤沢レオ「ある」(2009年3月。執筆途中)

法邑芸術文化振興会企画展〔滲-shin-〕(2008年)
法邑芸術文化振興会企画展〔滲-shin-〕=品品法邑
ART BOX 札幌芸術の森・野外ステージ
藤沢レオ-パサージュ

鉄 強さとやさしさの間で(07年12月、画像なし)
藤沢レオ展(07年)
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■平面と立体の交差 ・北広島のコンテンポラリーアート (2017年11月11~16日、北広島)

2018年01月22日 20時39分18秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 昨年の展覧会ですが、まだ書いていなかったので、簡単に紹介しておきます。

 北広島在住あるいはゆかりの4人によるグループ展。
 上ノ大作、谷口明志、藤沢レオ、武藏未知(藏は蔵の正字)の4氏が出品しています。
 「北広島のコンテンポラリーアート」という副題がついています。この展示内容が果たして contemporary なのかどうかはちょっと留保したい気持ちがありますが、それはあとで書くことにします。

 会場の展示順で、上ノさんと武蔵さんから(以下、藏が機種依存文字なため、新字表記の「武蔵」で表記します。ご諒承ください)。


 上ノさんは北広島に窯を持つ陶芸家。
 ですが「素材による違いはあまり考えない」と言うとおり、土以外の素材にも積極的に取り組んでおり、今回は「竹」です。
 「今回は意外と焼き物っぽい。過程は、手びねりで積み上げていくのと似ています」 

 最近は建築に興味があるといい
「立って半畳、寝て一畳のサイズ。茶室をイメージしてつくった」
と話していました。

 壁にうつる影が美しいですが、作者本人は、そこまで計算していなかったそうです。

 中に入ると、違った眺めが楽しめました。

 これほどまでにスカスカだと、そもそも建築における「外」と「内」とは何だろうと考えてしまいますよね。
 いや、「外」と「内」があるのは建築だけではなくて、たとえば細胞とか生物にもあるのですが。

 そういえば、作品の影からは、当然「虚」と「実」という問題の枠組みが浮かび上がってきます。

 シンプルなように見えて案外、いろいろなことを見る者に考えさせる奥深い作品なのかもしれません。


 武蔵未知さんの「原風景」。

 武蔵さんは小中高校生のとき北広島市西の里で育ったそうです。
 北広島といえば、住宅地のわきの自然豊かな丘陵を思い出すそうで、自分の原風景として、冬の丘陵地で立ち枯れていたオオウバユリがあるそうです。
 オオウバユリは多年草で、開花まで10年以上を要するにもかかわらず、一度花を開くと枯れてしまうとのこと。
 今回はオオウバユリの実からイメージしたそうで、解放感のある空間を生かすような作品を目指しています。

 以上は、会場で行われたアーティストトークの話から。
 ただし武蔵さんは当日欠席したため、谷口明志さんがメッセージを代読しました。

 会場からは
「これまで見た武蔵さんの作品でいちばん生命感、存在感がありびっくりしている」
という声も聞かれました。

 よく見ると、花弁にあたる部分を、天井からテグスでつり下げています。

 以前の武蔵さんは木をダイナミックに使った重厚な彫刻が多かったのですが、ここ数年は軽い素材に活路を見いだしているようです。


 ただ、この2人の作品が、「コンテンポラリーアート」なのかというと、ちょっと首をひねってしまいます。
 要は、従来の彫刻の延長線上にある作品ではないかと思うからです。
 そういう分類自体は作品の良しあしとはまったく関係ありませんし、どうでもいいこととはいえるのですが。


2017年11月11日(土)~16日(木)
北広島市芸術文化ホールギャラリー(北広島市中央6)


ハルカヤマ藝術要塞2017 FINAL CUT
第26回道銀芸術文化奨励賞受賞記念 上ノ大作々品展 (2017年1月)
帯広コンテンポラリーアート2016 ヒト科ヒト属ヒト
上ノ大作 器展 (2015)
、ノ記 上ノ大作作品展 (2014)
木が語る (2014年5月)
防風林アートプロジェクト (2014)
上ノ大作 作品展―森の生活― (2013)
上ノ大作「ムノウノ人」 ハルカヤマ藝術要塞(2011)
あな展(2010年)
花のある暮らし 身近な自然と暮らし(2009年)
新茶を愉しむ 旅する茶器(2009年)
第8回生まれ出ずる土塊展(2008年、画像なし)
第1回「凍土会陶芸展」 (2008年、画像なし)
上ノ大作作品展-陶ト木ト紙ト-(2007年、画像なし)

首展 (2015)
帯広コンテンポラリーアート2016 ヒト科ヒト属ヒト
Largo 武蔵未知彫刻展 (2014)


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■続き・現れよ。森羅の生命― 木彫家 藤戸竹喜の世界 (2017年10月14日~12月17日、札幌)

2017年12月22日 20時24分00秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
承前

 前項が長くなりすぎたので、続きを別項にした。

 藤戸竹喜さんは1934年(昭和9年)、美幌(現オホーツク管内美幌町)生まれ。
 1歳になる前に母親と死別しており、その後、旭川の近文コタンに移る。
 近文の国民学校(小学校)は2年で中退。父親に熊彫りを習うが、図録によると、息子の作って持ってきた木彫りを黙って火にくべるような厳しい指導だったようだ。
 その後、阿寒湖の土産物店で腕を磨き、30歳のときに独立した。


 それから現在に至るまで、図録の年譜を見て、目を引くのは、30代のころ、写実力が認められて旧ソ連政府からレーニン像の制作を頼まれたこと、2015年に北海道文化賞を受けたことなどだろうか。
 レーニン像は、これはまあ当然だと思うが、今回の個展には出ていない。いまでもモスクワあたりのしかるべき施設に行けば、見ることができるのだろうか。

 近年では2014年、JR札幌駅構内に設置された「エカシ像 クリムセ」が有名だろう。
 周囲に配されたものは別人の作だが、これまで展覧会の過半数が道東で開かれてきた藤戸にとっては、札幌圏の人々に存在を認知させる大きな役割を果たしているのではないかと思う。
(※この段落、一部表現を変えました) 

 前項でも書いたが、藤戸氏のあざやかな作品を見ていると、木彫がアイヌ民族の伝統工芸のように思われてくるが、決してそうではない。
 いくらマキリ(小刀)の扱いに習熟しているとはいえ、もともと絵や彫刻を作ってきたわけではない。それを思えば、アイヌ民族が熊彫りをこれほどまでに自家薬籠中のものとしたことについては、驚きを禁じ得ないのだ。
 ここに掲げた画像は、ロブスターとカニ。会場では触れることはできないが、脚も可動式で自在に動くという。
 冒頭から2枚目はオオカミ。

 いったいどんな秘策を用いているのか知りたくなり、第2会場で流れていたビデオ映像をじっと見ていたが、いたってふつうに、木づちでのみをたたいて材木を削っていた。あんな作業から、どうしてあのような精緻かつリアルな質感描写が可能になるのか、皆目見当がつかなかった。
 それよりも、作者がオープンカートに乗って阿寒湖周辺の道路を走っている映像にびっくり。本人は「ストレス解消です」と笑っていたが、どこから見てもまさしく「ちょい悪オヤジ」だ。


 作者がことし83歳ということを考えれば信じがたいのだが、この展覧会のために、19点からなる連作「狼と少年の物語」を新たに作ったというからすごい。
 しかも、1900年前後に滅亡したエゾオオカミと、川で流され、オオカミに救われて育てられた男の子をめぐって展開する壮大なストーリーつきで、映画化できそうなほどだ。
 
 単に波瀾万丈なのではなく、作者の、すでに滅んでしまったエゾオオカミへ寄せる熱い思いが伝わってくるようだ。


 それにしても、と思うのは、作者はリアルな描写を旨とし、安直なキャラクター化やデフォルメ、擬人化などは一切していない。にもかかわらず、冒頭画像の親子熊などがいかにも人間らしく見えてくるのはどうしてだろう。
 赤ちゃん熊は、人間の子のように駄々をこねているわけではないだろうし、母熊も言葉をかけているわけではない。
 しかし私たちは、そこに、人間に共通する母子の愛情の表れを見てしまう。

 なぜだろう。



2017年10月14日(土)~12月17日(日) =前期~11月12日(日)、後期は11月14日(火)~12月17日 午前9時45分~午後5時(入館は午後4時30分まで)。11月3日まで無休。それ以降は月曜休み
札幌芸術の森美術館(札幌市南区芸術の森2)
一般千円 高校・大学生600円 小中学生300円

2018年1月11日(木)~3月13日(火)
国立民族学博物館(大阪府吹田市千里万博公園)



(この項続く)
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■現れよ。森羅の生命― 木彫家 藤戸竹喜の世界 (2017年10月14日~12月17日、札幌)

2017年12月22日 08時08分08秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体

 美術館学芸員が図録の文章に「神技」とか「藤戸に表現できないものはない」「あまりのリアルさに目が釘付け」などという表現を連発していれば、「いくらなんでも大げさでは」と眉をひそめたくなる人もいるだろう。
 しかし、実物の作品を目の当たりにすると、学芸員の大仰な形容もあながち的外れではなく、むしろいくら称賛の辞を書き並べても足りない―という思いを抱くのではないだろうか。
 

 阿寒湖畔に住み、自らを「熊彫り」と称する藤戸竹喜氏の展覧会を見た。キュレーションは、会場の札幌芸術の森美術館の学芸員ではなく、道立近代美術館の主任学芸員で、平易な語り口の文章には定評のある五十嵐聡美さん。他館で展覧会を開くこういうやり方もあるのかと、新鮮な思いを抱いた。
 だが、それ以上に
「こんなすごい彫刻家がいたのか」
と、作品の持つ力に驚かざるを得なかった。
 脱帽だ。


 これまで「アイヌ民族の美術家」というと、誰を措いても、砂澤ビッキの名を挙げたと思う。そのことには異論のありようがない。
 若い頃には団体公募展のモダンアート展に入選していたことからもわかるように、ビッキは、交友関係からみても、いわゆる美術界の中にいたのが明らかなのに対し、藤戸はその手の展覧会に出品しておらず、自らを美術家とか彫刻家と称することも良しとしていないようだ。
 つまり、全道展や道展、新制作展といった、いわゆる彫刻家の世界とは離れた場所で、もっぱらアイヌ工芸の枠組みのなかで活動していたので、幅広い評価が遅れたという側面は否定できまい。

 藤戸のすごさは、とくに芸術や彫刻に明るくない人でも、誰でも一目でわかると思う。
 ひとつは、その材質感の表現であり、もうひとつは、一本の木から彫るという過程が可能にする絶妙のバランス感覚だ。

 バランスや動きでいえば、たとえばこの「鹿を襲う狼」を見れば一目瞭然。
 こんなに後ろ脚を挙げた動物を彫るなんて、鹿と地面が同じ木でなければ、よほど強力な接着剤を用いても困難なことは言うまでもあるまい。
 この画像で右側のオオカミは鹿の首根っこにかみついているけれど、左側のオオカミは、まさにいま走ってきて現場にたどり着いたばかりという様子が後ろ脚から判断できる。

 材質については、五十嵐さんの「木彫であることを忘れさせる」という図録の文には、賛同しつつも、「ちょっと待って」と言わざるを得ない。
 藤戸さんの作品は、着彩を施していないこともあり、たとえば近年はやりの明治の工芸などと異なり、元の材質がわからないような本物そっくりの作品ではない。
 衣服は布にしか見えないし、砂はいかにも砂で、岩は岩で、枯れ木は枯れ木にしか見えないのだが、同時に、それでもなお木彫にしか見えないということが、藤戸作品の神髄なのではないか。


 藤戸の作品ではクマがなんといっても見事だし、数も多いが、人物彫刻も見逃せない。
 フチやエカシの立像が並ぶコーナーは圧巻だ。

 手前は「ふくろう祭り ヤイタンキエカシ像」。
 父親の姿である。次の画像は、背後から見た像。

 木彫であり、しかも生きた人間のようでもある、存在感。

 しかし、古代ギリシャからロダンへと続く西洋彫刻とは明らかに異なる。
 観音像のように、片脚を少しだけ前に踏み出すなど、ギリシャ彫刻の動きの表現を取り入れている部分もあるが。
 むしろ造形は、高村光雲のような日本の彫刻の流れに近いように感じる。
 もちろん「アイヌ民族の彫刻」としか言いようのない部分もあるが、このあたりはうまく言葉にすることができない。

 この圧倒的な、文様の再現力をみていると、この才能はどこからきたのだろうと思ってしまう。

 というのは、彫刻はアイヌ民族にとって昔からなじみ深いものでは決してなく、近代になってから取り組み始めたものであるからだ。白鳳文化、奈良時代からの伝統がある日本民族とはそもそもが異なる。
 にもかかわらず、あたかも昔から脈々と木彫の伝統があるかのように作ってしまえる能力があるというのは、どういうことなんだろう。

 アイヌ民族は、まったく木彫を作らなかったわけではない。
 小さなまじないの品などはこしらえていたし、イクパスイなどの文様に見られるようにもともと刃物の扱いにたけていたのは間違いない。

 それにしても、藤戸氏の、職人のような手業を見るにつけ、やはり不思議だなあと思うのだ。


2017年10月14日(土)~12月17日(日) =前期~11月12日(日)、後期は11月14日(火)~12月17日 午前9時45分~午後5時(入館は午後4時30分まで)。11月3日まで無休。それ以降は月曜休み
札幌芸術の森美術館(札幌市南区芸術の森2)
一般千円 高校・大学生600円 小中学生300円

2018年1月11日(木)~3月13日(火)
国立民族学博物館(大阪府吹田市千里万博公園)


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■(1) ハルカヤマ藝術要塞2017 FINAL CUT (6月11~18日、小樽)

2017年06月23日 21時47分16秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 最後の開催となった「ハルカヤマ藝術要塞2017」ファイナル・カットの様子を、6回に分けて紹介します。

 これまで、帯広コンテンポラリーアートの紹介も終わっていないし、ハルカヤマ藝術要塞についても、きちんとアップしているのは第1回だけで、かなり気が引けます。
 しかも今回は過去の「ハルカヤマ」に比べると、人数、作品サイズとも小規模です。
 とはいえ、言い訳ばかりならべていてもしかたないので、さくっと作品の画像をアップしていきます。


 上ノ大作「帰郷」。

 上ノさんは北広島の陶芸家。
 ですが、あまり素材には拘泥せず、地面に穴を掘ったり、木を使った立体を作ったりもします。
 ハルカヤマには2015年も出品。

 今回の作品は、木材の節などをたくみに生かしています。

 ただ、純粋に造形を見るとおもしろいのは確かなのですが、置物とアートを分かつものとはいったいなんだろうと、問いたくなってきます。


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第8回生まれ出ずる土塊展(2008年、画像なし)
第1回「凍土会陶芸展」 (2008年、画像なし)
上ノ大作作品展-陶ト木ト紙ト-(2007年、画像なし)


 渡部陽平「ある石からの考察」

 シンプルな石の抽象彫刻をつくる、恵庭在住の渡部さん。

 今回の出品作家ではほとんど唯一、作家のステイトメントが展示してあったので、引用します。

作品解説
 左の丸い石は、伊達冠石という地中で丸い石として形成される石を型取りしたものです。
 この石が自らの力で作り上げた形と対話しながら、右の石を彫り上げました。
 この石という存在を考えながら過ごした時間がこの作品だと思っています。

 右にある池の中や周りにある石を積んだものが、ハルカヤマ芸術要塞で作り上げた過去の作品です。この池との対話の中で生まれた作品です。

この同じプロセスの中で出来た二つの作品から 対話の時間と思考を感じて頂けたら幸いです。


 上の解説で「右にある」とあるのは、2013年の作品だと思います。

 ハルカヤマ藝術要塞が、短いながらも歴史を刻んできたことに、あらためて思いをいたすことになる作品です。
 ハルカヤマには2011年から毎回出品しています。


渡部陽平「石の彫刻」(2015)
さっぽろ雪像彫刻祭2015
さっぽろ雪像彫刻展 (2014)
渡部陽平「カケラ」 ハルカヤマ藝術要塞



 中村修一「Emerge」。

 中村さんは札幌在住。
 陶芸家だが、うつわは展覧会には全く並べず、オブジェやインスタレーションのみを発表するめずらしいタイプ。
 
 似たような大きさの物体を密集させて並べるのは、2015年の個展の際とよく似たアプローチです。
 ハルカヤマは前回に続き2度目。


中村修一展 (2015)
New Point vol.7 (2010)
中村哲泰おやこ展 八子晋嗣 中村修一 八子直子 (2009)
New Point(2004年)
中村修一・前川アキ二人展(2003年)
友野直実・中村修一展(2002年)
お正月展(2002年)




 浅井憲一「軟虫」と、菅原尚俊「Godzilla の卵 ~拝啓アトム様 10万年は無理です!~」。

 浅井さんは金属、菅原さんは石を素材とする彫刻家で、札幌在住。
 2人ともハルカヤマは皆勤です。

 菅原さんは大震災以降、原発や核に対し遠回しに疑問を投げかけるタイトルを有した作品を出品しています。
 また、ハルカヤマでは毎回、ピザ窯を設置して、ピザを振る舞うのが名物になっていました。

 
菅原尚俊「拝啓 アトム様 ここは安全ですか。」 ハルカヤマ芸術要塞
北海道立体表現展’06 (画像なし)
北の彫刻展 2002 (画像なし)


□AZプロジェクト http://www5f.biglobe.ne.jp/~az_asai/

【告知】イキノ アリカ 浅井憲一作品展 (2017年5月)
浅井憲一 トルソー むこうがわの風景 (2015)
浅井憲一作品展 夢の中 (2014)
浅井憲一展-むこうがわの風景 (2013)
【告知】浅井憲一作品展 むこうがわの風景 (2012)
浅井憲一「夢の中」 ハルカヤマ藝術要塞(2011)
浅井憲一さん、東京の個展報告会(2009年)
鉄 強さとやさしさの間で(2007年、画像なし)
春展-浅井憲一・幸子作品展(2007年)
2004年11月の個展
■2004年3月の個展(画像なし)
■03年の個展
■02年の個展

「川」 釧路の野外彫刻



 梅田マサノリ「ココハルカ―ソコトカチ」

 梅田さんは帯広から、ハルカヤマには毎回出品しています。十勝の現代アートシーンを切り盛りする一人。

 今作は、巨石の上にY字型の枝が乗っかっているような部分と、Y字型の枝が自立しているような部分の、二つからなっています。

 梅田さんはギャラリーRetara でドローイング展を開催中です。


防風林アートプロジェクト(2014)
*folding cosmos 2013 「松浦武四郎をめぐる10人の作家達」
置戸コンテンポラリーアート (2012)
【告知】梅田マサノリ展 「記憶を探す通路」 Looking for Memories (2012年6月1~13日、札幌)
梅田マサノリ「透明な風景」 ハルカヤマ藝術要塞
梅田マサノリ展「マニノ・アル・シツナイ」 (2010年)
Scenery of cell 細胞の風景 梅田マサノリ個展(2008年)
アジアプリントアドベンチャー(2008年)
とかち環境アート(2003年)


 楢原武正「大地開墾 2017-6」

 楢原さんは札幌在住。廃品を素材にした巨大なインスタレーションで知られますが、今回は、くぎをびっしりと打ち付けた物体が地面に転がっていました。


楢原武正展  墨による日の出等々の作品発表(2017年1月)
モーション/エモーション 活性の都市 (2016年1~3月、画像なし)
楢原武正展 大地/開墾 黒い種をうえる (2015)
楢原武正展 大地/開墾<2014-1> 大通美術館にて黒い種子をうえる



6月11日(土)~18日(日)午前10時~午後5時(入場~4時)

□公式ツイッターアカウント @chmbunocha3i
□公式 Facebook ページ https://www.facebook.com/harukayama2015/?ref=hl

おもな過去記事へのリンク
【告知】ハルカヤマ藝術要塞2017 〔ファイナル・カット〕
【告知】ハルカヤマ藝術要塞 2015
【告知】ハルカヤマ藝術要塞2013

ハルカヤマ藝術要塞2011


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■加藤宏子彫刻展 (2017年5月31日~6月18日、札幌)

2017年06月19日 22時04分57秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
(ギャラリーの許可を得て撮影しています)

 先ごろ、第2回「本郷新記念札幌彫刻賞」に選ばれたばかりの、札幌の彫刻家、加藤宏子さん。
 控えめな性格なのか、授賞式の席上でも触れていなかったのですが、じつはギャラリーミヤシタで個展を開いていたのでした。
 案内はがきも、筆者が見た範囲では市内の画廊でも会期後半に少し出回ったぐらいなので、知らなかった人が多いのではないかと思います。


 見ることができずに悔しがっている人たちのために、いくらかなぐさめになるかもしれないようなことを言うと、今回のメイン作品は、ことし1月にギャラリーエッセで開かれた「いのちのかたち…かもしれない展」と同じものです。
 ただし、1月には、会場の中央に立てていたものを、今回は傾けて設置しており、受ける印象はかなり異なります。

 素材は手すきの紙ですが、紙とは思えない強靱きょうじんさを感じさせます。
 花に似た形状の中央と、作品周辺には、小石をちりばめています。


 1階には、メインの作のほか、壁掛けタイプが3点ありました。

 いずれも、題の表記などは見当たりませんでした。


 意表を突かれたのは2階です。
 「あかり」が3点、展示されていました。

 加藤さんのつくりだす有機的なフォルムは、あかりとの相性が良いのです。

 いまは白熱電球ではなく、LED(発光ダイオード)が使われているので、過熱の心配も以前ほどはいらないとのこと。
 ミヤシタさんによると、北海道新幹線の木古内駅にも、加藤さんのあかりが使われているとのことで、これは一度見に行かなくては。

 本郷新賞に決まってますます多忙を極めると思いますが、なにとぞご自愛のほどを。


2017年5月31日(水)~6月18日(日)正午~午後7時(最終日~午後5時)、月曜休み
ギャラリーミヤシタ(札幌市中央区南5西20)


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いのちのかたち…かもしれない展 (2017年1月)
加藤宏子彫刻展 (2016)
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加藤宏子彫刻展 (2013)

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【告知】加藤宏子彫刻展 (2011)

劉連仁生還記念碑
加藤宏子個展(2010)

New Point vol.6(2009)

加藤宏子展(2008)

造形展・風の中の展覧会(2006)

加藤宏子彫刻展(2004)

北海道立体表現展(2003)
加藤宏子彫刻展(2003)
02→03展
リレーション夕張2002
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■國松明日香の今日展 (2017年5月18日~6月13日、札幌)

2017年06月01日 23時08分12秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
notice : All photographs are permitted by the gallery.


 「三昧ざんまい」という語がある。
 古代インドで用いられたサンスクリット語に由来し、一心不乱に夢中になるような状態をさす。
 道内を代表する彫刻家のひとり、國松明日香さん(札幌)の個展会場で脳裡に浮かんだ語が、この「三昧」だった。まさに「彫刻三昧」と形容したくなるような境地がそこにあると思ったからだ。


 近年になって國松さんは、エスキスを描かなくなったという。
 金属の板や棒をそのつど溶接して、組み立てていく。あらかじめ描いた設計図に沿って作り上げていくのではなく、即興的にくっつけていくのである。

 作風は以前と大きくは変わらない。
 それでも、筆者には
「自由になったなあ」
という感じが、強くある。
 今回の自由闊達さから比べると、以前の作品にはどこか優等生的なところが残っていたのだと思う。
 それが、今回の個展では、仕事を離れ、子育ても一段落し、好きなだけ制作に取り組めているよろこびが、ひしひしとつたわってくる。

 國松さんの彫刻は、抽象といえば抽象だが、水や風の流れ、星座といった自然界のモティーフに着想を得ている。
 自然をそのまま描くのではない。そのエッセンスを、たくみに、線と面のリズムで表現しているのである。
 だから、國松さんの彫刻を見ていると、ゆるやかに流れる花筏や、強弱をつけながら吹く微風を思い出す。そして、いつまでもその中で、たゆたっていたくなるのである。



 國松さんは1947年、小樽生まれ。
 父は、北海道を代表する画家として活躍した国松登であり、また長男の希根太さんも美術家として活躍中だ。
 東京藝大に学び、はじめは版画の分野で海外の賞を受賞するなど頭角をあらわした。札幌に戻ってからは、金属彫刻の分野で活躍。1980年代後半以降は道内各地にパブリックアートが設置された。
 彫刻家集団「CINQ(サンク)」のひとりとして、石山緑地(札幌市南区)の造成に貢献した。
 2008年には札幌市芸術の森美術館が大規模な個展を企画・開催している。 


2017年5月18日(木)~6月13日(火)午前11時~午後7時(最終日~午後5時)
グランビスタギャラリー サッポロ(中央区北1西4 札幌グランドホテル1階ロビー)

http://www.asukakunimatsu.com/
※FLASH Player がないと見られません

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目で楽しむ音楽展 (2015、画像なし)

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■「雪だるまをつくる人」
■「移ろう月」
■「MUSE」
■「北の翼」



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■畑江俊明個展 swinging with…/揺れるモノたちと… (2017年3月17~23日、札幌)

2017年03月22日 23時40分12秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 札幌のデザイナー、畑江俊明さんが、昨年8月のギャラリー門馬アネックスに引き続いての個展を開いています。

 フレームワイヤを熔接したり、折り曲げたり…。
 それらを自立させたり、天井からつるしてモビールにしたりして、いかにも遊び心いっぱいの作品が並んでいます。

 「モダンな会場なので色を塗ってみました。好きな色ですけど」
と、はにかむように笑う畑江さん。
 幾何学的なかたちが並ぶなかに、「サービスで」(畑江さん)雲の形をしたモビールも浮かんでいます。
 自宅に熔接機を買って、次々と制作しているそうです。

 壁際には、さまざまな形を正方形の支持体に取りつけたものも並んでいます。天地左右は自由なのだそうです。


 彎曲した壁には、正方形のフレームを途中で曲げたかたちの作品が掛けられています。
「どこで折るかで(かたちが)変わってくるんですよ」



 シンプルで、わかりやすい畑江さんの作品ですが、見ようによっては高度な問題意識をはらんでいるといえなくもありません。
 たとえば、家のかたちをしたフレームがありますが、奥行きをななめに表現することで、わたしたちはついそこに透視図法を読み取って、家を立体的に見てしまいます。たんに輪郭線がななめになっているだけで、そこに立体の家がないことは明らかなのですが、人間の視覚のおもしろさです。



 会場では、動物をかたどった木の置物や、マッチ箱に収めたマグネット、○△□を組み合わせた「解けない知恵の輪」なども求めやすい価格で販売しています。


2017年3月17日(金)~23日(木)午前10時~午後6時
GALLERY kamokamo(札幌市南区真駒内幸町1)

ワークショップ・マスタード

つながろう2016 Hard/Soft
Six in October (2013)




・地下鉄南北線「真駒内駅」から約720メートル、徒歩10分
・じょうてつバス、中央バス「南区役所前」から約200メートル、徒歩3分 (芸術の森からの帰路、この停留所で降りると近いです)
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■渡辺行夫 イタドリ彫刻展 (2017年2月17日~3月12日、札幌)

2017年03月11日 15時28分08秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
(3月12日夜、画像を追加しました。ギャラリーの許可を得て撮影しています)

 渡辺行夫さんは1950年生まれの彫刻家。
 地元・小樽市銭函に近い春香山で、2011年から隔年で開かれている大規模な野外美術展「ハルカヤマ藝術要塞」の実行委員長を務めてきました。
 実作面でも、故郷の紋別市にたくさんの野外彫刻(このページ下方のリンクを参照)にあるのをはじめ、洞爺湖ぐるっと彫刻公園に設置された「風待ち」で本郷新賞を受賞するなど、石彫の分野では道内を代表する存在といっていいでしょう。

 その渡辺さんがあらたに選んだ素材が、イタドリです。
 これ、大正解だと思いました。

 渡辺さんはハルカヤマの現場にはえているイタドリを見て、その生命力に目を見はったといいます。
 イタドリは道内の山野や空き地にふつうに生えている草です。
 5月初めぐらいまでは影も形もないのですが、5月末から6月ぐらいになると、すでに人の背丈ほどにも伸びています。
 あきれるほどの成長ぶりですが、9月の声を聞く頃には元気がなくなり、10月にはすっかり枯れて、山火事の跡のような茶色の姿をさらしています。

 毎年これを繰り返しているのですから、無駄なエネルギーとしかいいようがありません。
 同じ「バカ成長エネルギー仲間」としては、フキという植物がありますが、あれは食用になります。イタドリも、じつは食用になるらしいですが、実際にはあまり利用されているとは言えず、今のところは、なんの役にもたたない成長力を発揮しているだけの存在です(少なくても人間にとって)。

 この、無料で手に入り、無尽蔵にあるイタドリを、渡辺さんは当初、数ミリのチップ状にして、素材としていました。
 今回、本物とマケット(小形の模型)が展示されている「Power on Plant B」(手前右)などがそうです。
 この作品は、鹿島建設が主催する「第14回 KAJIMA 彫刻コンクール」の最終選考8点に残りました。

 続いて渡辺さんは、チップをといて粉にして、素材としました。
 昨年の帯広コンテンポラリーアートで発表した「擬態植物」をはじめ、多くの作品がこの素材で仕上げられています。
 ちょっと見た感じでは、コルクボードや厚紙の風合いに似ています。
 書き忘れましたが、チップも粉も、まずはじめに発表スチロールで形を作り、その外側に貼り付けていくという手法です。粉のほうは、パイ生地の上にぺたぺたと塗って整形していくようなあんばいなのだそうです。
 最後にサンドペーパーをかけて、表面を整えます。

 それにしても、こんなユーモラスなかたちをどんどん作っていく渡辺さんは、根っからの彫刻家なんだな~と思います。
 画像の手前は「立ち尽くす記憶」、奥に、床置きされているのは「横たわる記憶」。根のようなものが複雑にからみあっています。
 こういうニョロニョロした形状は自然にできていってしまうらしく、洞爺湖畔や紋別沿岸の作品はむしろ例外的にお行儀の良いものといえるかもしれません。

 加工しやすく、軽くて運搬も容易な、ユニークなイタドリ彫刻ですが、今のところ屋外に出しっぱなしというわけにはいかないとのこと。
 このほか、小品や、イタドリ製帽子、発表スチロールに絵を描いた平面作品もありました。
 ともあれ、渡辺さんの衰えぬ創作意欲には脱帽です。


2017年2月17日(金)~3月12日(日)正午~午後6時、火休み
ギャラリーレタラ(札幌市中央区北1西28)


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