北海道美術ネット別館

アート、書道、写真などの展覧会情報や紹介、批評、日記。毎日更新しています

08年2月のおもな展覧会

2008年02月29日 23時30分13秒 | 主な記事へのリンク
 2月のおもな展覧会の記事へのリンクです。
 書き終わっていないエントリには、まだリンクがはられていません。
 このエントリは随時更新します。

 ■■は、更新時に開催中の展覧会、■はすでに終了した展覧会です。

現代美術
Snow Flakes in Sapporo II
専門学校札幌デザイナー学院 卒業制作展・鈴木果澄さんの作品

絵画
垣脇真知子個展 ←変化→ 時は止まらない
アルディ会展
水戸麻記子展 MITORAMA 14
行動展北海道地区作家展
あひる会展・西澤宏生個展
ODA YOKO EXHIBITION+ FURNITURE
5er展 札幌大谷大学短期大学部専攻科美術1年 5人による展示
濱登武個展
佐々木修絵画展 静かなる響き

版画
森ヒロコ銅版画展
道都大学中島ゼミ展 版's SEVEN
小山田慶次木版画展 旅の風景

工芸・クラフト
タニグチススム展-Porcelainの誘惑
第4回斜里窯新作展

写真
■■Breath of Nature 自然の息吹-山本純一写真展
サンディ・シュン写真展「印象派写真」
管洋志写真展「奄美-シマに生きて」
札幌大学写真部卒業展
第44回キヤノンフォトコンテスト入賞作品展
MOVE
写真都市sapporo 伊藤也寸志写真展
広告写真家の写真展
立木義浩写真展 長い昼・白夜

複数ジャンル
アール・ブリュット 交差する魂
北海道芸術デザイン専門学校卒業制作展
北翔大学生涯学習システム学部芸術メディア学科第5回卒業制作展
Graduation Exhibition 2007 北海道教育大学札幌校芸術文化過程美術コース卒業制作展
道都大学 デザイン学科卒業制作展
冬展2008
寒桜忌展 歌人・今井和義 没後4年
北海道教育大学大学院美術教育専修修了制作展
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2008年2月も終わりだ

2008年02月29日 23時24分46秒 | つれづれ日録
 947ヘクトパスカルという颱風(たいふう)並みの低気圧などのおかげで、ついに積雪が1メートルを突破した2月末の札幌。
 29日は一転して気温が上がり、交叉点はどこも水びたし。歩きづらいこと、この上ない。
 そもそも札幌は交叉点のやたらと多いマチなので、どこへ行くにも水たまりの回避に努めねばならず、跳んだり急に曲がったり、常にない歩き方をしているうちにすっかり足首の調子がおかしくなってしまった。
 そのうちまた気温が下がって、この泥水が今度は凍るのかなあ。いやだなあ。

 悪い道路状況にもめげず、朝のだるさにも負けず、きょうは5カ所まわってから出社。
ギャラリー粋ふよう→
temporary space→
キヤノンギャラリー(山本純一写真展)→
富士フイルムフォトサロン→
ギャラリーたぴお


 さて。
 こんな優雅な出勤ができる回数も、来月から激減しそうだ。
 もっとも、これまでだって、出社時刻が遅いぶん退社も遅いのだが。
 会社の部内で仕事の内容が変わるのだ。

 週日はめいっぱい働いて、土曜日に集中的にギャラリーを回らざるを得なくなるだろう。
 はたして、そんな余力が残っているだろうか。


 というわけで、このブログの前途も多難だなあ。
 今月は30の展覧会を紹介し、84だか85本のエントリをアップしたけれど、いくらかペースダウンしなくてはいけなくなるかもしれない。

 ご案内をいただいた展覧会には可能な限り足を運ぶ方針は、くずしたくないけれど…。 
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■Breath of Nature-自然の息吹- 山本純一写真展 (3月7日まで)

2008年02月29日 23時23分03秒 | 展覧会の紹介-写真
 昨年プロとして独立した札幌の写真家、山本純一さんの個展です。昨年の富士フイルムフォトサロンでの写真展はほとんどが銀塩でしたが、今回は全16点がデジタル。道内で撮影した美しいネイチャーフォトがならんでいます。

 東京で、12色の顔料を使ったインクジェットプリンタで印刷したとのこと。インクジェットというのが信じられない出来で、「ブローニーをプリントした」といわれれば「そうかな」と思ってしまいそうです。やっぱり、銀塩かデジタルか、ではなくて、中身だなあ-とあらためて感じました。

 また、山本さんの写真を全面的にフィーチャーしたキヤノンの海外向けカレンダー(!)も見ることができます(買いたかったけど、国内では入手できないそうです)。欧洲向け、北米向け、中国向けの3種です。

 会場でいちばん最初に目に入るのが、支笏湖の朝焼けをとらえた1枚で、海外向けカレンダーの表紙に採用されているものです。星がひとつだけ見えるのが、良いアクセントになっています。
 札幌に先立ち銀座のキヤノンギャラリーでひらいた個展では、来場者から「どこの国で撮ったのですか」と聞かれたそう。
 「新千歳空港から車ですぐですよ、と答えましたよ」と山本さんは笑います。

 つぎは、月夜の増毛海岸。手前の峨々たる岩にカモメがいるのがわかります。

 積丹海岸で「波の花」をとらえた1枚は、雲が割れて夕日がさしているのが、風景におもむきを与えています。というのは、波の花は、初冬の悪天候の日に見られることが多いからです。

 おなじく積丹海岸を撮った1枚は0.6秒というスローシャッター。波が白い風のように見えます。




 十勝川河口の氷にカメラを向けた作品(上の画像、右端)は15ミリという広角レンズを使用しています。これも日本離れした風景と言えるかもしれません。

 最後は、十勝管内足寄町の、氷点下20度を下回る厳寒の林を写したもの。まるでモノクロで撮影したようですが、よーく見るとカラーだとわかります。
 「朝9時ぐらいまで粘って、太陽光が白っぽくなってから撮りました」

 山本さんの写真は、人が容易にたどり着けない秘境や、珍奇な動物をねらったりしたものではありません。
 撮影地は、だれもが自家用車などでたやすく行ける場所ばかりです。
 ただ
「すべてノートリミング」
ということばが表しているように、風景の切り取り方の美意識が鋭いのだと思います。
 もうひとつ、これは多くの写真家が実践していることなのかもしれませんが、「粘りと予想」でしょうか。
 波の花の写真にしても、「もしかしたら雲が割れて日が差すかも」と予想して粘ったことが、会心の1枚につながったのだと思います。

 まだまだ北海道には美しい風景があるのだ-ということを、あらためて広く発信する写真展でした。


08年1月31日(木)-2月6日(水)10:00-19:00(最終日-16:00)、日曜休み
キャノンギャラリー銀座(東京都中央区銀座3-9-7、トレランス銀座ビル)

2月25日(月)-3月7日(金)9:00-17:30(最終日-16:00)、土・日曜休み
キヤノンギャラリー札幌(北区北7西1、SE山京ビル、地図A)


■「越冬」山本純一写真展(07年1月)
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■タニグチススム展-Porcelainの誘惑 (3月2日まで)

2008年02月29日 23時04分58秒 | 展覧会の紹介-工芸、クラフト
 タニグチさんは札幌の陶芸家。
 江別市セラミックアートセンターで個展がひらかれたこともあります。
 ここ数年は、ギャラリー大通美術館で毎年のように個展をひらいていますが、土の味を生かした、少々のひびや亀裂は気にしないダイナミックな作品を多く手がけています。いかにも穴窯で焼成したらしい、焼き締めの作品でした。
 ところが、今回は一変して、磁器のように焼成した「白の世界」です。
 テーブルにアクリル板を置き、その上に作品をならべています。食器や茶碗、花器などではなくオブジェといったほうが適切のようです。ひとつひとつ見ていくと、荒物のまげわっぱを思わせる形だったり、都市計画の模型のような形だったり、一般的な彫刻や工芸の世界ではあまり見かけない、独特のスタイルのものが多いです。
 ただ、これまでの力みなぎるタニグチさんの世界にくらべるとなんだかかわいらしささえ感じます。
 釉薬は用いず、陶石の表面の繊細さが生きています。
 タニグチさんによると、これまでの作風をやめたわけではないとのこと。「今回は季節に合わせて取り組んでみました」と笑っておいででした。


08年2月26日(火)-3月2日(日)10:00-19:00
ギャラリー大通美術館(中央区大通西5、地図A
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08年2月25-28日

2008年02月29日 00時47分01秒 | つれづれ日録
 25日のつづき。

 会社の帰りに
NHKギャラリー→
時計台ギャラリー(アルディ会展別項)→
富士フイルムフォトサロン→
石の蔵ぎゃらりい はやし
に寄る。



 26日。

オリジナル画廊(垣脇真智子個展別項)→
ギャラリーミヤシタ→

 南3西20からバスに乗り、大通西8で降車。
 終了まぎわの専門学校札幌デザイナー学院 卒業制作展を、同校で見た。
 グランプリの鈴木果澄さんの作品については、別項で書いたとおり。

 

 27日は仕事がいそがしくギャラリーまわりはなし。

 帰路、詩集をさがしに、紀伊国屋に寄ったが、あまりの少なさに愕然。
 まだ旭屋書店のほうがましだった。



 28日。

 午前中にギャラリーをまわろうとしたが、寝坊。
 朝、とにかくだるい。
 どうしてだろうか。夜のほうがはるかに体が楽だ。


 この日行けたのは、
ギャラリーユリイカ→
さいとうギャラリー→
ギャラリー大通美術館(タニグチススム展)→
ポールスターホテル
の4カ所。

 ポールスターの「この指とまれ」展では、石垣渉さんが「星影のワルツ」というロマンチックな作品を出しているのが目を引いた。
 ただ、石垣さんの名前が表記されてないのは残念。

 というわけで、まだまだ見なくてはならない展覧会がどっさりのこっている。 
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●本質を極める異職の技-4人展 (3月1-9日)

2008年02月28日 23時59分37秒 | 展覧会などの予告
 いろいろ忙しくて「クラフトAger(アゲル)」に最近行ってない。
 Agerを主宰する「北のクラフトプロジェクト・いぷしろん」は、3月上旬、Agerを留守にして、もっと広いスペースのある茶廊法邑(ほうむら)で、一押しの作家4氏をフィーチャーして展覧会を開く。

 顔ぶれは
朝田千佳子さん(染織、札幌)
勝水喜一さん(木工、釧路市阿寒町)
北川智浩さん(陶芸、江別)
堀内亜理子さん(漆芸、旭川)。

 朝田さんはシンプルで大ぶりのタペストリーなどで毎年のように個展をひらいている。
 勝水さんは、木が本来持つ味わいを生かした家具や皿などで高く評価されている作家。
 北川さんは磁器による食器など、丁寧な仕事ぶり。
 堀内さんは旭川では数少ないうるしの作家として、食器作りなどにたずさわっている。

 期間中正午と15時、作家による作品解説がある。

 また、初日18時30分からオープニングイベント。
 建築家の丸山博男さん(東京)を交えギャラリートークを行うほか、琴のミニライブもある。

 「いぷしろん」の舟見さんは、北国のクラフトで豊かな暮らしを提案しており、その熱心さには頭が下がります。
 クラフト好きのかたは、ぜひ足を運んでください。


08年3月1日(土)-9日(日)10:00-18:00、火曜休み
茶廊法邑ギャラリー(東区本町1の1)

 
 このほか、勝水さんは、3月1日(土)-9日(日)11:00-18:00、j-senseギャラリー(東区北13東1)でも個展「樹更-きさら」展をひらく。

 このギャラリーは、できたばかりで行ったことがない。
 東豊線の北13条東駅から近いと思う。


□クラフトAger http://ipsilon2007ager.chagasi.com/index.html




 法邑は、地下鉄東豊線「環状通東」から徒歩7分。
 2番出口から環状通(中央分離帯のある広い道)に出て、右(吉野屋やアオキのある方)へすすみ、最初の信号を右に折れて細い道に入り、最初の角(寺の門の前)を左折して、あとはひたすら直進(途中に保育園、公園、ボタン式信号あり)。
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■アール・ブリュット/交差する魂 (2月17日で終了)

2008年02月28日 22時27分51秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 展覧会の正式名称は

アール・ブリュット/交差する魂 ローザンヌ アール・ブリュット・コレクションと日本のアウトサイダー・アート

です。
 旭川での展示はもう終わりましたが、これから東京などに巡回します。
 必見の展覧会だと思います。

 さいわい、図録は一般書店でも入手できます。
 さらに、光文社新書「アウトサイダー・アート」(服部正著)という、とてもわかりやすくてためになる本があり、格好の入門書です。

 アール・ブリュット(生の芸術)の定義などについては、リンク先を参考にしてください。

 ただ、会場で、どっかの人が海外の視察者に
「なまの芸術といわれています」
と説明している場面に遭遇し、ずっこけそうになりました。
 これは
「きの芸術」
と読んでください。

 筆者が行ったのは最終日ということもあって、けっこうな観覧者がいました。特別展示室がほとんどだれもいなかったのと対照的でした。

 アウトサイダーアートの魅力というのは、既存の芸術のものさしでははかれないところにあると思います。
 誤解のないように願いたいのですが、アウトサイダーアートの作者に精神を病む人が多いのは事実であるとしても、精神を病む人のアートがアウトサイダーアートというふうに定義づけられるわけではありません。そして、精神を病む人のアートがすべて魅力的だというわけでもありません。アウトサイダーアートのなかにも、おもしろい作品とつまらない作品があるようです。
 この展覧会にはおもしろいアウトサイダーアートが集まっていました。

 なかでも、すでに澁澤龍彦によって日本に紹介されていたアドルフ・ヴェルフリなどは
「おー、本物だ!」
という感じで、とても興味深く見ることができました。

 筆者のごときオタクの目からすると、末岡秀則「電車」もすごいものがあります。
 ものすごい細かさで電車の正面の顔をならべて描いています。いずれも、かなり縦に引き延ばされているのが、ふしぎなところです。
 展示されていた8枚の紙にかかれていたのをかぞえたら、計3777輛!
 しかも、少なくても筆者が見た限りではすべて電車と電気機関車でした。つまり、新幹線や「ライラック」はあっても、ディーゼルカーの「北斗」や「オホーツク」は描かれていないのです。

 喜舎場盛也の漢字をびっしりと書いた作品もおどろきでした。
 一般的な漢字にまじって中国の略体字もずいぶん含まれています。
 意味を捨象してひたすら文字を何千個もつらねていく様子は、どんな書もかなわぬほどラジカルです。

 青い色が美しいなあと思ったのは坂上チユキの「EDEN」。
 前出の「アウトサイダーアート」によると、鉱石なども交えて描いているそうです。
 図録に書かれた自筆の略歴がまたふるっています。たしかに、細胞単位でみると、わたしたちは5億9000万年前の生まれなのかもしれません。

この項つづく)  


2008年1月16日(水)-2月17日(日)
道立旭川美術館(旭川市常磐公園)
2月28日-5月11日 ボーダレス・アートミュージアムNO-MA、旧吉田邸(滋賀)
5月24日-7月20日 松下電工汐留ミュージアム
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「アール・ブリュット/交差する魂」を見て考えたこと

2008年02月28日 22時26分36秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
承前)

 ヴィレム・ファン・ヘンクの、モスクワや東京を描いた絵もすごい。
 たんに写実的というのとはちょっと異なる細部へのこだわりが感じられます。
 東京の方は、東京駅前に都電が走り、デモ隊がいます。1970年という時代を感じさせます。
 作者はデモ隊をかくにあたって、ネタもとがあったらしく、「日本共産党中央委員会出版部発行」「アメリカは日本と南朝鮮から出てゆけ」などという文字が読めます。
(ちなみに、北朝鮮では韓国のことを南朝鮮とよび、韓国では北朝鮮のことを北韓と呼称する。北朝鮮の言い方をまねるとはトンデモねえ野郎だ-というのは、現代からの見方で、1970年当時は北も南も独裁国家であったのだ)

 これらの出品作を見ていると、二、三の例外をのぞいて、共通点があるような気がします。
 それは空間恐怖症のように、画面に空白をつくらず、びっしりとモティーフをうめつくしていくことです。
 そういう作風で思い出す有名な人がいます。草間彌生です。
 彼女には、これはもちろん差別するのでは断じてないけれど、精神を病む人に気質があると思います。
 しかし、彼女のアートは、アウトサイダーアートの範疇(はんちゅう)には入りらないようです。
 その理由として、彼女が、意識的・戦略的に、ニューヨークのアートシーンに参入していったという事情があったためと考えられます。
 アウトサイダーアートの特徴として、作家本人が世間の称賛や評価に無頓着であることが挙げられます。
 先にのべた新書本には、ずばり「戦略なし」と書いてありました。
 しかし、あらためて、アウトサイダーアートの範囲とは、いったいどこまでなんだろう? と考えさせられます。
 もうひとつ例を挙げると、今展の図録に「快走老人録」展の写真が載っていますが、この展覧会には、林田嶺一さん(江別)も出品しています。
 しかし、林田さんは一般的な風景画などで全道展会員(のち退会)になった人であり、アウトサイダーアートの文脈で語られるような作家ではないでしょう。

 ここらあたりに、「名付けること」の権力性みたいなものをかぎとってしまうのは筆者だけでしょうか。

 それはともかく、アウトサイダーアートを厳密に定義づけようとするのは、あまり生産的な行為ではないのかもしれません。
 なにがアウトサイダーアートで、なにがアウトサイダーアートでないのか-という議論に力をついやすのではなく、従来アートとして見なされなかったものを積極的に見直し、アートの世界を広げていく不断の姿勢こそが大切なのでしょう。


2008年1月16日(水)-2月17日(日)
道立旭川美術館(旭川市常磐公園)
2月28日-5月11日 ボーダレス・アートミュージアムNO-MA、旧吉田邸(滋賀)
5月24日-7月20日 松下電工汐留ミュージアム
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08年、冬に撮った写真

2008年02月27日 22時50分27秒 | つれづれ写真録
 








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■垣脇真知子個展 ←変化→ 時は止まらない (3月1日まで)

2008年02月27日 22時49分27秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 垣脇さんは富良野在住。札幌では初の個展だそうです。油彩15点ほどを展示しています。
 案内状のはがきには「エチオピア幻想」という絵が採用されています。ビル街を、シーラカンスのような大きな魚が左の方を頭にして泳いでいる、幻想的な作品です。題の由来はわかりません。エチオピアには海がないので、ふしぎな題だなあと思います。
 筆者の目を引いたのは、「みんなどこ?」という80号の作品。やはり、街のなかが舞台で、手前中央に黒い猫がたたずんでいます。猫の不安そうなようすには、作者の心持ちが反映しているのではないかと思います。
 ただ、さびしいだけではありません。猫は、魚の模様が入ったユニークな黄色い首輪をつけていますが、おなじ黄色い球が、背後のあちこちの窓に見えるのです。猫は1匹しか描かれていませんが、仲間は、きっと、探せば家々にいるのでしょう。孤独と希望の両方の要素のある、しみじみとした情感をたたえた絵だと感じました。
 垣脇さんの絵の特徴はマティエールです。さまざまな色を重ねては、はぎ取り…ということを根気強く繰り返しているように見えます。さらに、表面にはひっかいたような跡があちこちについています。この厚みが、画面に深みをあたえているのでしょう。


08年2月25日(月)-3月1日(土)11:00-18:00(最終日-16:00) 
オリジナル画廊(中央区南2西26 地図D)

佐藤萬寿夫さんらとの3人展(画像なし) 
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美術評論家の米倉守さんが死去

2008年02月27日 22時48分39秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
米倉守氏死去 松本市美術館長(共同通信) - goo ニュース

 筆者が彼の名を目にして思い出すのは、一昨年にさわがれた和田義雄画伯(爆)の盗作問題のこと。
 和田氏を一貫して擁護し、芸術選奨に推すにあたって力がありました。
 盗作疑惑がもちあがってからも、釈明することもなく、ほおかむりを続け、「美術の窓」誌への連載を続けていました。
 そもそも彼が朝日新聞を退社したのは、彼の書いた記事に盗用の疑いがあったためでした。

 朝日、毎日、読売の各紙には死亡記事が載っていましたが、上記のようなことにはふれていません。
 さすがに、死者にむち打つような記述はマズイと思ったのか、いや、単に、それほど長く行数をさくほどの大物ではないということなんでしょうけど。

 米倉 守氏(よねくら・まもる=松本市美術館長、多摩美大教授)25日午後7時18分、下いん頭がんのため東京都三鷹市の病院で死去、70歳。津市出身。自宅は東京都武蔵野市(中略)。葬儀は密葬で行い、しのぶ会を4月10日に開く。喪主は妻マサミさん。元朝日新聞編集委員。多摩美大で造形表現学部長を務めた。
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新製品フジクロームベルビア50展・ニュークラッセ展(2月27日まで)を見てデジタル写真について考えた

2008年02月27日 00時34分06秒 | 展覧会の紹介-写真
 話の始まりは、NHKギャラリーですずらんフォトクラブの写真展を見たことだった。

 海外旅行でのスナップ、風景、花などが題材で、よくあるタイプの写真グループ展なのだが、ひとつびっくりしたことがある。
 全点がデジタルカメラで撮影されているのだ。

 これがちょっとショックだった。

 もちろん、いまどきデジタルなんて、めずらしくない。
 ショックだったのは、そのプリントを見て、デジタルであることがまったくわからなかったことだ。

 いままで筆者は、プリントを見て、それが銀塩であるかデジタルであるかを見分けられているつもりだった。
 それが完全に不可能になったことを思い知らされたのだ。
 いまにして思えば、それは、銀塩とデジタルの差というよりもダイレクトプリントとインクジェットの違いであったような気がする。

 これまでデジタル=インクジェットにいだいていた感想というのは…

1.硬調
2.立体感に乏しく、輪郭が強調されている
3.とりわけ木や草など、緑色の描写が平板。葉っぱじゃなくてバラン(駅弁やコンビニ弁当に入っている樹脂製の緑のギザギザ)みたい

というものだった。

 もちろん、6-8年前ごろは、デジタルカメラの画素数もいまよりずっと少なかったから、全紙ぐらいまで引き伸ばしてプリントすると、斜めの線がかぎ状になったりして、すぐにデジタルであることが見破れたものだ。
 それも、今は昔になってしまった。

 銀塩の存在価値はどこにあるのだろう。
 ここまでデジタルの水準が上がってしまったいま。

 そんなことを思いながら富士フイルムフォトサロンに足を運ぶ。

 そこには、ベルビアで撮影されたみごとな写真のプリントがならんでいる。
 なるほど。
 銀塩は健在である。

 むかしは
「派手な色をとるならベルビア」
といわれたこともあり、実際夕焼けなんかを撮ると、すごいピンクや紫のグラデーションの織り成す世界がそこにあってびっくりしたものだが、ともあれ、すくなくてもいまギャラリーにならんでいるプリントを見る限りでは、それほど派手な印象はない。

 まあ、銀塩かデジタルか、というのは、じつは大した問題ではないのかもしれない。
(そんな話を写真家のIさんとしたことがある)

 もし機材がそんなに大事な要素だとしたら、土門拳は名写真家ではなくなってしまうだろう。いまよりもずっと低い感度とできの悪いレンズで撮っているのだから。
 もちろん、最大の問題は、なにが、どう写っているかということだ。

 とはいえ、ポラロイドのフィルムが製造中止ということが決まったり、写真を取り巻く環境はものすごい速度で変わっていく。
 銀塩派は、これまで以上に、銀塩の優位性を筋道立てて説かなくてはいけない時代になったのかもしれない。

 ちなみに、富士フイルムフォトサロンに展示されているテラウチマサトさんのモノクロ写真はなかなかスゴイです。
 黒のスパッツを、あんなに質感豊かに撮れてる写真ってあんまりないんじゃないでしょうか。
 いいなー、クラッセ、ちょっとほしくなってしまった。


 
すずらんフォトクラブ自然の風景展
=08年2月22-28日10:00-18:00(最終日-15:00)
NHKギャラリー(中央区大通西1 地図A)

新製品フジクロームベルビア50展・高級コンパクトカメラニュークラッセ展
=08年2月22日(金)-27日(水)10:00-18:30
富士フイルムフォトサロン(中央区北3西3、札幌北三条ビル 地図A)  
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■専門学校札幌デザイナー学院 卒業制作展・鈴木果澄さんの作品 (2月26日で終了)

2008年02月26日 23時58分28秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 まず、北海道美術ネットの「最新情報」で、開催時間が誤っていたことをおわびいたします。
 ネタもとになったリーフレットが間違っていたのです。
 もしかしたら、言い訳のエントリを別にたてるかもしれません。

 ともかくも、関係者のみなさまにはご迷惑をおかけしました。


(以下、グランプリ作品の記述だけで長文になってしまいました)

 さて、最終日の搬出時間ぎりぎりに見に行って、そろそろ会社へ行かなくては-というころ、札幌デザイナー学院で教壇に立っているFさんにばったり会い、グランプリの作品の所在を教えてもらいました。
 グランプリの作者は、Fさんの個展の際、会場にいたらしく、筆者のことも見知っていました。
 そこで、筆者は、スムーズに作品の前まで来ることができたのです。

 受賞作「ある小さなものがたり~風と星をさがす旅」は、ちょっとモンゴルのゲル(移動式住宅)を思わせる小屋のような格好をしていました。入り口の手前に、紙でつくった花が点在し、天井からは、コンセプトなどが書かれた板がつり下げられています。
 小屋のなかに入って鑑賞するというスタイルは内藤礼を思い起こさせますが、中は意外と広く、7、8人が同時に入れます。内壁は和紙かなにかが貼られ、木や風景が描かれています。地面には、外側にもあった紙の花が点在し、白い砂利のようなものが敷き詰められています。そして、中央に丸い池があって、そこにたまった白い水に映像が投影される仕組みになっています。

          

 映像はループで約15分とのことでした。
 ときおり、天井から水のしずくが、ぽとり、と池に落下します。

 映像は、文字や写真を組み合わせたもので、おだやかに変化していきました。
 文字によるメッセージは、「過去より、未来より、今を大切に」といったもので(メモしていなかったので、正確に再現できません。ごめんなさい)、それだけを読むと、とりたてて詩的だとか独自の内容というふうでもないのですが、こういうお膳立ての中だと、とても感動的に迫ってきます。
 また、文字は、活字と、鈴木さん自身の筆とがまじりあったもので、小学校のころから書を習っているという彼女の「筆力」も大いにあずかっているのだと思います。

 薄暗い空間で、ゆったりとうつろう映像を見ていると、筆者には、ここがまるで三途の川のほとりのように感じられてしかたありませんでした。
 筆者はもともと、来世とか輪廻といった発想に懐疑的なのですが、鑑賞中はなぜか、とても大きな存在にわが身をゆだねているかのような、心からいやされているような気持ちになっていました。ニルヴァーナとは、ひょっとするとこういう境地でしょうか。
 20歳ぐらいの若者の作品がこれほどまでに完成してみえるのはなぜだろう? ふしぎでなりませんでした。

 あえて言えば、白い液体の表面に映像を上から映すというのは端聡さんの真似でしょうし、漏斗(ろうと)に氷を入れておき溶けた水を落とす仕組みは佐々木秀明さんの模倣でしょうが(もし独力で思いついたのでしたらごめんなさい)、それもいけないことには思えません。逆に、この作者はよく見て回って、いろいろ吸収しているなあと感心してしまいます。 

 会場にはこのメーン作品のほか、得意の書を生かしたカードなどが展示されています。
 あかりを組み入れた木の箱に透明なスクリーンを入れ、つぎつぎと場面が展開していくような仕掛けの立体もありました。

 作品と同様におどろいたのは、作者のプロフィルです。在学中の2年間におびただしい数のコンペやコンクールに挑戦してきたことが記されています。
 この積極的な姿勢には舌を巻きました。


 いくつもの偶然に導かれるようにしてこの作品にふれることができたのは、ほんとうによかったです。
 それにしても、もっと早く見に行くべきでした。
 機会があれば、再展示を強く希望します。多くの人に見てもらいたい作品です。


08年2月22日(金)-26日(火)10:00-19:00(最終日-15:00)
札幌デザイナー学院 校舎内(中央区大通西9)

□拓の値段を見ない買い物ごっこ(参考。ここより良い写真アリ) http://takudesign.exblog.jp/7543281/
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西21丁目の川と、南1西21にあった池

2008年02月26日 23時58分04秒 | さっぽろ川あるき
 「旧円山川、よこちべつ川、そして界川」で

現在、西21丁目通は、裏参道の南側で大きく折れ曲がっているが、この川と関係あるのかどうかもわからない」

と書いたが、これはやはり、このあたりに池があったためのようだ。

 札幌市教育委員会編「さっぽろ文庫・別冊 札幌歴史地図<昭和編>」に載っていた地図を見たら、道路が池を迂回するように描かれていた。
 大正期に、ギャラリーミヤシタのあたりから発するように描かれていた川は、昭和13年ごろには、この南1西21の池を源流としていたようだ。



 ちなみに、この地図は右が北になっている。
 円山小学校や、冒頭の画像にうつっている瑞龍寺の場所などは、いまと変わっていない。
 このころになると、円山川の円山公園よりも北側の部分とか、界川などが、宅地化にともなってかなり直線化されていることがわかる。
 また、源流の池の北、大通西20丁目にも小さな池があったようだ。


 しかし、この川にせよ、旧円山川にせよ、平地に水源のある川は、都市化が進むにつれて衰亡することが多い。
 界川が、中・下流は暗渠(あんきょ)になっても、上流が生き残ったのは、源流が山地だったためだろう。
 現在の札幌で、平地に水源のあった川のうち、大きく衰えながらなんとか生きのびている伏古川、人工的にくみ上げた水を水源としているサクシコトニ川などをのぞけば、あとは本通東排水、琴似八軒川、小沼川、白石川などなど、いまはなくなってしまった川が多い。


 ちなみに、道がふたまたにわかれるところには以前渋くて古い建物があったように記憶しているが、いつの間にか更地になっていた。

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■第36回アルディ会展(3月1日まで)

2008年02月26日 23時34分11秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 米谷哲夫さん(全道展会員)が指導する道新油絵教室の展覧会。
 前身は、道内画壇の大御所だった国松登さんが講師を務めていたHBC文化センターの火曜油絵教室で、道内でもかなり歴史の古いほうだと思います。
 毎年この時期に時計台ギャラリーの2階を借り切って展覧会をひらいています。

 教室展といっても画歴の長い人も多く、全道展会友が毎年2人出品していました。
 今回は、そのうちのひとりである福江文子さんの姿が見あたりません。
 もうひとりの佐藤説庫(えつこ)さんは「地風景(祈り)」などを出品しています。
 「地風景」は、北海道の畑作地帯を上空から眺めたような、やや不規則で多様な色の矩形を連ねた抽象画のシリーズで、何年も前から取り組んでいるものです。今回は、ピカソ「泣く女」や、ミロの星、月などが“引用”されているのが特徴でした。

 ほかにも全道展で入選を重ねている人が何人もおり、100号クラスの大作を搬入しています。
 おそらく、ここでいろんな人の意見を聞いて最後の仕上げをし、6月の全道展に出品するのでしょう。
 ただし、筆者の好みで言えば、どうしても、大作よりも、そのとなりに展示されている人物画の小品などの方が好ましく感じられます。
 なんらかのかたちで画面に構成を持ってくる必要のある大作にくらべ、モデルの人物にすなおに向かい合っているような絵のほうが、見ていてほっとするのです。

 そういった「入選組」でない人のうち、堀江尚さんの絵が気になりました。
 「花」「町(1)」「北大構内」の小品3点を出品しています。題のとおりの、とりたてて変わったところのない絵で、技法的にも特別優れているというものでもありません。
 ただ、3点を前にしていると、この作者には、見る人の目を奥の方まで導いていこうとする並々ならぬ意思のようなものが感じられて、しかたないのです。
 20世紀の絵画は、写実的な作品は別として、奥行き一般を排除する方向で進んできたところがあります。そこで、かえって堀江さんの絵が新鮮に見えるのかもしれません。

 小澤宣子さんの絵も見ていて気持ちが良かったです。
 「バラ」など、何のてらいもなく、見たままに対象をわしづかみにして、元気よく筆を運んでいることに、共感しました。
 戦前の名だたる洋画家なんかが描いてそうな感じの佳品だと思います。

 岩村紀代子さん「白いセーター」は、アカデミックな描法による明暗をつけるやり方によらずに、どうやって人物の立体感を表現したらよいか-という問題について苦闘し、それなりの答えを出している作品だと思いました。もちろん、平板に処理するのもひとつのやり方でしょうが、岩村さんの絵の女性は、たしかに腕が腕に見えるのです。これはけっこうタイヘンだと思います。

 全道展に入選している人では、仲井みち子さん「木のある風景」が目を引きました。
 いつも、晩秋などの枯れた寂しい風景を描いている仲井さん。今回は、縦構図にしているところがおもしろいと思います。

 なお、講師の米谷さんは「バラ」と題した静物画2点を賛助出品しています。


08年2月25日(月)-3月1日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A


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