4月11日に見た展覧会。苫小牧美術協会の展示は初めて見ました。
2014年から15年にかけて苫小牧市美術博物館が開いた「苫小牧の美術史 苫小牧美術協会とその歩み」のフライヤー( pdfファイル )によると、苫小牧美術協会は1939年(昭和14年)に結成。遠藤ミマンらが所属していました。
戦後はとなりまちの白老に疎開していた版画家の川上澄生が再興に尽力したそうです。
川上は全道展の創立に . . . 本文を読む
「will win(ウィル・ウィン)展」はもともと2020年、コロナ禍で忙殺されていた医療関係者へのチャリティーを目指して始まり、今回が3度目となるグループ展。
コロナ禍は一段落しましたが、出品者だった三浦恭三さんが昨年2月逝去し、追悼の意味を込めて開かれることになりました。
出品者には新道展会員や北海道抽象派作家協会の同人が多く、抽象的な傾向の作品が多いものの、各自が自由に制作・展示をして . . . 本文を読む
そこに存在するものを
わたしたちは記憶している。
たとえ目が追いつかなくとも
こころが動いているとき全身で
その景色を受け取り
やわらかく憶えている。
時間を経た記憶の輪郭が削られ
まるい石のようになった姿を
いとおしく思う。
そのままを絵や形に残していきたい。
会場に貼ってあったテキストです。
これに筆者が付け加えることは、あまりないような気がします。
映画やテレビドラマを見て . . . 本文を読む
2人の作品が渾然一体となり、会場いっぱいに広がっています。
会場入り口に、展示位置と作者については明示されているのですが、見ている最中にはなかなか区別がつきません(あえて、そうしているのでしょう)。
人形アニメと、撮影で使ったとおぼしきぬいぐるみの実物を前後に並べて配しているのが目を引く一方、抽象絵画や染織などを、壁はもちろん、天井からつるしたり、床に . . . 本文を読む
(承前)
「未完の大器」展は、アーティスト創生プランナー協会という札幌の団体が道内の若手に声をかけて、2021年から年数回、ギャラリーエッセなどを会場に開いているグループ展です。
現代アート寄りの作家はいなくて、絵画を中心に、イラストレーション、陶芸を展示販売します(骨骼模型の人もいます)。したがって、会場の雰囲気などは、100号クラスが並ぶ団体公募展とも、映像やインスタレーションが中心とな . . . 本文を読む
(承前)
続きです。人数が多いためすべての出品作を掲載することはできませんでした。ご容赦ください。
冒頭画像、左から
加藤宏子「習作」
下沢敏也「Re-birth」
泉修次「Gimme Shelter」
加藤さんは紙による作品。彫刻の表側と裏側について考えさせます。
陶で独自の世界をつくりだす下沢さん。今回は偶然か意図してか、わかりませんが、横向きの女性像に見えるのが珍しいです。
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いわゆる「小品展」という語からイメージされる展示よりも、一回りも二回りも見どころのある展覧会でした。
初日に行って、北海道新聞「サタデーどうしん」面の「展覧会」評に書きましたが、ブログでの紹介が遅くなってしまいました。
本来ならば、全員の画像付きで紹介すればいいのでしょうが、人数が多いので、そこはご容赦願います。
冒頭画像の手前は、鈴木隆(十勝管内中札内村)「Carmine 102」。 . . . 本文を読む
全国的な団体公募展「現展」の出品者と、道内の作家の交流を狙いに、2019年から毎年開かれているグループ展です。
今年は道内から8人、盛岡市から3人、長野県から1人の計12人が参加しており、絵画、写真、半立体など多彩な作品が並んでいます。
順不同で簡単に紹介してゆきます。
左は細川久美子「IRODORI・幻」。
細川さんの作品は、和紙に染料を染み込ませ、うつろっていく色彩の鮮やか . . . 本文を読む
最初にポスターを見たときに思ったことが2点あった。
一つは「マイ・ホーム」という題にちょっと「やれやれ」という気持ちになったこと。
もう一つは、釧路生まれで、一時期は空知管内栗山町にアトリエがあった米坂ヒデノリさんがなぜここに入っているのか、ということ。
前者についてごく乱暴に言うと、自分とその周囲の狭い範囲内に目を向けている作家が道内には非常に多いという印象がある。
たとえば風間サチ . . . 本文を読む
道立三岸好太郎美術館が北海道ゆかりの優れた若い作家を紹介するシリーズ企画の10回目。
同館のサイトによると、4人は
生まれ育った土地と自身の関係をテーマに、フィールドワークで生じた体験や記憶をインスタレーションとして展開する秋元さなえ。
自らの身体が風景に溶け込んでいくような感覚的イメージを大画面に瑞々しく描きだす川村正寿。
多色摺木版と発泡インクを用いたシルクスクリーンにより、既視感のある . . . 本文を読む
「Kit_A」名義で、ロードコーンを主題にしたさまざまな作品を長年制作・発表し続けている札幌の北さんの個展。
ロードコーンとは、工事現場などで置かれているカラフルな(赤の単色が多い)三角錐さんかくすいの物体です。幅広い場面で活用され、通行する人に注意を促しているわりには、主役として注目されることはほとんどありません。
単にロードコーンの形状や素材、色を絵画や写真の . . . 本文を読む
卒展シリーズの6本目の記事です。
今年は映像研究室とアニメーション研究室が群を抜いていたと感じました。
会田咲乃監督『倦んで、弛む』。
やくざが絡んだ犯罪サスペンス映画で、よくこんな複雑な脚本と多数の登場人物が出てくる劇映画を破綻なくまとめられるものだと驚嘆しました。時間は1時間ぐらいでしょうか。完璧なロケハンと、テンポの良い編集は、学生離れしているとしか言いようがありません。
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北翔大は江別の大学ですが、卒展は札幌円山キャンパスの1階と3階で毎年開いています。
冒頭画像は塚本洵子「三十五ッポイ」。
スタイロフォームやウレタンを使いカラフルに仕上げたインスタレーション的な彫刻です。
建築デザインは、貧困や農村振興など現実の課題と向き合い、しっかりと模型を作っている学生が目立ちました。
昨年の黒島亜夢さんのような突出した才能を感じさせる作品がなかったのはち . . . 本文を読む
「ビセン」の愛称で知られる北海道芸術デザイン専門学校の卒展に、最終日ぎりぎりに駆け込みました。
ボリュームはかなりのもので、校舎じゅうに作品が点在していました。
札幌デザイナー学院の卒展とくらべると、イラストレーションが多いのは共通していますが、デザイナー学院が商品やパッケージへの展開を強く意識した作品が多いのに対し、ビセンのほうは描きたいものを描くことを重んじた人もわりと多い印象を受けま . . . 本文を読む
卒展の2本目です。
札幌デザイナー学院は専門学校なので2年制ですが、4年制の大学とくらべてもそん色ない完成度の作品が並んでいました。
冒頭画像は楡井ほのか「No Dogs No Life」。
犬と人との長い年月にわたるかかわりを、年を追うように、丸い支持体に描かれたイラストレーションで描いています。
梁川剛一とかノーマン・ロックウェルとかを想起させるようなちょっと昔っぽい絵柄が、デジ . . . 本文を読む