北海道美術ネット別館

美術、書道、写真などの展覧会情報や紹介。毎日更新しています。2013年7月末、北見から札幌に帰還。コメントはお気軽に。

■灰色と月 石神照美×経塚真代 二人展 (2018年9月11~16日、札幌)

2018年09月19日 22時09分17秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 東京・阿佐ケ谷と札幌にギャラリースペース(札幌は「CONTEXT-」S)を開くかたわら家のかたちをした陶のオブジェをつくる石神照美さんと、切なさをたたえた人形が多くの支持を集めている札幌の経塚真代けいづかまさ よ さんの2人展。

 これまで経塚さんは、美術館のグループショーはありますが、2人展は初めてとのこと。
 ギャラリー門馬のオーナー大井さんが提案したそうです。
 いきなりこのユニークな細長い空間を2人でつくるのも大変なので、事前に神戸で2人展を開いたとのこと。

 9月7日スタートのはずでしたが、搬入の6日に胆振東部地震が起き、開催期間が短くなりました。

 それぞれにお話をうかがったところ、石神さんも経塚さんも
「相手の世界を壊すのではないかと、心配でした」
という意味のことを言っていたのが、おもしろかったです。
 ふたを開けてみると、これはもう最初からコラボレーションする運命だったのではないか、と思うくらい、互いの作品が共鳴し合ってひとつの世界をつくっています。

 フォルムがどう、大きさがどう、という以前に、精神的なベースに共通する何ものかがあったのではないかと感じます。


 筆者が訪れたときも、会場は盛況でしたから、なにか矛盾したことを言うようですが、その精神的な基盤は、やはり、孤独を愛する心、なのではないかと思います。

 三角形のなかに座ったり、あるいは、石神さん作の階段や家に腰掛けたり、トンボのような羽をつけて立っていたり…。
 ありようはさまざまですが、経塚さんの人形たちは、どこか遠くを見つめています。

 その視線の先には、古い時代に打ち捨てられてしまった石神さんの三角屋根の家や建物が並ぶ、あの懐かしい街があるのではないでしょうか。 、
(石神さんのつくる小さい家にはLEDランプが仕込んであるものもありました。また、箸置きなどもありました)


 大きな地震があって、わたしたちのくらしは一時的に、日常からかけ離れたものになりました。
 しかし、日常が戻ってくるにつれ、心はやはり、どこか遠いところを夢見て、あてもなく旅しているような気もします。
 石神さんの陶の家も、経塚さんの人形たちも、そんなわたしたちの心がほっつき歩く遠い国の風景なのかもしれません。もしくは、小さな旅人とその旅先なのでしょうか。



2018年9月11日(火)~16日(日)午前11時~午後6時
ギャラリー門馬ANNEX(札幌市中央区旭ケ丘2)


□CONTEXT-S http://www.geocities.jp/context_s/

□サイト http://masayokeizuka.com/
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閑 土―紙 石神照美(土)・馬渕寛子(紙) (2015)※画像のみ


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■東京富士美術館開館35周年秘蔵展  日本の美・百花繚乱 (2018年7月7日~9月2日、札幌)

2018年09月05日 22時58分51秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 ことし5月8日の朝日新聞夕刊で「プラド美術館展」(国立西洋美術館)の展覧会評を、東大の三浦篤教授は次のように書き出している。

 「プラド美術館展」のように一館から作品を借りる場合、時代、地域、画家、様式を無難にアレンジした「スペイン絵画名作展」のようなつくりから、いかに脱するかが勝負の分かれ目となる。ディエゴ・ベラスケス(1599~1660)を機軸に据え、作品を主題別に構成するという、明確なコンセプトを打ち出した本展は意欲的な試みである。


 読み返すたびに、ため息が出る。
 ことし、道立近代美術館の企画展室で開かれている展覧会は、まさにここでいわれている無難なつくりでしかないからだ。
 しかも「棟方志功展」に続いて、図録もない。

 筆者に限らず、創価学会員でもない限り、東京富士美術館にわざわざ足を運ぶ北海道民はあまりいないだろう。
 その意味では、ありがたい機会といえるのかもしれない。
 ふだんあまり日本美術を鑑賞することのない道民にとっては、それなりに貴重な作品が並んでいるということも可能だと思う。
 粗悪な作品が来ているとまではいうつもりはない。
 駕籠など珍しいものも展示されていた。
 ただし、たとえばことし東京の国立博物館で開かれた特別展『仁和寺と御室派のみほとけ–天平と真言密教の名宝–』に国宝や重要文化財が何点展示されていただろう、などと思うと、はっきりいって、この展覧会は道民にとってありがたいというにすぎず、全国に胸を張って「こういう美術展です」などと言えるしろものとはいえないだろう。
 伊藤若冲にしても、宮内庁三の丸尚蔵館あたりにある作品に比べたら、とても彼の本質がわかるような名品とは言いがたい。
 「東海道五十三次」にしても「富岳三十六景」にしても、これより保管状態の良い刷りを所蔵している美術館は国内にいくつかあるだろうと思う。

 北海道で開かれている企画展の半数以上は、北海道新聞社かSTVのいずれかの主催である。
 その両者が主催に名を連ねて、このありさまというのは、どう言えばいいのか。
 学会関係の入場者が見込めて数字が計算できるから、それでいいのか。
 あまり両方をdisれば、もう美術展をやってくれなくなってしまうかもしれず、それはそれで困るけれど。

 でも、2018年になって、まだこんな昭和な展覧会をやっているのかと、嘆息せざるを得ない。
 外国や本州の美術館やコレクションからまとめて作品を運んで陳列すれば、それで展覧会になると主催者は考えているのだろう。
 はっきり言って、道民は(あるいは北海道の美術ファンは)なめられている。 



2018年7月7日(土)~8月5日(日)=前期、8月9日(木)~9月2日(日)=後期。午前9時半~午後5時。月曜休み(祝日は開館し翌火曜休み)
道立近代美術館(札幌市中央区北1西17)

一般1300(1100)円、高大生700(600)円、中学生500(400)円、小学生以下無料(要保護者同伴)
前・後期セット前売り券1800円
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■第47回 札幌文化団体協議会フェスティバル(2018年8月17~19日、札幌)

2018年08月19日 09時19分27秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 恥ずかしながらこの展覧会の存在をよく知らなかった。
 地域の趣味の愛好者が出品しているのだと、漠然と思っていた。
 会場に足を運んでみると、絵画、いけばな、書、陶芸、俳句や川柳の色紙、切り絵などの作品が同じ空間に並び、特にテーマなども設定されず、展覧会としての性格づけがはっきりしないものにに感じられるのは確かだ。しかし、その中にけっこうな大御所の作品があり、びっくりしたのだ。

 札幌文化団体連絡協議会の会長を2009年から務め、国際交流にも取り組んできた阿部典英さんの出品は、予想の範囲内だろう。「疾風に勁草を知る」は、壁かけと立体の2点組。竹や紙などの軽い素材を用い、冬の厳しく冷たい風に耐える笹や草などを表現している。
 シンプルながら、ベテランらしい人生観の込められた、味わいある作品だと思った。
 「疾風に勁草けいそうを知る」は後漢書にある成句で、大辞泉によると「激しい風が吹いてはじめて丈夫な草が見分けられる。苦難にあってはじめて、その人の節操の堅さや意志の強さがわかるということ」。

 奥の壁面では、国内を代表する書家のひとりである中野北溟さんの「愛 人間愛」という漢字。
 近年の北溟ほくめいさんは、先月の中野北溟教室展などでも、肩の力の抜けた愛らしい近代詩文を出しているが、久しぶりにパワフルな大作を見た。

 その両脇を固めるのが、かなの阿部和加子さんと、漢字の小原道城さんという、これまた大御所。
 小原さんは「慕情」と書き、阿部さんは「たらちねの母が…」で始まる正岡子規の短歌を書いている。阿部さんは左側に字釈を兼ねた平易な書風で、右側にいつもの力強い運筆で、同じ歌を書いているのがおもしろい。


 「道の会」名義で5人が出品している。

 ひとりは谷口明志さん「空間について」=冒頭画像=。
 針金と、その影も取り込み、「線」とはなにかをあらためて考え直すインスタレーションに取り組んでいるが、新しい局面に挑んでいる。
 ぱっと見ると、どれが影で、どれが実際に書いた線なのかが分からない。


 中島義博さんは「ミンジュさん」(左)と「甲殻機動ロブスター」「甲殻機動蟹」「ミスタースコット」(右の列、上から)の4点。
 甲殻類までキャラクターのようにかわいくしてしまう中島さん。

 具象絵画では全国区の存在になった西田陽二さんは「別れの手紙」。
 M60号ぐらいはありそうな大きな作品で、美女を描いている。壁の前に女性を配した絵が多い西田さんには珍しく、後ろが窓になって遠くの建物が見えている。女性の着ている白いドレスや、背後のレースのカーテンの模様は、白い絵の具が盛り上がって置かれ、画面に立体感をもたらしている。

 松井茂樹さん「森の祭」は、絵の具などを使わず、木片を組み合わせて表現した抽象画のような3点。
 内藤克人さんは、灯台などを躍動的に描いた「風車」など版画を4点。

 それにしても「道の会」という団体は初めて聞いた。なかなか予想外な5人の顔ぶれである。

 このほか、先日までギャラリーレタラで個展を終えたばかりの吉田茂さんが、その際の出品作「蜘蛛の砦」を出品。
 北海道陶芸協会からも下沢敏也さん、大石俊久さんら9人が出している。


 個々の作は見ごたえがある展覧会だった。 


2018年8月17日(金)~19日(日)午前10時~午後6時(最終日~5時)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)

□札幌文化団体協議会 http://sapporobundankyo.web.fc2.com/

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・地下鉄東西線「バスセンター前駅」から約200メートル、徒歩3分

・ジェイアール北海道バス、中央バス「サッポロファクトリー前」から約520メートル、徒歩7分(札幌駅バスターミナル、時計台前などから現金のみ100円)

・中央バス「豊平橋」から約860メートル、徒歩11分
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■いのちのかたち…かもしれない 2018 (8月7~19日、札幌)

2018年08月16日 20時28分14秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 札幌圏に住む中堅・ベテランの女性5人による、2度目のグループ展。企画は詩人・美術評論家の柴橋伴夫さん。

 昨年1月の第1回は、瀬川葉子、高橋佳乃子、高橋靖子、日野間尋子、加藤宏子の5氏という顔ぶれだった。
 今回、高橋さんが抜け、彫刻の伊藤幸子さんが加わって、絵画3・彫刻2という構成になった。 

 会場中央に置かれていたのは、伊藤さんの「波に溺れて」。
 石膏に着彩した子ども、あるいは母子の像を作る伊藤さんらしい作品。
 ただし、実際には、おぼれる人というよりも、波に乗る人に見えますが…。

 会場のギャラリー・エッセのブログに、出品者5人のことばが掲載されているので、以下、引用していきます。

想いのかたちをつくりたいと思う。
みえない想いもかたちにしてみたい。
潜めた願いもやさしい風の囁きに降り注ぐ光の眼差しも
静かな眠りをさそう波の呼吸もかたちにしてみたい。
私のつくったかたちにそれぞれに想いをかさねて観てほしい。


 伊藤さんは他に、ブロンズの首の小品「種」「粒」も出品しています。
 

 高橋さんは抽象画家。
 幾何学的な作品ですが、筆を使わず、支持体を傾けて絵の具を流し、色をつけています。

 右から
「バイオレットグレー・2018」
「ウオーターブルー・2018」
「ローズピンクとローズバイオレット・2018」。
 小品は「ローズバイオレット・2018」。

 高橋さんは岩見沢在住。
 生まれは女満別町(現オホーツク管内大空町)で、上渚滑村(現紋別市上渚滑)で育ちました。
 上渚滑は、道内の他の多くの町村と同様、駅があって、農協や役場や学校が、碁盤の目のような市街地に配されていたそうで、いまも碁盤の目の形状をしたマチのほうが落ち着くのだそうです。
 いずれの作品も、そうした高橋さんの気持ちが反映されているようです。

キャンパスを傾斜させ、絵具を流す。
流れに沿って表情を変える線。
作為的にならないよう、タイミングを計りながら繰り返す。
繰り返すことで、いつしか混沌としていたものが単純化され、
遠い過去の記憶が、線と色彩とフォルムと繋がり可視化される。
人は古代からそれぞれの思いの中で、美術と関わり自分を知ることで他者と出会い豊かさを求めてきたと伝えられる。
私が今ここにいつ不思議と、かけがえのない日々を重ねキャンバスに気持ちを託し深めていきたい。




 右は、第2回本郷新記念札幌彫刻賞を受賞するなど活躍めざましい加藤宏子さんの「improvisation XXV」。
 手漉きの紙を使った新作の彫刻。
 波打つような形状をしており、これが台座なしで自立しているというのがすばらしいと思う。


 左は日野間さんの絵画作品。
 1点ずつではなく、まとめて「Works 2018 diary」という題がついている。

 なお、会場入り口にも日野間さんの小品2点がかけられ、題がなかったことから、おそらく出品作まとめてこの「Works 2018 diary」ということなのだろう。
 乾いたストロークがひそかに全面を走る抽象画は、遠い国の霧がたちこめる風景のような深さをたたえているようだ。 

 日野間さんは昨年は、自身がかかわっている障碍者支援施設の人たちが描いた絵の映像を出品していたが、今年は自分の絵に回帰している。

どことなく軽快なイメージの楮(こうぞ)作品ではあるが、制作過程における私の行為を文字に表すと、
「彫る」「削る」「はつる」「穿つ」「切る」
「分ける」「つぶす」「えぐる」「刻む」「溝を入れる」
「とる」「平す」…という動詞が並ぶ。
どちらかというと荒っぽい。
圧倒的に長い時間をこの行為に費やし、そうしてできた作品を私は彫刻と呼ぶ。
表したいイメージがかたちを成すよう、ああでもない、こうでもないといつまでももがいている。


その時の気持ちをのせるように線を描いている。
伸びる方向や長さ、強い弱いは、あるがままに委ねていたいと思う。
画面に拡がっていく線の重なりに、自身の息を聴き、
他者とのつながりや自然とのかかわりを味わっている。

気持ちと表現が、離れていないように…。

初夏。
庭で、映える植物の存在に、行き交う光と風の透明感を表現したい。




 瀬川さんの「始まり」は、青の正方形が12点、壁面にランダムに配置されている。

 ちぎった紙の厚みや触感が、どこか生々しさをもって、時の流れを象徴しているかのようだ。

 瀬川さんは「青のかけら」という小品も出品している。

ボール紙を破いていく。
ちぎれた紙を重ねて貼り合わせた上に彩色する。
その時にできる切れ端の線や、厚みの中にある断層、傷、
ボール紙の黒いコーティングと絵の具が反応するかのように、
あたらしく浮かび上がるかたちや線や明かりのようなもの、
黒色の中からうごめくように、
何かが生まれる始まりの時。
その中に微かな希望を見出したい。
手にとれるサイズになった。
タイトルは「始まり」。


 5人とも、とりたてて奇抜な手法を用いているわけではないのですが、余韻を感じさせ、見る側の思いを引き寄せる作品が多いように思いました。


2018年8月7日(火)~19日(日)午前11時~午後6時(最終日~4時)、月曜休み
GALLERY ESSE(札幌市北区北9西3 ル・ノール北9条)

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□GALLERY HIROKO - From Works of HIROKO HINOMA - http://www.hinoma.com/hiroko/

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「映しあう/照らしあう」 (2008年)
日野間尋子展(2008年)

日野間尋子展(07年)

Pacific Rim Art Now 2003 プロローグ展(画像なし)






・地下鉄南北線「北12条駅」から約400メートル、徒歩5分
・同「さっぽろ駅」から約610メートル、徒歩8分

・JR札幌駅北口の出口から約340メートル、徒歩5分

※モスバーガーの北側の並びです
※「石の蔵ぎゃらりぃはやし」から約370メートル、徒歩5分
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■芸術団Jam. 29 (2018年8月2~7日、札幌)

2018年08月06日 22時18分00秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 道教大を卒業した同期生のグループ展。毎年開かれている美術展としては、道内屈指の長寿となりました。
 当初はもっと大勢の出品者がいましたが、この十数年は、加藤裕一、木村真哉、宮崎亨、八子晋嗣の4氏に顔ぶれが固まっています。


 人間の情念をえぐり出すような絵や、醜悪さを暴き出すような絵を描き、見る人に強い印象を与える宮崎さん。
 仕事が忙しく、今回は大きな絵画は出品していません。
 ドローイング23点が1列にならび、その下にはさまざまな短い文が、戦前のような古いフォントで記されています。

 左端は「MADE IN OCCUPIED JAPAN」。
 「メイド・イン・ジャパン」といえば輸出品に記されますが、戦後GHQの統治下にあった時代は「OCCUPIED」の語が付け加えられました。
 宮崎さんは、はっきりと明言はしませんが、占領が終わって60年以上たついまも日本は米国の精神的な占領下にあるのではないかーという疑念や批判をこめているのだと思います。 



 加藤さんの立体「続・成長するカタチ」。
 紙粘土という素材の特質上、これだけ穴のあいたかたちを一気に作り上げると、自重で崩壊することは確実です。
 少しずつ粘土を継ぎ足していくことで、複雑な形状ができあがりました。
 白い珊瑚のようにも見えます。




 木村さんは「風座の構成」「躍肢ー青き陽炎」の絵画2点。
 輪郭線を強調したシンプルな構図の女性像ですが、背景などはよく重ね塗りがされ、画面が単調に陥ることを避けています。
 

 
 八子さんはユニークな木彫を作ります。
 「カミシバイズム」展では、複数の声色を使い分けて、見事な紙芝居の実演を披露します。

 今回も、楽器の役目も果たしたり(「宙に満ちる音」)、シフトをひねると取り付けられた貝殻がぐるぐるまわったりする作品が出品されています(「宙と海の記憶)。「だからなんなんだ」という言葉が口から出かかりますが、まあ、そんなことはどうでもいいのです。楽しいんだから、オッケーです。
 「宙に満ちる音」は、音叉をたたくと澄んだ音がする仕組みですが、意外と音が小さいです。しかし、八子さんなので、こういうつめの甘いところも、かえって魅力だったりします。

 小品の「世界を足蹴にする男」などは、小さな人物像が精巧に作られていてすごいな~と思うのですが、宮崎さんによると、じつはトロフィーから取り外してきたものだそうです。


 なお「芸術団Jam.」は来年、30回目の節目を迎えます。
 記念展を計画しているそうで、いまから楽しみです。


2018年8月2日(木)~7日(火)午前10時~午後7時
アートスペース201(札幌市中央区南2西1 山口中央ビル6階)

芸術団Jam.19 (2008年)
芸術団Jam. 14 (2003、画像なし)
芸術団Jam.13 (2002、画像なし)
芸術団Jam.(2001、画像なし)


New Point vol.7 (2010年)※宮崎さんと八子さん出品


□宮崎亨 情念の芸術(ツイッター) @odoroking

第44回 北海道教職員美術展(2014、画像なし)
宮崎亨展「なぜ生きる」 (2012)
自由美術北海道グループ展(2008年)
新道展企画 第52回展受賞者展(2007年)
自由美術/北海道グループ展(2007年)
New Point Vol.4(2007年)
宮崎亨展(2003年)


中村哲泰おやこ展 八子晋嗣 中村修一 八子直子 (2009)
第36回札幌市小学校教員展(2006年、画像なし)
八子晋嗣立体彫刻展(2004年)
New Point (2004)
お正月展 (2002、八子さんの画像なし)



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■平井明 作陶展■生誕115年 板聖 棟方志功展 (2018年7月24~30日、札幌)

2018年07月27日 15時07分39秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 平井明さんは奈良県田原本町の陶芸家。
 歴史の古い土地で作陶に携わっているだけあって、縄文土器など古い日本文化にインスパイアされた作品を手がけています。

 展示されているのは鉄釉、黒釉、焼き締めの茶器、花器など。
 表面を竹でひっかいて細かいしま模様を出したり、粘土を貼り付けて独特の凹凸を出しています。
 窯の中で器の周囲に木炭をおいているそうで(炭化焼成)、焼き締めでも薪窯の灰かぶりに似た景色が見られるのはそのためだそうです。

 ぐいのみをそっと手にしたら、意外と軽くて、持ちやすかったです。
 平井さんは日本工芸会の正会員。


 ところで、ギャラリーでは、棟方志功の作品展が開催中だったので、のぞいてみました。
 板画のほか、書や倭絵やまとえなど、けっこう充実した内容です。

 名高い「釈迦十大弟子」の優波離うぱり羅睺羅らごらもありました。「羅睺羅」には、棟方志功にはめずらしく、鉛筆でサインや制作年が記してあります。
 ただ、こちらが各120万円だったのに対し、意外にも150万円で最高額だったのが「幾波浪こえて…」でした。やはり美人画のほうが人気があるのでしょうか。
 おなじ版木で、無彩色と、手彩色を施したものでは、倍近い価格の差があるものもあり、このあたりのからくりは筆者にはよくわかりません。

 「流離抄」などの作品があったほか、筆者の目を引きつけたのが「善知鳥うとう板画巻」の中でも有名な「夜訪の柵」の軸装。
 モノクロ


2018年7月24日(火)~30日(月)午前10時~午後7時(最終日~4時)
三越ギャラリー(札幌市中央区南1西3 札幌三越9階)


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■北海道教育大学 ピカリ展 ―12人の切りくち― (2018年5月28日~7月27日、札幌)

2018年07月25日 20時39分12秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 道内で最も多くの美術家を輩出してきた北海道教育大学の教授、卒業生、現役の院生ら計12人によるグループ展。
 絵画、彫刻、金工、木工、染織など分野も多岐にわたっている。

 道内には「芸術大」「美術大」と名乗る高等教育機関がないが、道学芸大ー道教育大が美術家の養成機関として十分な役割を果たしていると筆者は思う。
 この展覧会も見応えのある作品を並べており、「教育大、やるじゃん」の傍証になっているといえばいえるのだが、教育大という以外のテーマ設定などが全く提示されていないため、展覧会全体については何か言うのはむつかしい感じ。それぞれの作者も、これまでの作風の延長線上にある作品を出しているので、とりたててここで特記することもない。

 ただ、大手建設会社のロビーというのは、なかなか広くて、北海道弁でいうところの「あずましい」空間で、大きな美術作品を並べてもけっこうサマになるーというのは、正直なところ感じた。
  

 写真を撮って良いかどうかわからなかったので、顔見知りの作品だけ撮影してみた(笑)。
 吉成翔子さんの金工によるインスタレーション「そよそよものがたり」。
 丸っこい立体17点と、上向きの矢印のような形の小品12点が置かれている。
 彼女の作品はやわらかさとスケールの大きさが同居している。

 佐藤あゆみさん「おやすみの日」も金工だろう。
 丸い座布団のような形をした、安定した造形の作品。


 他に。
佐々木けいし「蠱(こ)」ほか1点
飯岡千織「うたかたの星霜を過ぎて」
佐藤菜摘「ウェーブとめそめそ」
梶田みなみ「ポコリ」
阿部吉伸「しろいひつじ」「くろいひつじ」「ライオン」「キリン(大)」「キリン(小)」
藤原千也 「太陽のいす」
中村まり子「悦びの園」
津田光太郎「伝説ではない」
橋本和恵「糸遊」
佐藤あゆみ「forest table」


2018年5月28日(月)~7月27日(金)午前9時~午後5時、土日祝日休み
まるひこアートスペース なごみ(札幌市豊平区豊平6の6 丸彦渡辺建設)




・地下鉄東豊線「学園前」駅の2番出入り口、じょうてつバス「学園前駅」からすぐ

・中央バス「豊平3条8丁目」から約610メートル、徒歩8分
・中央バス「豊平3条6丁目」から約740メートル、徒歩10分

・地下鉄東西線「菊水」駅6番出口から約1.2キロ、徒歩16分
・地下鉄南北線「中島公園」駅から約1.4キロ、徒歩18分
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第23回さいとうギャラリー企画 夏まつり「お化け展」 (2018年7月17~22日、札幌)

2018年07月24日 14時13分49秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 さいとうギャラリーは基本的には貸しギャラリーだが、年に2度、真夏と年末年始に企画展を開いている。道内の約70人の小品を展示販売するもので、絵画を中心に彫刻や工芸の作家も含むが、すべて壁掛けタイプである。
 活発に制作、発表している人が多いが、団体公募展に属さず個展も開かない作家でほとんどこの年2度の企画展でしか作品を見られない作家もいる。そういう意味では貴重な展覧会だといえる。

 年末年始は特にテーマを定めないが、夏まつりの方は毎年テーマがあって、今年は「お化け」。確かに、夏らしいのだが、テーマと無関係な作品を出している人があまりに多く、過半数に及んでおり、そこはちょっと残念な気がした。

 お化けらしさに正面から取り組んでいたのは、小林大さんの銅版画「猫又」。立ち上がったような格好の猫の尾が二つに割れ、片方が蛇になっていて、かなり怖い。
 ベテラン渡会純价さん「あたいの顔は?」は、のっぺらぼうがテーマ。村本千洲子さん「浄土へようこそ」も和風のお化けだ。
 野崎嘉男さんは1970年代の北海道の抽象画に大きな足跡を残した画家だが、もう10年以上、このさいとうギャラリーでの企画展以外で見る機会がほとんどない。今回は「眼の怪」と題した立方体の工作で、穴からのぞくと、内部に取り付けられた小さな鏡に自分の目が反射し、自分に見つめられるという仕組みの作品になっている。

 一方、キャラクター系・かわいい系のお化けは福島靖代さん「お化けの女子会」。色とりどりのお化けが7人、「最後の晩餐」のように室内で横一列になって楽しそう。水戸麻記子さん「待つ」は、頭部がスイカのかたちをした武士が主人公で、彼女の絵ではおなじみの登場人物(?)だ。
 諷刺系では柿崎熙さん「アッカンベーおばけ」。郷土芸能を模したもので、箱の下のひもを引くと、おばけの金太の人形がベロを出す。その左右には、晋三と太郎のおばけもいる。

 直接お化けをモティーフにはせず、題名などでひねりを加えるというパターンは、以前からあったが、今年はとりわけ多かった。
 武石英孝さん「「高島おばけ」を待ちかねて」は、海岸の断崖の風景画。「高島おばけ」は石狩湾でみられる蜃気楼しんきろうのことだが、この絵に蜃気楼が描かれているわけではない。三浦恭三さん「Qタロウの散歩」も、いつもの抽象画に、「お化け」らしいタイトルをつけている。


 他の作品は次の通り(敬称略)。
 メモの文字が汚いため、菱野史彦さんと八子直子さんについては、正確な題が読み取れず、ここには書いていません。申し訳ございません。

阿地信美智 自己変容―文字化ける自分
阿部典英  オー バケモノ
石田眞理子 反魂草
あべみち子 泡と遊ぶ
泉 修次  夢の化粧品―DREAM
糸井崇史  インドの女
今荘義男  古里
小原邦子  雨やどり
甲斐野市子 エレファント レディ(おばけみたいなハート)
伊賀谷健至 時の刻みかた~浮~

香取正人  お化け雲
金子直人  怖いと思えば葉っぱもお化け
亀井由利  浮遊
河合春香  気配と雲
川西 勝  潜む(ひそむ)
川本ヤスヒロ 「幻想交響曲」(第5楽章)より
丸藤真智子 <夜の月>
工藤悦子  化身
北山寛一  森の幻想
香西富士夫 化身

小堀清順  おばけカボチャ
坂みち代  だあれ…?
佐久間敏夫 彼岸花
櫻井マチ子 Ma. Sa
佐々木けいし 霊(れい)
佐藤潤子  化
佐藤仁敬  ひょっこりhaco
佐藤麗子  やどりもの
下沢敏也  Re-birth
白鳥洋一  オバケのいる散歩道
末永正子  Summertime
高野理栄子 Ame

竹田道代  クサバノカゲ
富田知子  ふわふわ
内藤克人  お化け海月
永井美智子 妖気な夢
中島義博  そら耳の時間
中田やよひ 天使の羽
中野邦昭  樹上のおばけ(リス)
中橋るみ子 黒ゆり
中吉 功  白い花
南雲久美子 ハロウィン
楢原武正  大地ノ開墾2018-7
鳴海伸一  葉化る
西田陽二  向日葵の化身
西辻恵三  白の化身

早川 尚  幻花
林  亨  心をうかべて(みずれい)
林 弘尭  図形譜
林田理栄子 アメノヒトツメの<ruby>命みこと
羽山雅愉  黄昏
菱野史彦  

本間弘子  もののののけ
前川アキ  W

水高和彦  2018コンボジション27

宮地明人  幽・優

毛内康二  止り枝
毛内やすはる trigon
八子直子  
山内敦子  ゆうれい
山本洋子  スキマから
吉田 茂  ひび割れ「くもの砦」
吉田敏子  森の記憶
若村洋子  変身ミュージシャン



2018年7月17日(火)~22日(日)午前10時半~午後6時半(最終日~5時)
さいとうギャラリー(札幌市中央区南1西3 ラ・ガレリア5階)


さいとうgallery企画 第15回夏まつり「星・star」展 (2009)
第14回「eco」展(2008年)
第13回「風」パートII
第12回「風」
祭り・FEST展 パートII(2003年)
2002夏祭り「祭り・FEST」展


企画展「ゆく年くる年 '17-'18」
15→16展
14→15展
13→14展

08→09展
企画展「07→08」
06→07展
05→06展
03→04展
02→03展
2001→02展
00-01展
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■JR Tower Art Planets Grand prix Exhibition 2018(6月30日~7月22日、札幌)

2018年07月22日 12時34分18秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 「JRタワー・アートプラネッツ・グランプリ2018」を会期末ぎりぎりになってしまったが、見てきた。
 こちらのページに詳しいが、経験上、こういうページはいつのまにか削除されることがあるので、まるごとコピー&ペーストしておこう。


★グランプリ:齋藤玄輔(さいとう げんすけ)
「THIS PLACE THIS TIME この場所・この時間」
【版画】(カーボン紙、2080×2400mm)
“私の作品は、その地に自生する植物たちを採取し、押し花にしたものから版をつくります。作成した版上にカーボン紙をのせインク面を綿などで少しずつ削り落としていく手刷りの版画作品です。刷り上げたカーボン紙はインクが削られた部分が薄くなるため裏から光をあてると透過し、光が無くなると黒一色になります。
その「場」の自然を表す植物を用いて、その場所の「時間」を表す日の光を用いて透過する作品です。”
【発表歴】
2017 個展/中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館ステーションギャラリー
2013 サークルオブアート展/北海道立近代美術館
2012 語り合う相手としての自然展/アルテピアッツァ美唄


★準グランプリ:川上りえ(かわかみ りえ)
「Undulating Ground(うねる大地)」
【立体】(鉄、1700×1700×600mm)
“私は、人間の視点や時間感覚を超越したところから見えてくる生命観に興味があり、情景や現象への眼差しを手がかりに立体作品を制作しています。
近年は、大地、地球、宇宙を考える上で、関わりの深い金属を使用し、大地をテーマとする作品を多く制作しています。大地の表情は、ゆったりとなだらかに静寂を見せる一方で、火山噴火や地震のような激しさも孕んでいます。作品“Undulating Ground”(うねる大地)では、動きを伴って隆起する大地を鉄素材によって表現することを試みます。”
【発表歴】
2017 Landscape Will-On the Ground-/ギャラリー門馬ANNEX
    Elements of Planet/Fabulous
2016 CAMPING NEAR THE WOOLEN MOUNTAIN/Gallery Retara


★優秀賞:大橋鉄郎(おおはし てつろう)
「Image in everyday life.」
【立体】(紙、2000×2000×500mm)
“ペーパークラフトのあり方はまるで3Dモデルによる立体物のようです。そこに質量も機能もなく、表層にイメージがあるだけの物体です。私たちが見ている風景は表面の連続で作られており、そこに広がるのは表層のイメージです。ゲームの世界は立体的でありながら、物には本来の意味も機能も質量もない空間ですが、私たちが視覚から得るイメージはそれと非常によく似ているのです。”
【発表歴】
2016 複雑なトポグラフィー -動体と変化-/高松市


★優秀賞:松浦進(まつうら すすむ)
「Archives of the amorphous clouds of people」
【インクジェットプリント、シルクスクリーン、手彩色】(紙、1730×2700mm)
““観光地”と呼ばれる場所に足を運ぶと、自分自身を一つの点であることを感じることができる。人がものをつくり、集まり、動き、また移動する。人間の創造活動が人間を集め、そして様々なものを循環させる。私自身もその一つの“動く点”であり“動かす点”である。”
【発表歴】
2018 FACE展2018/損保ジャパン日本興亜美術館
2017 シェル美術賞2017/国立新美術館
    個展stranger/gallery PRAM(プラハ)


★優秀賞:南澤美紀子(みなみざわ みきこ)
「born(第一章、第二章、第三章)」
【テキスタイル】(布[本モスリン、絹] 1000×2260mm)
“赤を縫う 赤の音が聞える
赤を縫う 赤の声が聞える
赤を縫う 赤の歌が聞える”
【発表歴】
クロワッサン「黄金の針展」銅賞(2回)、佳作(4回)入賞


 一部のカタカナが半角になっているが、面倒なので直さない。

 なお、ノミネートされた展示作家は次のとおり。

荒尾悠佳、泉修次、大石俊久、太田博子、大橋鉄郎、小川豊、加賀谷健至、川上りえ、小谷彰宏、
齋藤玄輔、ささきようすけ、佐藤利之、澁木智宏、関根ちあみ、土岐美紗貴、橋本和子、深田健介、
松浦進、南澤美紀子、村井紘一、村上恵実、八子直子、山内太陽、山崎理生、山﨑愛彦

 筆者は半分ぐらい知らない作家である。
 団体公募展に属さず個展もあまり開かない人が多いから、こういう機会はあったほうがよい。

 齋藤玄輔さんの作品の設置場所は、意表をつかれた。スケールの大きな作品でありながら、近年の北海道のアートでは強い傾向になっている「身の回り重視主義」的なスタンスをも持ち合わせているのがおもしろいと思う。広い自然とミニマルな自然とが、カーボンで写すという行為の中で止揚されているということなのだろう。

 川上りえさんは、どちらかというともう審査する側にいるべきキャリアの持ち主ではないかという気がするのだが、堂々の準グランプリ。題名から、近年続いている地震などの災害を想起しないわけにはいかない。

 優秀賞では松浦さんの作品に注目。
 というか、彼は自分の画風を維持しつつも、新しい領域を少しずつ広げているので、見るたびに楽しいのだ。
 今回はアートバーゼル(世界最大級のアート見本市)会場の前やさっぽろテレビ塔の下など、世界の5カ所で撮ったスナップを加工し、たくさん写っている人の顔の部分に、ニコニコマークではなく、彼の作品でおなじみのモノトーンの顔を重ねているのだ。
 松浦さんの作品には「都市」という存在への強い関心が見て取れるのだが、都市を肯定するのでも否定するのでもない、どこか醒めたようなスタンスなのが興味深い。


 ただ、全体を通してみて、すべての作品についてではもちろんないのだが、素材に対するこだわりの大きい作品がこれほど多いというのは、ちょっと不思議な印象を抱いた。
 たとえば、大橋鉄郎さんは、ペーパークラフトで台所やポータブルCDプレイヤーを作るというところにおもしろさがあるといえる。彼の場合は、それだけではなく、表層・見た目重視という現代の傾向への皮肉にもなっているからまだいいのだが…。
 ほかにも、この素材でなかったら、ここに展示されているだろうか? という率直な疑問を抱いた。

 早い話、近年の芸術祭やトリエンナーレでよくみられるような、ソーシェル・エンゲイジドあるいはコミュニケーション重視の作品や双方向型の作品が皆無で、これから北海道の現代アートが鑑賞者を置き去りにしてガラパゴス化していくのでなければよいが―などと、余計な心配をしてしまうのであった。 


6月30日(土)~7月22日(日)午前10時~午後7時
JRタワープラニスホール(札幌市中央区北5西2 ESTA)
一般300円

プラニスホール(札幌エスタ11階)に行く、たったひとつのさえたやり方
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■つながろう2018 TIME AXIS 時間軸 (2018年6月16~24日、札幌)

2018年07月20日 13時40分26秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 「チカホ」で毎年開かれている、ジャンルを超えたグループ展。顔ぶれも毎年異なります。
 今年はアップを忘れていて、すみません。

 今年の出品者は、上嶋秀俊/梅田力/Kit_A/熊谷文秀/佐藤一明/志摩利希/谷口大/戸山麻子/中島義博/西本久子/畑江俊明/菱野史彦/藤本和彦/武蔵未知/八子直子の計15氏。
 人数も年を追って増えているので、今年は一部だけ。

 冒頭画像は、八子直子さん「ぼくの舟」。
 もともと画家ですが、平面と立体の境界を軽々と飛び越える作家です。
 作品の裏側をのぞくと、子どもの顔が大きく描かれていました。


 ベテラン染色作家、西本久子さんのインスタレーション「ふぁー」。
 軽量な素材で作られ、きれいな色で染めた、おなじみのシリーズ。中空になっているので、空調の弱い風でもゆっくりと動きます。

 冒頭と2枚目の画像でわかるように、今年は、通路と展示スペースの間に薄い不織布をつりさげて、すっきりと全体を見せています。



 会場でいちばん驚いた作品がこれ。関東から北海道に帰り近年さかんに制作・発表している版画家の志摩利希さん「時の岸辺」です。
 たくさんの版画が重なって貼られていますが、なんとこれらはコピーではなく、本物の版画で、一部手彩色を施しています。版画は試し刷りなどを活用しています。
 ただし、左下の大きな人物と、右上の家は手描きです。なんだか、版画の世界から飛び出してきたようですね。

 会場にいらした志摩さんにお聞きすると、一般の人もたくさん通行する大きな空間に展示することを考慮して、こういう作品にしたのだそうです。
 サイズが小さいのはむしろ版画の美点だと思うのですが、やはり時と場合によりますよね。志摩さんの実験精神というか冒険心に拍手を送りたいです。



 熊谷文秀さん「ランナー」。
 ごつい存在感がありますが、小さな窓からのぞき込むと、パラパラ漫画の原理で、映像が動いているのが見える仕組みになっています。



 武藏未知さん「たね」(「藏」は蔵の正字)。
 武蔵未知さんは重い素材から変わらざるを得なくなってから、むしろ自由を得たような気がします。
 布を編んで、色もついていますが、これも彫刻でいいと思うと、作る方も見る方もなんとなく気が楽になってきます。
 


 こちらも、デザインの枠を飛び出して、いろいろなタイプの作品に挑戦している畑江俊明さん「不機嫌な時間に」。
 針金で作った三角柱?を11個組み合わせて構成した大作です。
 どんな作品でも、シンプルさが基底にあるのは、デザインの現場で鍛えた力だなあ~と感服します。



 佐藤一明さんは今回もストーブをかたどった彫刻を出品しました。
 題して「石炭ストーブ」。
 石炭を燃やすのではなく、石炭で作ったストーブというのが、この作品のキモというか、ユーモラスなところだと思います。

 ただし、これは真偽は定かではないのですが、ストーブなので非常口だか消火栓だかのそばに置くように指示されたといううわさ話を聞きました。ほんとうでしょうか。



 最後の画像。
 右側は中島義博さんの染色作品「悠久」。
 藤本和彦さんの立体「現象界ー廻」、上嶋秀俊さんの平面「ともしび」も見えます。


2018年6月16日(土)~24日(日)午前10時~午後7時(最終日~午後5時)
札幌駅地下歩行空間(チ・カ・ホ)北1条広場

@tsunagaro_jp

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■古川祐子作品展 たましひ (2018年7月4~16日、札幌)

2018年07月19日 09時09分13秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 4月のアクセサリー展に続き、今回も会期中にブログ記事が間に合わずすみません。

 今回の個展は、ギャラリー犬養のいちばん広い、2階の部屋を使って、写真と造形作品を展示しています。アクセサリーはありません。

 写真は始めて日の浅い古川祐子さんですが、すでに独自の世界をもっています。
 近年さかんになっている、露出明るめ、被写界深度浅めの「女の子写真」とは正反対。
 暗めの露出で、虫の死骸などをとらえています(本人は「おとむらい」と称しており、この語を冠した題の作品が3点ありました)。
 プリントは、定評のある廣島経明さんの手になるものです。

 冒頭画像は、左が「光へ」。
 冬に、札幌の自宅に迷い込んできたトンボです。
 弱い光の中の、弱々しい生命。
 一種の無常感を漂わせ、見る人に「生と死」について思いを巡らさせます。

 右は「Timeless river」。
 闇にほのかに浮かび上がる川の流れをとらえたモノクロ写真。
 夢の中で流れているような、あるいは、遠い昔に見たような、そんな現実を超えた世界の川のようでもあります。


 このほか、トカゲをとらえた「Hunter」、赤い花を撮った「strategy」、砂地に落ちた鳥の羽根を写した「天国」など、「心象風景」のひとことで片付けてしまうことができそうにもない写真が並びます。
 廣島さんつながりでいえば、札幌の高井稜さんも、落ち葉などを撮った写真で心象風景を切り取っていたことを思い出します。

 なかでも、ここには写真をアップしていないのですが、鮮やかな花を水面に浮かべ、中央にゲジゲジを配した「験者のおとむらい」は、蜷川実花や荒木経惟へのアンチテーゼのようにも見える異色作です。
 また「愛でる」は、バラの花が咲いて、散って、ドライフラワーになるまでの過程を追った連作で、作者の対象に寄せる過剰なまでの愛情がにじんでいます。

 
 一方、窓際には連作オブジェ「27 feelings」がつるされています。
 一日一日生まれ変わる自身を、1個ずつ表現したものとのことですが、せっかくなら30個か31個作ればいいのにな~と思いました(笑)。

 素材はレースやオーガンジー、ビーズ、小さなガラス瓶などで、彼女のアクセサリーと共通する感触があります。
 ふつうの美術家であれば、まず粘土や石膏を手に取りそうな気がするので、やはり古川さんはおもしろい。

 そして、魂が日々生まれ変わるという発想も斬新。
 死んでも変わらないものが魂なんじゃないかと思うのです。そこらへんの感覚の違いを男女の差に落とし込むのは、なんか安直な気がしてイヤなのですが…。


2018年7月4日(水)~16日(月)午後1時~10時半(最終日~9時)
ギャラリー犬養(札幌市豊平区豊平3の1)

□Furukawa Yuko 手芸制作室 https://www.facebook.com/butterfly.room/

Furukawa Yuko exhibition 風光る いきものたちのアクセサリー (2018年4月)

Furukawa Yuko 作品展「闇に光る」 (2017)
Furukawa Yuko 手芸作品展 したたかな小鳥(2017)
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■カワシマトモエ 絵と工作展 (2018年6月27日~7月15日、札幌)

2018年07月13日 22時46分00秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 カワシマトモエさんは札幌の画家。最近は毎年、ギャラリーミヤシタで個展を開いている。
 ことしも1階と2階の両方を使って、絵画や立体、プラ板などを所狭しと並べていて楽しい。
 冒頭画像で、大きくて目立っている絵は、左が「みかんのにおい」。中央奥が「雨ツアー」、右が「宇宙ひつじ」。
 そのあいだに、レインコートの形に切り抜かれた支持体がちりばめられている。

 2階も「ぶらりんりんご」のシリーズが上からつり下げられ、「キューブ絵」が台上に置かれているなど、ふつうの絵画展に比べにぎやかな雰囲気に満ちている。

 ただ、画像ではわからないかもしれないが、全体からは雨粒のイメージが強く伝わってくる。

 カワシマさんは
「雨が降っているのを見たり、雨音を聞いたりしているのが好きな子どもだった」
と言う。
 最近は、ヒツジや果物をテーマにした絵が続いたけれど、もともとは雨の絵が多かったのはたしかだ。

 ちいさな果物がひとつの宇宙を宿しているように、ちいさな雨のしずくを見ると、そこには周囲の全風景が凝縮されている。

みかんのにおい
かいでいると
世界を かんじて
おおきな 宇宙に
わたし
ちいさな 世界に
宇宙


 会場の入り口に掲げてあった作者のことば。

 ひつじも果物も、そして雨粒も、ちいさなひとつの宇宙なんだと思う。


 カワシマさんの個展の期間中は、雨がちの日が続いた。北海道に颱風が襲来し、西日本では記録的な大雨被害が出た。

 今は雨が降ると傘を差して出勤し、ビルの中で働く人が多いが、もともとは人間は雨の日は、農作業や漁ができないから室内でもできる作業をこなし、あとは休んで、ぼんやりと雨音に耳を澄ませていたのだろう。
 ゆったりと時間が流れていくなか、脳裡には過去のことがよぎったり、遠くの国のことが想像されたりしていたに違いない。

 筆者も、カワシマさんの作品を眺めていると、トタン屋根に当たる雨の音や、湿った舗道のにおいが思い出されてくる。
 それはだれの絵や美術作品でもあることではない。
 どうして彼女の作品だと、昔を思い出してしみじみと、あるいは心がざわざわとするのだろう。
 たぶん、彼女の心の有りようが、そういう緩やかさを持っているからだろうと思う。 

 静かに、時間がすぎていく。


2018年6月27日(水)~7月15日(日)正午~午後7時(最終日~5時)、月曜休み
ギャラリーミヤシタ(札幌市中央区南5西20)

□Tomoe Kawashima website tkraindropamekaba.jimdo.com/

カワシマトモエ個展(2014年、画像なし)
カワシマトモエWORKS (2013)
カワシマトモエ個展 イツデモソラ (2011)
果実のある部屋(2008年)=画像なし
カワシマトモエ展(2007年)=画像なし
カワシマトモエの絵「まるい実」(2007年)
Visual Poetry in Sapporo 2002 +
クリスマステン(2000年)=12月20日の項






・地下鉄東西線・西18丁目駅から約690メートル、徒歩9分

・市電「西線6条」から約820メートル、徒歩11分。同「西15丁目」から約1キロ、徒歩14分(「西15丁目」電停は、地下鉄東西線「西11丁目」または「西18丁目」で乗り継ぎができます)

・ジェイアール北海道バス「53 啓明線」(JR札幌駅、大通西4-西11丁目駅-啓明ターミナル)で「南3条西20丁目」降車、約330メートル、徒歩5分
・ジェイアール北海道バス「51 啓明線」(同)で「南6条西16丁目」降車、約580メートル、徒歩8分
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■七月展 北海道教育大学岩見沢校 美術文化専攻の学生による自主制作展 (2018年7月4~8日、札幌)

2018年07月07日 18時10分47秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 「七月展」は道教育大の美術教育の課程が札幌校にあった時代から、学生が自主的に、札幌市民ギャラリーで開いている、伝統ある展覧会である。
 日程の都合で名前は七月なのに、8月開催になったこともあるが、毎年開かれており、筆者も札幌にいるときはだいたい足を運んでいる。
 なんだかんだいっても道教育大は、道内で活動する美術家を一番たくさん輩出してきた学校であり、毎年2月の卒展と並んで「若手の見応えある展覧会」の最右翼であることは間違いない。

 にもかかわらず、過去のブログやサイトを見ると、われながら驚くほど、この展覧会についてきちんと紹介した文章を書いていないのである。
 なぜか。
 あくまで教育大は教員養成のための学校であり、七月展に良い作品を出している人が卒業後も作家活動を続けるとは限らない。
 「カタギ」というとおかしいけれど、制作から足を洗ってふつうの社会人になった人が、ネット検索で過去の作品を明るみに出されてしまう、そのお手伝いを自分がするというのも、あまり気が進まない。
 大人になって自分の責任で自作を発表するのと、学生が学校の展覧会で作品を並べるのとは、ちょっと事情が異なると思うのである。

 とはいえ黙殺してしまうのは惜しい展覧会なので、筆者の目から見て、今後も制作を長く続けていきそうに見える人の作品について、ここで紹介することにした(むちゃくちゃアバウトかつ主観的な基準で申し訳ない)。


 まず油彩画研究室の院生2人については、今後の北海道の絵画界で活動していくことはほぼたしかだと思われる。

 中村まり子「午睡」「ひみつの木」

 赤ちゃんが浮遊する、もこもこした幻想的な世界はあいかわらず独創的。
 よく見ると、赤ん坊が花の中に上半身を吸い込まれていたり、肉の塊みたいなものが巨大な植物からつり下がっていたり、残酷な世界かもしれないと思うのだが、淡いパステルカラーでまとめているだけに、残酷性はほとんど感じられない。


 2枚目の画像。津田光太郎「障子は開いている」

 今年2月の「2017年度 北海道教育大学岩見沢校 修了・卒業制作展」でも発表していた大作。
 あらためて見て気づいたのだが、津田さんの絵は、見事なまでに時代を反映していない。
 諷刺的な要素はないし、流行している物事も描かれていない。といって、古色蒼然としたモチーフばかりを画面に配しているわけでもない。
 なまじ新しいものは、すぐに古くなる。それをわかった上での作戦なのだろうが…。


 以降は学部生。作者からの削除要請があればすぐに応じます。

 3枚目の画像。
 左は秋本結以「物付き合い」。
 筆者自身は画家でも美術家でもないので、工房やアトリエの中を描いた絵にはべつだん共感を抱かないのだが、この絵の工具棚は、ローラーやタコのおもちゃ、2個の置き時計などが並んで、いったい何を作っているのかさっぱりわからないのが、おもしろかった。
 描法は写実的でしっかりしている。

 右は清水優希「clear」。
 モノトーンだとかえって会場で目立つという好例。
 女性の脚がなまめかしい。背景とモティーフの割合もちょうどいい。



 4枚目の画像。
 佐藤絵梨香「パキラ」「クロトン」。

 油彩ではあるが、札幌の水彩画家斎藤由美子さんを思わせる画風。低い目線でとらえた、繁茂する植物を写実的に描いている。単に写実的だというだけなく、フラットな光の調子や、中心のない構図など、共通するものを感じさせる。
 題はいずれも観葉植物の名だが、筆者は園芸に暗いので、画面の植物のどれかどれなのか、わからない。



 5枚目の画像。
 非常に写実的な絵が並ぶ。

 左端は吉田小夜子「愛おしい」
 モノトーンだが、油彩。北海道新聞7月6日夕刊、札幌圏版の記事によれば、吉田さんは総務長で、この犬は愛犬とのこと。

 右の2枚は冨田真之介「苔清水湧きしたたり、日の光透きしたたり」「花に嵐のたとえ」
 水面に浮かぶ桜の花びらや、地面に散り敷いた落ち葉の描写は、2年生とは思えないほど。若くして、こんなに無常の世界でいいのかなどと、よけいなことを考えてしまった。


 このほか、おもしろかった作品。

 杉田史織「思考する朝」
 油彩。
 バルコニーにつながった風呂場で髪を洗う人物。写実的な筆致で、物語性を感じさせる構図。

 福嶋薫「無題」
 絵画。
 支持体にベニヤ板を用い、染料や水彩を染み込ませた。布に染み込ませるのとは違った独特の色合い。

 同「BULE」
 映像。
 花火を手にした3人が手前から向こう側に歩いて行く場面が印象的。若さが感じられる映像。

 山田大揮「Comes and goes」
 インスタレーション。
 天井から床置きの容器まで水が循環し、容器の上の台に載せたメトロノームが音を刻む。

 橘雅也「UNCONSCIOUS」
 白い筐体に、映像を流すモニターが組み込まれ、その手前に塩化ビニール製パイプで檻のような仕切りが作られている。映像には、顔にモザイク処理をかけられた男女が、こちらをのぞき込んだり、スマートフォンやカメラで撮影したりしている。見ていると、こちらがむしろ檻の中で、不作法かつ無断で写真を撮られているような気分になって、だんだん不快感が募る。
 「見る」ことと「見られる」ことの関係を考えさせる、すぐれた作品。


 上遠野舞「雨の公園」
 Chaton on the Note というバンドのMusic Video。
 主人公の女の子の動きが良い。
 彼女の部屋の白い壁に映像を投影している場面が好き。

 山田香凛「世界を待つ白昼夢」
 映像。
 虫や猫など、あまり脈絡のない映像をつないでいるけど、低い目線が印象的。
 

 最後に、稲辺みのり「私の庭」。

 穴ぼこだらけの世界。
 真ん中の寝台でひとり寝ていて、天からつながったイヤホンを耳につないで涙を流している。その下には、ラブレターらしき手紙がいっぱいで、くまのぬいぐるみやポテチの袋が散らばっている。
 穴ぼこの淵を歩くアリ。
 世界の端っこで釣り糸を垂れる少女。
 巨大な彗星と、イチゴのような土星が浮かぶ空。
 大きな一つ目からしたたり落ちる涙と、それがたまってできる赤い池。
 遠く見える白い連山。

 ポップで明るい色調の裏側に折りたたまれた、この孤絶感はすごい。
 かきこみが細かければ細かいほど、切なさが伝わってくるようだ。


 なお、題名に「ザワ」という語を入れている人がときどきいて、たぶん「岩見沢」のことだと思うんだけど、一般の人には通じないんじゃないかなあ。


2018年7月4日(水)~8日(日)午前10時~午後6時(最終日~4時)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)


北海道教育大学札幌校美術科 七月展(2006)
七月展 (2002、画像なし)




・地下鉄東西線「バスセンター前駅」から約200メートル、徒歩3分

・ジェイアール北海道バス、中央バス「サッポロファクトリー前」から約520メートル、徒歩7分(札幌駅バスターミナル、時計台前などから現金のみ100円)

・中央バス「豊平橋」から約860メートル、徒歩11分

※周辺にコインパーキングあり
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■花咲く女流展 (2018年6月5~30日、札幌)

2018年06月30日 13時56分25秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 物故作家、ベテラン、現役の女性画家、書家による作品展。
 「女性」という以外にあまり共通点はなく、道内限定というわけでもない。ただ、オーナーの清水さんが気に入って選んだんだなということは、伝わってくるから、見ていて気持ちが良い。

 いちばん知名度が高いのは、日本画の小倉遊亀か。冒頭画像の左端は「白椿」。

 左から4点目は、全道展創立会員で、100歳で個展を開いた小川マリ「コスモス」。
 白を基調にした彼女らしい油彩。


 ほか、西村喜久子「石狩川河畔」、八木伸子「アムステルダムのオルゴール車」(水彩)、三岸節子「花」(リトグラフ)、藤野千鶴子「マンジュシャカ」、加藤清江「花」など。
 いずれも女性画家として、世間の無理解などと闘い続けながら、絵筆を離さなかった面々だ。
 森本光子の「自画像」もあった。彼女の絵を見るのは久しぶりだ。「一九六二」と年が記されている。あごに右手をつけ、黒いとっくりセーターを着て、じっとこちらを強い視線で見ている。森本光子の絵といえばフランス人形のイメージがあったので、ちょっと意外だった。


2018年6月5日(水)~30日(土)午前11時~午後6時、月・火曜休み。6月16日臨時休業
ギャラリー北のモンパルナス(西区二十四軒4の3 アートヒル琴似)




・地下鉄東西線「琴似駅」から約380メートル、徒歩5分

・JR琴似駅から約880メートル、徒歩12分

・ジェイ・アール北海道バス「山の手一条通」から約760メートル、徒歩10分
※快速、都市間高速バス、中央バスは止まりません

※カフェ北都館ギャラリーから約150メートル、徒歩2分です

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追記あり■500m美術館 vol.26「最初にロゴス(言葉)ありき」 (2018年4月27日~6月27日、札幌)

2018年06月27日 13時23分27秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 言葉に焦点を当てた展覧会。
 フライヤーに「新約聖書、創世記の中」などと書いてあってギョッとしたが、興味深い展示だった。
(言うまでもなく、創世記は旧約聖書。「はじめに言葉ありき」は、新約聖書「ヨハネによる福音書」の書き出し)

 筆者が見どころだと思った点は二つ。

 ひとつは、書家の樋口雅山房 が ざんぼうさんの作品が大量にあったこと。
 ざっと数えたら59点も展示されていた。
 ギャラリーや美術館ではなく、一般の人が大勢出入りする空間に個人の書作品がこれほどたくさん並ぶのは、札幌では、1998年に京王プラザホテル札幌で開かれた島田無響個展以来ではないかと思う。

 樋口雅山房さんの作品は、絵が交じっていることもしばしばあって、いわゆる「書のツウ」でなくても親しみやすいと思う。
 造形を純粋に鑑賞するのであれば前衛書のほうがふさわしいのかもしれないが、それだと「言葉」というテーマと離れてしまう。
 冒頭の画像は「土偶十六羅漢図」。
 室蘭輪西遺跡(縄文晩期)や余市町大谷地貝塚(同)など、道内で見つかった土偶を羅漢に見立てて、横に並べた大作。

 ほかにも、小樽市手宮の洞窟やアイヌ民族の祭祀を自由闊達かったつな筆づかいで描いている。


 こちらの画像は、ふだんから取り組んでいる墨象ぼくしょうの作品。
 「月」という作を四つ並べていて、おなじ漢字でも書法はさまざまだということがわかる。 

 このほか「色板書」と題し、曲線で囲まれた不定形の紙に書いた「竹」「千客万来」などのシリーズや、一休禅師の臨書、いろはうたを書いた作品など、バラエティーに富んだ書が並んでいた。


 もうひとつ、必見なのは、高橋喜代史さんの「ポスター」。
 3月にJRタワー・プラニスホールで開かれたグループ展に発表した映像作品の続編ともいえるもので、「助けて!」と日本語、英語、アラビア語で書かれた巨大なポスターと、それを札幌の中心部(札幌西武跡の中央区北4西4のフェンス)に貼り付ける様子を固定カメラで撮影した映像だ。

 映像は、風が少し強い春に撮られたとおぼしく、作者がクラフトテープか何かでフェンスにポスターを貼り付けようとしても、とたんに風にあおられて、はがれていく。
 作業がいささかシジフォス的労働の様相を見せていたとき、黄色い買い物袋を持った若い男性が通りがかりに手伝いを申し出て、ポスターの左端を押さえ続けることで、ようやく作業は完了するのだが、その間に通り過ぎる人は大勢いるのに、手伝いはおろか、立ち止まって様子を見たり、何をしているのかを問うたりする人はだれもいない。

 「じゃあ、もしおまえが通りがかっていたら手伝ったのかよ」
と言われて、胸を張って「手伝っていたぞ」と言えない筆者であるが、ともあれ、この冷淡な反応こそが、欧洲を中心に世界を揺るがせている難民問題の、日本での関心の薄さを象徴しているように思われてならない。
 日本にとって難民問題はけっして遠い国の話ではない。昨年、世界では6850万人が故郷を追われたと国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が発表した。
 テレビや新聞ではあまり大きな扱いにはなっていないが、東日本入国管理センター(茨城県牛久市)で自殺やハンガーストライキが相次いでいる。

 見た目はシンプルだが、非常に重い問いかけをはらんだ作品だ。


 このほかの出品者は、港千尋、文月悠光、TOLTA(山田亮太、河野聡子、佐次田哲、関口文子)、ワビサビ、池田緑、渡辺元気、居山浩二、朴炫貞。
 港さんは、あいちトリエンナーレ2016の芸術監督など、幅広く活動している。

 右の画像は、帯広の美術家、池田緑さんが、四つの大事な言葉をダイモテープで200人に打ってもらった作品。
 ひとつひとつの透明なケースに入っているのは、どうやらカラーコピーのようだ。


 札幌のデザインユニット「ワビサビ」の作品。
 「ちりもつもれば山となる」ということわざを英語にして、独自のロゴで表した。
 工事現場を思わせる設営方法がおもしろい。


 ただし、いろいろな人の作品を見ていると、これってビジュアルポエトリーとどこが違うんだろうな~、という思いを抱くのだった。


※追記。ある詩のような作品に「どんな家でも、米をたく匂いがたちこめていたのだろう」という意味の言葉が透明な板に書かれてあったが、日本の歴史で、すべての家で毎日のように米飯が可能だった時代は、1960年代以降を別にすれば、一度もない。弥生時代から戦後まで、米は常に不足していた。


2018年4月27日(金)~6月27日(水)午前7時半~午後10時
札幌大通地下ギャラリー500m美術館(中央区大通西1~大通東2 地下鉄大通駅とバスセンター前駅の間の地下コンコース)


関連記事へのリンク
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第31回 北海道墨人展■第68回 札幌墨象会展 (2017)
第30回 北海道墨人展■第67回 札幌墨象会展 (2016)
第29回北海道墨人展■第66回札幌墨象会展 (2015)
樋口雅山房 吉祥文字展 元気HOKKAIDO (2011)※画像あり
第23回北海道墨人展(2009年)
イーアスの回転寿司店に樋口雅山房さんの書画
第9回北の墨人選抜展(2008年)
第20回北海道墨人展
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□ハイブリッドアート http://ameblo.jp/hybridart2/
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