北海道美術ネット別館

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■はしご展・続き (10月5日で終了)

2008年10月06日 20時19分26秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
承前)

松原成樹「屋根にのぼって空を見る…」
Matsubara Shigeki "Wacth the Sky Climbing the Summit of House"

 松原さんは、先日のコンチネンタルギャラリーでの個展に出していたのと同じタイプの、家型の立体を7つ出品しました。
 イタリアの孤高の画家モランディが描いた静物画を思わせる、静謐(せいひつ)な空間がつくられています。


        

佐々木雅子「くまちゃんおそらにかえる」
Sasaki Masako "Teddy Bear Returns to the Sky"

 1970年生まれ、札幌在住で、2006年には札幌芸術の森美術館が主催した「北の創造者たち展-らぶりぃ」にも出品している作家。近年は漆を活用した立体に取り組んでいます。
 佐々木さんも天井高をフルに活用した作品です。
 黄金に輝くクマの頭上には、瓔珞(ようらく)あるいはシャンデリアのようなひもがぶらさがっています。そして、最も高い位置には鏡が据え付けられ、あたかもシャンデリアのひもが空の上へと永遠に続いているかのような錯覚を、見る者にあたえます。

 出産を体験すると女性の作品は変わる-ということが、時々いわれます。人によるんじゃないかと思うのですが、佐々木さんは一変したほうだと思います。
 このおもちゃのくまにも、幼い命をいつくしむ作者のやさしさがにじみ出ています。

http://www.h2.dion.ne.jp/~ssk_m/ 


                

齋藤周「眺めをむすぶ」
Saito Shu "Link Views"

 札幌の齋藤さんはことし40歳を迎えますが、ことしに入ってからも、個展はひらくし、札幌芸術の森・野外ステージに巨大壁画は描くし、とにかくその精力的な活動には頭が下がります。
 大小40枚あまりのキャンバスを組み合わせたインスタレーションですが、どうも、すべて新作のようです。「はしご展」が全点新作だ-といわれれば、それまでなのですが、忙しい人なのになあ、と驚きます。
 画面の中にはしごがかき入れられているほか、キャンバスとキャンバスの間に、小さなはしごの模型が橋のようにかけわたされています。

 齋藤さんの絵は、ドローイングとペインティングが合体したような、ふしぎな魅力を持っています。どれほど時間をかけて眺めても、すべてを見尽くしたような気がしないのです。これは、ふつうの静物画や風景画ではあり得ないことです。それほどたくさんの要素が盛り込まれているわけではないのですが、いくら見ていてもあきません。ふしぎです

 
http://shusaito.com/


        

中橋修「はしご」
Nakahashi Osamu "Ladder"

 会場の一番奥に陣取っているのは中橋さん(1948年生まれ、札幌在住)のインスタレーションです。
 中橋さんもほぼ毎年「内包」と題したインスタレーションの個展を開催するなど、精力的に活動している作家です。
 ことし夏の「内包」では、摩天楼を思わせるアクリルの構築物を展開しましたが、今回は、テーマにあわせてシンプルにはしごを立ててみました。
 床には、黒っぽい木の球体が10個転がっています。これは、夏の個展にくらべると、かなり減らしてすっきりさせています。

 一見すると、床の上に、斜めに影が走っているように見えますが、これは床の模様。
「ここまで計算していなかった。設置してから気づきました。偶然です」
と中橋さん。
 横長のパーツ6つと、縦長のパーツ20個を組み合わせ、極細の糸で固定しています。この糸にも、木の球体をひとつ引っかけています。

               

 上の部分の画像です。
 天井の最も高いところは6メートル。作品の高さは4.3メートル。
 「高すぎず低すぎず、いちばんいい高さになった」
と中橋さんは笑顔でした。


□ART WORKS NAKAHASHI http://www5.ocn.ne.jp/~naka565/
2008年7月の個展

2008年9月24日(水)-10月5日(日)10:00-18:00
北広島芸術文化ギャラリー(北広島市中央6、JR北広島駅東口の前)


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