北海道美術ネット別館

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■秋山知子展 のはらのころ(2020年6月24日~7月12日、札幌)

2020年07月11日 12時40分00秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 秋山知子さんは、筆者の記憶に誤りがなければ札幌の道展会員で、道展には人物彫刻を出品しています。 
 正統派の裸婦というよりは、どこか素朴な雰囲気を漂わせる人物像をつくるという印象がありますが、難解な作品ではありません。

 ところが個展では、前回(2018年)から、ガラスによる小品を発表し始めました。
 道立近代美術館で開かれたガラスの展覧会で、扇田克也さんの作品などを見てあこがれたのがきっかけだそうです。近年になり、鋳造ガラスを手がける講師が札幌に転居してきたため、本格的に始めるようになりました。
 FRP による人物彫刻をやめてしまったわけではないとのこと。

 題名のない27点。
 うち12点は、ご本人が「山」とおっしゃる、山岳のかたちをした作品。
 あとは、首や、シンプルな人物。
 すっかり透明なものもありますが、うっすら緑や黄色の着彩がほどこされたものが多いです。

 ガラスという素材のあたたかみと、やさしい色合いがじゅうぶんに生かされています。
 立体ですから、角度によって見え方が違ってくるのは当然なのですが、光の入り方による色の変化も楽しめます。

 時として小さい作品は趣味的・手すさび的な感覚を与えることがありますが、秋山さんの作品は、小さくても堂々としているというか、広がりをもっていると思います。手の中に入れていつくしみたいぐらいかわいいのに、スケール感もちゃんとあわせもっている作品です。
 人物と、ちいさい抽象とを、おなじ台の上に載せている作があり、物がふたつあるとなにがしかの空間のドラマが生まれてくるのが興味深かったです。


2020年6月24日(水)~7月12日(日)正午~午後6時(最終日~5時)、月・火曜休み
ギャラリーミヤシタ(札幌市中央区南5西20 www.gallery-miyashita.info )


関連記事へのリンク
22時の庭 秋山知子彫刻展 (2015)

(以下、画像なし)
秋山知子展 「しずかにわたす」(2004)
第77回道展 (2002)
さっぽろ美術展(2001)




ギャラリーミヤシタへのアクセス(西18丁目駅からの道順)

・地下鉄東西線・西18丁目駅から約690メートル、徒歩9分


・市電「西線6条」から約820メートル、徒歩11分。同「西15丁目」から約1キロ、徒歩14分(「西15丁目」電停は、地下鉄東西線「西11丁目」「西18丁目」で乗り継ぎができます)

・ジェイアール北海道バス「53 啓明線」(JR札幌駅、大通西4-西11丁目駅-啓明ターミナル)で「南3条西20丁目」降車、約330メートル、徒歩5分
・ジェイアール北海道バス「51 啓明線」(同)で「南6条西16丁目」降車、約580メートル、徒歩8分

・ジェイアール北海道バス「循環啓55」「循環啓56」「循環啓65」「循環啓66」で「旭山公園通西18丁目」で降車、約650メートル、徒歩9分
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■山田大揮×小田原のどか―2020年2月6~8日は13カ所(10)

2020年03月07日 20時10分38秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
(承前。画像は2階の小展示室)

 今回(って、もう1カ月近くたちますが)の札幌行きの大きな目的の一つは、山田大揮さんの個展で行われる、小田原のどかさんとのトークイベント「<制作>行為に潜在する加害姓」に足を運ぶことでした(もう一つは、札幌国際芸術祭2020の記者発表で、このふたつが日程的にそろったことから札幌に帰省することにしたのです。異動後、夏休みと年末年始以外では初めて私用でオホーツク管内を離れたのでした)。
 小田原のどかさんは東京拠点の彫刻家です。これまで何度かこのブログで言及してきたので詳細は下のリンク先に譲りますが、筆者がいちばんすごいと感じているのは、彫刻をめぐる日本語の言説の在りようを根底から覆した論者の一人だというところです。彫刻を論じる言葉はロダン受容開始からこのかた、マッスやボリュームといった造形の観点ばかりに費やされてきた感がありますが、小田原さんは、社会や歴史のなかに在る彫刻を論じています。さまざまな媒体に執筆するだけでなく、自分で彫刻の論集を編集・出版するなど、実践の幅をどんどん広げています。
 そういう気鋭の書き手が、北海道教育大の集中講義で来道するタイミングで、トークイベントに登場するというのですから、これは駆けつけないわけにはいきません。

 山田大揮さんの設定したタイトルを見ると
「ううむ」
と、腕組みをして考え込んでしまいたくなりました。この理屈を純粋に突き詰めていくと、あらゆる制作行為は地球にやさしくなく、すべての人に快いわけでもなく、加害性を帯びているということになり、創作・表現行為を断念してしまうことにつながってしまいかねないからです。
 山田さんは
「リサーチベースも収奪的な面があると思う」
と言います。
 「自分がいいように使うということに葛藤がある」

 それに少し関連して、彼の発言でちょっとおもしろいな、と思ったのは
「名言が嫌い」
というものでした。
 ひとり歩きすることで、文脈から切り離されてしまう、というのです。
 なるほど。
(アプロプリエーションやカットアップを椹木野衣さんは推奨したけれど、文化的メインストリームに対してそれを行うことと違い、相手によっては文化盗用になってしまうもんなあ)
 このとき筆者がぼんやりと思い出していたのは、スイスの映画監督アラン・タネールが1975年に撮った「ジョナスは2000年に25歳になる」というフィルムで、この中で革命に目覚めた或るブルジョアはまず、革命党から金言やことわざによって世の中のことを学ぶという筋書きになっていました。

 すみません。どうでもいい話でした。
 ニコラ・ブリオーの「関係性の美学」をめぐって、いつまでたっても邦訳が出ないのに、「関係性の美学」ということばがなまじキャッチーなために、ひとり歩きしてさまざまに解釈されているという山田さんの指摘は、なるほどと思いました。たしかに今世紀に入ってからの日本の現代アート業界ではひとつの大きなトピックになっている感がありますが、人口に膾炙したフレーズのわりには、内実がよくわからないうちに、「地域アート」がどうこうと、派生的な話題が盛り上がっているような感もあります。

 さて、小田原さんも、自身の活動についてさまざまに語っていました。そのなかで、いちばん印象的だったのは、日本は切腹文化というか、失敗したらもう終わりという色合いが強い。民主主義社会は誰が声をあげてもいいし、批判があるのは当たり前で、そこで着地していくしかない。つまずいたらおしまいじゃなく、「つまずきの内実にこそ価値がある」―という趣旨のことでした。
「過去をときほぐすことで未来につなげていく、それを私はしたい」

 とても美しいし、良い言葉だと思います。
 歴史修正主義がはびこっている今だけに。

 戦争から70年以上を経て、関係者の方々が次々と鬼籍に入ってしまう。
「みないなくなってしまってからが重要」
というようなことも言っていました。「あったこと」を語り継いでいくのは、後の世代の責任です。

 あと、山田さんの作品に、キュンチョメさんの影響をみてとったのはさすがだと思いました。


(ところで、いま小田原のどかさんのツイッターアカウントを見たら、フォロワーが4500を超え、筆者のフォロワー数(3月5日現在で4691)に迫っているのでびっくり。筆者と相互フォローした時点ではフォロー、フォロワーとも100か200ぐらいだったと記憶しています)


□小田原のどかさんのツイッター @odawaranodoka
□公式サイト http://odawaranodoka.com/

□twitter @_yamadahiroki


関連記事へのリンク
小田原のどか ↓(1923ー1951)  あいちトリエンナーレ:2019年秋の旅(66)
小田原のどか あいちトリエンナーレ:2019年秋の旅(65)
2018年に読んだ本(1) 『彫刻 SCULPTURE 1 彫刻とは何か』(小田原のどか編著、トポフィル)


山田大揮個展「あなたは石を見ている 石はあなたを見ていない」
500m美術館vol.28 500メーターズプロジェクト006 「冬のセンバツ」〜美術学生展〜 (2019)
塔を下から組む―北海道百年記念塔に関するドローイング展 (2018)
七月展 北海道教育大学岩見沢校 美術文化専攻の学生による自主制作展 (2018、画像なし)


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本郷新「無辜の民」をもう一度見に来た―2020年2月6~8日は13カ所(20)

2020年02月12日 09時18分54秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
(承前)

 3連休の最終日は、2月12日で終わる「無辜の民」展を、本郷新記念札幌彫刻美術館でもう一度見ることにしました。
 いろいろ迷った末の選択でしたが、8日に学芸員によるスライドトークが午前11時からあったためです。

 ところが、地下鉄の接続が悪い上、円山公園駅でタクシーをつかまえるのに苦労し、10分以上遅れて美術館に着きました。
 ふだんはそもそもタクシーにほとんど乗らないのです。たまに乗るときも、駅を出たらわけもなくつかまえることができました。
 大雪の影響で札幌の道路が狭くなり、タクシーの回転も悪くなっていたのでしょう。
 オフィシャルの「タクシー乗り場」がバスターミナルのそばにあり、そこで乗ることができました。
 しかし、タクシーというのは、歩くのが容易でない人や歩きたくない人が利用するものだと思います。改札口からこんなに遠い場所に「乗り場」を設けているのは、いかがなものかと思います。


 話がそれましたが、どうも、筆者が間に合わなかったトークの前半部分がおもしろかったようでした。

 学芸員氏は、彫刻家の國松明日香さんに、東京藝大の学生として東京に住んでいた1970年当時のことを尋ねたそうです。
「國松先生、そのころは飛行機が飛ぶ版画とかを作っていて、彫刻にはあまり興味なかったんじゃないですか?

と筆者が冗談交じりに言うと、やはり「もの派」の展覧会には足を運んでいても本郷新の個展は見ていなかったとのことでした。

 スライドトークは、昔の貴重な写真なども見ることができて興味深かったです。


 「油田地帯」「ヨルダンの人」「メコン河」などという副題のついた作品群や、「風雪の群像」のエスキースを、もう一度見ました。
 1960年代末は、ベトナムの戦火がインドシナに拡大するとともに、中東でも大規模な戦争が起き、またアフリカでは、飢餓に苦しむ人が大勢出たビアフラの内戦などがありました。
 しかし、イラクの現状などを見ても、2020年の今とくらべて戦争が多かったとはいえないかもしれないのです。確かなのは、日本人の、海外での戦火に対する関心が低下しているということでしょう。

 彫刻は、特定の誰かを表すことができますが、特定の誰でもない像として存在することもできます。
 世の中の大多数の人は、名前も広く知られないまま生まれ、そして死んでいきます。そういう、たくさんの無名の人々を象徴的に表象しているのが「無辜の人」シリーズなのかもしれないなと、あらためて感じました。

 本郷新は、彫刻はお金持ちの庭や美術館にあるだけではいけない(大意)という思いから野外彫刻のパブリックな空間への設置を積極的に進めていったと、スライドトークで聞きました。
 たくさんの無名の人々の拠金でつくられた彫刻は、そういう無名の人々ひとりひとりの像でもあるのでしょう。


2019年11月15日(金)~2020年2月12日(水)、月曜日、年末年始(12月29日~1月3日)休み。ただし、1月13日(月祝)は開館し、14日(火)休館
本郷新記念札幌彫刻美術館 本館(札幌市中央区宮の森4の12)

□Facebook https://www.facebook.com/inmyroomsapporochobi
□twitter @sapporochobi

一般 300(250)円、65歳以上 250(200)円、高大生 200(100)円、中学生以下 無料
かっこ内は10人以上の団体料金



本郷新記念札幌彫刻美術館への行き方(アクセス)
本郷新記念札幌彫刻美術館からの帰り方


・地下鉄東西線「西28丁目」駅で、ジェイアール北海道バス「循環西20 神宮前先回り」に乗り継ぎ、「彫刻美術館入口」で降車。約620メートル、徒歩8分

・地下鉄東西線「円山公園」駅で、ジェイアール北海道バス「円14 荒井山線 宮の森シャンツェ前行き」「円15 動物園線 円山西町2丁目行き/円山西町神社前行き」に乗り継ぎ、「宮の森1条10丁目」で降車。約1キロ、徒歩13分

・地下鉄東西線「西28丁目」「円山公園」から約2キロ、徒歩26分

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■本郷新と「無辜の民」(2019年11月15日~20年2月12日、札幌)

2020年01月28日 18時03分12秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 本郷新の「無辜むこの民」といえば、石狩の海岸にある晩年の大作が知られているが、それより前の1970年、「無辜の民」シリーズとして小品15点が制作され、東京・銀座の画廊で発表された。今回の展覧会は、それをまとめて展示するとともに、石膏せっこう原型や、さらに旭川・常盤公園に設置された「風雪の群像」の模型も展示している。

 筆者はこの展覧会を2019年の道内ベストワンに推したが、最大の理由は、1960年代末から70年にかけての社会と文化の激動を少しでもふりかえった展示として、道内で他に例のないものだったからだ。
 この3年間ほど、欧米や東京などの美術館ではあの時代を振り返る企画が相次いだ。半世紀の節目であることを思えば当然だろう。だが、北海道では全くといっていいほどそのような動きがなかった。その意味で、この「無辜の民」展は、貴重な存在といえるのだ。

 ベトナムなどインドシナで米国の本格的な介入により戦火が拡大し、中東でも戦争が起きたこの時代。日本や欧米でも反戦運動が高揚し、もともと「ヒューマニズムの彫刻家」といわれていた本郷新もその動きに影響された面もあるだろう。「油田地帯」などの副題はそれを物語っている。

 ただし、ここに提示されているのは、遠い国のひとごとの問題(だけ)ではない。


 布でぐるぐる巻きにされた人物は、ベトナムや中近東の人のみを表象しているのではなく、日本でも、高度経済成長の陰で苦しい生活を強いられたり公害被害に遭ったりする人々を視野に置いていただろう。
 いや今も、差別を受ける女性や外国人や苦境に陥る高齢者や障碍者などが、まるで減る気配がない。そういう人たちに対するいたわりのやさしい「まなざし」を、この連作からは感じ取ることができる。

 別の言い方をすれば、この作品は半世紀前の流行に乗した作品というよりも、ある種の普遍性を備えたものだといえるだろうし、また人間疎外も貧困も抑圧も差別も一向になくならない現実があるともいえる。
 さらに、遠い外国の争いをテーマにした連作を、開拓期に苦労した人々の作品に横滑りさせることができたのも、そのまなざしのゆえだろう。
 
 それにしても、束縛された人物像のなんと痛々しいことか。
 小田原のどか編著『彫刻 1』に、題名さえ変えればどんな内容でも表象してしまう彫刻という形式の弱点について触れられていたが、とりあえずこれらの連作に「希望」とか「勇敢な兵士」といったタイトルをつけることが不可能なのは明らかだろう。
 その意味でも本郷のこれらの作品は、底の浅いヒューマニズムや平和思想とは一線を画しているといえるのではないだろうか。



 会場には、旭川・常盤公園に設置された「風雪の群像」のマケットも置かれている。
 この像をめぐるいきさつについては、同美術館のサイトのこちらのページを読んでもらいたいが、1970年に構想が公表されると、アイヌ民族を下にみるものではないかという論争が巻き起こり、72年に爆破された。現在、同公園にある作品は77年に再設置されたものである。

 気に入らない作品を破壊するという行為が許されるものでないことは言うまでもあるまい。
 しかし、ここで本郷は、造形上の理由から作品の変更を拒否しており、造形が他の要素に優先するのは芸術家として当然であると信じているフシがあるが、それは本当に正しいのだろうか。
 ここには、昨年の「あいちトリエンナーレ2019 表現の不自由展・その後」をめぐる騒動につながる論点が含まれている。

 もうひとつ付け加えるならば、この爆破時間は、日本の芸術家に、アイヌ民族について
「さわらぬ神にたたり無し」
とでもいうべき態度を蔓延させるという「効果」があったのではないかと、筆者は推測している。
 砂澤ビッキが無名だった当時にあって、この行為は、アイヌ民族が誰によっても表象されにくくなったという効果を持ち得てしまったのではないかという気がする。
 もっとも、そのことの良し悪しについては、ここでは論評を差し控える。


 半世紀前の激動については、当ブログでも何度か述べているが、いくら強調してもしすぎということはないだろう。

 パリでは五月革命が勃発し、東京・神田の路上にはヘルメット姿の学生があふれ、東大の安田講堂が新左翼学生に占拠され、世界各国でベトナム反戦運動が高揚した。サイケデリックロックやプログレッシブロックが勃興して、伝説の野外ロックフェスティバル「ウッドストック」が行われ、新宿の花園神社では境内に唐十郎がテントを張って演劇を上演し、ゴダールは五月革命の最中「シネトラクト」(映画によるアジビラ)を撮る一方でカンヌ映画祭に乱入してこれを中止させた。「現代詩手帖」には500行以上ある長詩がどんどん掲載され、福島泰樹や道浦母都子はバリケードの中の感情を短歌にこめた。King Crimson の『クリムゾン・キングの宮殿』や、Miles Davis の『ビッチェズ・ブリュー』、Ping Floyd『原始心母』など、音楽の歴史に残る傑作がほんの数年の間におびただしく発表されている。
 美術の世界でも、「もの波」やランドアートが話題になり、伝説の写真誌「PROVOKE」が出た頃だ。
 政治と芸術の熱い季節は1971年あたりから急速に終わりに向かったのだった。

 当時の学生新聞をめくると「入管体制打破!」というスローガンがおどっていることからも分かるように、この半世紀の日本は、一面において驚くほど変化していない。今も入国管理の現場では外国人へのひどい取り扱いが問題になっている。
 全共闘をノスタルジックに回顧するのは芸がないが、かといってあの時代の異議申し立ていっさいを、何事もなかったかのように水に流してしまう日本社会というのも、異常だ。
 本郷新の彫刻は、わたしたちの社会の「変わりばえのなさ」を告発しているのかもしれない。


2019年11月15日(金)~2020年2月12日(水)、月曜日、年末年始(12月29日~1月3日)休み。ただし、1月13日(月祝)は開館し、14日(火)休館
本郷新記念札幌彫刻美術館 本館(札幌市中央区宮の森4の12)

□Facebook https://www.facebook.com/inmyroomsapporochobi
□twitter @sapporochobi

一般 300(250)円、65歳以上 250(200)円、高大生 200(100)円、中学生以下 無料
かっこ内は10人以上の団体料金


本郷新記念札幌彫刻美術館への行き方(アクセス)
本郷新記念札幌彫刻美術館からの帰り方


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・地下鉄東西線「西28丁目」駅で、ジェイアール北海道バス「循環西20 神宮前先回り」に乗り継ぎ、「彫刻美術館入口」で降車。約620メートル、徒歩8分

・地下鉄東西線「円山公園」駅で、ジェイアール北海道バス「円14 荒井山線 宮の森シャンツェ前行き」「円15 動物園線 円山西町2丁目行き/円山西町神社前行き」に乗り継ぎ、「宮の森1条10丁目」で降車。約1キロ、徒歩13分

・地下鉄東西線「西28丁目」「円山公園」から約2キロ、徒歩26分
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■特別展 アートとの対話「記憶について」(2019年9月21日~10月20日、紋別)

2019年10月17日 17時17分17秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 札幌近郊の長沼町(空知管内)にアトリエを構えていた彫刻家の野村裕之さんが、今春から、オホーツク海側に紋別市に拠点を移している。
 さっそく、紋別の市立博物館が個展を企画した(なぜか、タイトルに野村さんの名がないが)。
 紋別地方には立体や彫刻の作家が少ないこともあり、同館としては、今回の展示が、絵画など他ジャンルの作り手にとって刺戟になれば―という思いもあるようだ。

 たしかに、石の彫刻家の活動を見る機会は、じつはあまりないのかもしれない。

 冒頭画像の右側にある複葉機型の大作は「少年の記憶 中川ライター店が残したプラバンと今も続く歳経た少年の夢について」。
 以前、札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)での「つながろう」展で発表した作品。

 同店はプラモデルなどを売る老舗として、レトロな店構えで札幌のアーケード商店街「狸小路」で異彩を放っていたが、2005年に惜しまれつつ閉店した。


 右側奥のガラスケース内には「記憶の断片 標本」。

 1995年以来、加工するときに出た大理石のかけらを、気に入らない形でなくなるまで整えた小品の集積で、壁に7点(木との組み合わせ)、下に大小計335個が並んでいる。
 すごい点数である。
 これだけ並べたのも、野村さんとしても初めてではないだろうか。

 いま「大小」と書いたが、小さいものが大半で、石器の刃のような形をしたものが多いものの、とにかくいろいろなフォルムがあり、見ていて飽きない。
 色も作品によって微妙に異なる。


 たとえば、文具店でボールペンの試し書きをするとき、その線自体には何の意味もないように、これらの小品にもとりたてて意味はないかもしれない。
 でも、ひとつひとつに野村さんの「手癖」のようなものが凝縮されているとともに、そのときどきの、言葉になりにくい気持ちや思いが込められているのだろう。

 そういうふうに見ていくと、明瞭な論理ではついに割り切れないわたしたちの「生」の流れや積み重ねがここには在るのだな~、という気がしてくる。


 「家の記憶 18の家」。

 札幌軟石で作ったシリーズで、形や大きさはほぼ同一。
 以前は20個余りあったそうだが、いま手元にあるのはこれだけらしい。
 ケース内で3列に並べられていた。

 左から順に、奥の列は
「トランプの家」「孤立の家」「ダンスの家」「鳥の家」「花の家」「ゴミの家」。

 中央の列。
「無言の家」「ネコの家」「DVの家」「歌の家」「首吊りの家」「ハゲの家」

 手前。
「手つなぎの家」「人殺しの家」「ごはんの家」「こわれた家」「青空の家」「雨漏りの家」

 それぞれ着彩が施されており、暗い不幸な家と明るく楽しそうな家が半々ほど。
 「家の中のことって、外から見えないじゃない?」
と野村さんは言う。



 「歩く家」(2017年)。
 線香のように周囲の木に刺さっているのは、針金とのこと。

 木と石を初めて組み合わせた作品「ぼっこ I」「ぼっこ II」(1995)もあった。
 野村さんによると、東京・京橋のギャラリーで開いた個展で好評だったとのことだが、タイトルが北海道弁ですよね…。


 最後の画像は、新作「未来の記憶 想像の流氷」。

 野村さんはこの春赴任してきたので、まだ流氷を見たことがないという。
 「想像の」というタイトルはここからきている。

 流氷が接岸しているときの張り詰めた空気感は、なかなか言葉で説明するのが難しいものだが、一度体験する価値はあると筆者は思う。
 野村さんは、どんな感想を抱くだろうか。


 ほかの作品は次の通り。

少女の記憶 割れた少女 I
少女の記憶 割れた少女 III
浄化 ピストル
家族の記憶 ツギハギ家族
少女の記憶 割れた少女 II
ゆっくり風呂につかる I
ゆっくり風呂につかる II
ひかり
少女の記憶 少女恨み節
花の咲く家 I
花の咲く家 II
幸福の背中 祈りの山
家族の記憶
その前の記憶 その後の記憶 死の床の文


2019年9月21日(土)~10月20日(日)午前9時半~午後5時、月曜休み(祝日は開館し翌火曜休み)
紋別市立博物館市民ギャラリー(幸町3)


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木 脇坂淳/陶 前田育子/画 別府肇/石 野村裕之/布 田村陽子(2013)

-の わ- 野村裕之・脇坂淳ユニット「エアーズ ウッド」 ハルカヤマ藝術要塞 (2011)

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野村裕之小彫刻展 ひそやか(02年、画像なし)




・紋別バスターミナルから約560メートル、徒歩7分
(札幌から都市間高速バス「流氷もんべつ号」で5時間20分)
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■浅井憲一作品展 イキノアリカ(2019年4月12日~5月6日、上川管内東川町)

2019年05月01日 23時01分14秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 札幌市南区郊外のアトリエを拠点に鉄の彫刻を作る浅井憲一さんが、上川管内東川町の「せんとぴゅあ」の前に新作の野外彫刻を設置しました。
 その作品については別項で後ほど紹介するとして、それが縁になって、せんとぴゅあIの中で個展を開いています。

 せんとぴゅあIは、東川小の旧校舎を改修した施設で、町立日本語学校のほか、織田コレクションとして知られるいすなどクラフトや故藤野千鶴子さんの絵画の収蔵・展示などを有しています。
 ちなみに、昨年7月に、となりの道道寄りに「せんとぴゅあII」が新築されて、大雪山ライブラリーなどはこちらに移ったようです。
 

 浅井憲一さんの彫刻は10点で、今回は題が附されていません。

 浅井さんの制作風景や作品を、井上浩二さんが撮影した写真も、ギャラリー内と廊下にあわせて24点展示されています。

 ギャラリーに入るとまず目に飛び込んでくるのが、大きく羽を広げた鳥類の姿。

 獲物の魚を見つけていまにも捕らえようと急降下するフクロウのように見えます。ダイナミックな、動感の豊かな作品です。


 このほか、卵形のユーモラスな作品や、トルソの形をした作品もあります。

 トルソはおそらく、ギャラリー創やギャラリー門馬で発表済みの彫刻もあると思います。
 ですが、当たり前のこととはいえ、会場が異なると、雰囲気も異なってきます。

 いちばん異なるのは、作品が周囲に投影する「影」ではないでしょうか。
 フクロウもトルソもあたりの白い壁や、床に置かれた白い板の上に、鉄筋が織りなす複雑な影を落としています。


 宙につるされたトルソは、左右の壁と、床の上に三つの影を投げかけていました。


2019年4月12日(金)~5月6日(月)午前10時~午後5時、月曜休み
東川町複合交流施設せんとぴゅあI(旧文化芸術交流センター) ギャラリー2(上川管内東川町北町1)
※入場無料。正面から入って左側の廊下を行くとすぐ


□浅井憲一 AZプロジェクト http://www5f.biglobe.ne.jp/~az_asai/

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浅井憲一展「美しい影」 (2018)

浅井憲一 トルソー むこうがわの風景 (2016)

浅井憲一作品展 夢の中 (2014)

浅井憲一展-むこうがわの風景 (2013)
【告知】浅井憲一作品展 むこうがわの風景 (2012年7月11~16日、札幌)

浅井憲一「夢の中」 ハルカヤマ藝術要塞

浅井憲一さん、東京の個展報告会(2009年)

鉄 強さとやさしさの間で(2007年、画像なし)
春展-浅井憲一・幸子作品展(2007年)

2004年11月の個展
■同3月の個展(画像なし)
■03年の個展
■02年の個展

「川」 釧路の野外彫刻




・旭川駅から旭川電気軌道バス60、62、67、76のいずれかの系統に乗り「東川北町1」か「ひがしかわ道草館」降車、徒歩2ないし5分
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■Rie Kawakami solo exhibition : Landscape Will 2019 川上りえ個展 (3月18~31日、札幌)

2019年04月03日 13時53分49秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 主に鉄による力強い造形の彫刻やインスタレーションを手がけてきた石狩の川上りえさん。
 今回の個展は、作家自身と、会場の札幌文化芸術交流センターSCARTSの両者が主催し、同センターの「オープニング公募企画事業」の一つとして開かれた。道銀文化財団の助成を受けるとともに、クラウドファンディングで必要経費を補った。

 作者のステイトメントは次の通り。


私は時々、土と岩だけからなる広大な土地に一人佇む自分をイメージします。
そのたびに、自分が、果てしなく広がる世界を構成する一要素として
一瞬だけ存在しているのだという事実と対峙することになり、
不安と安心という矛盾を孕んだ不思議で魅力的な感覚に包まれます。
どうやらその感覚は、私の作品表現の核になっているようです。
私の、世界の本質に対する問いかけは、いつもそこから始まります。

今回の展覧会では、鉱物から生み出され、その表情を持つ金属(ステンレス・スティール)を使って、
SCARTS の広い空間の中に、大きな岩のような形状を設置します。
観るだけではなく、作品に触れて、空間の中を散策し、物質感が生み出す気配を感じ取ってください。
それぞれの鑑賞体験から、遠近感のある感覚や視点を発見してほしいと思います。



 筆者は最終日にようやく足を運んだが、会場が人通りの多いところであることも手伝い、かなり多くの写真がツイッターにアップされているのを見てから、実物に触れることになった。
 ツイッターに流れて来た写真はそれぞれ、かなり印象が異なる。
 これは、たとえば平面作品では、まずありえないことだ。
 どういうことなんだろうと思いながら会場に来て、その理由が分かった。

 作品が大きくて、会場空間の大半を占めているので、全景をとらえることのできるポイントがないのだ。

 したがって、各自が写真を撮る場所が違い、しかも一部分だけを切り取って写すことになるので、写真から受けるイメージがばらばらになってくる、というわけだ。

 ばらばらといっても、各部分は魅力的な写真というか、いわば「インスタ映え」のする画像になりやすい。
 多くの来場者を集めたことの背景でもあるのだろう。

 ただ、実際に行ってみると、作者が
「作品の中を歩き回ってほしい」
と言っていたように、或る特定の地点から「見て、鑑賞する」というよりは、「歩いて、体験する」というスタイルの作品に近くなっていた。

 次の画像で分かってくれるとありがたいのだが、天井からつり下げられた作品には、開口部のような入り口が2カ所ある。
 真上から見たら「W」の形に近いか、あるいはじゃばら式のカーテンみたいなのではないかと思う。
 向こう側は行き止まりで、通り抜けることはできないが、訪れた人は、金属のカーテンの間を行ったり来たりして、作品を楽しむのである。
 片方の壁が全面ガラス張りになっていることや、作品そのものにおびただしい穴があいていることもあって、作品が空間を占拠していることの息苦しさや閉塞感のようなものはなく、むしろ開放的な印象を受ける。

 これは個人差があるだろうが、自分がミクロの存在にまで縮まって、細胞壁に囲まれつつ、移動しているような感覚だった。
 


 さらに、次の次の画像にあるが、どう見てもギャラリー用というよりは舞台などで使うような大きなスポットライトが光を発しており、壁面や床に作品の大きな影を投げかけていることも、作品の魅力を増している。

 ただし、会場自体は、天井は高いものの、札幌市資料館ミニギャラリーの1室ぐらい。
 事前に想像していたほどには巨大ではなかった。

 とはいえ、十分に大きい。
 それぞれの部材を薄くして、穴も開けて、軽量化を図らないと、運搬や設置もままならないだろう。
 これまでの鉄にかわり、台所などでよく見るステンレスを採用したのは、そういう事情もあるだろう。川上さんは
「鉄は薄くするとさびやすくなってしまうので」
と話していた。 


 もう一つの部屋があいていたので、小品が展示してあった。
 遠目にはふつうのハンドバッグに見えるものも、実は金属製である。
 近寄ってみると、鉄が持つ多彩な色合いに驚かされる。


 この作品の一部は、事前にJR札幌駅の「ART BOX」で展示されていた。

 また、作者による作品解説や、ステンレスのかけらを一緒にたたく体験ができるプログラムも行われた。


 川上りえさんは1961年、千葉県柏市生まれ。
 東京藝大大学院修了。
 下のリンク先にない個展として、16年にギャラリーレタラで「CAMPING NEAR THE WOOLEN MOUNTAIN」、韓国・大邱、17年にギャラリー門馬アネックスで「Landscape Will - On the Ground -」がある。

 最後に蛇足を述べさせてもらうと、スケールメリットという観点からすると、今回の個展は彼女のキャリアの集大成だといって差しつかえない規模だろう。では、今後はどういう方向性になるのか。さらなる巨大さを目指すのか。あるいは、別のコンセプチュアルな視点を取り入れるのか。
 「今後が注目される」というのは、文章の締めくくりとしてはあまり良くないのだが、今回はそのように書き終わるしかない。


2019年3月18日(月)~31日(日)午前11時~午後7時(最終日~6時)
SCARTSスタジオ(札幌市中央区北1西1 札幌市民交流プラザ2階)


https://www.sapporo-community-plaza.jp/event.php?num=105
http://riekawakami.net/


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【告知】まぼろしのいえ 川上りえ×冨田哲司
谷口明志 × 川上りえ (2010年)
PLUS ONE THIS PLACE(2010年9月)
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■北村哲朗彫刻展ー地平と辺縁ー (2019年1月17日~3月31日、室蘭)

2019年03月19日 20時55分23秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 室蘭の隣町、登別市の彫刻家、北村哲朗さんの木彫展。

 札幌ではギャラリーエッセで毎年のように展覧会を開いており、これらを見た人はわざわざ室蘭まで行くには及ばないと思いますが、同ギャラリーを上回る広さの会場に、近作の大作が並んで、迫力たっぷりです。

 26点すべてが2017年か18年の作品というから、その旺盛な制作意欲には、驚くばかりです。

 出品作は次の通りです。

 2017年
地平(レリーフ) クリ・鉄 61×61×8センチ
辺縁(レリーフ) セン・鉄 52×52×8
次元      シナ 205×60×40
出現      セン 215×50×110
合I       クリ 40×115×30
合II      クリ 45×20×20
玉響I      セン 238×35×35
玉響II     セン 96×20×15
環I       クリ 33×20×10
環II      エリマキ 20×15×10
態I       シラカバ 15×15×15
態II      セン 15×15×15

 2018年
開闢      スプルース 213×120×40
波動(レリーフ) ニセアカシア・セン 33×66×11
転生(レリーフ) ヤチダモ・ホオ・ニセアカシア 45×65×15
無窮I      ドロノキ 215×34×34
無窮II     スプルース・鉄 233×60×60
Element ー火ー クリ・ホオ 70×30×30
Element ー風ー クリ 153×62×58
Element ー地ー イタヤカエデ 140×35×35
Element ー水ー ニセアカシア 78×66×33
受容      セン 90×22×22
呼応      セン 108×20×20
残心      セン 104×24×24
掌I       シラカバ 13×21×10
掌II      エリマキ・セン 36×21×12


 2月24日の室蘭・長万部行きの記事は、これでおおむね終わりですが、野外彫刻とスナップ写真の記事をこの後で公開する予定です。


2019年1月17日(木)~3月31日(日)午前10時~午後5時(最終日~4時)、月曜(祝日は除く)休み、祝日の翌日も休み
室蘭市民美術館(幸町6)

関連記事へのリンク
北村哲朗彫刻展―地平と辺縁Ⅱ― (2018)

北村哲朗 彫刻展―境界の構図 (2015)
首展 (2015)
北村哲朗彫刻展 (2010、画像なし)



・JR室蘭駅から640メートル、徒歩7分

・道南バス「市役所前」から430メートル、徒歩6分
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■さっぽろ雪像彫刻展 (2019年1月25~27日、札幌)

2019年01月26日 17時55分04秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 名寄の国際雪像彫刻大会を兼ねて2010年に始まったさっぽろ雪像彫刻展が10回目を迎えました。
 筆者は昨年など、これまで見ていない年もけっこうあって、あまり断言はしにくいのですが、今年はなかなか見応えがあると思います。
 造形の確かさももちろんですが、始まったころに比べて高さも増しています。




 佐藤一明(彫刻家)「大型犬」

 佐藤さんがストーブ型以外の作品をつくるのはとても珍しいです。
 直線化を施した犬です。


つながろう2018 TIME AXIS 時間軸 (2018)
立体四人面白半分展(2010)




 佐藤隆之(美術家)、小川豊(画家)、河口真哉(詩人)「こころ」

 これはどうやって作ったのでしょう。
 合作の力だなあ~と感じます。
 このかたちを彫るのは困難でしょうから、雪の玉をくっつけていったのではないでしょうか。
 小川さんの絵画「心のひだ」を立体にすると、こういう作品になるのかもしれません。


New Point vol.15
第6回有限会社ナカジプリンツ (2018)
第45回記念美工展 (2018)=画像なし
第44回 美工展 (2017)
500m美術館 (2007)

第四十五回北海道抽象派作家協会展 (2018)
44th 北海道抽象派作家協会展 (2017)
第43回北海道抽象派作家協会展 (2016)
HOKKAIDO EXHIBITION 2016 Loop -spin off-
HANA展 (2014)
第41回北海道抽象派作家協会展 (2014)
小川豊展 (2010)
北翔大学大学院・研究生6人展(2008年)

第63回新道展(2018)
バックボックス展 (2018年4月)
バックボックス展 (2017)=河口真哉さん




 さとうゆうき(造形作家)「Snow butterfly」

 たしかにチョウのかたちですが、この雪像でおもしろいのは、のみ痕がくっきりと出ている木彫のような表面です。こういう雪像はきわめて珍しい。
 雪像にマチエールという概念を導入したという意味で、興味深い作品です。




 須藤大介(ノールドデザイン)大沼望(ノールドデザイン)「Backbone」

 ノールドデザインは室蘭の会社だそうです。
 シンプルでめりはりのきいた美しさもさることながら、力学的な計算がすばらしい。
 漫然と雪を積み上げていったら、この傾きを出せないと思います。雪の粘りや強度などを確かめつつ、高くしていったことがうかがえます。




 清水宏晃(木工家)「SNOWSHINE」

 直線で囲まれたさまざまな形状の板を、斜めに何枚も組み合わせたような形をしています。
 シャープで、迫力ある形状です。
 清水さんは事務局を担当しています。


暮らしの中の真鍮・木・土・革 展 vol.7 (2018、画像なし)
ハルカヤマ藝術要塞2017 FINAL CUT
木が語る (2014)




 野村裕之(彫刻家)「少女ー心の函」。

 ベテラン彫刻家の野村さん。近年は石彫だけでなく、いろいろな素材を手がけています。
 あお向けに横たわる女の子は、いったい何を祈っているのでしょうか。


New Point vol.15 (2019年1月)
石彫刻の8人展 (2018)
つながろう2016 Hard/Soft
New Point vol.12 (2015)=画像なし

野村裕之 個展 ―浄化― (2014)
木 脇坂淳/陶 前田育子/画 別府肇/石 野村裕之/布 田村陽子(2013)
-の わ- 野村裕之・脇坂淳ユニット「エアーズ ウッド」 ハルカヤマ藝術要塞 (2011)

野村裕之 チビアートの世界展(2008)
ひろがるかたち(06年の4人展)
野村裕之彫刻展 なぞなぞ(03年)
野村裕之小彫刻展 ひそやか(02年、画像なし)




 丸山恭子(彫刻家)「ラプンツェルの真珠」

 これまでの雪像彫刻展では見られなかった優美さを漂わせる女性像。

 右下にテニスボールや雪玉が見えますが、これは雪像の周囲に、木の玉が転がり落ちるおもちゃのような溝がついていて、上からころころと転がせるようになっているのです。




 北海道芸術デザイン専門学校 クラフトデザイン専攻「flow」

 曲線を生かしたデザイン。




 同「くるみ」
 こちらも曲線的。
 穴がふたつ開いていることもあり、見る方向によって形や印象がぜんぜん違います。




 北海道札幌平岸高等学校 デザインアートコース「青空」

 直線的なつくりで、まるでビルディングのよう。正面から見るのと、真横から見るのとでは、まったく印象が異なります。
 ちょうど2階にあたる位置のくぼみに氷がはまっていて、ガラス窓のようです。




 同「HOGEI」

 題は「捕鯨」を意味するのでしょうか。
 下半身が水面下に隠れているという設定のようで、かえってスケール感が増しています。
 私なら「Moby Dick」と名付けたくなりますが。白いし。

 右手後方に「こころ」が見えます。




 板本伸雄「猪突猛滑」

 フライヤーには名前がありませんが、昨年まで雪像づくりに加わっていた板本さんが、飛び入りで参加しました。
 河崎ゆかりさん、くまがいきよしさん、水戸麻記子さんの3人によるすべり台の、出口附近に彫ったレリーフです。




 今年は、もともと庭にある本郷新作品も、雪に映えるようにと、雪でバックの壁を作ったりしているのがおもしろかったです。




 なお、室内では、今回と過去の参加作家による小品展や、「本郷新の見た『異国』」(有料)も開かれています。
 お見逃しなく。

 ライトアップの設備もあるので、夕方がいちばん美しいかなあ。


 27日夜にすべて取り壊すわけではないと思うので、作品によっては29日以降(28日は休館日)も見られるかもしれません。


2019年1月25日(金)~27日(日)午前10時~午後5時半
本郷新記念札幌彫刻美術館(中央区宮の森4の12)


さっぽろ雪像彫刻展2017
=佐藤一明、さとうゆうき、清水宏晃、野村裕之、北海道芸術デザイン専門学校、北海道札幌平岸高校

さっぽろ雪像彫刻展2016
=清水宏晃、野村裕之、北海道芸術デザイン専門学校、北海道札幌平岸高校

さっぽろ雪像彫刻祭2015
=清水宏晃、野村裕之、北海道芸術デザイン専門学校、北海道札幌平岸高校

さっぽろ雪像彫刻展 (2014)
=佐藤一明、清水宏晃、北海道芸術デザイン専門学校、北海道札幌平岸高校

札幌雪像彫刻 (2010)
=清水宏晃、北海道芸術デザイン専門学校




・地下鉄東西線「西28丁目」駅で、ジェイアール北海道バス「循環西20 神宮前先回り」に乗り継ぎ、「彫刻美術館入口」で降車。約620メートル、徒歩8分

・地下鉄東西線「円山公園」駅で、ジェイアール北海道バス「円14 荒井山線 宮の森シャンツェ前行き」「円15 動物園線 円山西町2丁目行き/円山西町神社前行き」に乗り継ぎ、「宮の森1条10丁目」で降車。約1キロ、徒歩13分

・地下鉄東西線「西28丁目」「円山公園」から約2キロ、徒歩26分
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続き■本田明二展 ひとノミ、ひとノミ、私は 木を削る。 (2018年11月2日~19年1月17日、札幌)

2019年01月16日 17時59分59秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
(承前)

 中央は「踊」(1979、ブロンズ)
 後ろに見える立像は「抜海 鳥を抱く」(1982、ブロンズ)

 「抜海ばっかい」は本郷新の、釣り人としての号。
 稚内近傍におなじ名の駅がある。

 それにしても、相当ふざけたというか、ユーモアあふれた作品である。
 本郷新の代表作に「鳥を抱く女」があるが、少女のかわりに本郷本人がニワトリを抱いている様子を彫刻にしているのだ。

 ちなみに、後列の右端は、本郷の肖像である。
 特徴的なあごひげが目立つ。




 左は「飛ぶ」(1962、木)
 右手前は「家族」(1957、木(マカバ)

 「盗作」というつもりはもちろんないのだが、本田明二の作品には、他者に影響を受けたあとが見えたり、他の作家と共鳴・共振している様子がうかがえたりするものが多いのではないか。
 先に述べたのは本郷新だったが、「家族」の有機的な曲線は、山内壮夫を思わせる。
 あるいは、ヘップワースやムーアといった、戦後の世界の彫刻界を主導した作家の影響かもしれない。




 左は「けものを背負う男」(1982、カツラ)
 右は「えものを背負う男」(制作年不詳、木)

 図録によると、このシリーズは本田明二が晩年に繰り返し取り組んだもので、1979年に道立近代美術館で見た「夷酋列像いしゅうれつぞう」が創作のきっかけになっているという。

 ただ、本田の場合は、作品をめぐる属性、すなわち、アイヌ民族とか蠣崎波響かきざきはきょうといった要素は後景に退いてしまい、純粋に造形をめぐる関心が前面に出てくるのだ。そもそも「夷酋列像」に描かれた男は、裸ではない。
 最初はわりあい写実的に彫っていた像も、上の画像や次の画像からわかるとおり、どんどんデフォルメされ、直線が主体の造形になってしまう。

 まあ、こういうレッテル貼りはあまり良くないのだろうけど、この造形第一の行き方は、いかにも全道展らしい近代主義だなと感じる。




 左は「けものを背負う男」(1984、クルミ)
 右は「狩人」(同)




 最後の画像は「けもの」(1976年ごろ、蝋型ブロンズ)

 こういう、遊び心が漂う小品も並んでいた。


 以下、図録の略年譜から。

 本田明二は1919年(大正8年)、月形村(現空知管内月形町)生まれ。
 旧制札幌二中(現札幌西高)で学ぶ。
 37年、上京して木彫家の澤田政廣に師事する。
 44年応召。色丹で終戦を迎え、約3年間シベリアに抑留される。

 48年復員、札幌に住む。
 50年、新制作派展(現新制作展)に「女の首」を出品し初入選。
 51年には全道展に初出品。いきなり会員となり、53年から60年まで事務局長を務める。

 札幌冬季オリンピックを記念して、真駒内の五輪小橋に「栄光」を設置(71年)。
 旭川には「スタルヒンよ永遠に」がある。
 1977年に「玄の会」を結成し、87年まで毎年出品する。

 89年、急性肺炎により死去。69歳。


2018年11月2日(金)~19年1月17日(木)、午前10時~午後5時(入場は30分前まで)。月曜休み(祝日の場合は翌火曜休み)、12月28日~1月3日も休み
本郷新記念札幌彫刻美術館(中央区宮の森4の12)

一般500(400)円、65歳以上400(320)円、高大生300(250)円、中学生以下無料
※( )内は10名以上の団体料金


関連記事へのリンク
本田明二「おおぞらの像」 苫小牧の野外彫刻(1)

本田明二「青空に限りなき夢を」(帯広)
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北海道の寒地稲作発祥の地にあった碑と本田明二(恵庭)
本田明二「母子像」(札幌)
本田明二「碧空(あおぞら)へ」 (美幌)
「朝翔」 (網走)


展覧会紹介
本田明二展(2010~11年)
札幌第二中学の絆展 本郷新・山内壮夫・佐藤忠良・本田明二 (2009年)
本田明二彫刻展 (2006年)





・地下鉄東西線「西28丁目」駅で、ジェイアール北海道バス「循環西20 神宮前先回り」に乗り継ぎ、「彫刻美術館入口」で降車。約620メートル、徒歩8分

・地下鉄東西線「円山公園」駅で、ジェイアール北海道バス「円14 荒井山線 宮の森シャンツェ前行き」「円15 動物園線 円山西町2丁目行き/円山西町神社前行き」に乗り継ぎ、「宮の森1条10丁目」で降車。約1キロ、徒歩13分

・地下鉄東西線「西28丁目」「円山公園」から約2キロ、徒歩26分
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■本田明二展 ひとノミ、ひとノミ、私は 木を削る。 (2018年11月2日~19年1月17日、札幌)

2019年01月12日 09時52分00秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 戦後道内を代表する彫刻家のひとり、本田明二の業績を、わかりやすくまとめた回顧展。
 多くの人に見てほしい展覧会だ。

 本郷新記念札幌彫刻美術館は折に触れて、彼の作品を展示してきたが、本郷新などとセットの場合が多く、個展を開いたことはない。
 他の美術館でも、1991年の札幌・芸術の森美術館、2010年の中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館で開かれただけだから、これほどたくさんの作品をまとめて見たのは、実は筆者も初めてだ。

 図録の文章も、簡にして要を得た紹介になっていて、勉強になった。
 マリノ・マリーニやヘンリー・ムーアからの影響の大きさについても、きちんと書いてある。

 驚いたのは、巻末の参考文献一覧。
 かなり細かく網羅している。
 北海道新聞夕刊オホーツク版の連載記事までリストアップしているとは、思わなかった。
 察しの良い読者はお気づきかもしれないが、これは筆者がオホーツク管内の野外彫刻を写真付きで紹介した連載である。地方では夕刊を講読していない人が多いので、正直言って、この連載が関係者の目にとまるとは予想していなかった。



 さきほど「セット」と言ったが、旧制札幌二中(現札幌西高)の卒業生である本田と、本郷新、山内壮夫、佐藤忠良の4人を指す。
 そして、他の3人がいずれも上京して活動の場を求めたのに対し、本田は一貫して札幌に居を構え、他の3人が道内で仕事をする際の良いパートナーであったことが、大きい意味をもっている。

 たとえば、札幌・真駒内の五輪大橋附近の野外彫刻群はこの4人が手がけている。
 
 展覧会は

01 木と向きあう
02 北の生命をかたど
03 造形に遊びを求めて
04 素顔の彫刻家

の4部構成になっている。

 2枚目の画像は、最初の階段をのぼってすぐのところにおいてある「馬碑」(1967)。

 後ろに置いてあるのは、本田さんの肖像写真だ。



 中央が「裸婦」(制作年不詳)。
 左と右は「母と子」(同)。

 彼の造形上の特徴は、写実的なものからかなりデフォルメしたものまで多彩だということだろう。
 それも、晩年になるにしたがって抽象傾向を強めた―などと年代によって異なるいうことではなく、自在に作風を変えているという感が強い。



 「牛」(1951)



 「馬頭」(1972)

 今回は、いちおう木がメインということだが、この作品のような金属もけっこうある。

 一定以上の年代にとって、馬という題材はとてもなじみ深いものだろう。
 開墾も農作業も、馬がいなければとうていおぼつかなかったからだ。
 もちろん本田の場合、そういうノスタルジーよりも、造形上の興味が先立っているのだろうが。

 ところで、この作品で興味深いのは、頭部の左右で顔つきが異なって見えること。
 右の眼窩には目玉が入っていないようにも見える。

 こういうことは、図録の写真だけを見ていてはなかなかわからない。



 両側から撮った写真を上げておきます(言い忘れていたが、会場内は撮影可)。

 長くなってきたので、以下、次項


2018年11月2日(金)~19年1月17日(木)、午前10時~午後5時(入場は30分前まで)。月曜休み(祝日の場合は翌火曜休み)、12月28日~1月3日も休み
本郷新記念札幌彫刻美術館(中央区宮の森4の12)



・地下鉄東西線「西28丁目」駅で、ジェイアール北海道バス「循環西20 神宮前先回り」に乗り継ぎ、「彫刻美術館入口」で降車。約620メートル、徒歩8分

・地下鉄東西線「円山公園」駅で、ジェイアール北海道バス「円14 荒井山線 宮の森シャンツェ前行き」「円15 動物園線 円山西町2丁目行き/円山西町神社前行き」に乗り継ぎ、「宮の森1条10丁目」で降車。約1キロ、徒歩13分

・地下鉄東西線「西28丁目」「円山公園」から約2キロ、徒歩26分
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■CUBE■ Re born ~愛のかたち~ 伊藤三千代(2018年12月26日~1月13日、札幌)

2019年01月08日 23時05分09秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 空知管内長沼町の彫刻家で、近年はインスタレーションの制作・発表が増えている伊藤三千代さんが、道銀本店1階らいらっく・ぎゃらりいで、道銀文化財団企画による個展を開いている。

 最近、たまにこの会場で行われる、入り口を施錠してガラス越しに中を見るという形式の展示。
 あいている時間帯が長いのが利点だが、やはり、近づいて見られないのが残念。


 2018年は災害の多い年だった。
 胆振西部地震の陰に隠れて忘れられているが、その前日には颱風たいふうで多くの木が倒れる被害が出ている。
 伊藤三千代さんは、そのときに出た枝を用いて、インスタレーションを制作した。
 床の上に2個のいすのような物体が置かれ、天井からは5個の立体がつりさがっている。

 明るい年になってほしい―という作者の思いが、ストレートに出ている作品だ。
「peace」「love」という文字まで導入しているから、ストレートすぎるぐらいといってもいいかもしれない。
 



 曲線が主体で、やわらかな感じがあふれる。それは、伊藤さんの「本業」である、石の彫刻にも通じる、海のような広がりをもつやわらかさだと思う。


2018年12月26日(水)~19年1月13日(日) ※30日(日)~3日(木)は休館
午前8時~午後7時 (照明点灯時間、最終日は5時まで) 
らいらっく・ぎゃらりい(札幌市中央区大通西4 北海道銀行本店)


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帯広コンテンポラリーアート2016 ヒト科ヒト属ヒト

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■ 岡沼淳一工房展 (2018年9月14日~10月8日の9日間、十勝管内音更町)

2018年12月02日 11時38分25秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 岡沼淳一さんは十勝管内音更町の彫刻家。
 9月から12月にかけて、音更町の隣町の帯広市にある道立帯広美術館で
「神田日勝と道東の画家たち & 岡沼淳一木彫の世界」
という展覧会が企画され、作品を運び出したあとの工房に空間が多少生じるため、期間中の9日間限定で、自作を展示することにしました。

 ただし、同美術館には、15点ほど(ほとんどが大作)が並べられているにもかかわらず、工房がすっからかんというわけではありません。
 むしろ、この隙間にどうやって入っていたんだろうと、驚くばかりです。
 また、美術館に代表作が行ってしまったので工房には「残り物ばかり」という感じでもありませんでした。
 美術館と工房展のいちばんの違いは、後者には初期の作品も並んでいたこと。
 1964年の石膏像は、道学芸大函館校(現北海道教育大函館校)で作ったものでしょう。よくぞ残っていたものです。
 ほかにも、冒頭画像のように、1970年代の「雲海」などを見ることができました。
 冒頭画像の左側にある白い円形の作品は、音更の文化センターにあるブロンズ像の原型だそうです。
 岡沼さんは
「あんまり良くないんだよなあ。ブロンズにすると、木のときと陰影が変わってしまう」
と話していました。


 次の画像の手前は、道立帯広美術館の中庭に常設展示されている作品の原型です。

 奥に並んでいるのは比較的初期の作品。
 シャープさとバリエーションに富む70年代以降の作品群に比べると、どこか砂澤ビッキを思わせる土俗的なところもあって、さすがに若い頃の模索の時期の作品ともいえそうです。



 3枚目の画像は2004年?「夜窓」。


 帯広美術館は撮影不可のため、ここには画像を上げられません。

 工房展との違いをひと口で言うと、照明です。

 毎年の全道展もそうですが、作者や筆者も含め誰もが、明るい環境で岡沼さんの彫刻を見ることに慣れていたと思います。
 しかし、帯広美術館は、照度をかなり落とし、会場が深い森の奥のような雰囲気をたたえています。
 こういう場所では、作品の持つ明快さやモダンさがやや後退し、神秘性やロマン主義的なものが感じ取れるようになってくるようです。

 これはもちろん、どちらが良いとか悪いという問題ではありません。
 ただ、照明だけで、これほど見え方が異なってくるとは、驚きでした。


 なお「岡沼淳一さんのこと」と題し、その彫刻の世界の魅力についてつづった記事があり、その文章はリーフレットに印刷されています(今でも一部の美術館のフライヤー置き場には残っているようです)。
 筆者のつたない文章はさることながら、同時収録された五十嵐典子さん(現在は道立近代美術館で、前の道立帯広美術館学芸課長)の文章がすてきですので、ご一読願えたらうれしいです。


=2018年9月14~16日(日)、22~24日(月)、10月6日(土)~8日(月)午前10時(14、15日は午後1時)~午後4時半(6日は午前11時半終了)
岡沼さん工房(十勝管内音更町)

【告知】「岡沼淳一工房展」(2018年9月14日~10月8日のうち9日間)と「神田日勝と道東の画家たち & 岡沼淳一木彫の世界」(9月15日~12月2日)

関連記事へのリンク
ひがし北海道:美の回廊 (2003、画像なし)
旧ミマンミニコレクション展(初回)=2003年
遠藤ミマン・岡沼淳一二人展(2002)
2002 北の彫刻展(画像なし)
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■武藏未知 WORKS 4 (2018年10月31日~11月18日、札幌)

2018年11月21日 08時40分02秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 抽象彫刻の大作6点のみ。
 素材は、聞いていないが、発泡スチロールやスタイロフォームといった軽くて扱いやすい(成形しやすい)樹脂だと思われる。着彩した作品もある。

 床に直接置いているのは「雪の庭」と「眠れる庭」。
 いずれも白く、底部をのぞいて自由な曲線で囲まれている。公園にこういうフォルムの遊具が設置されていたら楽しいだろうな、と思う。
 天の側(上方)の表面に、やはり曲線で囲まれた平らなくぼみがあって、もし屋外に置いたら、水がたまりそうだ。

 もう1点、会場奥に作品があり、これは灰色に着彩されている。
 蛇腹状の形と色が、少し古めの暖房器具を想起させる。壁の前に置かれているためかもしれない。

 右側には「白昼夢(部分)」。
 これは、床置きと、壁掛けの組作品らしい。
 壁掛けは、壁にまっすぐ掛けているのではなく、部屋の隅で二つの壁に掛け渡すように斜めに設置している。

 そして、正面の壁には「花」「hana」の、おそらくは一対のレリーフ(と言ってよいのか)。
 前者は鮮やかな赤。後者は、水色やピンク色などさまざまに着彩が施されている。
 特定の花に似せたというよりは、花が持つ生命力を表現しようと試みたように思われる。エネルギーがみなぎった、力強い作品だ。

 武藏(藏は蔵の正字)さんは札幌拠点の彫刻家で、道展会員。
 道教育大で、故丸山隆さんの薫陶を受けた作家は多いが、彼女もその一人。


2018年10月31日(水)~11月18日(日)正午~午後7時(最終日~5時)、月休み
ギャラリーミヤシタ(札幌市中央区南5西20)

関連記事へのリンク
つながろう2018 TIME AXIS 時間軸 (2018年6月)
平面と立体の交差 ・北広島のコンテンポラリーアート (2017)
帯広コンテンポラリーアート2016 ヒト科ヒト属ヒト
首展 (2015)
Largo 武蔵未知彫刻展 (2014)
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■カビラヤスヲ展 蟲跡−摩尼車のように− (2018年7月21~29日、札幌)

2018年08月01日 08時09分00秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 カビラヤスヲさんは、40年ほど前に沖縄県から北海道に移住し、留萌管内羽幌町で木彫に取り組んでいる。
 極東コンテンポラリーアート(北見市留辺蘂町)やハルカヤマ藝術要塞(小樽市)などに出品したが、札幌での個展は、じつに35年ほど前に、今はない大同ギャラリーで開いて以来という。

 ギャラリー門馬のサイトに、詩のような言葉が載っていた。「蟲」は、虫と同じ。

蟲跡
歩行する時
あれだこれだと悩む時
蟲喰いの跡をなぞる時
その時に
私と蟲との歩行が重ね合う


 丸太の皮をはがすと、虫が食った跡が現れる。
 表面が数ミリへこんだ部分が、大きな迷路のように広がっているのだ。
 ところどころにあいている小さな穴は、虫が出入りした跡だろう。

 だから、カビラさんは、基本的に作為を加えていないともいえる。

 表面の凹凸に紙をあててこすり取った、版画のような作品も数点、額装されて壁に展示されていた。

 これら作品の素材はスギとのこと。
 羽幌町内にスギ林があるという。

 同町のサイトによると、築別九線沢にスギ林がある。
 「明治中期に山形県庄内の温海村から移住した斉藤浅吉が大正4年(1915年)に郷里からスギ種子を取り寄せ、蒔きつけて大正7年に三年生苗4000本余りを植栽した中の一部」
という。

 札幌の円山にも杉林がありますね―と言うと、カビラさんは興味津々で、詳しい場所を知りたがっていた。



 大型作品のほかに、会場に並んでいたのが「摩尼マニ車」。

 摩尼車とは、チベット仏教で、回せば回すほど現世で徳を積んだことになるといわれる。
 カビラさんの、ひきうすにも似た形をした摩尼車も、実際に回転させることができる。カビラさんに促されて回してみたが、いくらか力を入れないと回らない感じだった。
 上の面に取っ手のようなものがついているが、これは飾りで、これをつかんでもうまく回らないのだ。

 このほか、羽幌の土を焼いてテラコッタにした、太いちくわのような輪を、木の棒にさした置物もあった。

 自然の姿をほぼそのまま提示したかのようでいて、自身の世界をも見せた、興味深い作品群だった。


2018年7月21日(土)~29日(日)午前11時~午後6時
ギャラリー門馬ANNEX (札幌市中央区旭ケ丘2)

ハルカヤマ藝術要塞 2017 FINAL CUT
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