北海道高等学校文化連盟、というよりも「高文連」の方が、通りがいいと思う。道内で高校生活をおくった人なら知っている、文化系部活動の集まりである。
プロの美術家が生活しづらいのは国内どこでも同じだと思うけれど、とりわけ道内では大変だ。道内美術の最前線はかなりの部分、学校の教壇に立ちながら制作に取り組んでいる人々によって担われているのだ。
筆者はそのことがかならずしも悪いとは思っていない。自分の意に染まぬ仕事もしなくてはならないプロに比べたら、自らの志向をいくらかでも貫けるアマチュアのほうがいいに決まっている。
まあ、そんなことはさておき…。
学校の授業などがあって忙しい方々が多いせいだろう、毎年会場には誰もいないので写真を撮れないのだが、今年はこっそり谷口さんの作品を撮ってきた。
「絵画の場合」「プラスワン・グルーヴ」「PLUS 1 空間の触知へ 連鎖の試み」「水脈の肖像」…といった展覧会で精力的に展開してきた、細い支持体の連なりによる作品とはまた違う展開である。
細長い廃材をガンタック(ホチキスの親玉みたいな器械)でつなげて三角形にし、数十個重ねて床から壁に散らしている。
これでも谷口さんは「絵だ」って言うんだろうなー。たしかに、彫刻特有のボリュームやマッスといった性質はない。
おなじ部屋には、富原加奈子さんの立体「雪の景」も。
ドーナツがひしゃげたような形(たぶん石こう)の立体に、オーガンジーのような布をかぶせてある。
佐藤一明さんのストーブ型の彫刻もある。木でストーブを作るというところがおもしろい。
阿地信美智さんは、濃緑の箱に魚の骨のような立体がおさまった、ふしぎな作品。
全体的に見ると日本画の作り手たちが健闘している。
前田健治さん「奴隷」。
下から見上げるような角度で、ミケランジェロの有名な彫刻を描いている。モノクロームの世界。
変形支持体を用いてウサギを描いた平向功一さん、銀箔に青い輪郭を強調して裸婦を画いた北口さつきさん、人影も樹木もないさびしい風景を油絵的な重厚なマチエールで描写した西谷正士さん、黄色と黄緑をメーンにいすや花のある一隅を描出した齋藤美佳さん、みなさん日本画である。
ほかには、小林光人さんの抽象画がウマイ。線や矩形の配置が絶妙だ。
齋藤周さんは8枚のカンバスからなる平面インスタレーション。人間の後ろ姿をかいたインクの線がほとんどなくなり、明るい色の配置が目立つようになっている。
団体公募展では100号程度の作品を出してる人が、20号前後の作品を出品しているというのも、この展覧会のひそかなポイントだと思う。このくらいの大きさの作品って、意外と見る機会が少ないのだ。
出品作は次の通り。
阿地信美智(有朋=通信) 既視感的風景 V(nobody) (10.0×20.0×25.0cm)
奥山哲三(札幌大谷) 空中農場 II (F20)
菊地 大(札幌北陵) 透明釉茶碗 (9.0×11.0×8.0cm)
北口さつき(札幌開成) NUDE (F50)
小林光人(札幌市立山の手養護) 音の雫#2(F6) 音の雫#3(F6)=目録にはないが「音の雫 #1」も出品されていた。F10?
齋藤 周(札幌旭丘) うたかた(180.0×300.0cm)
齋藤美佳(札幌山の手) いざよい(F30)
澤田範明(札幌清田) 女性像(F20)
武石英孝(札幌東) 林檎(F10)
谷口明志(札幌拓北) 無題
高橋 聡(札幌啓成) 街角(F15)
富永一久(札幌国際情報) イグアスの滝(F10)
中川 綾(札幌大谷) HOME#1 HOME#2 HOME#3(いずれも30.0×30.0cm)
波田浩司(北星女子) 羽の舞う日(60.0×24.0cm)
場崎 恵(北嶺) 北生振冬の風影 北生振冬の牧舎 道民の森(冬) (いずれも45.0×33.0cm)
伴 翼(とわの森三愛) tube #1(20.0×30.0×60.0cm)
坂東宏哉(石狩南) earth-2010 (変形100)
平向功一(札幌稲雲) Wonderland~森の囁き (変形12)
西谷正士(札幌西陵) 倶利伽羅峠 (F30)
前田健治(札幌西) 奴隷(F50)
2009年1月25日(月)-30日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A)
■第6回(2009年)
■第5回
■第3回
■第1回
=以上画像なし
プロの美術家が生活しづらいのは国内どこでも同じだと思うけれど、とりわけ道内では大変だ。道内美術の最前線はかなりの部分、学校の教壇に立ちながら制作に取り組んでいる人々によって担われているのだ。
筆者はそのことがかならずしも悪いとは思っていない。自分の意に染まぬ仕事もしなくてはならないプロに比べたら、自らの志向をいくらかでも貫けるアマチュアのほうがいいに決まっている。
まあ、そんなことはさておき…。
学校の授業などがあって忙しい方々が多いせいだろう、毎年会場には誰もいないので写真を撮れないのだが、今年はこっそり谷口さんの作品を撮ってきた。
「絵画の場合」「プラスワン・グルーヴ」「PLUS 1 空間の触知へ 連鎖の試み」「水脈の肖像」…といった展覧会で精力的に展開してきた、細い支持体の連なりによる作品とはまた違う展開である。
細長い廃材をガンタック(ホチキスの親玉みたいな器械)でつなげて三角形にし、数十個重ねて床から壁に散らしている。
これでも谷口さんは「絵だ」って言うんだろうなー。たしかに、彫刻特有のボリュームやマッスといった性質はない。
おなじ部屋には、富原加奈子さんの立体「雪の景」も。
ドーナツがひしゃげたような形(たぶん石こう)の立体に、オーガンジーのような布をかぶせてある。
佐藤一明さんのストーブ型の彫刻もある。木でストーブを作るというところがおもしろい。
阿地信美智さんは、濃緑の箱に魚の骨のような立体がおさまった、ふしぎな作品。
全体的に見ると日本画の作り手たちが健闘している。
前田健治さん「奴隷」。
下から見上げるような角度で、ミケランジェロの有名な彫刻を描いている。モノクロームの世界。
変形支持体を用いてウサギを描いた平向功一さん、銀箔に青い輪郭を強調して裸婦を画いた北口さつきさん、人影も樹木もないさびしい風景を油絵的な重厚なマチエールで描写した西谷正士さん、黄色と黄緑をメーンにいすや花のある一隅を描出した齋藤美佳さん、みなさん日本画である。
ほかには、小林光人さんの抽象画がウマイ。線や矩形の配置が絶妙だ。
齋藤周さんは8枚のカンバスからなる平面インスタレーション。人間の後ろ姿をかいたインクの線がほとんどなくなり、明るい色の配置が目立つようになっている。
団体公募展では100号程度の作品を出してる人が、20号前後の作品を出品しているというのも、この展覧会のひそかなポイントだと思う。このくらいの大きさの作品って、意外と見る機会が少ないのだ。
出品作は次の通り。
阿地信美智(有朋=通信) 既視感的風景 V(nobody) (10.0×20.0×25.0cm)
奥山哲三(札幌大谷) 空中農場 II (F20)
菊地 大(札幌北陵) 透明釉茶碗 (9.0×11.0×8.0cm)
北口さつき(札幌開成) NUDE (F50)
小林光人(札幌市立山の手養護) 音の雫#2(F6) 音の雫#3(F6)=目録にはないが「音の雫 #1」も出品されていた。F10?
齋藤 周(札幌旭丘) うたかた(180.0×300.0cm)
齋藤美佳(札幌山の手) いざよい(F30)
澤田範明(札幌清田) 女性像(F20)
武石英孝(札幌東) 林檎(F10)
谷口明志(札幌拓北) 無題
高橋 聡(札幌啓成) 街角(F15)
富永一久(札幌国際情報) イグアスの滝(F10)
中川 綾(札幌大谷) HOME#1 HOME#2 HOME#3(いずれも30.0×30.0cm)
波田浩司(北星女子) 羽の舞う日(60.0×24.0cm)
場崎 恵(北嶺) 北生振冬の風影 北生振冬の牧舎 道民の森(冬) (いずれも45.0×33.0cm)
伴 翼(とわの森三愛) tube #1(20.0×30.0×60.0cm)
坂東宏哉(石狩南) earth-2010 (変形100)
平向功一(札幌稲雲) Wonderland~森の囁き (変形12)
西谷正士(札幌西陵) 倶利伽羅峠 (F30)
前田健治(札幌西) 奴隷(F50)
2009年1月25日(月)-30日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A)
■第6回(2009年)
■第5回
■第3回
■第1回
=以上画像なし