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■PLUS1 groove (8月12日終了)

2007年08月14日 00時01分32秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 
 道内でも注目すべきグループ展だと思うのですが、そのわりには毎回、アップがまにあわなくてすいません。
 ことしのメンバーは、千代明、谷口明志、田畑卓也、坂東宏哉の4氏、昨年くわわった齋藤周さん、藤本和彦さん、さらに新メンバーとして、札幌在住のヴェトナム人アーティスト、ダム・ダン・ライさんの、計7人。
 昨年出品していた若手の山本雄基さんは、ゲストだったらしく、今回は作品がありません。

 「PLUS 1(プラスワン)」というグループ名のとおり毎年メンバーをプラスしてきましたが、ことしは、グループ名にも
「groove」
がくわわりました。
 日常的に音楽をたのしんでいる人ならもちろんご存知の単語だと思いますが、日本語だと
「ノリ」
が近いでしょうかね。

 ポストカード型の図録に、つぎの文章がありました。
 GROUP SHOWで、単に各作家が自己を主張するのならば、空間を共有する意味がありません、個展を行うべきです。PLUS 1の考えるGROUP SHOWは、作家が互いに刺激し思考を深める・或いは変化する場であるばかりでなく、作家が空間を共有しGROUP SHOWとしての効果を担うべき場です。PLUS 1は、きわめて感覚的なこの効果を、“GROOVE”と表現します。


 その、相乗効果のノリがはたして表現できていたかどうかは、なかなかむつかしい問いです。
 たとえば、出品者が一体となった感じでいえば、おなじ時期に ivoryでひらかれていた「361展」のほうが、3人の緊密さが出ていたような気がします。
 しかし、それぞれの作品が相対的に独立していれば、そうそう混交しあった展示をするわけにもいかないでしょう。 
 が、すくなくても道展の会場で個々の作品を見るのとは、かなりかわった感覚は持ちえたと思います。


 で、写真に撮りづらい作品が多いと、先だって書いたので、札幌の皆さんは会場に足を運ばれたことと思いますが、参考までに画像を載せます。

 写真に撮りにくいのは、実際に細い作品が多いからです。
 齋藤さんのように、支持体はキャンバスでも、細い線のドローイングの部分が多く見づらい、という事情もあります。


 まずは谷口さん。
                

 まずは谷口さん。
 「無題」が2点と、「booth」。
 支持体と図のかたちが一致した、細長く曲線状の作品を制作しています。


           

 谷口さんの作品は今回、壁から手前に飛び出して床の上で展開しています。
 ステラのいう「ワーキング・スペース」の谷口さん的実践といえるのかもしれません。 
 空間の奥行きというイリュージョンの逆方向なわけです。


           

 藤本さんは4つの包みからなる1点「四季神 -次節に送る包み-」。
 昨年はあまりに具体的な梱包で、ちょっとおどろいたのですが、今年は一転して、なにを包んでいるのか、謎めいています。


           

 ダムさんは、赤い平面18枚からなる「雲」。
 題は雲ですが、工具にも見えます。
 谷口さんと同様、床の上にはみだしてきています。


           

 以前、トーテムポール状の立体を制作した際、その影の形のおもしろさにひかれて作ったものだということでした。


            


 坂東さんの「自己同一性(identity)」は、大きな平面1つと、三角錐3つからなります。
 三角錐のうち2つは天井からぶらさげられ、のこり1つは床の上、平面の手前に置かれています。
 題を見ようとして前に出て、ふと上を見ると、ダモクリスの剣よろしく三角錐の頂点がちょうど頭上にあるのでした。


            

 平面の左側にある赤い部分は、ご自分で焼いた陶の破片だそうです。
 表面は相当複雑なマティエールをしています。


 田畑さんもインスタレーションで、「果ての白 white of the end」という題がついています。

            

 アルミのフレームの内側が中空になっているものが天井からさがっています。
 田畑さんは冗談まじりに「リバーシブルです」と言っていました。

            

 ただし、1点だけ、キャンバスかなにかでふさがっていて、モノクロの筆が入った作品がありました。
 「この空間の鏡、のようなものかも」
と田畑さん。 

            

 千代(せんだい)さんは前回の展覧会から作風を一変させ、針金状の物体による立体にとりくんでいます。いわば、絵画の線だけを抽出して、空間に置いたようなものです。
 平面とちがう点は、いうまでもなく、見る角度でかたちが変わることですが、もうひとつあります。
 画像で見ると、わかりませんが、これは左から「ウェーブII 波」「レシーバー 受信装置」「ウェーブI 波」という3点の作品なのです。
 左右の作品の端が「レシーバー」と重なっています。
 絵画なら、作品の一部が重なっているのに両方が見えるということはありえません。 

            

 「ウェーブII」を近くから見ました。
 絵画の線に、はたして支持体は必要なのか-という問題意識の現れのように、筆者には思えます。
 

            

 最後は齋藤さん「地図のかきかえ」です。
 ごらんのとおり、ギャラリーの中央にある小部屋を巧みに利用して展示しています。
 使用されている大小のキャンバスは50枚余り。
 ほかに、ドローイングがほどこされたうすい紙が数枚。
 ふだんはよくある、壁に直接描いたような不定形の、着色された薄い板が、今回は見られないのが特徴です。
 そのため、いつもほどには、周囲の壁に奔出していく自由さが、今回は感じられず、ちょっとおちついた雰囲気になっているようです。

            

 小部屋の入り口を、接近して撮りました。


 本来ならば各作家についてもっときちんと論じるべきですが、くわしく書こうと思ってけっきょく中途のままになっているエントリがたくさんあるという筆者の悪癖をかんがみ、とりあえずこれでアップします。
 すいません。(でも、下のリンク貼る作業だけで、けっこうつかれた)


07年8月7日(火)-12日(日)10:00-18:00
コンチネンタルギャラリー(中央区南1西11、コンチネンタルビル地下1階 地図C

PLUS 1 grooveのサイト

齋藤周さんのサイト
ダム・ダン・ライさんのサイト

06年
04年

千代明個展(06年)

谷口明志展(06年)
小樽美術協会展(07年)

北海道立体表現展(06年、画像なし、藤本さんが出品)
北海道立体表現展(03年、画像なし、藤本さんが出品)
畑俊明 藤本和彦 コラボレーション展
(画像なし、02年)
地上インスタレーション計画(01年、藤本さんが出品)
北の創造者たち2001(画像なし、藤本さんが出品)

齋藤周「3月の次から」(07年3月)
PISTOL 2
06年6月の個展
06年2月の個展
絵画の場合2005アーティストトーク
札幌の美術2004(画像なし)
個展「横移動の座標軸」(03年)
個展「細かい情感のイメージ」(03年)
個展「NEXT STEP」(02年、画像なし)
個展「多面に存在していくこと」(02年、画像なし)
01年の個展(画像なし)


絵画の場合2007(谷口さん、田畑さんが出品)

TIK TAK SHOWING(05年、ダム・ダン・ライさん企画)
DAM DANG LAI Exhibition(04年、画像なし)
Dam Dang Lai展(03年)
DAM DANG LAI Sculupture Exhibition(03年画像なし)


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2 コメント

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偶然! (akiko)
2009-03-13 14:40:43
はじめまして。
偶然、このブログを見つけたのですが、知り合いが出ていたので懐かしく思い、コメントしました。
私は旧姓・坂口といいます。フジちゃん(藤本くん)とは大学の同級生、千代さんとは同郷で、千代さんの奥さんと同級生+子どもの頃の友達でした。
フジちゃんと千代さんが一緒に活動されているのがオドロキです。
みんなの活動が見られて楽しかったです。
たまにこのブログをのぞいて見ることにします。
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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2009-03-14 14:13:28
 akikoさん、こんにちは。
 千代さんと同郷、ということは、日高方面ですね。
 今後もちょくちょく遊びにいらしていただければと思います。
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