北海道美術ネット別館

美術、書道、写真などの展覧会情報や紹介。毎日更新しています。2013年7月末、北見から札幌に帰還。コメントはお気軽に。

■第45回記念美工展 (2018年4月18~22日、札幌)=4月21日は13カ所(8)

2018年05月08日 20時24分36秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
(承前)

 北海道美術工芸協会の主催する「美工展」が45回の節目を迎えました。

 道展、全道展にも工芸部門はありますが、美工展は道内で唯一、工芸部門だけからなる団体公募展です。

 記念の図録の巻末に掲載された年表「45年のあゆみ」によると、同協会の発足は1973年。翌74年に丸井今井札幌本店で第1回展を開いたそうです。
 ちょっとふしぎなのは、名称が「北海道手工芸美術協会」と決まったのが75年になってからとのこと。84年に現在の「北海道美術工芸協会」となりました。
 「美工展」という略称の採用と、丸井今井から札幌市民ギャラリーへ会場を変更したのが89年で、90年の第17回展から公募展のかたちをとっています。

 会員、会友、一般という3段階は、他の道内の団体公募展と同じです。
 入賞を重ねた人が会友に推挙され、会友になっても実績を積んだ人が会員になる―というシステムも他と同じです。
 美工展の場合、一般入選の中から協会賞、佳作賞が、初入選者から新人賞が、それぞれ選ばれます。奨励賞は会友から選考されます。
 今回は佳作賞の該当者はありませんでした。

 一般の最高賞に当たる協会賞は、佐藤隆之さんのペーパークラフト「ニケの翼」。
 繊細な形にはさみが入った、高さ1.6メートルに及ぶ大作で、しかも両翼があります。
 佐藤さんは紙とはさみさえあれば、昆虫でも何でもあっという間にこしらえてしまう器用な人で、これまで500m美術館などでも作品を発表しています。
 美工展には昨年初入選していました。
 今回の最高賞で、会友に推挙となりました。

 ちなみに美工展は、協会賞の該当なしという年もけっこうあり、3年連続で協会賞が選ばれたのは史上初です。

 会員では、丸山恭子さん(金工)「蔓薔薇」が目を引きました。 
 小さな花の集まりが極めて装飾的ですが、精緻かつ豪華な出来ばえです。

 陶芸は、山谷智子さんの壺「春光」が、若草色や薄茶色といった微妙な釉薬の発色が、まさに早春を思わせます。
 
 織は、三浦千津子さんの訪問着?「花舞」の落ち着いた品格、新会員推挙となった常本幸子さん「茜」の軽快なリズム感など、見ごたえのある作品が多かったです。 

 新会友となった松浦一明さんの木工「木彫2018 四季」は、ヒマワリを想起させる形状が力強くて、見る人を驚かせます。
  

 分野別の出品数は次のとおりです。
織  8
組紐 6
和紙絵 6
染色 5
陶芸 5
木工 5
ペーパークラフト 4
ガラス 3
押花 3
皮革 2
刺繍 2
金工 1
人形 1
木彫 1
ボビンレース 1
葉彩画 1
籐  1
その他 4
 
 ここ数年トップだった染色に変わり、織が初の首位になりました。



 正直なところ、工芸・クラフトの作家は、絵画や現代アート以上に「●●展の会員」であることが商売の一助になりづらい時代です。
 そういう時代にあって、年に1度集まって展示するだけにとどまらない意義が、工芸の団体公募展にますます求められるようになってきているのでは―と思っています。
(※追記。もちろん、美工展は単に集まるのではない可能性を持っていると思います)


2018年4月18日(水)~22日(日)午前10時~午後6時(最終日~午後4時)
札幌市民ギャラリー (中央区南2東6)

□美工展 http://www.geocities.jp/hokkaidou_bikouten/


過去の展覧会記事へのリンク
第44回  ■続き (2017)

第43回 美工展(2016、画像なし)

第42回(画像なし)
【告知】第42回美工展

第37回 美工展 ■続き (2010)

第36回
第35回
第34回(画像なし)
第33回
第31回(画像なし)
第30回(画像なし)
第29回
第28回(画像なし)

第8回美工展会員展(2003年)


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■第44回 美工展 (2017年4月19~23日、札幌)=続き

2017年04月22日 09時35分24秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
(承前)

 美工展には、次の部門が設定されています。

押花・織・ガラス・金工・組紐・刺しゅう・染色・籐・陶芸・人形・皮革・ペーパークラフト・ボビンレース・木彫・木工・葉彩画・和紙絵・その他の工芸

 道展や全道展では作品を見かけない分野もあります。
 かつては陶芸が多かったのですが、その後は出品者が減っています。

 画像は事務局長の山谷智子さん(札幌)の「古城―サレルノ―」。
 イタリアを旅した際に得た印象を盛り込みました。頂上部のでっぱりに、それが現れています。


 会員の町田睦子さん(札幌)「愛惜」。
 なぜか、非常なさびしさ、せつなさが感じられます。

 背後の壁に見える作品のうち、右の2点はこのたび会友に推挙された橋本昌司さん(江別)のペーパークラフト。
 右の「微笑」は、モナリザのパロディーになっています。
 橋本さんは「ロルンプヤ 神窓」で佳作賞を受け、会友に推挙されています

 右から3番目は、会員・小林ちほさん(同)「石目リンゴ」。
 これは、道都大の中島ゼミ展に出品されていたものだと思います。


 染色や織は、道都大出身者の若手による現代的な、あるいはユーモラスな作品と、伝統的な作品の両方があり、幅が広いです。
 画像は伝統的な作品を集めたサイド。
 右側は山内价子さんの「昇龍」。
 そのとなりは、近藤香代子さんの「初成り」。
 3番目は五十嵐圭子さんの「育み」。
 3人とも会員です。
 左端は会友の佐藤美智子さん「華の雫」。藍色が美しいです。

 いずれも札幌在住です。 
 

 右端は、唯一の金工会員である、丸山恭子さん(函館)の「道(さ迷う)」。
 さまざまな形の金属片が貼り付けられていますが、筆者の目には、四辺を海底に見立てた、海藻(コンブ)の林のように見えました。


 ここで、分野別の人数をまとめておきます。

染色 8=会員6、会友2
組紐 6=会員5、会友1
陶芸 6=会員5、一般1
織  6=会員4、一般2
和紙絵6=会員3、会友1、一般2
皮革 5=会員1、一般4(7点)
ペーパークラフト5=会員1、会友1、一般3(5点)
木工 5=会員2、会友1、一般2(3点)
押花 4=会員1、会友1、一般2(3点)
人形 3=会員1、一般2
木彫 2=会員1、会友1
ガラス1=一般1(2点)
金工 1=会員
刺繍 1=会員
ボビンレース1=会員
葉彩画1=会員
その他=一般1
(物故2人)

 ここ数年、染色のトップが続いています。

 左は、「人形」に区分されていますが、宮崎広幸さん(札幌)の「森のゆうえんち」。
 枝などを用いた、たいへんな労作です。アートかどうかはわかりませんが、誰が見てもほおが緩む楽しい作品です。

 なお、人形分野では釧路の会員、上邑紅緒さんの「PREGAGE」が、ベテランの健在ぶりを見せていました。

 この数年の、道内の人形分野の活況を見ていると、もう少し出品数があってもいいんじゃないかとも思います。

 最後に、木彫の成田得平さん(札幌)の「トンコリ(五弦琴)」。
 これは、音が聞きたかったなあ。アイヌ民族の伝統楽器ですが、ムックリほどひんぱんに見る機会があるわけではありません。


 会友の中から選ばれる奨励賞には、和紙絵の三浦秀子さん(札幌)の「ワイメア渓谷」が選ばれ、会員に推挙されました。スケール感を出すべく奮闘しています。
 もうひとりの新会員は押花の福崎俊美さん(室蘭)です。

 また、会友には、織の常本幸子さん(札幌)、ペーパークラフトの橋本昌司さん(江別)、ガラスの吉田房子さん(札幌)、その他の山田光代さん(東京都世田谷区)の4人が選ばれました。


2017年4月19日(水)~23日(日)午前10時~午後6時(最終日~4時)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)

□美工展 http://www.geocities.jp/hokkaidou_bikouten/

関連記事へのリンク
美工展会員展(2016)

柴田睦子 陶芸展「天空」(2004、画像なし)

第56回道都大学中島ゼミ展 版と型をめぐって 5つの個展と11人の冒険 (2016)=小林ちほさん出品
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■第49回 道美展 (2016年9月13~19日、札幌) 日程を訂正しました

2016年09月18日 16時18分02秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
※日程が違っていたので直しました。おわびして訂正します。

 絵画、工芸、写真の3部からなる団体公募展。
 北海道美術作家協会の主催で、1969年に第1回が開かれました。

 筆者は第46回展の際はかなり厳しいことを書きましたが、あの時よりは出品も増えて、それなりのにぎわいを保っているように感じました。
 ただ、1人で2点、3点と出品している人も多いです。

 2階は写真です。
 会員54人、会友15人、一般85人で、人物、風景、祭り、ネイチャーなどさまざまなジャンルが並んでいます。
 写真部はかつて、北海道を代表する写真家の掛川源一郎さんが会員でした。ただし、そういう社会派リアリズム、ドキュメンタリー的な作品は、いまはほとんど見当たりません。
 各地で長年撮影に取り組んでいるアマチュアがけっこう多いように感じます。

 中野末吉(胆振管内安平町)「花吹雪」 古寺とおぼしき建物の前に散る桜の花びら。夢幻的に美しい光景。
 窪田實(旭川)「静寂」 凍った池の水面をすかしてコイが見えます。ハスの花も凍っています。コイは大丈夫でしょうか。
 沢谷敏夫(室蘭)「大内宿にて」 南会津の古い宿場の由。トラクターが曳くリヤカーに乗った農家の老夫婦の後ろ姿が、とてもほほえましいです。
 杢信行(室蘭)「陣屋夜話」 ライトアップされた満開の桜と、そびえたつ工場の煙突。自然と近代の対比の妙。
 渡辺一夫(留萌)「晩秋日本海」 青い空と海、白い波頭、そして赤い灯台。シンプルで美しい。高い波の上を飛ぶ鳥の位置も完璧。
 田中二三哉(旭川)「湖愁」 旅愁という語はありますが、湖愁というのは初耳。でも、それにふさわしい、薄暮の日本庭園と池のたたずまい。サギらしい鳥のきりっとした姿が、決まっています。

 金澤俊美(美唄)「都心のオアシス」 一般。ビルに囲まれているのは、札幌の道庁前の池でしょうか。水面近くに浮かび上がるコイの表情がユーモラスで、後方にたたずむカモも効果的です。魚眼レンズは、欲張りすぎた画面になりがちですが、この作品はしっかり整理されているように感じます。会友推挙。
 松本公子(伊達)「雪の爆破」 一般。早春の畑に融雪剤をまく男性の姿がなんだかおもしろいです。

 工芸は、最初の大部屋に陶芸の壺がたくさん並んでおり、陶芸がメインという印象を受けます。
 以前は、第1室の台の上に、壺もカップもびっしりと隙間なく置かれて見づらかったという記憶があるので、陳列はかなり改善されたと思います。
 ただしめざましい増加を見せているのがパッチワークキルト。これは、面積が大きいので、2室以降の壁面を華やかに彩っています。
 図録には作品サイズは書いてありますが、木工、染織など種類の記載がないので、これは改善を望みたいところです。

 道展などはいずれも最高賞が「協会賞」ですが、道美展だけは「道知事賞」で、今年は陶芸の川人久美子さん(札幌)「黄落」が選ばれました。
 続く第2席は「道美賞」で、絵画、工芸、写真の各部から1人ずつ選ばれることが多いようです。ただし今年をみると、3人とも会員で、このあたりどういう選考になっているのかよくわかりません。

 陶芸で気になった作品。
 ただ、全体的には、たとえば道陶芸協会展などに比べると、型破りな作品はありません。
 牧野きよ子(空知管内長沼町)「雪どけ(雪結晶釉)」 光沢ある白い釉薬の結晶がつくる景色がきれい。金子道雄(札幌)「結晶花器」も、同じような白い釉薬が美しかったです。
 魚住慈子(札幌)「冬の波」 こちらは群青の釉薬。矩形の陶片がいくつも貼り付けられ、流氷の海のようです。
 三橋エリ(同)「山女魚文壺」 ヤマメの表情が楽しいです。
 荘司博俊(北広島)「美瑛の丘」 白→ペイルオレンジ→緑→萌黄色とうつろう景色の変化が美しいです。
 魚住劭(札幌)「北の人」 武人の面構えのようなフォルム。
 ほか、西村美和子(同)の志野の釉薬や、菅原末男(長沼)の幾何学的な文様などに惹かれました。


 最後に絵画です。
 3年前に見たときは小品ばかりで、この先絵画部はどうなるのだろうと思いましたが、今年は50~120号クラスが第1室に30点陳列され、格好は保っています。
 ただ、大半はよくあるタイプの風景画などです。以前は散見されたスーパーリアリズム系の作品もありません。
 また第2室以降は、3~20号程度の小品ばかりです。

 この中で、山愛実さん(札幌)は3点も出品し、自分の描きたい世界をしっかりと持っている人だと思います。
 加藤貢(同)「絆」(P50)は2人の女性をリアルに描き新人賞、会友推挙。布の質感などの描き方が見事です。


2016年9月13日~19日(月)午前10時~午後5時(初日午後1時~、最終日~午後4時)

札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 @s_c_gallery )

一般500円、70歳以上・障碍者・高校生以下無料






第46回道美展 (2013)
第39回道美展
第35回道美展
 =いずれも画像なし
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■第71回全道展・続き (2016年6月15~26日、札幌)

2016年06月20日 20時34分51秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
承前。敬称略)

 会場でなんだか筆者の目に付いたイメージ。それはカラスだった。

 版画の会員、重岡静世の「瓦解」は、上半分にカラスの群れ、下半分に枯れたヒマワリを、オレンジと灰色を主体に描き、暗鬱とした雰囲気に満ちている。
 この作品自体はなんら政治的な主張をしているわけではないのに、いままさに全体主義に舵を切ろうとしている日本社会を予知しているようでもあり、静かな力でこちらに迫ってくる。
 そういえばと思って、もう一度会場を見回してみると、カラスや黒い鳥が登場する作品があるはあるは。

 まずは道新賞の佐々木剛「札幌・冬・カラス」。
 背景の空をカラスの群れが横切っていなかったら、もっと凡庸な絵になっていたかもしれない。中央の女性がリアルに描かれているのに、周囲のタッチがラフなのも、むしろこの作品の魅力になっているし、空気感を出していると思う。

 絵画の会員、佐藤仁敬「都市とヒトと黒い鳥」。
 縦位置で、しかも中心線附近に主要モチーフが集まっているというやや破調ぎみの構図だが、それがむしろ不安定さを強調している。画面上部の白いワンピース姿の女性は顔が黒い霧で隠され、下部の男は両手で顔を覆っている。そして、微妙に高さが異なる左右の都市(右側は手前に川のような水路がある)、画面を横切る2羽の大きな黒い鳥など、なぜか不吉な感じが強い。

 ほかにも黒い鳥が、笠原悦子、やまだ乃理子、佐藤艶子の絵に登場していた。


 …と、これまでおもに絵画について述べてきたが、全体として絵画には、あっと驚くような作品は少なかったような印象がある。
 会員では、黒木孝子、近藤みどり、斎藤矢寸子、佐々木俊二といった人々に目がいったが、全体として、昨年までの画風を引き継いでいる人がほとんどといってよい。
 その中で、童画のようでも夢の一場面のようでもある絵を描いてきた土井義範が、人間の頭部と、その脳にさまざまな人物の顔を散りばめた不思議なモチーフに転換していた。




 以下、一言ずつ。

 絵画会員。

 宮地明人「そこに在るということ」 あいかわらず高い描写力だが、どうしてラズベリーなんだろう。
 森弘志「さしみ」 こんなモチーフ、100号の油絵にするやつおるんかシリーズ(といま勝手に名づけました)、今年は、シメサバ、イカ、サーモン…でした。しかも45度ずつ角度を変えて14×16=224個。ご苦労さまです。
 石本久美子「舞踏手」 シンプル。人物を少し上に位置させたのが、勝因。
 矢元正行「解体客船」 巨大な船のドックという、矢元さんにしてはわかりやすい現場を描いているのだが、人がまったく描かれていない。あちこちから噴出する蒸気のみが目立つ。スチームパンクだ(違
 輪島進一「ファシーレ」 バレリーナは以前からのモチーフなのだが、手前に描かれた、縦に積まれた黒い照明装置が、絵の具の飛沫をちらばして、大きな異化効果をもたらしている。バレリーナの周囲には、極細でさまざまな線が走り、1枚のタブローで時間の経過を示すという難題をこの画家があきらめていないことがうかがえる。
 米谷哲夫「エレガントフィーバー」 ここ最近はモノクロだったが、今回は色が戻ってきた。
 渡辺貞之「占いごっこ」中央の少女占い師が、ナカジテクスによく出品している橘内美貴子さんに似ていると思う。

 会友。

 伊藤幸子「地への邂逅」 逆さづりになった人物? は見上げると相当に力が入っている。小谷博貞「立棺」シリーズの跡を継ぐ精神性を底部にたたえた作品。

 会友は数が多いが、105人いて62点しか出していない。
 時々、一発で師匠が誰なのかわかる絵があるのが悲しい。

 一般。

 末次弘明「Newsong」 末次さんが全道展に出しているとは知らなかった。ペンの走り書きのような、心電図の記録のような、ふしぎな絵で、ほんとうに引き出しの多い人だ。佳作賞。

 桔梗智恵美「Pandora」 佳作賞。正面を向くふたりの少女、西洋の墓地、巨大な時計、傘をさす女、家の置物など、よくわからないのになにかストーリーがあるように感じさせ、それらの配置も巧み。お得感のある絵といったらいいのか。

 モリケンイチ「燃える木」 人物描写には東郷青児の影響が感じられなくもないが、単なる人物画の域をはるかに超えた、独自の世界を作り出している。今回は、ピンクと青のドレスを身に着けた少女ふたりを手前に配し、奥で木が炎上しているという絵で、なにかを警告するような、神話的な絵である。

 以下、賞には漏れたけど個人的にはおもしろかった作品。

 浅井菫「DINA」 若手。SF的な世界を破綻なく描き切る力量に注目。
 大塚真奈「絶対バカにしているから」 たぶん若手。ころせんせーあるいはスマイルマークのような顔をした人物4人がまじった、若者17人の群像。ばらけた感じがいまふう。
 下川二三枝「工事中」 雪の降る寒い中での電話工事を題材にした作。ふつうの絵画なのだが、農漁業以外で労働の現場を描いた絵は驚くほど少ないから、こういう視線は好きだ。
 宮下淳「歯車」 巨大な歯車がデーン。これはシュールだ。
 酒森夏海「secret bace」 樹上のツリーハウスを上から見た、通常はありえない視点が良い。ZONEの歌みたいですね。


 版画。

 ここはプロやベテラン会員の多い部門なので安心してみていられる。

 会友。

 浅川良美「まほろば」 カエルが卵を産んでいる情景なのだろうが、よく見ると水底には空き缶などが沈んでいるのが暗い色で描かれている。考えさせられる作品。
 坂みち代「春(雪どけの頃)」 自転車2台が水たまりのある街路をゆく場面を、モノクロームの銅版画で描写した。水たまりに雲が反射し、鮮やかなスナップショットのような1枚になった。新会員。

 松浦進が新会友になったが、後に続く道都大中島ゼミの若手がいないのはさびしい。
 一般は全体として、写実的な木版画が多い。だめだとは言わないが…。


 彫刻。

 1階の大部屋に良い作品が集中している。
 十勝の埋もれ木から作品を作る岡沼淳一は、依然として衰えぬパワーで、会場を見晴かすような大作を持ってきた。
 橋本諭「蘇莫者」は片足で立つ、両腕のないトルソ。ごつごつした表面に、生命がみなぎっている。
 水野智吉「風に向かう」 かなり前につんのめったような姿勢になっている。
 二部黎、川上勉、伊藤隆弘は例年同様さえているが、川名義美の首「黒の肖像」に、中原悌二郎へのオマージュを感じた。

 会友。

 櫻井淳「Home」 おそらくテラコッタによる胸像。右目がつぶれているのはなぜか、胸の部分がそぎおとされているように見えるのは―など、いろいろ考えさせられる。
 森戸春樹「間然塔」 置き場所がこれだけ離れているので、なんだか調度品みたいに見える。ちょっと気の毒な展示場所だ。

 一般。

 佐藤邦子「往にし方」 裸婦像。腰に右手を当てて、上体をひねったポーズが実に自然。動感も力もある。新会友。

 石橋周子「自由にあるき鯛」 ふざけた題がついているが、魚が脚を得て歩く姿を、不自然さなく表現できている力量は買いたい。

 宮下真理子「想ー青の振り子」、田原英昭「時の行方」 いずれも、異素材の組み合わせを、難なくやってのけているところがすばらしい。


 工芸会員。
 馬場雅己「流雅」 驚異的な表面処理で細かい文様が付けられたガラスのオブジェ。

 新会友の阿部綾子が2点出品。これは全道展工芸部門では史上初だと思われる。面の付け方がおもしろい。

 ガラス、染織、陶芸で美しい作品が多いが、一時期出品のあった、オタクっぽい立体など、あまり全道展らしくない作品がことしは1点もないのが残念。
 


2016年6月15日(水)~26日(日)午前10時~午後6時(最終日~午後4時30分)、月曜休み
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)




・地下鉄東西線「バスセンター前」9番出口から約300メートル、徒歩4分

・ジェイアール北海道バス、中央バス「サッポロファクトリー前」から約510メートル、徒歩7分=札幌駅前、時計台前から現金のみ100円で乗れます

・東西線「菊水駅」1番出口から約650メートル、徒歩9分
・中央バス「豊平橋」から約850メートル、徒歩11分
(市民ギャラリーに駐車場はありませんが、周辺にコインパーキングはいくつかあります)
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■第71回全道展 (2016年6月15~26日、札幌)

2016年06月20日 13時30分53秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
 全道展の陳列パターンは毎年少しずつ変わる。

 一般出品者でもっともすぐれた作品として表彰される「全道美術協会賞」の受賞作が、いちばん広い1階の大部屋(展示案内の「2」)の、北東側の端に展示されるという慣例は同じで、会員の絵画が1階の「3」以降に、版画が2階に上がってすぐの部屋に(ここは道展では「日本画」のコーナーだ)、工芸が2階奥のロビーに、それぞれ展示されるのも、かなり以前から続いている。

 一方、ことしは屋外展示が皆無になった。また、以前は会員の絵画と彫刻を中心に並べていたこともある1階の大部屋は、ことしは一般入選者の作品がわりあい多かった。もっとも当然のことだが、一般入選は、まだ会員の作品には、見劣りするものも少なくない。
 また、この部屋の、入ってすぐの壁(協会賞の向かい側)には、通常は1階のいちばん奥の部屋に並ぶことの多い物故会員の作が掛けられていた。いずれも絵画の斎藤洪人と鎌田俳捺子である。
 (参考記事 鎌田俳捺子さんが亡くなっていたのか 斎藤洪人さん死去(画家)
 あらためて、この2人が、北海道の絵画にのこしてきたものの大きさをしのぶ。


 4室に入る。
 道内の団体公募展は、全国のそれの一部と異なり、会員の上にさらに段階をつくって少数幹部が会を切り盛りするような体制にはなっていない。筆者はこれをよしとしたいが、4室の北、東、南側の壁には、これまで長年にわたって全道展の壁面を支えてきたベテラン会員の作品が集中していて、あらためて見る側の居住まいを正させるような重厚感に満ちていた。

 野本醇、伏木田光夫、竹岡羊子、大地康雄、高橋三加子、神田一明…。

 これらの会員は、筆者が二十年前に全道展を見始めたときにはすでに会員であった(物故の2人もそうだ)。

 野本の「黒い太陽」は抽象だが、皆既月蝕のような円形から漏れる光と、卵のような形が、希望の回復を思わせるし、伏木田の「―生命のフリーズ3-ダンス」は、輪になって踊る裸の人々と、手前で笛を吹く人たちが、生命の賛美をうたいあげている。
 ベネツィアのカーニバルを主題とし続ける竹岡の紫色が、祝祭的でまぶしい。

 考えてみれば、全道展の絵画とは、形象と色彩の探求を通じて生命を描き続けてきたのかもしれないな、と思う



 全道展は全道美術協会と北海道新聞社が主催する団体公募展で、毎年6月に札幌市民ギャラリーで開かれている。
 絵画、版画、彫刻、工芸の4部門で会員が審査を行い、入選を決める。すぐれた作品は、協会賞、道新賞などの賞に選ばれる。
 受賞を重ねた作者から会友が毎年数人選ばれる。会友になると会友賞以外の対象にならない。会友ですぐれた人が会員に推挙され、審査や会の運営にたずさわるシステムになっている。


 いったん結論めいたものが出てしまったので、ここでひとまず終わって、次の項へ。


2016年6月15日(水)~26日(日)午前10時~午後6時(最終日~午後4時30分)、月曜休み
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)





zendouten.jp

第69回全道展・版画、彫刻、工芸 (2014) ■続き

第64回全道展 ■続き

第63回全道展 ■続き ■続き

第58回全道展
第57回
第56回

※参考 <団体公募展=モダン>と<現代アート=コンテンポラリー>について (追記アリ)



・地下鉄東西線「バスセンター前」9番出口から約300メートル、徒歩4分

・ジェイアール北海道バス、中央バス「サッポロファクトリー前」から約510メートル、徒歩7分=札幌駅前、時計台前から現金のみ100円で乗れます

・東西線「菊水駅」1番出口から約650メートル、徒歩9分
・中央バス「豊平橋」から約850メートル、徒歩11分
(市民ギャラリーに駐車場はありませんが、周辺にコインパーキングはいくつかあります)


(この項続く) 
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<団体公募展=モダン>と<現代アート=コンテンポラリー>について (追記アリ)

2015年11月18日 22時54分21秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
0.前置き


 道内にいくつも存在する団体公募展のうち、全道展、道展、新道展が、それぞれ創立70年、90年、60年の節目の年を迎え、順次、道立近代美術館で記念の展覧会を開いているが、トップバッターの全道展の記念展では、関連行事として、美術ジャーナリストの村田真さんの講演会を行った(引き続き、会員による素人演劇もあったが、筆者は見ていないし、この項の本題に関係ないので省略する)。

(そもそも団体公募展とはどういうものかについては、このブログの代表的なロングテール・エントリである「「全道展」と「道展」ってちがうの? という人のためのテキスト」をお読みください)

 村田真さんは「現代美術の人」というイメージがあったため、さぞかし痛烈な団体公募展批判が聞かれるのではないかと期待して会場に出向いたのだが、実際の講演内容は、日展やフランスのサロンの歴史を主軸に置いた一般論的なもので、多少発展しても、二科展が話題づくりにたくみであることの批判であったりして、個人的には
「う~、知ってることばかりだなあ」
と、いささか肩透かしをくらった印象を抱いたことは否めない。
 まあ、村田さんが北海道の団体公募展の事情について詳しいとは思えないし、日展は毎年足を運んでいるようであるが、それ以外の団体公募展を見ているわけでもないようなので、あまり多くを期待するのは酷であろう。

(そもそも、いまや現代美術系と団体公募展系は、発表場所も人脈も完全に没交渉なほど別の世界になっており、村田さんが日展を見ているというだけで、相当珍しいことであると思う)


1.「ウエーブ」欄での批判


 …と思っていたら、村田さんが、11月16日の北海道新聞朝刊文化面「ウエーブ 美術」欄に、全道展70周年記念企画展を題材に、突っ込んだ批判をしていた。
 「講演後もっと辛口の意見を聞きたいとの声があったので」書いたとのことだから、辛口の意見を求めた全道展関係者も、それに応えた村田さんも、えらいと思う。

 ただ、批判の内容については、これまた肩透かしという印象をおぼえたことは、否定できない。
 だいたいにして、

「まず第一に、なんでこんなに作品をギュー詰めにするのか」

「第二に、なぜいまどき絵画に額縁をつけるのか」

というのは、批判としてムチャである。
 作品が多くてギュー詰めになっているから額縁をつけざるを得ないのではないのか。

 さらにいうなら、この批判については「まずそれをいうのかよ」という念を禁じえない。
 いや、この手のことを言う人って、村田さんだけじゃなくて、よく見ると実はけっこう多いんですよ。
 話はそれますが、たとえば、書道や写真も含めたこの種の公募展で、審査する側の講評会って時々会場で開かれるんですよね。わたしも初心者ですからね、勉強しようと思って殊勝な心がけで(?)出かけていくわけですよ。そしたら、まずえらい先生が何を言うかというと…。

 いわく
落款の位置が悪いね。

写真はいいけど、題の付けかたが惜しいね。

サインは左下より右下のほうがいいんじゃない?


 ほんとなんだって。
 こういうオヤジ、すんげー多いんだって(少なくても自分の経験では)。
 こいつらさ、えらそうなくせして、中身のことをちゃんと批評できる自信がないんだよ。
 こんなのが、審査してるんだと思うと、がっかりするぜ、まったく。
 問題は、中身だろ、中身。

 もちろん、村田さんは、そこまでひどいわけではなく、中身についても説き及んでいる。

講演でも触れたが、なぜ作品が現代社会を反映していないのか。画家や彫刻家は社会問題にはほっかむりで、のどかな農村風景や裸婦像を描いていればいいのだろうか。もちろん原発事故が起きたからといって、みんなが原発問題をテーマにしなければならないわけではないし、むしろそんな同調圧力こそ危険だと思うが、それにしてもあまりに時代や社会から目を背けていないか。


 この部分については、第一、第二の瑣末な批判に比べれば、はるかにまともであり、さもありなんとひざを打った人も多いのではないだろうか。

 筆者もこの意見にはかなりの程度まで首肯できる。
 その上で、あえて言いたい。
 
 「なぜ作品が現代社会を反映しなくてはいけないのか」と。


2.「何を描くか」対「どう描くか」


 かつての西洋で絵画に順列があったことは、よく知られているだろう。
 歴史や神話を描いた絵が上位で、風景や静物の絵は下位とされた。絵のえらさを決めるのは、絵の巧拙ではなく、題材であったのだ。
 美術は、ことばや思想のしもべであった。
 いま、古い美術に、ことばや思想を超える美を見るのは、21世紀の私たちの見方であり、当時からそのように美術を見ていたわけではない。たとえば、エル・グレコの筆使いにわたしたちは感心するけれど、彼はその筆使いが疎まれて、しばらく忘れられていた画家であった。

 「何を描くか」という問題から絵が自立して「いかに描くか」が中心的な問題として浮上したのは、大まかにいえば、印象派以後のことであり、それほど古いことではない。
 印象派以後、題材や素材は、単なる方便にすぎなくなった。
 たとえば、ピカソは、テーブルの上のフライパンやランプを描いたが、それが皿やバイオリンであってもほとんど何の問題もないし、フライパンやランプであることには何の意味もない。意味があるのは、それらの形状であり、次に色である(キュビスムの場合は形のほうが色よりも重要である)。
 画家は純粋な美を追求する存在であって、美の外側にある余計な要素に煩わされるべきではない。

 これこそが、印象派以降の「モダン」な芸術の基本的な立場であろう。

 団体公募展の多くが、美術家・画家の「自治」で運営されており、外部の批評家などの力を借りないことを旨としている理由も、同じ地平にあるだろう。
 純粋な美を追求する以上は、外部の言説は余計なのである。画家は、日本語や英語のような言語ではなく、美の言語をもって作品に対峙し、それを読み取る。
 線、形、色。ヴァルール、マチエール。絵画であれば、ほんとうに必要なのは、そういったものだけだ。

 とまあ、こういうわけである。
 このような立場からは、原発とか戦争とかは、美の世界の外側のことなのである。

 純粋な美の追求。
 とてもすばらしいことのように思えるが、実はそうでもない。
 人間は誰でも現実社会を生きている。
 だから、現実社会から切り離された美の殿堂に向き合っていると、案外早いうちに飽きるのである。
 そして、現実とはいっさい関係ないはずの裸婦や花瓶に、現実との接点を見てしまうのである。
 と同時に、作る側も、かすみを食って生きているのではないのだから、どこかで現実を生きているのである。

 だとしたら、現実とは無関係に美を追求するという方法論は、うそくさいのではないだろうか、という疑問は当然沸き起こってくるだろう。

 もうひとつ、団体公募展に即して言えば、全会員が、聖人のような美の使徒であるなら何ら問題も起きないのだろうが、実際には、派閥づくりや権力闘争が好きな人もいて、話をややこしくしていった(=団体公募展を不純なものにしていった)。それに、多くの人が「この会員の作品はすごい。この人の言うことを聞いていこう」と思ったとしても、はたから見たら、単なるボス支配にしか見えないことだってあるだろう。


3.モダンとコンテンポラリー


 歴史的(日本の美術史的)にみても、印象派以後のモダンアートとともに成長してきたのが団体公募展であるといえる。

 それに対し、美の追求よりも、現実の世界とのかかわりに再び焦点を当てたアートが、現代の美術である。

 これは
1) インスタレーションやビデオアート、双方向アートなど、団体公募展の陳列方法ではカバーしきれない表現方法が急激に増えた
2) ある程度価値観が共有できるモダンアートに比べ、ほとんど作家の数だけ価値観に違いが出てきた
3) 現代社会の問題と結びつけるために言説(を組織する)の専門家(キュレーター)の役割が増した

という理由によって、団体公募展の枠にはおさまらないアートだということができる。

 ただし、団体公募展の評価が先輩や同僚の作り手によってなされていた、いわば「ミュージシャンズミュージシャン」的なものであったのに対し、現代美術の世界では、キュレーターの言説と、市場価格が、作家と作品を値踏みする座標軸となる。

 それって、はっきりいって、どっちがいいのかわかんないのである。
 作家にとっても、見る側にとっても、美術史にとっても。

(少なくても、市場の専制が良いことだとは、筆者にはとても思えない)

 ただ、美術史を巨視的にみると、純粋な美を追求するモダンアートは、フロンティアを失って自閉しているのはまちがいない。
 ぶっちゃけ言いかえると、新しい表現なんて、そんなにないってことだ。

 デュシャン以後、「いかに描くか」は後景に退き、アイデアとコンセプトを第一義とするコンテンポラリーアート(現代美術)がのし上がってきた。そこには、スキルを問われる職人芸が幅を利かす余地は乏しい。
 こちらは、モダンアートに比べれば、現実社会が変化していくぶん、ネタ切れの心配はない。アビチャッポンなどのおかげで、領野自体が、デュシャン時代からみても、ずいぶんと拡大している。


4.おまけ


 最後に、1. の引用文に戻ろう。

「のどかな農村風景や裸婦像を描いて」る人って、全道展にいましたっけ? 

 裸婦ねえ~。

 記憶にないなあ。

(見落としていたら、すみません。図版の載った図録が無いので、確かめようがないのです)
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【告知】全道展70周年/道展90周年/新道展60周年記念会員展 (2015年10月31日~12月6日、札幌)

2015年10月29日 01時01分01秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
 北海道には、絵画などの美術の団体公募展がいくつかありますが、全道規模で大きなものは、1925年(大正14年)発足の北海道美術協会(道展)、1945年(昭和20年)創立の全道美術協会、1955年(昭和30年)旗揚げの新北海道美術協会の三つです。
 この三つがお互いに競い合い、戦後の道内美術は発展してきました。

 しかし、近年は、若い世代を中心に、団体公募展離れが進んでいます。
 ギャラリーが増えて、団体公募展によらずとも、発表の場がたくさんできたことや、150号クラスの大きな絵を発表するという団体公募展のスタイルが若い人にとって非現実的になっていることなどが要因として挙げられるでしょう。また、団体公募展の側でも、インスタレーションやビデオアートといった新しい表現方法への門戸の開き方が不十分であることも大きいと思われます。

 とはいえ、全国的な趨勢に比べると、まだ道内の3大公募展は、一定の存在感を保っているように思われます。

 道内の3大公募展は、10年おきに、通常の展覧会とは別に記念の展覧会を開いています。
 今回はどんな展覧会になるのでしょうか。


全道展70周年記念企画展<会員・会友展>
2015年10月31日(土)~11月8日(日)午前9:30~午後5:00(入場~4:30)。会期中無休

 ○講演と演劇 10月31日(土)午後1~3時
 ※講演は美術評論家の村田真さん。無料



道展90周年記念企画展
11月14日(土)~23日(月)午前9:30~午後5:00(入場~4:30)。16日休み

 ○ワークショップ 11月21日(土)・22日(日)
 ○震災復興チャリティー展 11月16日(月)~21日(土):札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)



新道展60周年記念会員展
11月28日(土)~12月6日(日)午前9:30~午後5:00(入場~4:30)。30日休み

 ○大平まゆみヴァイオリンコンサート 29日(日)午後3:30
 ○記念会友展 11月26日(木)~12月1日(火):大同ギャラリー(中央区北3西3 大同生命ビル3階)


関連記事へのリンク
「全道展」と「道展」ってちがうの? という人のためのテキスト (2009)




・地下鉄東西線「西18丁目駅」から約400メートル、徒歩6分

・中央バス、ジェイアール北海道バス「道立近代美術館」から約180メートル、徒歩3分
(札幌駅バスターミナル始発。手稲方面行きの全便が停車します。小樽、岩内行きの都市間高速バスも北大経由をのぞき全便がとまります)

・市電「西15丁目」から約740メートル、徒歩10分

・ジェイアール北海道バス「54 北5条線」(札幌駅前―長生園前)、「58 北5条線」(札幌駅前―琴似営業所前)で「北5条西17丁目」降車。約560メートル、徒歩8分
・ジェイアール北海道バス「桑11 桑園円山線」(JR桑園駅―円山公園駅―啓明ターミナル)で「大通西15丁目」降車、約440メートル、徒歩6分(ギャラリー門馬やギャラリーミヤシタから1本で来られる)

・JR桑園駅から約1.3キロ、徒歩18分
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■第69回全道展・版画、彫刻、工芸 (2014年6月14~21日、札幌)

2014年06月22日 02時22分22秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
承前


 版画。

 伊藤倭子、大井戸百合子、大野重夫、渋谷正巳、玉村拓也、手島圭三郎、渡会純价、和田バロウズ裕子(いつからこんな名前になったんでしょう)といったベテラン勢については安心して見ることができるので、何も言うことがない。福岡幸一はなおアンモナイトシリーズ。水落啓はのんきな感じが良い。
 関川敦子「雨の日はレモネード」は、細部に遊びが満ちた楽しい作。彼女の作品には、擬人化した動物と、人間の同居する場面がよくみられるが、今回も窓の向こうでは、レインコートを着た猫が散歩している。リードをつけて連れているのがカタツムリなので、この散歩、いったい何時間かかるかわかったものではない。カタツムリの殻の渦巻きが、パリ20区の地図になっているのが愉快。

 会友もバラエティーに富んでいる。重岡静世は、1版多色刷りによるラフな感じが魅力。
 あと、今年の最大の特徴は、道都大中島ゼミ勢がほぼ姿を消し、松浦進と川口巧海だけになってしまったこと。川口は新会友で、2点陳列となっていた(これは異例のこと)。
 そのため、ポップなシルクスクリーン作品が少なく、穏やかな木版画や銅版画が多数を占めることになった。

 また、絵画で新会友となった南雲久美子がこちらで入選していたのも目を引く。

 一般入選では、長澤満「静寂」が、地味ながらシンプルで好感。


 彫刻。

 こちらも伊藤隆弘、岡沼淳一、小野寺紀子、黒田栄一、田中隆行といったベテラン会員は非常に安定。
 以前に比べると二部黎はずいぶんおとなしくなったが、枯れた感じもいいと思う。

 神田比呂子「Rと猫」。
 女性が抱えている猫は、夫の神田一明の絵に登場してるのと同じ猫かな? 

 川上勉「Sleeping beauty II」
 題こそ「眠れる美女」だが、まるで棺の中で永遠の眠りについた少女のような面持ち。ちょっとドキッとするような美しさだ。目のところに、本物のつけまつげを付けているようで、これも迫真の理由かもしれない。
 モノトーンとは言え、おそらく着彩しているのだろう。となると、あらためて「彫刻と人形の違いは何か」という難問が浮上してくる。
 ちなみに奥さまの川上加奈「ドーナツたべた」も着彩の人物立像で、同じ問題意識を抱かせる。

 また、野村裕之「訪ね得ぬ側」、森川ヒロシ「時のかなたに」は、彫刻と風景のかかわりについて考えさせられる。

 会友では、佐々木甲二「楔」が、堂々の量塊性で、周囲を圧していた。

 
 工芸。

 前回見たときにくらべ、「あれっ?」と思わせるジャンルの作品(フィギュアなど)が見当たらないのが少し残念。
 ガラスの新関千裕「陽に向かう」は、爽やかな造形と色調で、会員推挙も納得。

 一般では、香西毅、田嶋裕子の安定が捨てがたい。


 ところで、今年は札幌市民ギャラリーが改装工事に入るため、全道展の日程がいつもより早まった上、短縮されてしまった。これは残念だ。来年はもう少し長い会期で見られるようになってほしい。


2014年6月14日(土)~22日(日)午前10時~午後6時(最終日~4:30)、会期中無休
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)

zendouten.jp

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■第69回全道展 全体の印象・絵画(6月14~22日、札幌)

2014年06月22日 01時01分01秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
 最初の感想は
「作品が以前より少ないな」
というものだった。
 札幌市民ギャラリーで開かれる団体公募展といえば、多くが2段掛けで、絵の左右を詰めてびっしりと陳列する、というイメージがあったからだ。
 ことしの全道展は、陳列点数497点。もちろん、大変な数ではあり、筆者も3時間ぐらいかかって鑑賞したが、以前にくらべると2段掛けの壁が減り、絵と絵の隙間もあったように見受けられた。
 すくなくても、「道展U21」や毎日書道展などの過密ぶりとは、様相が異なるといっていいだろう。

 ちなみに10年前と比較すると、2004年(第59回)は、549点だった。
 今年が会員149点、会友104点、一般244点。
 2004年は会員129点、会友108点、一般312点。
 今年は一般の点数が減り、会員・会友の合計を下回っている。
 さらにいえば、一般の応募点数は、今年が532点だったのに対し、第59回は869点だった。
 もっとさかのぼると、1990年(第45回)は、応募点数1123点、入選307点、陳列点数計520点。
 過密な会場は疲れるから、今回のような会場構成は、見る側はありがたい。しかし、全道展という組織の維持のことを考えると、これはてこ入れをすべき状態ではないかと思う。
 とくに、彫刻が、応募14点に対し入選12点(うち奨励賞3点)というのは、そもそものジャンルのあり方も含め、抜本的に考えた方がよい時にきているのではないだろうか。

 以前も書いたが、全道展はかつて佐藤忠良、本郷新、北岡文雄、斉藤清、川上澄生、赤穴宏、国松登といった、とても県展とは思えない作家を多く擁し、その後も、一原有徳や安田侃、神田日勝らの会員を輩出して、戦後の北海道美術で大きな役割を果たしてきた団体である。
 今年の会場、とくに会員の絵画の壁面は、80代が多い。厳密に数えたわけではないが、たぶん70代以上で過半数を占めていると思う。このままでは、さらに会場がスカスカになっていくおそれは否定できないだろう。すそ野が再び拡大していくことを望みたい。


 作品について。

 絵画。

 やはり、森弘志「せんべい」がおもしろい。
 道新の夕刊にも図版が載っていたので、見た人もいるだろうが、さまざまな種類のせんべい208枚を、おおむね大きさで、等間隔に並べて、正面から描いただけの絵である。
 驚異的な写実力もさることながら、こんなものを絵にしてみようという発想が、ぶっ飛んでいるとしか言いようがない。いつも斜め上を行く森さんの発想にはあらためて敬意を表したい。

 土屋千鶴子「晴れた日は車に乗って」。
 土屋さんが自画像を描いたのは初めてではないか。車といっても、がらくたを詰め込んだ荷車のようなものだ。正面性の強い構図と、明るい色調の同居がおもしろい。

 渡辺貞之「大きな樹の下で」。
 大木の近く、長テーブルを前に並んで横一列に坐る少年と2人の少女。人物のデッサン力の高さは定評があるが、木の枝からつり下げられたぶらんこや、テーブルの下に転がっているリュートのような楽器とか、壊れたものたちの来歴が気になる。

 会友では、小島英一「歩道橋A」が、大都市のビル群や道路、群衆を、黒と紫のみで描き、インパクトを感じた。
 新会員の西村徳清「Hejira - 逃避行 III」は、チ・カ・ホにたたずむ男を正面から描出。これは、写真では難しい、絵画ならではの表現だと思う。
 高橋将「ODYSSY 12」は、お菓子のパッケージや新聞チラシなどが細かく描かれていてこの人らしいが、今作ではほぼモノトーンの表現にしたことで、以前見られた諧謔性のかわりに重い感じが前面に出てきている(図録には「将」の字が正字になっている)。
 土井善範「童夢~希望への旅立ち」は、暗い背景に、螺旋状の建物を背負ったゾウなどが登場し、童画ふうの世界が楽しい。

 協会賞は岡野修己「眠れない宙 II」。
 新聞で見たときには、なんかひょろひょろして迫力のない絵だなあと思っていたが、実物を見るとかなり印象が違う。黒い色斑が浮遊するさまは、魂がふわふわと漂う様子にも見えるし、プロ野球で観客席から放たれる風船を思い出させもする。不思議と目の離せない絵である。

 奨励賞では、海岸で傘をさす女性と砂地に突き刺さるたくさんの傘を描いて不思議な世界を現出させる、モリケンイチ「なくした時間」が印象的。
 竹澤瑠美子「THE SUSUKINO」は、スーパーリアリズムの手法でススキを描いているが、この題だと、なんか違う場所を思い出します(笑)。
 和田道「偶想」は、黒一色だけによるパワフルな抽象表現。

 新会友は8人と多く、しかも全員が女性。
 大田玲子が「札幌市豊平区」になっていて、いつ北見から移ってきたのだろう。群青を主体にした抽象はキレがある。

 一般では、水彩画が増えているという印象を持つ。あと、50号くらいの、これまでの基準でいえばやや小さめの作品がけっこう多い。
 横山正義、西澤直樹、小林麻美、仲野美砂子、宇佐美修一などが目を引いた。


 長くなってきたので、版画、彫刻、工芸は別項


2014年6月14日(土)~22日(日)午前10時~午後6時(最終日~4:30)、会期中無休
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)

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■行動展北海道地区作家展 (2014年3月3~8日、札幌)

2014年03月19日 21時36分17秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
(文中敬称略)

 2008年から隔年で毎春に開かれている、行動展北海道地区作家展を、4年ぶりに見た。
 全国的な団体公募展の中でも、筆者がわりあい好感を持って見ている行動美術であるが、今回の第一印象は
「4年ぶりなのに、ぜんぜん変わってないなあ」
というのが正直なところであった。

 もちろん、会員たちの作品は、高い水準で安定しているということができるし、コロコロ変わればいいってもんじゃないだろう。
 ただ、会員の顔ぶれからして、4年前と比べると、岸本裕躬が亡くなって、小笠原実好が会友から昇格した以外、ほかの6人は変わらず。近藤隆志や三箇三郎といった函館の面々が参加していないところまでおんなじである。
(おなじ函館でも石原佑一は毎回出品している)
 ちょっと「変わったな」と思わせたのは、彫刻部門から斉藤康彦が「四つの長方形」「無秩序の中の秩序あるいは秩序の中の無秩序」の2点を出品していたこと。
 コンピュータを用いてランダムな形状を探るという狙いはおもしろい。
 行動美術で、道内から彫刻の作品が出ているのは、初めて見た(過去にあったかどうかも定かでない)。

 絵画は、会員7人、会友8人、一般4人。

 会員はすべて全道展会員でもある。
 「卵型都市」という、空中に都市が浮かぶ空想的な世界を描いてきた斎藤矢寸子「卵型都市-奏でる」が、モティーフの卵型都市が砂漠に不時着したような情景を描いていたのが目新しいと思った。

 また4年前との比較になるが、会友についても、小笠原が会員推挙となり、佐藤静子が一般から会友になり、手塚昌広が新たに登場し、近藤みどりの作品が見られないという四つの事情をのぞけば、あとは、伊藤幸子、菊地章子、北村葉子、佐々木治、星エイ子、松木眞智子の6人は同じである。
 星は、人物などを描いてきたが「愛しい仲間達」は、青と白の飛沫が全面を覆い、モティーフの形状を失っている。
 ベテラン佐々木も、人物を描くことをやめ、静物に移行した。形状は写実に近いが、色彩は明るく、人物画の時代と変わらぬ特徴がある。

 一般では、全道展でも力作を出している和泉よう子「刻の記憶」の2点が、表面にさびた鉄板などを貼り付けるなどして、迫力たっぷりの画面を作っている。下半分の構図しだいでは、より緊張感ある画面になったと思う。
 梅津美香「あれからのこと」は、一見、闇の中の花束のように見えるが、実際には魚や触手、羽根などが織りなす、複雑かつふしぎな物体である。

 出品作は次の通り。
 絵画・会員
石原佑一  ポートレート14-1 (S100)
小笠原実好 残像 (P150)
神田一明  彼女の休日 (F150)
斎藤矢寸子 卵型都市-奏でる (F150)
高橋三加子 刻 - 2013 (F130)
富田知子  箱を持つ女 I (S100)、箱を持つ女II (F50)
矢元政行  樹 A(40×180センチ)、樹 B(46×106センチ)

 絵画・会友
伊藤幸子  夢幻(P150)
菊地章子  メモリーI(F130)、メモリーII(F130)
北村葉子  氷流塊(F150)、ヨミガエル土偶(F120)
佐々木治  静物(青い蝶)(F100)、静物(冬)(F60)
佐藤静子  パンタ・レイ(F130)
手塚昌広  borm.(F130)=同題2点
星エイ子  思考する天使(F150)、愛しい仲間達(F130)

 絵画・一般
和泉よう子 刻の記憶I(F130)、刻の記憶II(F130)
梅津美香  出せなかった答え(F120)、あれからのこと(F120)
中江孝子  射程北緯43度(S100)
松本富治  Sの記憶 I(F120)、Sの記憶 II(F130)

 彫刻・一般
斉藤康彦  四つの長方形(16×64×54センチ) 、無秩序の中の秩序あるいは秩序の中の無秩序(16×22×15センチ)

 
2014年3月3日(月)~8日(土)午前10時~午後6時
札幌時計台ギャラリー(札幌市中央区北1西3)A、B、C室

行動展北海道地区作家展 (2010)
行動展北海道地区作家展 (2008)

□行動美術協会 http://www.kodo-bijutsu.jp/
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■モダンアート協会北海道支部展 (2013年11月20~24日、札幌)

2013年12月07日 01時01分01秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
 
 団体公募展は、たくさんあるので時々わからなくなるけれど「モダンアート協会」は1950年、自由美術協会(当時は自由美術家協会)の創立会員だった山口薫や村井正誠らが旗揚げした。
 筆者は毎春の展覧会を見たことがないので確たることは言えないのだが、抽象的な作品が多いと聞いている。絵画部が最大勢力だが、彫刻、版画、写真、スペースアートの計5部門を有する。
 1958年に砂澤ビッキと小松清がそろって新人賞を受けて62年に会員となるなど、北海道とは縁のある団体公募展であったが、近年は、版画部の中谷有逸さん(帯広)がほぼ孤塁を守っている状態に近かった。10年代に入り、鈴木悠高さんら出品者が増えて、久しぶりに支部展が復活した。

 今回の道支部展は、道内の会員・准会員・会友・一般出品者はもちろんだが、道外からも多数参加しているのが特徴。とても新鮮な作品を拝見できた。会場も札幌市民ギャラリーのA、B両室なので、広々としている。
 



 濱中正博さん(北広島)は、青を基調とした抽象画の大作を4点も出品している。
 機械の設計図のようにも古代の文様のようにも見える、不思議な世界が繰り広げられている。
 メモには「作品113」「作品12-2」「作品1-2」「作品1-1」とある。

 この南側(部屋に入ってすぐ右手側)には、石川忠一さん(神奈川)の、クリアな色彩の油彩が3点。



 これは「Playing DUD(あやとり)」。
 モダンアート展は、抽象画が多いといっても、60~70年代に隆盛した熱い抽象ではなく、明快でスマートな図柄が多いという印象があるが、まさにそのような作品。




 山田展也さん(群馬)は「風の景(月光)」「風の景(あの日)」を出品。
 山田さんは北海道出身のはず。阿部典英さんら道内ゆかりの作家が札幌と銀座で交互に発表する「WAVE NOW」展にも出品していた。
 筆者はコンクリート塊を想起してしまったが、未来都市のようなすっきりした光景だと思う。




 おなじく群馬県で、版画の会員小松原洋生さんは「―宙― '12/01a」「―宙― '12/02」「―宙― '13/02」の3点を出品。

 小松原さんは会場にいらしていたので、少し話をしたが、近年のモダンアート協会では、部門ごとの「越境」が時々あるらしい。絵画の人がスペースアート部門に移ったりといったことが、水平移動(会員から会員へ)が可能になっているらしい。
 そりゃ、一般出品からやり直しだと、大変ですよね。

 それにしても「スペースアート」って、モダンアート協会独特の区分けだよな。
 インスタレーションだけではなく、工芸みたいのも入っている。
 道展では工芸会員の漆作家・渡辺和弘さん(札幌)も、スペースアート准会員。「月黎」「無月習華」「翠黎」など。シャープな抽象の図柄は、たしかにモダンアート向きだと思わせる。
(写真を撮ってくれば良かった。忘れてました、すみません…)




 竹藪多代子さん(札幌)はスペースアートの一般出品。
 紙の緩衝材を利用した大作を5点(標・I 標・II 軌跡・I 軌跡・II 原始・I)も出品しており、圧巻。曲線ばかりで構成された画面がエネルギーを感じさせる。




 以前、十勝に住み、いまは大阪に戻った風間虹樹さん(絵画准会員)。
 「いのち、いのち、いのち…(地球曼荼羅)」「いのち、いのち、いのち…(銀河曼荼羅)」の2点。
 画面上を走り回る白く細い線が、高速の粒子のように見える。




 以前は一貫して黄色の濃淡で画面をつくってきた鈴木悠高さん(会友、札幌)は「きいろ01」のほか、緑色を基調とした「みどり01」「みどり02」を発表。

 このほか、旭川の尾澤和子さん、神奈川の小澤はるみさん(准会員)、宮城の大塚恵子さん(版画会員)、東京の柴田美智子さん(版画准会員)、札幌の森谷洋さん(同)、札幌の甲斐野弘幸さん(絵画会友)も出品していました。
 この中では、甲斐野さんが「tera」[dance」「空気のオペラ」「sora」(同題2点)と、気を吐いていました。。



2013年11月20日(水)~24日(日)午前10時~午後6時(最終日~午後5時)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)

□モダンアート協会 http://modernart-kyokai.com/

関連記事へのリンク
抽象三人展-石川潤、風間虹樹、鈴木悠高 (2009年)
Constellation of Modern (2004年)=画像なし
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■第46回道美展

2013年09月16日 13時13分32秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
(文中敬称略)

 北海道美術作家協会主催の「道美展」を5年ぶりに見た。
 絵画、工芸、写真の三つの部門からなる団体公募展で、会員、会友、一般の3段階があるところは、先発の道展、全道展、新道展と同様である。
 ただし、最高賞が「北海道知事賞」であるなど、賞の構成は、先発の3大公募展とは異なる。
 最大の違いは、会員、会友への昇格が、他の団体公募展に比べてはるかに緩いことで、この数年、会員への昇格は毎年15人前後に上っている(ことしは12人)。なにか賞を得たら、ただちに会友に推挙され、翌年、つまり2度目の出品で会員になる場合も少なくない。
 これだけ会員が増えていったら、展覧会場は会員の作品に埋め尽くされそうだが、壁面は余裕がある。1人で複数を出品している人も多い。
 おそらく相当数が毎年退会しているものと推察されるが、図録の略年譜には歴代の受賞者や会員昇格者の名前は載っていても、退会者の記載はないので、くわしい事情はわからない。

 このうち最も活気があるのは写真部だろう。
 かつて北海道を代表する社会派リアリズムの写真家である掛川源一郎が所属していた。
 掛川のようなモノクロ写真はごく少数になり、大部分はデジタルのカラーである。
 彼の影響もあってか、胆振地方の会員・出品者が多かったが、今年を見る限り、旭川と北見勢の健闘が目立つ。

 佐々木昇(登別)「春に向かって(ハルニムカッテ)」。残雪に覆われた羊蹄山を遠くに望む洞爺湖畔の斜面を、遠足だろうか、幼児たちが手をつないで歩いていく。うららかな春先の一日。
 定居孝行(札幌)「路地裏絶景」。宵闇に浮かぶ東京スカイツリーと、手前の低層住宅街との対比が見事。スカイツリーが根元近くまで見えているのがすごい。
 広田広一(岩見沢)「雲」。タウシュベツとおぼしき石のアーチが遠くに見え、面白い形状の雲が空と湖面に展開している。ドラマチックな作品。

 渡辺晃(岩見沢)「旭岳の鶴」。春、残雪が山肌につくる模様をとらえた。モノクロ。
 土橋平哉(旭川)「夜桜」。メーンの被写体は夜桜だが、女性がしゃがんでコンパクトカメラの液晶画面を見ているのがほほえましい。
 中嶋勝年(釧路管内標茶町)「華原」。魚眼レンズでとらえた湖面に、氷の花がいっぱいに広がっている光景。
 二本柳隆通(札幌)「夕鐘響く港街」。夕暮れの美しい時間帯の街並みや港湾施設。国内であることは間違いないが。いったいどこだろう。
 本橋照(北見)「暑い日」。北見の夕陽ケ丘通りの9号線附近だろう、噴水の近くで遊ぶ2人の子ども。


 工芸部は、以前はいろいろな種類の作品があったのだが、今年見たら、9割ほどが陶芸によって占められていた。
 陶芸協会展や道展でも主流を占める大きな壺が多いが、カップや食器のセットを出している人もおり、団体公募展でそんなのを見せられるのかと思ってしまう。
 道知事賞の小山七郎「籠目文様透かし傘たて」は、文字通り透かし彫りのような技法を一部に用い、これを割らずに焼成すること自体、たいへんなことだと思う。
 陣野原有利子(札幌)「銀河」は、油滴文のあいだに、漆芸で用いる貝裏を埋め込んだ意欲作。暗い陶の肌に吸い込まれていきそうだ。
 このほか、魚住劭(札幌)、魚住慈子(同)、庄司博俊(北広島)、板東成光(空知管内長沼町)、三橋エリ(札幌)らの会員諸氏が安定している。
 陶芸以外では、関谷洋子(伊達)の藍染「彩陽」にひかれた。


 絵画部は、先細りの傾向が顕著になってきた。
 今回の出品者は、会員31人、会友8人、一般11人。
 11人のうち3人が賞を受けたので、一般入選者は8人しかいない。このうち、100号クラスを出品した人は皆無。80号は数点あるが、大半は30号である。
 札幌時計台ギャラリーの3階や、札幌市資料館でよく開かれている「ナントカ絵画教室展」とおなじような水準の作品が並んでいるのだ。

 まあ、その傾向自体は、以前から変わっていないといえば変わっていない。ただ、5年前、10年前は、水準は同じでもそれを80号、100号にひきのばした大作が多かった。また、仁部重夫、大越啓一、原賢司といった個性的な作者も少数ながらいた。
 しかし、今年を見る限り、個性派は完全に姿を消し、少数の一般入選者はほとんど30号をそのまま出品している。それどころか、会友や会員も30号や50号の人が多い。大きければいいというものではないのは確かだが、30号が並ぶのではなんのために大きな会場を借りて公募をしているのかわからないのもまた確かである。
 図録には、あいさつ文や寄稿がまったくないので、そもそもこの団体がなにを目指しているのかが判然としない。傍目には、存在価値が問われている局面にさしかかっているのではないかと思われた。


2013年9月10日(火)~16日(月)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)



第39回道美展
第35回道美展
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■第58回新道展 (2013年8月28日~9月8日、札幌)

2013年09月08日 01時01分01秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
(文中敬称略)

 道展、全道展についで1955年に発足した新道展(新北海道美術協会主催)の展覧会。
(ここらへんの団体公募展の話がよくわからんという人はこちらの記事「「全道展」と「道展」ってどう違うの?」をどうぞ)

 筆者は、団体公募展じたいを見るのが久しぶりだったせいか、2階の下り用階段のところまできてはじめて、藤野千鶴子や鈴木秀明、今荘義男の絵を見ていないことに気がついた(会場の札幌市民ギャラリーは2階建てである)。

 1階に戻り、部屋ひとつをまるごと飛ばしていたことに気づいた。
 ことしは、正面の、最も大きな1室に、新進作家を比較的たくさん集めているので、筆者が見落としていた部屋に、脂の乗った会員たちの力作が集まっていた。先に挙げた名前でいうと、今荘の絵は手前にあったが、藤野や鈴木、それに、櫻井マチ子、工藤悦子なども並んでいて、この部屋を見ないで帰ってしまっては、新道展を見に来たことにならないだろうし、ここらへんをじっくり見ておけば入場料の元は取れる。
 とはいえ、この部屋に並ぶ作家のうち、10年前に比べて確実に進歩し変化しているのって、鈴木薫ぐらいだろうなあとも思う。もちろん、ベテランの諸氏が、そうそう劇的な変化を見せるはずもないし、それを望んでいるわけでもない。ただ、この、絵画のベテラン会員の安定ぶりと、なかなか新しい出品者層が育たず、多くは定着しないという構造が、しばらく変わっていないのも、いまという時代の反映なのかなと、ぼんやりと感じるのだった。

 なんでこんなことを感じたかというと、新道展の展示点数はことし299点(ほか遺作が2点)で、昨年の311点に次ぐ史上2位だったからだ。
 この倍ぐらいの点数を、2段がけで展示する道展や全道展に比べれば、2段がけもなく、まだ見やすいといえばいえるのだが、見終わった後に疲労を覚えたのも事実。そして、そのうちの半数ほどを占める入選作品の過半数が、穏当な風景画や静物画などの油彩であったことへの違和感が、心の底にたまっていた。
 急いで付け加えれば、風景画や静物画がダメだと言っているのでは、むろんない。それどころか、新道展の魅力のひとつは、香取正人、中矢勝善、中村哲泰、山口大、西澤宏生といったベテランの手堅くも独創的な風景画にあるといっていい。
 しかし、言うまでもなく新道展は、今回の図録で香取事務局長が書いていたような「アンデパンダン的」なものであって、既成の団体公募展の枠組みではすくいきれないような新しい傾向を歓迎していたはずなのだ。

 ひるがえって、新道展の会場を見てみると、インスタレーション部門を支えてきた林教司や堀部江一、阿地信美智らはすでに退会し、水彩部門の新傾向を牽引してきた古田瑩子もおらず(水彩では勘野悦子や大田真紀らががんばっているが、気がつけば水彩の会場は、写実的な絵が過半を占めるようになっている)、油彩などの絵画でも、モノクロのコラージュ的な絵画で見るものを驚かせた西尾栄司が早世し、松久充生は退会、また会員にはとどまっているようだが、今回は、おそるべき細密描写で現代を諷刺する高橋孝や、精神の深みを描く西田靖郎、さらに、すとうえみや甲斐野弘幸らの出品もない。

 もちろん、団体公募展なんてものは、年にひとりかふたりの新しい才能を発掘しさえすれば、存在価値があるという考え方も可能だ。
 そして、今年の協会賞(最高賞)を得た赤石操や、佳作賞の宇流奈未には、その新しさがあるだろう(どうでもいい話だが、赤石さんはどうして全道展じゃなかったのかな)。こういう作品にすかさず注目する新道展の審査側も、まだ捨てたもんじゃない。
 しかし、そういうわずかな例外はあるにせよ、パリの元祖アンデパンダンが、新しい傾向を認めない権威やお偉方に対して、どんな作風でもオッケーなんだぜと立ち上がったといういきさつを思えば、上の側が新しい作風を求めても、肝心の出品者側が保守的な絵画ばかりを出してくる新道展の現状は、まるっきり反対になっているといわざるを得まい。

 仲間内でやるグループ展に多少大きいものを出品しても、いまの札幌では、ほとんど話題にならず、メディアにも取り上げられないまま終わってしまう可能性は高い。
(それをおまえが人ごとのように言うなといわれれば、それまでですけど)
 だったら、若い人で「こんなの作っちゃったけど、多くの人に見てほしい!」って思ったら、むしろ新道展に出しちゃったほうがいいんじゃないかな。 


2013年8月28日(水)~9月8日(日)午前10時~午後5時30分(最終日~4時)、月曜休み
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)


 
第54回新道展 ■続き

第53回 ■続き
07年
06年
50周年記念展 ■50周年記念展・つづき(05年)

03年
02年
01年
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■第50回記念オホーツク美術展 (2012年9月8~23日、北見)

2012年10月10日 20時12分44秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
承前

 前項が半世紀の歴史で終わってしまったので、展覧会の内容について。

 地方の団体公募展はほかもそうだと思うが、オホーツク美術展も絵画作品が多い。
 招待2、会員41、会友15、一般47点と、展示作の過半数を占める。
 ただ、オホーツク美術展の大きな特色として、工芸も一大勢力をなしていることが挙げられる。
 会員12、会友4、一般12点が出品されている。
 染織などもあるが、大半は陶芸。安藤瑛一さんの門下が多い(全員ではないが)。
 審査も、絵画などと工芸とで、別に行っているという。
 ほかには、彫刻が会員、一般各1点である。

 絵画の会員でもインスタレーションを出品している人もいる。
 特徴としては、オーソドックスな風景画が目立つこと。
 北見の中心部に住んでいても、車で10分も走れば、雄大な田園風景が広がっているのだから、無理もないことだ。
 その一方で、抽象画や、実験的な絵画もあり、バラエティーに富んでいるといえる。

 陶芸は壺がほとんどで、道展などの会場と似ている。これは、道展会員や出品者が多いことを思えば、当然であろう。
 もちろん、特定の作風に偏っていることはない。


 昨年に比べて、作品が増えた以上に壁面が埋まっている印象を受けたのは、巨大な絵画が何点か陳列されているためかもしれない。
 上の画像、会員・小林雪雄の「麦秋」はF100×2。
 創立会員・堰代大幹の「黄昏れる都心」は、なんとS300号だ。おそらく東京の巨大なビル群がモティーフだが、手前の川もしくは海と、紺色の空以外は、明かりをともしたビルが画面を埋め尽くしていて、息苦しいほどだ。
 ほかの風景画は、緑豊かなオホーツク地方が題材のものが多いので、いっそう異彩を放っている。

 

 
 手前左の壺が、ことしの協会賞を得た坪井洋子「さざ波」。抽象彫刻のような自由な造形。

 背後の壁面右側に並んでいるのは、会友・橋本高士の2点。
 右側の「紅葉を奏でる」は、黄色の葉が地面にびっしりと散り敷いた広い公園で、トランペットや太鼓を演奏しながら歩く4人を描いた明るい絵だが、演奏者の手の指が6本あると、筆者の娘が驚いていた。

 その左側は、会友賞を受けた横山恭子「孫との語らい」。
 北海道新聞を広げながら読む老父と若い男性の姿は、新聞の広告に用いたくなるほどほのぼのとした好ましい雰囲気。手前の食卓には、瓶ビールや日本酒、料理、マヨネーズなどがところ狭しと置かれている。背後のソファの上には、赤ちゃんの写真立てが据え付けられている。細かな部分にも配慮を怠らないこの作者らしい作。

 左端は、写真が切れてしまったが、会友・中村二二二「モヨロコタンの詩『モヨロ人ギリヤークシャーマン』」。かなり粗いタッチで人物を描いているが、構図などはしっかりできている。
 



 創立会員・勝谷明男「雪道の日ざし」(F100)
 これまでも何度か書いているが、雪景色を描かせたら勝谷さんの右に出る人はいない。
 厳冬期の雪、早春の雪、日なたと陰、それらをたくみに描き分けられるのは、勝谷さんならではだ。
 新興住宅街なのにちゃんと絵になっているのもすごい。  




 こちらも創立会員で、置戸コンテンポラリーアートでも元気なところを見せていた、田丸忠「巣&板」(手前)と、林弘堯「淡立つふるえの中で」。
 林さんがタブローの枠内におさまる作品を出したのは久しぶりではないだろうか。
 奥の壁に見えているのは、50周年記念大賞に輝いた太田玲子「静波の記憶」。
 風景を独自のやりかたで処理しつつ、安定した構図をつくりあげている。


2012年9月8日(土)~23日(日)
北網圏北見文化センター(北見市公園町)

網走移動展
9月25日(火)~30日(日)9am~5pm
網走市立美術館(南6西1)


□オホーツク美術協会 http://space.geocities.yahoo.co.jp/gl/mhrwh865

北見・現代写実の眼 展(2012年6月12~17日、北見)
第49回オホーツク美術展
道展 オホーツクの作家展 ■つづき
第34回春季オホーツク美術展(2011年)
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オホーツク美術協会の50年

2012年10月09日 22時01分26秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
 北海道の美術界の特徴として、全道(全県)的な団体公募展が複数あることのほか、北海道があまりに広すぎるので、各地域にもそれぞれ団体公募展が存在することが挙げられる。
 ただし、札幌にはない。

 函館など道南には、赤光しゃっこう社と道南美術協会。
 旭川など道北には、純正展と新ロマン派。
 釧路には釧美せんび展。
 帯広など十勝には平原社。
 そして、北見などオホーツク地方には、オホーツク美術協会があり、今年で第50回展を迎えた。

 「北海道の団体公募展」というと、なんだかすごく田舎くさいものだと受け取られるかもしれないが、実は、道展や全道展、新道展よりも入賞・会員推挙が難しい全国の団体公募展はそれほど多くない。人によっては、全国、全道、各地方と三つも団体公募展に所属する煩雑さを嫌って、全国と各地方、全道と各地方の二つだけに出品している人もけっこういる。
 地方の団体公募展だからといって、なかなか侮れないのである。

 オホーツク美術協会は「全北見美術協会(仮称)」として、1962年に第1回展を開いた。
 創立会員は、次の通り。

鷲見憲治、村瀬真治、山根博、景川弘道、谷口百馬、佐藤信勝、村瀬登貴子、久保義春、大江啓二、高橋俊雄、金田明夫、山崎祐春、岡崎公輔、亀浦忠夫、勝谷明男、佐藤秀雄、松元光雄、佐藤順四郎、永地恒夫、藤田周平、木村晴一、菅原隆治、香川軍男、横森政明、石川俊一、田中盛夫、古賀武治、堰代大幹、中沢巽、田丸忠、松田陽一郎、林弘堯、柏木定信、納直次、柴田省三、樋口昭弘、畠山嘉康、加藤仁一、藤沢晃


 こうして書き写していても、半分くらいは存じ上げないのだが…。

 すごいと思うのは、今も会員として活躍しているメンバーがけっこういるということだ。
 岡崎、勝谷、木村、田丸、林、堰代の5氏である。
 さらに、鷲見憲治さんと横森政明さんは、すでに会員を退いているが、50回展には「招待」として絵画を出品している。

 少し追記しておくと、村瀬真治は紋別出身で、流氷の画家として知られた人。
 谷口百馬は彫刻家で、管内にも野外彫刻がいくつかある。
 大江啓二は温根湯温泉の老舗「大江本家」の経営者ながら絵筆を執り、全道展でも入選した。
 金田明夫さんは、会は退いたがご存命で、北海道新聞オホーツク版に時折エッセーを書いている。
 亀浦忠夫さんは、美術文化協会の会員。
 香川軍男は、イモ版画で名高い。川上澄生にも絶讃された。
 松田陽一郎、納直次の両氏は、手堅い水彩画家である。
 田中盛夫は、にぎやかな景色を描いた道展会員だった。
 景川弘道はアトリエをポンピリカ美術館と称し、鷲見さんや香川さんとともにオホーツク美術の黎明期を担った人だった。

 その後の動きを、年表から拾う。

 第2回には神田比呂子さん(彫刻家、全道展会員)、第3回には神田一明さん(画家、全道展会員)が会員になっている。転勤でこの地方に移ってきて、いきなり会員に遇されたのだろう。
 いまは札幌在住の銅版画家、福岡幸一さんが第4回(1965年)で入賞、第8回(70年)で協会賞を受けて、同年会友となっている。この頃は、フォービスム的な油彩を制作していたはずだ。

 第15、16回には、小林さと枝さんが入賞し、16回で会友。のちに北見から札幌に転居している。

 ここまで挙げた4人は、いずれも現在はオホーツク美術協会には所属していない。
 さらにかつての会員には、安藤康弘(銅版画)、重富民子(陶芸)といった名も見える。

 忘れがたいのは、「しばれ焼き」で知られる陶芸家で、昨年亡くなった安藤瑛一さんが第18回(80年)に協会賞を得ていること。
 翌81年に北見教育長賞を得て会友、早くも82年には第20回記念大賞を受けて、会員に推挙されている。
 このとき、大賞に次ぐ道新賞を得たのが管恵子さんで、風刺画的な人物画を描き、道展にも出品を続けている。全北見では27回に会員に。
 また、春陽会と道展の会員で、縛られた人体を宗教的な境地から描く美幌の安田完さんが、やはり18回に支庁長賞、19回に道新賞を得て、19回で会友、20回で会員となっている。

 主体美術会員で美幌の渡辺良一さんは27、28回と2年連続の協会賞で、29回で会員。
 また、安藤門下の古山容子、毛利萬里子、柳原光代の各氏も、36回から39回にかけて会員となっており、いまや陶芸は、絵画とならぶオホーツク美術展の柱に成長している。

 なお、85年の第23回展から、北網圏ほくもうけん北見文化センター美術館が完成して会場を移し、現在に至っている。
 97年の第35回を機に団体名をオホーツク美術協会に改めている(決定は第34回展の総会でのことらしい)。



 第35回展のころ、会員と会友あわせて103人を数えたが、現在は71人。
 一般出品者も227点あったが、今年は148点にとどまった(これでも前年より20点増えている)。

 若い層の出品が少ない悩みは、おそらく他の団体公募展も同様であると思う。
 ただ、オホーツク美術協会の場合、若い作家が団体公募展離れをしているというよりは、そもそも美術の制作に取り組んでいる若い人がごく少ないという事情がある。出品を呼びかけようにも、呼びかける対象がいないのだ。

 オホーツク管内には三つの大学があるが、美術系はおろか、いまは文系の学部が存在しない(かつては道都大が美術学部を擁していた)。忙しい理系の大学生がアートに触れ、制作に取り組むことは、あまり期待できまい。
 少子化にともない、美術教師を配している学校も、どんどん減っている。
 さらに、カルチャースクール(道新文化センターなど)でも、絵画などの教室は少ない。水墨画の教室などはそこそこにぎわっているようだが…。
 網走にはちゃんとした美術館があるが、北見の北網圏北見文化センター美術館は専任の学芸員がいない。

 暗い話ばかりになってしまったが、こういう環境でなお148点が陳列される美術展があるということ自体、すごいことなのかもしれない。
 どんな地方にも、創作に打ち込んでいる人がいるのだ。

この項続く)  
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