北海道美術ネット別館

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■第46回美工展 (2019年4月17~21日、札幌)

2019年04月23日 12時04分53秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
(カメラ不調のため、スマートフォンで撮影しています。いつにも増して写真の出来が悪いですが、なにとぞご容赦ください。また、アップが会期中に間に合わず、すみません)

 北海道美術工芸協会が主催する「美工展」は、年1度開かれ、工芸部門だけの団体公募展としては道内唯一です。
 道展、全道展、道美展には工芸部門がありますが、もちろん絵画など他の部門もあります。
 美工展は、組紐や和紙絵といった、他の団体公募展ではあまり見られない種類の工芸もあるのが特徴です。

 たとえば、ペーパークラフトも、美工展ならではの種類だと思います。

 画像の手前は、昨年の協会賞に輝いた佐藤隆之さん(札幌)の「コーチン」。
 ニワトリの一種です。あいかわらず精緻なつくりですが、それに加えて、佐藤さんの作品としてはこれまでになく量感をたたえているのが特徴だと思います。
 ことばを変えれば、ずっしりとしているのです。

 奥の額装の作品は、新人賞を受賞した最上怜香さん(札幌)「水奏」。

 最上さんは札幌の劇団の舞台に立つかたわら、カッターナイフを使わずはさみで切り絵を作っています。
 金魚の泳ぐなまめかしい様子を表現しています。


 ここで、例年のように種別の出品数を紹介します。
組紐 8
織  8
染色 5
ペーパークラフト 5
陶芸 4
木工 4
ガラス 4(3人)
和紙絵 3
押花 2
刺繍 2
皮革 2
金工 1
籐  1
人形 1
ボビンレース 1
木彫 1
その他 10(6人)

 織が昨年に続き2年連続の首位。
 組紐が同率で、初の首位になりました。

 ちなみに、第42回では、染色12、木工9、押花7がトップスリーで、ジャンルごとの消長はけっこう激しいようです。
 七宝など、出品が途絶えてしまった分野もあります。

 目を引くのが「その他」。
 美工展が想定していなかったような作品が登場しているということです。これは悪いことではないでしょう。



 たとえば、この永井郁美さんの大作「楽園」。
 カモが花々の間を泳いでいる絵柄で、じゅうたんのようにも見えますが、これは「ダネラ」と呼ばれるデンマークの刺繍ししゅうなのだそうです。
 昭和というか、少し古い時代の感覚が、かえって新鮮です。

 また、和紙絵と似ていますが、着彩した布片を配して風景画にしている作品もありました。

 今年は、最高賞である「協会賞」の該当は、ありませんでした。
 これは、美工展の歴史では、よくあることです。

 ただし会員推挙もゼロというのは、珍しいと思います。

 会友推挙は4人。
 押花の進藤ノヱさん(札幌)、織の池田葉子さん(同)と大野詩朋さん(同)、籐の生田笑子さん(同)です。

 先の画像の、池田さんの「往還」は、空き缶のリングプルや、ナット、ねじなどを織り込んである異色の作品です。
 ぱっと見では、それらはさほど目立たないのですが…。

 また、新人賞については先に触れましたが、もうひとり、織の杉本光子さん(同)が「育む大地」で新人賞を得ています。
 佳作賞は大野詩朋さんの「鼓動」。
 血のように鮮烈な赤が印象に残る大作です。

 また、会友の中から選ばれる奨励賞には、高橋良平さん(同)の皮革「渇き」が選ばれました。
 旱魃でひび割れた大地を思わせる、力強くてシンプルな作品です。


 そのほか、個人的には、扇形をいくつも連ねた、佐藤美智子さん(同)の大作「藍の舞」や、茶系のほか赤をまじえて複雑な景色を表現した山谷智子さん(同)の「還 -replay-」、気品ある端正な木の箱を作った笠原幸義さん(函館)の「小箱(楓縮杢)」などが目に入りました。

 最後の画像は、ベテランの木工作家、羽賀隆さん(江別)「KAGUYA」。
 かぐや姫が竹取物語で竹の中から生まれる情景なのでしょうか。
 内側から光で充たされる情景は、もともと多くの作家や画家に描かれてきていますが、中にあかりが仕込んでいることもあって、どこか宗教的な崇高さを感じさせます。気品の高い一品です。


2019年4月17日(水)~21日(日)午前10時~午後6時(最終日~4時)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)

□美工展 https://sites.google.com/view/hokkaidoubikouten

□最上怜香 http://mogami.top/

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=佐藤隆之さん出品
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■第38回 道彩会会員会友展 (2019年2月19~24日、札幌)

2019年02月22日 17時34分06秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
 
 北海道水彩画会(道彩会)は、毎年秋に公募展の「道彩展」を札幌市民ギャラリーで、2月には会員・会友展をギャラリー大通美術館で(以前は札幌時計台ギャラリーで)、それぞれ開いている。
 会場に創立会員の小堀清純さん(札幌)がおられたので、写真撮影の許諾を得ることができた。ずっと前から見てきたが、ブログに画像を貼るのは今回が初めて。それがうれしい。

 道彩会は、写実的な水彩画が少なく、フォーブ的な作品が多い団体だが、近年は画風が多様化しつつある。
 フォーブ系のうちかつて多かった人物画が減っているのが今回の全体的な印象だ。
 出品は会員65人のうち53人、会友19人のうち15人で、計68人。

 冒頭画像は、左側が小堀さん「廃虚のサイロ」(40号)。
 額のガラスが反射しこの画像では分かりづらいが、背景の灰色が平坦に塗られていて、それがかえって凄絶な感覚を伝えている。

 右は寺西冴子さん(札幌)の「野のうた」(40号)。
 ビリジヤン系の地に、小さな花が白や黄色にちりばめられている。抽象画のようにも見える。名もない花と緑がささやかなハーモニーを奏でているようだ。



 人物画は減ったが、強い筆勢の静物画は多く、道彩会の柱のひとつとなっている感がある。

 左は門崎幸子さん(札幌)「白椿」(20号)。
 テーブルと壁紙が全く同じ赤で塗られており、両者を分かつのは太い線だけという大胆な構図に、マティスを思い出した。赤、青、白の三つの色の面積配分が絶妙。



 風景画もある。
 左は嶋倉駿子さん(札幌)「天舞う」(40号)。
 海の上の夕。雲と光が織りなすドラマを、緑やオーカーなどまで色彩を総動員しながらダイナミックに描いている。

 右は河井恵子さん(江別)「降雪」(40号)。
 いかにもこの季節にふさわしい作品。
 題の通りの作品。右端に目をやると、林の中に建物が隠れており、ともすると単調になりそうな画面に変化を与えている。


 このほか、菅原留美子さん(札幌)「赤いひと」(20号)は、陰影のない顔の表面が、
版画のような味わい。
 黄倉和子さん(江別)「二月の窓」は、窓ごしに見える家々など冬景色を幻想的に描く。
 中田やよひさん(札幌)「好日」は、最小限の要素で、花とそれをとりまく空間に迫っている。

 

2019年2月19日(火)~24日(日)午前10時~午後6時(最終日~4時)
ギャラリー大通美術館(札幌市中央区大通西5 大五ビル)

□道彩展 北海道水彩画会 http://www.ne.jp/asahi/so-bi/net/dousai/


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=以上、画像なし


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■ 第38回道彩展 (2018年9月19~24日、札幌)

2018年09月26日 12時25分46秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
 北海道水彩画会が主催する団体公募展。
 会員56点、会友17点、一般57点の計130点が展示された。搬入数は計207点。

 日本水彩画会や水彩連盟とはいささか画風の傾向が違い、表現主義的というか、激しいストロークや大まかなタッチの人物画や静物画が多かったが、近年は写実的な絵も増えてきて、以前よりも多彩になってきている。
 とはいえ、通りいっぺんの写実的な風景画は、入選はしても、入賞とまではいかないようなので、そういう絵を描きたい人は、他の団体を狙ったほうがよいのではないかと思う(というか、そんなことは会場を見ればすぐにわかるはずなのだが…)。道内で、この団体に加入していない水彩画家の方が多いのは、言うまでもない。

 リアル路線の最右翼といえば大橋頼子(札幌)「もみぢ」(なぜ歴史的かな遣いなのだろう)。
 だいだい色のカエデと緑の竹林の対比が、補色の効果で鮮烈だ。大橋さんは背景などは大胆に省略することも多く、いわゆる「写真みたいな洋画」とは一線を画する。

 会員推挙となった阿部勝美(札幌)「木造廃船」も、題材は珍しくないが、描写力にすぐれる。特に遠くから見ると、古い木片が貼ってあるのではないかと思うほどだ。
 廃船に焦点をしっかり当て、よけいなものを省いた構図も力強い。

 一方で、写実的な一般公募作品で、個人的に良かったと思うものも何点かあった。
 雪をかぶったクマザサを題材にした林正行(同)「冬を装う」、水面に浮かぶハスの群落をモティーフにした大久保純子(同)「水面みなも」などだ。
 後者は、右側を大きくあけた構図もうまい。
 前谷米子(日高管内新ひだか町)「生命(はかないもの)」も目を引いた。線描で、ユリなどの花が画面をびっしりと覆っている。色をたくさん用いた作が並ぶなかで、白と藍色系のみに絞って効果をあげている。

 最高賞の道彩展賞は、宮武輝久(江別)「イルミネーション02」。
 写実的に電飾を描くのでも、抽象やフォーブでもなく、闇の中に浮かぶ人込みや明かりを描いていて、「現代の印象派」とでもいえば良いだろうか。たしかに、遠い記憶の中の風景とはこんな感じだなあ。

 あとは、気になった作品を順不同で。

 佐藤展子(空知管内長沼町)「今日の食卓」
 青い瓶、ワイングラス、魚を載せた皿とフォーク・ナイフ、パン、果物などがテーブルに置かれているが、一般的な静物画と異なるのは、視点が真横ではなく、俯瞰気味であること。
 テーブルクロスなど背景が、薄く青みがかった灰色で、まるでガラス絵のように見えるのが魅力的。

 中田やよひ(札幌)「sur la table」
 一般的に、縦構図の静物画は珍しい。
 灰色が全体を覆い、空間の感覚というか、空気感のようなものを描こうという画家の静かな気魄が伝わってくる。

 今村紀子(那覇)「遠くに春が」
 全く沖縄っぽくない、灰色が基調の風景画。紙をもんだり、しわをつけたりして、画面に変化をつけようとしている。

 中島恭代(江別)「にわ→さんさく」
 抽象。青紫の地の上に、緑や白、ピンクの色斑が明滅し、単純に美しい。うっとりしてしまう。

 小堀清純(札幌)、武田輝雄(同)の両氏はベテランらしく例年と同様の風景画なのだが、2人ともわずかに左に傾いているように見えるのは筆者だけだろうか。

 


2018年9月19日(水)~24日(月)午前10時~午後6時(入場5時半まで、最終日入場4時まで)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)

入場500円


□北海道水彩画会 http://www.ne.jp/asahi/so-bi/net/dousai/


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=以上、画像なし
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■第63回新道展 その3(2018年8月29日~9月5日で打ち切り、札幌)

2018年09月20日 22時09分59秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
承前

 新道展の紹介も「その3」で、いちおう最後。
 他の団体公募展と比べても、大幅にバランスを欠いた分量になってしまっているが、地震で会期打ち切りの悲劇に遭っていることをかんがみ、読者諸賢にあってはご諒解を願いたい。

 さて、冒頭と2枚目の画像は、ユニット「故郷 IIこきょうセカンド」による「マネキン回転箱ーモノとしての私、ヒトとしての貴方」。
 佳作賞を受賞。
 直方体の4面に女性の全身像がほぼ等身大で描かれているが、頭部/胴体/下半身の三つの部分がぐるぐる回るようになっており、着せ替え人形のような遊びが簡単にできるというもの。
 「遊び心」といってしまえばそれまでだが、女性のみが描かれているということに、女性がまなざされる存在であり、操作される側であるという現代社会の構造を見ることも可能だと思う。また、労働現場での性差とアイデンティティーの問題など、このユニークな作品をきっかけに考えられることはたくさんあろう。

※この段落の「故郷」のルビが「ふるさと」となっていたのを「こきょう」と訂正しました。お詫びいたします。



 左は櫻井マチ子「La.La.Qoo-」
 中央が山本洋子「色が好きな仲間達」
 右が永井美智子「REVOLUTION」

 櫻井さんの絵はあいかわらず不思議。曲線を生かした、計算されつくした構図と、クリアな画面。
 他の誰にも似ていない。

 一方で永井さんの絵は、以前にくらべると、色彩はやや濁っており、そこがむしろ魅力といえるかもしれない。



 左は南條仁子「朱の情景」。
 切り立った崖のある街並み。白く巨大な満月。
 イエローオーカーの空。
 荒削りではあるが、だれも見たことのない風景を創出しようとしているのは評価したい。

 そのとなりは平川玲子「Oceanー2018」
 続いて、大畑和子「2人の私」

 フクロウは大畑さんのトレードマークだ。




 大塚富雄「界」。
 大塚さんは、初期の神田日勝にも通じるような粘り強いリアリズムで焼却炉などを描いてきたが、今回の作品にびっくり。
 炉の間に、タッチの全く異なる裸の人物が現れてすわっている絵を出品しているのだ。大きさもリアルではないし、陰影を欠くので、不意打ちにあったように驚いた。この人たちは、誰なんだろうか。



 左、今野洋一「枯木 こ ぼく
 中央、澤口幸子「遠いまちへ」
 右、長尾美紀「観」

 3人とも一般出品で、澤口さんと長尾さんは会友推挙。

 澤口さんは、遠景だけでなく近景にも街景を配しているのが効果的。
 右下の建物から、2人の足下へと、地図記号の鉄道のような線が伸びているのも、画面全体にゆとりのようなものを与えていると思う。



 左は山下絵里奈「Identity あふれる個性」。
 新進イラストレーターとして活躍中の人。


 最後の画像、右手前は山口大「冬の山景」。遺作。

 山口さんは1925年(大正14年)、釧路生まれ。
 48年から道展に出品し、50年に野田賞。
 その後、新道展に転じ、62年に会員に推挙されている。現会員のなかでは、60年推挙の今荘義男さんに次いで古かった。
 きわめてオーソドックスな風景画の描き手で、堅実な構図と落ち着いたタッチは、いつ見ても安心できるものだった。



 左奥は鴇田由紀子「静かな時間 III」。
 鴇田さんの絵では以前、舟はよく空を飛んでいたものだが、この絵ではすっかり地面に落ちて、かわりに都市のまぼろしが宙に浮かんでいる。全体を覆う枯れ草色は鴇田さんらしい。


 最後に少しだけ全体的なことに触れる。

 水彩画が増えた。ざっと数えて40点ほどもある。
 ただ、1990年代の出品者が、シュルレアリスム的なアプローチで現実を変容させた画面づくりに苦心していたことを思うと、いまは大半がふつうの風景画で、これといった個性や、是が非でも伝えたいことなどがこちらに伝わってこないうらみがあるのが、少し残念だ。
 新道展は、一般的な団体公募展にはそぐわないような作品でも受け入れてくれる柔軟さをまだ持っていると思うので、型破りな作品の出現を期待したい。


2018年8月29日(水)~9月5日(水)=当初予定は9日(日)まで
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)


□新道展 shindoten.jp/

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祭り・FEST展パートⅡ (2003)=画像なし
永井美智子個展(2002年)


大畑和子展(2009)
大畑和子個展 (2002)


(この項終わり) 
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■第63回新道展 その2(2018年8月29日~9月5日で打ち切り、札幌)

2018年09月19日 17時42分52秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
承前

 更新の間隔があいてしまったが、新道展の続き。
 (その1)に、協会賞に輝いた林正重さんの絵について少しだけ追記した。

 第2室以降の紹介に移る。

 冒頭画像、左は、後藤和司(札幌)「軌跡 '18-III」。
 格子形、といっても、幾何学的なものではなく、ラフに引かれた線の内側を、濃淡ある灰色やモスグリーン、レモンイエローなどが埋めている。灰色の部分がかなりを占めるので、全体の印象は落ち着いていてシック。ただし、格子状の線のほかにも、エッチングを思わせる細い線が縦横に走っていて、不安さも漂わせている。

 右は福島靖代(同)「連鎖 III」。
 赤茶けた砂漠に突き刺さる砂時計。そして、赤い空に、壊れた満月のように浮かぶ卵。
 福島さんには珍しく、一種の画中画のような形式をとっており、メインの絵の周囲に、小品が陳列されているように、小さめの画面が配されている。それらには、シカの頭骨や、ピラミッド、ろうそくなどが描かれている。
 この砂時計、環境が悪化する地球に残された時間を示しているのだろう。全体を覆う赤系の色が、焦燥感と切迫感を高める。現代に対して警鐘を鳴らし続けてきた福島さんならではの世界だ。




 左は藤田恵(同)「摂理」
 色彩を抑え、正面を向いて並んで駒を回す、双子のような女性の不思議さを、際立たせている。

 中央は佐藤愛子(室蘭)「スイッチ・on」。
 頭部が牛とも犬とも解釈できる人が猫背がちに、椅子にすわっている。
 筆者の記憶では、佐藤さんは昔は色彩と人物がほとばしるような絵を描いていたと思うのだが、今回はモノトーンで画面が覆われていて、静かな世界である。

 右は宮澤克忠(帯広)「欲とギャンブルの悲喜劇」
 左下の黒い部分は人物だろうか犬だろうか。まわりに花札などが描かれる。
 宮澤さんの絵は、筆者には、1960年代後半の雑誌に載っていた戯画・風刺画のような感覚を受ける(って、毎回書いてますね。すみません)。時代が一周して、画面に躍る細い線が新鮮に見えてくる。 



 左は亀井由利(札幌)「生命」。
 図録には100号となっている。
 これもモノクロ。新道展にはモノトーンの絵が多いというより、筆者が好きなのかもしれない。ほとばしる、あるいはあくがれいづる魂と生命。

 右は近年、精力的に制作している田中郁子(日高管内浦河町)「No.53 Sablé」(éはアクサンテギュ付きのe)。
 162×260センチの大作。
 鮮烈な紫や黒の色の重なりを画面に作り、その半分ほどを、上から白い絵の具で覆い隠している。残された色の部分は斜めに画面を横切り、なだれ込むような力動感が伝わってくる。
 また色を白で覆う技法は、油彩ならではの魅力で、これは図録ではなかなかわからない。色が白を通して、すけて見えるのだ。

 抽象画の魅力を凝縮したような1点で、田中さんにとってもキャリアハイだと言いたくなる力作。
 なお「Sablé」はフランス語で「砂」の意味。



 左は松久充生(十勝管内芽室町)「Eden」。
 以前の松久さんは、DNAの図や、英文字などを大胆に取り入れたコラージュふうの作品をよく出品していた。旧来の静物画や風景画などと比べると、ずいぶんとおしゃれで現代的に見えたものだ。
 その後、いったん新道展を退会したが、復帰した。新道展には「会員復帰」という温情のある制度があるが、松久さんはそれを採らず、ふつうの出品者とおなじように一般で賞を得、ふたたび会員に推挙された。

 今回の作品は、コラージュ・カットアップ感覚で、直線を生かして画面を分割するようなかつての作風からすると2人の女性を横に並べて描いたもので、だいぶ一般の絵に近づいているが、写真のようなリアルさで人の顔を描いているところと、曲線が画面の一部を埋め尽くしている個所もあって、おもしろく感じた。

 そのとなりは酒元英子(岩見沢)「景」。
 酒元さんもモノトーンの渋い抽象画を長年描いているなあ。



 宮崎亨(札幌)「希望」。
 宮崎さんの絵は、ロックだと思う。
 へたなバンドより、断然ロックだ。
 いつにもまして、圧倒的な迫力でこちらに迫る。

 まるで広角レンズで撮影した写真のように両端がゆがんで高層ビルが曲がって描かれた大都市の街路を、こちら側に背を向けて歩きだそうとしているひとりの人物。下から見上げるような角度でとらえているため、人物は頭部が見えない。前途の上空に渦を従えて輝く太陽。
 図録ではわかりづらいが、モノクロームと鈍い青系のほかに、ところどころに赤がさし込まれ、画面をいきいきとさせる効果を挙げている。



 左から磯尾法秀(渡島管内森町)「花 一日」、高澤のり子(札幌)「壊れた鏡」、松本道博(同)「雨後」。

 松本さんの風景画はいいなあ。
 実景をそのまま描くというより、引き算して、単純化して描いているのだと思うが、それが広大なスケール感と奥行き感を出している。
 今回も、近景に広がる黄緑の野の奥に、濃い緑に囲まれた湖水が配された結果、画面の奥行きは相当なものになっている。


 磯尾さんの、女性の周囲を彩る花模様は、1950年代の意匠のようで、不思議な感じがする。



 左は風景画のベテラン、中矢勝善(同)「川のほとり」。

 右は高橋芳子(帯広)「葉月」。
 人物画はリアルなのに、右下に装飾的な文様が描かれており、ちぐはぐな感じが逆におもしろい。


 以上「その2」で触れた人はすべて会員。
 どこの団体公募展にも多かれ少なかれ共通する傾向かもしれないが、新道展も、会員と会友・一般との間には、水準の差が歴然として存在しており、その差を埋めることが課題となっている。


2018年8月29日(水)~9月5日(水)=当初予定は9日(日)まで
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)


□新道展 shindoten.jp/

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第58回新道展 (2013)

第54回新道展続き
第53回 ■続き

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奥野侯子・後藤和司・高橋博昭・高橋佳乃子4人展 (2004、画像なし)
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03年北海道抽象派作家協会展秋季展(画像なし)
第30回北海道抽象派作家協会展(画像なし)
02年の北海道抽象派作家協会秋季展(画像なし)
第47回新道展(画像なし)
4人展 奥野侯子・後藤和司・高橋博昭・佳乃子(画像なし)
第29回北海道抽象派作家協会展
01年の北海道抽象派作家協会秋季展
第28回北海道抽象派作家協会展


8・6の会展 (2016)
8・6の会展 (2015、画像なし)
8.6の会展(2003年)
=以上、福島靖代さんと藤田恵さんが出品


福島靖代個展(2017)
百花繚乱 女流展 (2014)=画像なし
春陽会道作家展 (2013)=画像なし
福島靖代カフェ展 (2009)
福島靖代展(2008年6月)
福島靖代個展(2004年)


第45回美術文化北海道支部展 (2017)
第41回美術文化北海道支部展 (2013)
第30回 美術文化北海道支部展(2002、画像なし)
第29回 美術文化北海道支部展(2001、画像なし)


亀井由利展 (2018年6月)
バックボックス展 (2018年4月)
亀井由利小品展 (2018年1月)
亀井由利小品展 (2017年1月)
亀井由利展~きらめく生命(いのち)のものがたり (2014)
花ざかりの絵画展
亀井由利展 (2014年2月~3月)
13→14展 (画像なし)
亀井由利個展 (2010)
北都館で清水アヤ子・亀井由利2人展(2009年10月)
亀井由利小品展(2009年5月)
たぴお記念25th + 13th 異形小空間 (2007~08年)
亀井由利個展(2007年)
亀井由利 心象世界(07年4月)
BOOKS ART展(06年11月。画像なし)
06年9月の個展
LEBENS展(06年6月。画像なし)
新道展50周年記念展(05年。画像なし)
柴崎康男・亀井由利2人展(04年。画像なし)
亀井由利「かかえる」
=厚生省買い上げ、菊水のがんセンターに展示



バックボックス展 (2018年4月)
第四十五回北海道抽象派作家協会展 (2018年4月)
44th 北海道抽象派作家協会展 (2017)
TAPIO LAST 終章 (2016)
=田中さん出品


□宮崎亨 情念の芸術(ツイッター) @odoroking
芸術団Jam. 29 (2018年8月)
New Point vol.7 (2010年)
芸術団Jam.19 (2008年)
第44回 北海道教職員美術展(2014、画像なし)
宮崎亨展「なぜ生きる」 (2012)
自由美術北海道グループ展(2008年)
新道展企画 第52回展受賞者展(2007年)
自由美術/北海道グループ展(2007年)
New Point Vol.4(2007年)
宮崎亨展(2003年)
芸術団Jam.(2001、画像なし)


高橋芳子個展(2003)


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追記あり■第63回新道展 その1(2018年8月29日~9月5日で打ち切り、札幌)

2018年09月13日 22時22分28秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
 道展、全道展に次いで1955年に発足した団体公募展である「新道展」(新北海道美術協会主催)。
 ことしは9月6日未明の北海道胆振東部地震による道内全域の停電で、会場の札幌市民ギャラリーが同日から休館してしまい、新道展も会期を4日残して終了という、異例の事態になってしまった。

 筆者は9月5日に見に行き、同協会の後藤和司事務局長から撮影許可をもらっていた。
 地震のため見に行けなかった人たちのことも考え、記事を3本に分けて、ことしの新道展の会場風景をたっぷりと紹介したい。


 例年のことだが、見応えのある作品は最初の大きな部屋に集中している。
 冒頭画像の右端は、永桶麻理佳(札幌)「飛び込む人」。佳作賞。
 永桶さんは夫婦で現代アートのユニット「故郷 IIこきょうセカンド」を組み、その名義でも今回、別に佳作賞を得ている。
 ただ、画風というか芸風はぜんぜん異なり、麻理佳さん単独で絵画を発表した2016年の個展では、踊るダンサーを題材に、スナップ写真のように瞬間的な動きや運動をとらえる表現を追求していた。
 個人的には、ダンサーやバレリーナを描く人は多いが、現代のホワイトカラーを取り上げる人は意外と少ないから、こちらの方が良いと思う。靴が片方脱げた彼女はいったいどこへ落下していくのか。あるいは、何に挑もうとしているのだろうか。


 大規模な展覧会では、入り口のロビーにも作品を並べることが多い。
 絵画3点。

 左端は三浦恵美子(会員、胆振管内安平町)「ナナサンイチ」。
 題の意味は不詳だが、閉塞感や焦燥感のような感覚が画面から伝わる。

 中央は白鳥洋一(会員、札幌)「植物記「ふたつの眠り」」。
 大まかな筆さばきとどこかどぼけたような味わいは白鳥さんならでは。支持体の形が不定形なのもユニーク。
 激しく燃えるような画面よりも、こういうのほほんとした感じのほうが、生命の表現としてはふさわしいのかもしれない。

 右端は中川雅章(恵庭)「流動」。
 佳作賞と会友推挙。  


 最初の部屋の、左側の壁は、ベテラン3人が埋めている。

 左は、柴崎康男(会員、伊達)「船のある風景」。
 柴崎さんの絵は年を追うごとに抽象の度合いが強まっている。港にひしめく漁船の船体を描き出す筆遣いはますます速度が上がる一方だ。

 中央は柳川育子(会員、札幌)「時は流れて」。
 130×324センチの大作。
 上方を中心に浮かぶ円と、風になびく布のようなものが、画面いっぱいに展開されている。
 色数を絞ったことが作品のふところのようなものを深くしているようだ。

 右は和田仁智義(会員、札幌)「漂流する村」。
 題には「村」とあるが、手前は、石の家を載せた舟のようにも見える。
 奥の岩にはよじ登る人々の後ろ姿が描かれている。頂上ではためく旗を目指しているのだろうか。
 なにを暗示しているのかはかならずしもあきらかではないが、むしろそのことが、預言や黙示録を思わせる不安感を漂わせている。 


 右手前は山本家弘(会員、伊達)「白い町」。
 140×243センチとこれも大きい。
 新道展は、若い新人がむやみにでかい作品で殴り込みをかけるのではなく、ベテラン会員が大作を並べる傾向にあるのかもしれない。

 山本さんはあまり個展などを開かず、新道展以外で拝見する機会が少ないのだが、丁寧なマチエールや、一見平坦に見えながらも奥行き感をたっぷり確保した構図など、見ごたえある作品を毎年発表している。

 その左隣は、浜地彩(会員、札幌)「夢幻ユメマボロシ」。

 さらに、右から、中村哲泰(会員、恵庭)「とどまるところのない生命」と香取正人(会員、札幌)「踏切」が続く。
 ふたりとも、グループ環に属するベテランの風景画家。
 中村さんの描く植物には、作者の生命に対する思い入れが感じられる。

 香取さんは、リズミカルなストロークと、描き込んだ部分と抜けた部分を巧みに配した構図の妙が魅力。見ていて快い絵なのだ。
 この作品でも、空はクリーム色だし、浮かんだ雲も非現実的な色合いをしているが、それがまったく不自然に感じられない。

 そのとなりは、やはりベテラン風景画家の有村尚孝(会員、岩見沢)「夏・霞む恵庭岳」。
 有村さんはいつも緑の絵の具をたっぷり使っている。


 新道展は1990年代から、立体造形やインスタレーションを重視する姿勢を示しているが、実際には退会者が多く、今回は第1室に2点しか並んでいない(そういえば、新道展の新世代を代表するインスタレーション作家だった田中まゆみさんはどうしておられるだろう)。

 河口真哉(札幌)「Weight and lightness」。
 立方体の大きいのと小さいのが4個ずつ。
 竜安寺の石庭ではないけれど、或る特定の視点からはすべての立方体を見ることができない。

 シンプルだが、力強い。
 個人的には、先の新さっぽろギャラリーでの個展などよりも、よっぽど雄弁でおもしろいと思う。

 インスタレーションはもう1点。田村純也(会員、苫小牧)「域」。

 なお、画像の左側に見えている虫の絵は奈良孝秋(会員、千歳)「命をつなぐ」。
 背景で、補色となるオレンジと緑を対比させている。


 ふすま絵のようにも見える左は後藤哲(会員、函館)「気」。
 黒い筆跡が、前衛書道の墨痕のように鮮烈だ。

 右は今荘義男(会員、岩見沢)「古里」。
 1960年に会員になった、新道展では最古参の今荘さん。
 深みのある焦げ茶色が、三連画のような構図とあいまって、宗教的ともいえる精神的な世界を広げている。



 左は鈴木秀明(会員、函館)の200号変形「或る光景」。
 右は高梨美幸(会員、札幌)「そうして、夜明けは遠い国からやってくる」(162×260)。

 彫像が崩れる瞬間を描き、「世界の終末」を想起させるバロック的世界を展開する鈴木さんの作品がすごいのは毎年のことなので、ここでは高梨さんの絵について述べる。
 この絵は、写実性と装飾性を両立させ、寓意もこめた力作であり、おそらくスポーツ選手でいうところの「キャリア・ハイ」であろうと思う。
 女性や、角のある動物は写実的に描写されているが、背後の木々や手前のササは単純化されて画面に奥行き感を与えている。
 そして、ちりばめられた花模様が効果をあげている。
 北国の動物を写実的に描いた絵はよくあるが、それにとどまらない深みを、絵に与えているのだ。

 画面の上方には風のように絵の具がひかれ、下方の色合いは水の波紋のよう。
 左奥の木立から動物がひょっこり顔をのぞかせているのもおもしろい。
 ともあれ、いつまで見ていても飽きない一枚だった。
 

 左は今年の協会賞(最高賞)に輝いた林正重(岩見沢)「息遣い」。
 炭鉱遺産のスケール感を表現するのに縦構図を採用したことが、この絵を成功に導いたのだと思う。
 朽ちそうな建物がモティーフになっているわりにはトーンは明るく、奥にわずかに見えている若葉の緑とあいまって、未来への希望のようなものも感じさせる佳作。

(追記。その後、林さんにお目にかかり、この炭鉱施設が留萌管内羽幌町でスケッチしたものということをうかがった。天井から、地上の貨車めがけて石炭を落として入れる施設である。いずれにしても、一般の作品の中では傑出しており、協会賞は順当だと思う)


 なお右は居島恵美子(会員、苫小牧)「うたかた」。
 これまで何度も書いているが、1990年代までの居島さんは、ピアノを弾く女性を、ピンク系の背景とともに、二科っぽい構図でまとめた絵が多かった。
 その路線が悪いとはいわないが、小さくまとまることを拒否して、抽象の大海にこぎ出したことを、ほんとうに偉いと思うのだ。
 今年の作品は、浮遊感の表現が巧みだと思う。緊張感と、心和む緩やかさの双方が感じられる絵だ。


2018年8月29日(水)~9月5日(水)=当初予定は9日(日)まで
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)


□新道展 shindoten.jp/

過去記事へのリンク
第58回新道展 (2013)

第54回新道展続き
第53回 ■続き

07年
06年
50周年記念展 ■50周年記念展・つづき(05年)
03年
02年
01年


永桶麻理佳と故郷II展 (2016)


平成28年度 道銀芸術文化助成事業 三浦恵美子油彩展 ~人物の変容展~ (2016)


白鳥洋一画展「植物記」(2016)
あひる会40周年記念展 (2004、画像なし)


柴崎康男個展 (2014)
第15回二科北海道支部展(絵画) =2015
第10回 二科(絵画)北海道支部展 (2010)
第9回二科北海道支部展(絵画) (2009)
第8回二科北海道支部展 (絵画)(2008)※画像なし
亀井由利個展■柴崎康男個展 (2007)
※以下、画像なし
第7回二科北海道支部展(絵画)
第6回二科北海道支部展(絵画)  (2006)
LEBENS(生命・人生)展 (2006)
柴崎康男・亀井由利 二人展 (2004)
第2回北海道二科(絵画)支部展 (2002)※16日の項


柳川育子個展 (2007)
第45回美術文化北海道支部展 (2017)
第36回美術文化北海道支部展 (2008)
第31回美術文化北海道支部展 (2003、画像なし)
柳川育子油彩展 (2002、画像なし)


和田仁智義(にちぎ)展 (2014)
第45回美術文化北海道支部展 (2017)
第41回美術文化北海道支部展 (2013)


バックボックス展 (2018年4月)
バックボックス展 (2017)=河口真哉さん


鈴木秀明小品展 (2017)
第45回美術文化北海道支部展 (2017)
鈴木秀明個展 (2016)
第41回美術文化北海道支部展 (2013)
北のアーティストドキュメント「鈴木秀明」
第54回新道展 (2009)
鈴木秀明展 (2009)
第36回美術文化北海道支部展 (2008年9月)
第35回美術文化北海道支部展 (2007年)
第34回美術文化北海道支部展(2006年)
新道展50周年記念展
鈴木秀明展(04年)
第31回美術文化北海道支部展
第30回美術文化北海道支部展
鈴木秀明展(02年)
第29回美術文化北海道支部展


高梨美幸小品展 (2017)


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■第45回記念美工展 (2018年4月18~22日、札幌)=4月21日は13カ所(8)

2018年05月08日 20時24分36秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
(承前)

 北海道美術工芸協会の主催する「美工展」が45回の節目を迎えました。

 道展、全道展にも工芸部門はありますが、美工展は道内で唯一、工芸部門だけからなる団体公募展です。

 記念の図録の巻末に掲載された年表「45年のあゆみ」によると、同協会の発足は1973年。翌74年に丸井今井札幌本店で第1回展を開いたそうです。
 ちょっとふしぎなのは、名称が「北海道手工芸美術協会」と決まったのが75年になってからとのこと。84年に現在の「北海道美術工芸協会」となりました。
 「美工展」という略称の採用と、丸井今井から札幌市民ギャラリーへ会場を変更したのが89年で、90年の第17回展から公募展のかたちをとっています。

 会員、会友、一般という3段階は、他の道内の団体公募展と同じです。
 入賞を重ねた人が会友に推挙され、会友になっても実績を積んだ人が会員になる―というシステムも他と同じです。
 美工展の場合、一般入選の中から協会賞、佳作賞が、初入選者から新人賞が、それぞれ選ばれます。奨励賞は会友から選考されます。
 今回は佳作賞の該当者はありませんでした。

 一般の最高賞に当たる協会賞は、佐藤隆之さんのペーパークラフト「ニケの翼」。
 繊細な形にはさみが入った、高さ1.6メートルに及ぶ大作で、しかも両翼があります。
 佐藤さんは紙とはさみさえあれば、昆虫でも何でもあっという間にこしらえてしまう器用な人で、これまで500m美術館などでも作品を発表しています。
 美工展には昨年初入選していました。
 今回の最高賞で、会友に推挙となりました。

 ちなみに美工展は、協会賞の該当なしという年もけっこうあり、3年連続で協会賞が選ばれたのは史上初です。

 会員では、丸山恭子さん(金工)「蔓薔薇」が目を引きました。 
 小さな花の集まりが極めて装飾的ですが、精緻かつ豪華な出来ばえです。

 陶芸は、山谷智子さんの壺「春光」が、若草色や薄茶色といった微妙な釉薬の発色が、まさに早春を思わせます。
 
 織は、三浦千津子さんの訪問着?「花舞」の落ち着いた品格、新会員推挙となった常本幸子さん「茜」の軽快なリズム感など、見ごたえのある作品が多かったです。 

 新会友となった松浦一明さんの木工「木彫2018 四季」は、ヒマワリを想起させる形状が力強くて、見る人を驚かせます。
  

 分野別の出品数は次のとおりです。
織  8
組紐 6
和紙絵 6
染色 5
陶芸 5
木工 5
ペーパークラフト 4
ガラス 3
押花 3
皮革 2
刺繍 2
金工 1
人形 1
木彫 1
ボビンレース 1
葉彩画 1
籐  1
その他 4
 
 ここ数年トップだった染色に変わり、織が初の首位になりました。



 正直なところ、工芸・クラフトの作家は、絵画や現代アート以上に「●●展の会員」であることが商売の一助になりづらい時代です。
 そういう時代にあって、年に1度集まって展示するだけにとどまらない意義が、工芸の団体公募展にますます求められるようになってきているのでは―と思っています。
(※追記。もちろん、美工展は単に集まるのではない可能性を持っていると思います)


2018年4月18日(水)~22日(日)午前10時~午後6時(最終日~午後4時)
札幌市民ギャラリー (中央区南2東6)

□美工展 http://www.geocities.jp/hokkaidou_bikouten/


過去の展覧会記事へのリンク
第44回  ■続き (2017)

第43回 美工展(2016、画像なし)

第42回(画像なし)
【告知】第42回美工展

第37回 美工展 ■続き (2010)

第36回
第35回
第34回(画像なし)
第33回
第31回(画像なし)
第30回(画像なし)
第29回
第28回(画像なし)

第8回美工展会員展(2003年)


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■第44回 美工展 (2017年4月19~23日、札幌)=続き

2017年04月22日 09時35分24秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
(承前)

 美工展には、次の部門が設定されています。

押花・織・ガラス・金工・組紐・刺しゅう・染色・籐・陶芸・人形・皮革・ペーパークラフト・ボビンレース・木彫・木工・葉彩画・和紙絵・その他の工芸

 道展や全道展では作品を見かけない分野もあります。
 かつては陶芸が多かったのですが、その後は出品者が減っています。

 画像は事務局長の山谷智子さん(札幌)の「古城―サレルノ―」。
 イタリアを旅した際に得た印象を盛り込みました。頂上部のでっぱりに、それが現れています。


 会員の町田睦子さん(札幌)「愛惜」。
 なぜか、非常なさびしさ、せつなさが感じられます。

 背後の壁に見える作品のうち、右の2点はこのたび会友に推挙された橋本昌司さん(江別)のペーパークラフト。
 右の「微笑」は、モナリザのパロディーになっています。
 橋本さんは「ロルンプヤ 神窓」で佳作賞を受け、会友に推挙されています

 右から3番目は、会員・小林ちほさん(同)「石目リンゴ」。
 これは、道都大の中島ゼミ展に出品されていたものだと思います。


 染色や織は、道都大出身者の若手による現代的な、あるいはユーモラスな作品と、伝統的な作品の両方があり、幅が広いです。
 画像は伝統的な作品を集めたサイド。
 右側は山内价子さんの「昇龍」。
 そのとなりは、近藤香代子さんの「初成り」。
 3番目は五十嵐圭子さんの「育み」。
 3人とも会員です。
 左端は会友の佐藤美智子さん「華の雫」。藍色が美しいです。

 いずれも札幌在住です。 
 

 右端は、唯一の金工会員である、丸山恭子さん(函館)の「道(さ迷う)」。
 さまざまな形の金属片が貼り付けられていますが、筆者の目には、四辺を海底に見立てた、海藻(コンブ)の林のように見えました。


 ここで、分野別の人数をまとめておきます。

染色 8=会員6、会友2
組紐 6=会員5、会友1
陶芸 6=会員5、一般1
織  6=会員4、一般2
和紙絵6=会員3、会友1、一般2
皮革 5=会員1、一般4(7点)
ペーパークラフト5=会員1、会友1、一般3(5点)
木工 5=会員2、会友1、一般2(3点)
押花 4=会員1、会友1、一般2(3点)
人形 3=会員1、一般2
木彫 2=会員1、会友1
ガラス1=一般1(2点)
金工 1=会員
刺繍 1=会員
ボビンレース1=会員
葉彩画1=会員
その他=一般1
(物故2人)

 ここ数年、染色のトップが続いています。

 左は、「人形」に区分されていますが、宮崎広幸さん(札幌)の「森のゆうえんち」。
 枝などを用いた、たいへんな労作です。アートかどうかはわかりませんが、誰が見てもほおが緩む楽しい作品です。

 なお、人形分野では釧路の会員、上邑紅緒さんの「PREGAGE」が、ベテランの健在ぶりを見せていました。

 この数年の、道内の人形分野の活況を見ていると、もう少し出品数があってもいいんじゃないかとも思います。

 最後に、木彫の成田得平さん(札幌)の「トンコリ(五弦琴)」。
 これは、音が聞きたかったなあ。アイヌ民族の伝統楽器ですが、ムックリほどひんぱんに見る機会があるわけではありません。


 会友の中から選ばれる奨励賞には、和紙絵の三浦秀子さん(札幌)の「ワイメア渓谷」が選ばれ、会員に推挙されました。スケール感を出すべく奮闘しています。
 もうひとりの新会員は押花の福崎俊美さん(室蘭)です。

 また、会友には、織の常本幸子さん(札幌)、ペーパークラフトの橋本昌司さん(江別)、ガラスの吉田房子さん(札幌)、その他の山田光代さん(東京都世田谷区)の4人が選ばれました。


2017年4月19日(水)~23日(日)午前10時~午後6時(最終日~4時)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)

□美工展 http://www.geocities.jp/hokkaidou_bikouten/

関連記事へのリンク
美工展会員展(2016)

柴田睦子 陶芸展「天空」(2004、画像なし)

第56回道都大学中島ゼミ展 版と型をめぐって 5つの個展と11人の冒険 (2016)=小林ちほさん出品
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■第49回 道美展 (2016年9月13~19日、札幌) 日程を訂正しました

2016年09月18日 16時18分02秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
※日程が違っていたので直しました。おわびして訂正します。

 絵画、工芸、写真の3部からなる団体公募展。
 北海道美術作家協会の主催で、1969年に第1回が開かれました。

 筆者は第46回展の際はかなり厳しいことを書きましたが、あの時よりは出品も増えて、それなりのにぎわいを保っているように感じました。
 ただ、1人で2点、3点と出品している人も多いです。

 2階は写真です。
 会員54人、会友15人、一般85人で、人物、風景、祭り、ネイチャーなどさまざまなジャンルが並んでいます。
 写真部はかつて、北海道を代表する写真家の掛川源一郎さんが会員でした。ただし、そういう社会派リアリズム、ドキュメンタリー的な作品は、いまはほとんど見当たりません。
 各地で長年撮影に取り組んでいるアマチュアがけっこう多いように感じます。

 中野末吉(胆振管内安平町)「花吹雪」 古寺とおぼしき建物の前に散る桜の花びら。夢幻的に美しい光景。
 窪田實(旭川)「静寂」 凍った池の水面をすかしてコイが見えます。ハスの花も凍っています。コイは大丈夫でしょうか。
 沢谷敏夫(室蘭)「大内宿にて」 南会津の古い宿場の由。トラクターが曳くリヤカーに乗った農家の老夫婦の後ろ姿が、とてもほほえましいです。
 杢信行(室蘭)「陣屋夜話」 ライトアップされた満開の桜と、そびえたつ工場の煙突。自然と近代の対比の妙。
 渡辺一夫(留萌)「晩秋日本海」 青い空と海、白い波頭、そして赤い灯台。シンプルで美しい。高い波の上を飛ぶ鳥の位置も完璧。
 田中二三哉(旭川)「湖愁」 旅愁という語はありますが、湖愁というのは初耳。でも、それにふさわしい、薄暮の日本庭園と池のたたずまい。サギらしい鳥のきりっとした姿が、決まっています。

 金澤俊美(美唄)「都心のオアシス」 一般。ビルに囲まれているのは、札幌の道庁前の池でしょうか。水面近くに浮かび上がるコイの表情がユーモラスで、後方にたたずむカモも効果的です。魚眼レンズは、欲張りすぎた画面になりがちですが、この作品はしっかり整理されているように感じます。会友推挙。
 松本公子(伊達)「雪の爆破」 一般。早春の畑に融雪剤をまく男性の姿がなんだかおもしろいです。

 工芸は、最初の大部屋に陶芸の壺がたくさん並んでおり、陶芸がメインという印象を受けます。
 以前は、第1室の台の上に、壺もカップもびっしりと隙間なく置かれて見づらかったという記憶があるので、陳列はかなり改善されたと思います。
 ただしめざましい増加を見せているのがパッチワークキルト。これは、面積が大きいので、2室以降の壁面を華やかに彩っています。
 図録には作品サイズは書いてありますが、木工、染織など種類の記載がないので、これは改善を望みたいところです。

 道展などはいずれも最高賞が「協会賞」ですが、道美展だけは「道知事賞」で、今年は陶芸の川人久美子さん(札幌)「黄落」が選ばれました。
 続く第2席は「道美賞」で、絵画、工芸、写真の各部から1人ずつ選ばれることが多いようです。ただし今年をみると、3人とも会員で、このあたりどういう選考になっているのかよくわかりません。

 陶芸で気になった作品。
 ただ、全体的には、たとえば道陶芸協会展などに比べると、型破りな作品はありません。
 牧野きよ子(空知管内長沼町)「雪どけ(雪結晶釉)」 光沢ある白い釉薬の結晶がつくる景色がきれい。金子道雄(札幌)「結晶花器」も、同じような白い釉薬が美しかったです。
 魚住慈子(札幌)「冬の波」 こちらは群青の釉薬。矩形の陶片がいくつも貼り付けられ、流氷の海のようです。
 三橋エリ(同)「山女魚文壺」 ヤマメの表情が楽しいです。
 荘司博俊(北広島)「美瑛の丘」 白→ペイルオレンジ→緑→萌黄色とうつろう景色の変化が美しいです。
 魚住劭(札幌)「北の人」 武人の面構えのようなフォルム。
 ほか、西村美和子(同)の志野の釉薬や、菅原末男(長沼)の幾何学的な文様などに惹かれました。


 最後に絵画です。
 3年前に見たときは小品ばかりで、この先絵画部はどうなるのだろうと思いましたが、今年は50~120号クラスが第1室に30点陳列され、格好は保っています。
 ただ、大半はよくあるタイプの風景画などです。以前は散見されたスーパーリアリズム系の作品もありません。
 また第2室以降は、3~20号程度の小品ばかりです。

 この中で、山愛実さん(札幌)は3点も出品し、自分の描きたい世界をしっかりと持っている人だと思います。
 加藤貢(同)「絆」(P50)は2人の女性をリアルに描き新人賞、会友推挙。布の質感などの描き方が見事です。


2016年9月13日~19日(月)午前10時~午後5時(初日午後1時~、最終日~午後4時)

札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 @s_c_gallery )

一般500円、70歳以上・障碍者・高校生以下無料






第46回道美展 (2013)
第39回道美展
第35回道美展
 =いずれも画像なし
コメント (3)

■第71回全道展・続き (2016年6月15~26日、札幌)

2016年06月20日 20時34分51秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
承前。敬称略)

 会場でなんだか筆者の目に付いたイメージ。それはカラスだった。

 版画の会員、重岡静世の「瓦解」は、上半分にカラスの群れ、下半分に枯れたヒマワリを、オレンジと灰色を主体に描き、暗鬱とした雰囲気に満ちている。
 この作品自体はなんら政治的な主張をしているわけではないのに、いままさに全体主義に舵を切ろうとしている日本社会を予知しているようでもあり、静かな力でこちらに迫ってくる。
 そういえばと思って、もう一度会場を見回してみると、カラスや黒い鳥が登場する作品があるはあるは。

 まずは道新賞の佐々木剛「札幌・冬・カラス」。
 背景の空をカラスの群れが横切っていなかったら、もっと凡庸な絵になっていたかもしれない。中央の女性がリアルに描かれているのに、周囲のタッチがラフなのも、むしろこの作品の魅力になっているし、空気感を出していると思う。

 絵画の会員、佐藤仁敬「都市とヒトと黒い鳥」。
 縦位置で、しかも中心線附近に主要モチーフが集まっているというやや破調ぎみの構図だが、それがむしろ不安定さを強調している。画面上部の白いワンピース姿の女性は顔が黒い霧で隠され、下部の男は両手で顔を覆っている。そして、微妙に高さが異なる左右の都市(右側は手前に川のような水路がある)、画面を横切る2羽の大きな黒い鳥など、なぜか不吉な感じが強い。

 ほかにも黒い鳥が、笠原悦子、やまだ乃理子、佐藤艶子の絵に登場していた。


 …と、これまでおもに絵画について述べてきたが、全体として絵画には、あっと驚くような作品は少なかったような印象がある。
 会員では、黒木孝子、近藤みどり、斎藤矢寸子、佐々木俊二といった人々に目がいったが、全体として、昨年までの画風を引き継いでいる人がほとんどといってよい。
 その中で、童画のようでも夢の一場面のようでもある絵を描いてきた土井義範が、人間の頭部と、その脳にさまざまな人物の顔を散りばめた不思議なモチーフに転換していた。




 以下、一言ずつ。

 絵画会員。

 宮地明人「そこに在るということ」 あいかわらず高い描写力だが、どうしてラズベリーなんだろう。
 森弘志「さしみ」 こんなモチーフ、100号の油絵にするやつおるんかシリーズ(といま勝手に名づけました)、今年は、シメサバ、イカ、サーモン…でした。しかも45度ずつ角度を変えて14×16=224個。ご苦労さまです。
 石本久美子「舞踏手」 シンプル。人物を少し上に位置させたのが、勝因。
 矢元正行「解体客船」 巨大な船のドックという、矢元さんにしてはわかりやすい現場を描いているのだが、人がまったく描かれていない。あちこちから噴出する蒸気のみが目立つ。スチームパンクだ(違
 輪島進一「ファシーレ」 バレリーナは以前からのモチーフなのだが、手前に描かれた、縦に積まれた黒い照明装置が、絵の具の飛沫をちらばして、大きな異化効果をもたらしている。バレリーナの周囲には、極細でさまざまな線が走り、1枚のタブローで時間の経過を示すという難題をこの画家があきらめていないことがうかがえる。
 米谷哲夫「エレガントフィーバー」 ここ最近はモノクロだったが、今回は色が戻ってきた。
 渡辺貞之「占いごっこ」中央の少女占い師が、ナカジテクスによく出品している橘内美貴子さんに似ていると思う。

 会友。

 伊藤幸子「地への邂逅」 逆さづりになった人物? は見上げると相当に力が入っている。小谷博貞「立棺」シリーズの跡を継ぐ精神性を底部にたたえた作品。

 会友は数が多いが、105人いて62点しか出していない。
 時々、一発で師匠が誰なのかわかる絵があるのが悲しい。

 一般。

 末次弘明「Newsong」 末次さんが全道展に出しているとは知らなかった。ペンの走り書きのような、心電図の記録のような、ふしぎな絵で、ほんとうに引き出しの多い人だ。佳作賞。

 桔梗智恵美「Pandora」 佳作賞。正面を向くふたりの少女、西洋の墓地、巨大な時計、傘をさす女、家の置物など、よくわからないのになにかストーリーがあるように感じさせ、それらの配置も巧み。お得感のある絵といったらいいのか。

 モリケンイチ「燃える木」 人物描写には東郷青児の影響が感じられなくもないが、単なる人物画の域をはるかに超えた、独自の世界を作り出している。今回は、ピンクと青のドレスを身に着けた少女ふたりを手前に配し、奥で木が炎上しているという絵で、なにかを警告するような、神話的な絵である。

 以下、賞には漏れたけど個人的にはおもしろかった作品。

 浅井菫「DINA」 若手。SF的な世界を破綻なく描き切る力量に注目。
 大塚真奈「絶対バカにしているから」 たぶん若手。ころせんせーあるいはスマイルマークのような顔をした人物4人がまじった、若者17人の群像。ばらけた感じがいまふう。
 下川二三枝「工事中」 雪の降る寒い中での電話工事を題材にした作。ふつうの絵画なのだが、農漁業以外で労働の現場を描いた絵は驚くほど少ないから、こういう視線は好きだ。
 宮下淳「歯車」 巨大な歯車がデーン。これはシュールだ。
 酒森夏海「secret bace」 樹上のツリーハウスを上から見た、通常はありえない視点が良い。ZONEの歌みたいですね。


 版画。

 ここはプロやベテラン会員の多い部門なので安心してみていられる。

 会友。

 浅川良美「まほろば」 カエルが卵を産んでいる情景なのだろうが、よく見ると水底には空き缶などが沈んでいるのが暗い色で描かれている。考えさせられる作品。
 坂みち代「春(雪どけの頃)」 自転車2台が水たまりのある街路をゆく場面を、モノクロームの銅版画で描写した。水たまりに雲が反射し、鮮やかなスナップショットのような1枚になった。新会員。

 松浦進が新会友になったが、後に続く道都大中島ゼミの若手がいないのはさびしい。
 一般は全体として、写実的な木版画が多い。だめだとは言わないが…。


 彫刻。

 1階の大部屋に良い作品が集中している。
 十勝の埋もれ木から作品を作る岡沼淳一は、依然として衰えぬパワーで、会場を見晴かすような大作を持ってきた。
 橋本諭「蘇莫者」は片足で立つ、両腕のないトルソ。ごつごつした表面に、生命がみなぎっている。
 水野智吉「風に向かう」 かなり前につんのめったような姿勢になっている。
 二部黎、川上勉、伊藤隆弘は例年同様さえているが、川名義美の首「黒の肖像」に、中原悌二郎へのオマージュを感じた。

 会友。

 櫻井淳「Home」 おそらくテラコッタによる胸像。右目がつぶれているのはなぜか、胸の部分がそぎおとされているように見えるのは―など、いろいろ考えさせられる。
 森戸春樹「間然塔」 置き場所がこれだけ離れているので、なんだか調度品みたいに見える。ちょっと気の毒な展示場所だ。

 一般。

 佐藤邦子「往にし方」 裸婦像。腰に右手を当てて、上体をひねったポーズが実に自然。動感も力もある。新会友。

 石橋周子「自由にあるき鯛」 ふざけた題がついているが、魚が脚を得て歩く姿を、不自然さなく表現できている力量は買いたい。

 宮下真理子「想ー青の振り子」、田原英昭「時の行方」 いずれも、異素材の組み合わせを、難なくやってのけているところがすばらしい。


 工芸会員。
 馬場雅己「流雅」 驚異的な表面処理で細かい文様が付けられたガラスのオブジェ。

 新会友の阿部綾子が2点出品。これは全道展工芸部門では史上初だと思われる。面の付け方がおもしろい。

 ガラス、染織、陶芸で美しい作品が多いが、一時期出品のあった、オタクっぽい立体など、あまり全道展らしくない作品がことしは1点もないのが残念。
 


2016年6月15日(水)~26日(日)午前10時~午後6時(最終日~午後4時30分)、月曜休み
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)




・地下鉄東西線「バスセンター前」9番出口から約300メートル、徒歩4分

・ジェイアール北海道バス、中央バス「サッポロファクトリー前」から約510メートル、徒歩7分=札幌駅前、時計台前から現金のみ100円で乗れます

・東西線「菊水駅」1番出口から約650メートル、徒歩9分
・中央バス「豊平橋」から約850メートル、徒歩11分
(市民ギャラリーに駐車場はありませんが、周辺にコインパーキングはいくつかあります)
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■第71回全道展 (2016年6月15~26日、札幌)

2016年06月20日 13時30分53秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
 全道展の陳列パターンは毎年少しずつ変わる。

 一般出品者でもっともすぐれた作品として表彰される「全道美術協会賞」の受賞作が、いちばん広い1階の大部屋(展示案内の「2」)の、北東側の端に展示されるという慣例は同じで、会員の絵画が1階の「3」以降に、版画が2階に上がってすぐの部屋に(ここは道展では「日本画」のコーナーだ)、工芸が2階奥のロビーに、それぞれ展示されるのも、かなり以前から続いている。

 一方、ことしは屋外展示が皆無になった。また、以前は会員の絵画と彫刻を中心に並べていたこともある1階の大部屋は、ことしは一般入選者の作品がわりあい多かった。もっとも当然のことだが、一般入選は、まだ会員の作品には、見劣りするものも少なくない。
 また、この部屋の、入ってすぐの壁(協会賞の向かい側)には、通常は1階のいちばん奥の部屋に並ぶことの多い物故会員の作が掛けられていた。いずれも絵画の斎藤洪人と鎌田俳捺子である。
 (参考記事 鎌田俳捺子さんが亡くなっていたのか 斎藤洪人さん死去(画家)
 あらためて、この2人が、北海道の絵画にのこしてきたものの大きさをしのぶ。


 4室に入る。
 道内の団体公募展は、全国のそれの一部と異なり、会員の上にさらに段階をつくって少数幹部が会を切り盛りするような体制にはなっていない。筆者はこれをよしとしたいが、4室の北、東、南側の壁には、これまで長年にわたって全道展の壁面を支えてきたベテラン会員の作品が集中していて、あらためて見る側の居住まいを正させるような重厚感に満ちていた。

 野本醇、伏木田光夫、竹岡羊子、大地康雄、高橋三加子、神田一明…。

 これらの会員は、筆者が二十年前に全道展を見始めたときにはすでに会員であった(物故の2人もそうだ)。

 野本の「黒い太陽」は抽象だが、皆既月蝕のような円形から漏れる光と、卵のような形が、希望の回復を思わせるし、伏木田の「―生命のフリーズ3-ダンス」は、輪になって踊る裸の人々と、手前で笛を吹く人たちが、生命の賛美をうたいあげている。
 ベネツィアのカーニバルを主題とし続ける竹岡の紫色が、祝祭的でまぶしい。

 考えてみれば、全道展の絵画とは、形象と色彩の探求を通じて生命を描き続けてきたのかもしれないな、と思う



 全道展は全道美術協会と北海道新聞社が主催する団体公募展で、毎年6月に札幌市民ギャラリーで開かれている。
 絵画、版画、彫刻、工芸の4部門で会員が審査を行い、入選を決める。すぐれた作品は、協会賞、道新賞などの賞に選ばれる。
 受賞を重ねた作者から会友が毎年数人選ばれる。会友になると会友賞以外の対象にならない。会友ですぐれた人が会員に推挙され、審査や会の運営にたずさわるシステムになっている。


 いったん結論めいたものが出てしまったので、ここでひとまず終わって、次の項へ。


2016年6月15日(水)~26日(日)午前10時~午後6時(最終日~午後4時30分)、月曜休み
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)





zendouten.jp

第69回全道展・版画、彫刻、工芸 (2014) ■続き

第64回全道展 ■続き

第63回全道展 ■続き ■続き

第58回全道展
第57回
第56回

※参考 <団体公募展=モダン>と<現代アート=コンテンポラリー>について (追記アリ)



・地下鉄東西線「バスセンター前」9番出口から約300メートル、徒歩4分

・ジェイアール北海道バス、中央バス「サッポロファクトリー前」から約510メートル、徒歩7分=札幌駅前、時計台前から現金のみ100円で乗れます

・東西線「菊水駅」1番出口から約650メートル、徒歩9分
・中央バス「豊平橋」から約850メートル、徒歩11分
(市民ギャラリーに駐車場はありませんが、周辺にコインパーキングはいくつかあります)


(この項続く) 
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<団体公募展=モダン>と<現代アート=コンテンポラリー>について (追記アリ)

2015年11月18日 22時54分21秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
0.前置き


 道内にいくつも存在する団体公募展のうち、全道展、道展、新道展が、それぞれ創立70年、90年、60年の節目の年を迎え、順次、道立近代美術館で記念の展覧会を開いているが、トップバッターの全道展の記念展では、関連行事として、美術ジャーナリストの村田真さんの講演会を行った(引き続き、会員による素人演劇もあったが、筆者は見ていないし、この項の本題に関係ないので省略する)。

(そもそも団体公募展とはどういうものかについては、このブログの代表的なロングテール・エントリである「「全道展」と「道展」ってちがうの? という人のためのテキスト」をお読みください)

 村田真さんは「現代美術の人」というイメージがあったため、さぞかし痛烈な団体公募展批判が聞かれるのではないかと期待して会場に出向いたのだが、実際の講演内容は、日展やフランスのサロンの歴史を主軸に置いた一般論的なもので、多少発展しても、二科展が話題づくりにたくみであることの批判であったりして、個人的には
「う~、知ってることばかりだなあ」
と、いささか肩透かしをくらった印象を抱いたことは否めない。
 まあ、村田さんが北海道の団体公募展の事情について詳しいとは思えないし、日展は毎年足を運んでいるようであるが、それ以外の団体公募展を見ているわけでもないようなので、あまり多くを期待するのは酷であろう。

(そもそも、いまや現代美術系と団体公募展系は、発表場所も人脈も完全に没交渉なほど別の世界になっており、村田さんが日展を見ているというだけで、相当珍しいことであると思う)


1.「ウエーブ」欄での批判


 …と思っていたら、村田さんが、11月16日の北海道新聞朝刊文化面「ウエーブ 美術」欄に、全道展70周年記念企画展を題材に、突っ込んだ批判をしていた。
 「講演後もっと辛口の意見を聞きたいとの声があったので」書いたとのことだから、辛口の意見を求めた全道展関係者も、それに応えた村田さんも、えらいと思う。

 ただ、批判の内容については、これまた肩透かしという印象をおぼえたことは、否定できない。
 だいたいにして、

「まず第一に、なんでこんなに作品をギュー詰めにするのか」

「第二に、なぜいまどき絵画に額縁をつけるのか」

というのは、批判としてムチャである。
 作品が多くてギュー詰めになっているから額縁をつけざるを得ないのではないのか。

 さらにいうなら、この批判については「まずそれをいうのかよ」という念を禁じえない。
 いや、この手のことを言う人って、村田さんだけじゃなくて、よく見ると実はけっこう多いんですよ。
 話はそれますが、たとえば、書道や写真も含めたこの種の公募展で、審査する側の講評会って時々会場で開かれるんですよね。わたしも初心者ですからね、勉強しようと思って殊勝な心がけで(?)出かけていくわけですよ。そしたら、まずえらい先生が何を言うかというと…。

 いわく
落款の位置が悪いね。

写真はいいけど、題の付けかたが惜しいね。

サインは左下より右下のほうがいいんじゃない?


 ほんとなんだって。
 こういうオヤジ、すんげー多いんだって(少なくても自分の経験では)。
 こいつらさ、えらそうなくせして、中身のことをちゃんと批評できる自信がないんだよ。
 こんなのが、審査してるんだと思うと、がっかりするぜ、まったく。
 問題は、中身だろ、中身。

 もちろん、村田さんは、そこまでひどいわけではなく、中身についても説き及んでいる。

講演でも触れたが、なぜ作品が現代社会を反映していないのか。画家や彫刻家は社会問題にはほっかむりで、のどかな農村風景や裸婦像を描いていればいいのだろうか。もちろん原発事故が起きたからといって、みんなが原発問題をテーマにしなければならないわけではないし、むしろそんな同調圧力こそ危険だと思うが、それにしてもあまりに時代や社会から目を背けていないか。


 この部分については、第一、第二の瑣末な批判に比べれば、はるかにまともであり、さもありなんとひざを打った人も多いのではないだろうか。

 筆者もこの意見にはかなりの程度まで首肯できる。
 その上で、あえて言いたい。
 
 「なぜ作品が現代社会を反映しなくてはいけないのか」と。


2.「何を描くか」対「どう描くか」


 かつての西洋で絵画に順列があったことは、よく知られているだろう。
 歴史や神話を描いた絵が上位で、風景や静物の絵は下位とされた。絵のえらさを決めるのは、絵の巧拙ではなく、題材であったのだ。
 美術は、ことばや思想のしもべであった。
 いま、古い美術に、ことばや思想を超える美を見るのは、21世紀の私たちの見方であり、当時からそのように美術を見ていたわけではない。たとえば、エル・グレコの筆使いにわたしたちは感心するけれど、彼はその筆使いが疎まれて、しばらく忘れられていた画家であった。

 「何を描くか」という問題から絵が自立して「いかに描くか」が中心的な問題として浮上したのは、大まかにいえば、印象派以後のことであり、それほど古いことではない。
 印象派以後、題材や素材は、単なる方便にすぎなくなった。
 たとえば、ピカソは、テーブルの上のフライパンやランプを描いたが、それが皿やバイオリンであってもほとんど何の問題もないし、フライパンやランプであることには何の意味もない。意味があるのは、それらの形状であり、次に色である(キュビスムの場合は形のほうが色よりも重要である)。
 画家は純粋な美を追求する存在であって、美の外側にある余計な要素に煩わされるべきではない。

 これこそが、印象派以降の「モダン」な芸術の基本的な立場であろう。

 団体公募展の多くが、美術家・画家の「自治」で運営されており、外部の批評家などの力を借りないことを旨としている理由も、同じ地平にあるだろう。
 純粋な美を追求する以上は、外部の言説は余計なのである。画家は、日本語や英語のような言語ではなく、美の言語をもって作品に対峙し、それを読み取る。
 線、形、色。ヴァルール、マチエール。絵画であれば、ほんとうに必要なのは、そういったものだけだ。

 とまあ、こういうわけである。
 このような立場からは、原発とか戦争とかは、美の世界の外側のことなのである。

 純粋な美の追求。
 とてもすばらしいことのように思えるが、実はそうでもない。
 人間は誰でも現実社会を生きている。
 だから、現実社会から切り離された美の殿堂に向き合っていると、案外早いうちに飽きるのである。
 そして、現実とはいっさい関係ないはずの裸婦や花瓶に、現実との接点を見てしまうのである。
 と同時に、作る側も、かすみを食って生きているのではないのだから、どこかで現実を生きているのである。

 だとしたら、現実とは無関係に美を追求するという方法論は、うそくさいのではないだろうか、という疑問は当然沸き起こってくるだろう。

 もうひとつ、団体公募展に即して言えば、全会員が、聖人のような美の使徒であるなら何ら問題も起きないのだろうが、実際には、派閥づくりや権力闘争が好きな人もいて、話をややこしくしていった(=団体公募展を不純なものにしていった)。それに、多くの人が「この会員の作品はすごい。この人の言うことを聞いていこう」と思ったとしても、はたから見たら、単なるボス支配にしか見えないことだってあるだろう。


3.モダンとコンテンポラリー


 歴史的(日本の美術史的)にみても、印象派以後のモダンアートとともに成長してきたのが団体公募展であるといえる。

 それに対し、美の追求よりも、現実の世界とのかかわりに再び焦点を当てたアートが、現代の美術である。

 これは
1) インスタレーションやビデオアート、双方向アートなど、団体公募展の陳列方法ではカバーしきれない表現方法が急激に増えた
2) ある程度価値観が共有できるモダンアートに比べ、ほとんど作家の数だけ価値観に違いが出てきた
3) 現代社会の問題と結びつけるために言説(を組織する)の専門家(キュレーター)の役割が増した

という理由によって、団体公募展の枠にはおさまらないアートだということができる。

 ただし、団体公募展の評価が先輩や同僚の作り手によってなされていた、いわば「ミュージシャンズミュージシャン」的なものであったのに対し、現代美術の世界では、キュレーターの言説と、市場価格が、作家と作品を値踏みする座標軸となる。

 それって、はっきりいって、どっちがいいのかわかんないのである。
 作家にとっても、見る側にとっても、美術史にとっても。

(少なくても、市場の専制が良いことだとは、筆者にはとても思えない)

 ただ、美術史を巨視的にみると、純粋な美を追求するモダンアートは、フロンティアを失って自閉しているのはまちがいない。
 ぶっちゃけ言いかえると、新しい表現なんて、そんなにないってことだ。

 デュシャン以後、「いかに描くか」は後景に退き、アイデアとコンセプトを第一義とするコンテンポラリーアート(現代美術)がのし上がってきた。そこには、スキルを問われる職人芸が幅を利かす余地は乏しい。
 こちらは、モダンアートに比べれば、現実社会が変化していくぶん、ネタ切れの心配はない。アビチャッポンなどのおかげで、領野自体が、デュシャン時代からみても、ずいぶんと拡大している。


4.おまけ


 最後に、1. の引用文に戻ろう。

「のどかな農村風景や裸婦像を描いて」る人って、全道展にいましたっけ? 

 裸婦ねえ~。

 記憶にないなあ。

(見落としていたら、すみません。図版の載った図録が無いので、確かめようがないのです)
コメント (2)

【告知】全道展70周年/道展90周年/新道展60周年記念会員展 (2015年10月31日~12月6日、札幌)

2015年10月29日 01時01分01秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
 北海道には、絵画などの美術の団体公募展がいくつかありますが、全道規模で大きなものは、1925年(大正14年)発足の北海道美術協会(道展)、1945年(昭和20年)創立の全道美術協会、1955年(昭和30年)旗揚げの新北海道美術協会の三つです。
 この三つがお互いに競い合い、戦後の道内美術は発展してきました。

 しかし、近年は、若い世代を中心に、団体公募展離れが進んでいます。
 ギャラリーが増えて、団体公募展によらずとも、発表の場がたくさんできたことや、150号クラスの大きな絵を発表するという団体公募展のスタイルが若い人にとって非現実的になっていることなどが要因として挙げられるでしょう。また、団体公募展の側でも、インスタレーションやビデオアートといった新しい表現方法への門戸の開き方が不十分であることも大きいと思われます。

 とはいえ、全国的な趨勢に比べると、まだ道内の3大公募展は、一定の存在感を保っているように思われます。

 道内の3大公募展は、10年おきに、通常の展覧会とは別に記念の展覧会を開いています。
 今回はどんな展覧会になるのでしょうか。


全道展70周年記念企画展<会員・会友展>
2015年10月31日(土)~11月8日(日)午前9:30~午後5:00(入場~4:30)。会期中無休

 ○講演と演劇 10月31日(土)午後1~3時
 ※講演は美術評論家の村田真さん。無料



道展90周年記念企画展
11月14日(土)~23日(月)午前9:30~午後5:00(入場~4:30)。16日休み

 ○ワークショップ 11月21日(土)・22日(日)
 ○震災復興チャリティー展 11月16日(月)~21日(土):札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)



新道展60周年記念会員展
11月28日(土)~12月6日(日)午前9:30~午後5:00(入場~4:30)。30日休み

 ○大平まゆみヴァイオリンコンサート 29日(日)午後3:30
 ○記念会友展 11月26日(木)~12月1日(火):大同ギャラリー(中央区北3西3 大同生命ビル3階)


関連記事へのリンク
「全道展」と「道展」ってちがうの? という人のためのテキスト (2009)




・地下鉄東西線「西18丁目駅」から約400メートル、徒歩6分

・中央バス、ジェイアール北海道バス「道立近代美術館」から約180メートル、徒歩3分
(札幌駅バスターミナル始発。手稲方面行きの全便が停車します。小樽、岩内行きの都市間高速バスも北大経由をのぞき全便がとまります)

・市電「西15丁目」から約740メートル、徒歩10分

・ジェイアール北海道バス「54 北5条線」(札幌駅前―長生園前)、「58 北5条線」(札幌駅前―琴似営業所前)で「北5条西17丁目」降車。約560メートル、徒歩8分
・ジェイアール北海道バス「桑11 桑園円山線」(JR桑園駅―円山公園駅―啓明ターミナル)で「大通西15丁目」降車、約440メートル、徒歩6分(ギャラリー門馬やギャラリーミヤシタから1本で来られる)

・JR桑園駅から約1.3キロ、徒歩18分
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■第69回全道展・版画、彫刻、工芸 (2014年6月14~21日、札幌)

2014年06月22日 02時22分22秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
承前


 版画。

 伊藤倭子、大井戸百合子、大野重夫、渋谷正巳、玉村拓也、手島圭三郎、渡会純价、和田バロウズ裕子(いつからこんな名前になったんでしょう)といったベテラン勢については安心して見ることができるので、何も言うことがない。福岡幸一はなおアンモナイトシリーズ。水落啓はのんきな感じが良い。
 関川敦子「雨の日はレモネード」は、細部に遊びが満ちた楽しい作。彼女の作品には、擬人化した動物と、人間の同居する場面がよくみられるが、今回も窓の向こうでは、レインコートを着た猫が散歩している。リードをつけて連れているのがカタツムリなので、この散歩、いったい何時間かかるかわかったものではない。カタツムリの殻の渦巻きが、パリ20区の地図になっているのが愉快。

 会友もバラエティーに富んでいる。重岡静世は、1版多色刷りによるラフな感じが魅力。
 あと、今年の最大の特徴は、道都大中島ゼミ勢がほぼ姿を消し、松浦進と川口巧海だけになってしまったこと。川口は新会友で、2点陳列となっていた(これは異例のこと)。
 そのため、ポップなシルクスクリーン作品が少なく、穏やかな木版画や銅版画が多数を占めることになった。

 また、絵画で新会友となった南雲久美子がこちらで入選していたのも目を引く。

 一般入選では、長澤満「静寂」が、地味ながらシンプルで好感。


 彫刻。

 こちらも伊藤隆弘、岡沼淳一、小野寺紀子、黒田栄一、田中隆行といったベテラン会員は非常に安定。
 以前に比べると二部黎はずいぶんおとなしくなったが、枯れた感じもいいと思う。

 神田比呂子「Rと猫」。
 女性が抱えている猫は、夫の神田一明の絵に登場してるのと同じ猫かな? 

 川上勉「Sleeping beauty II」
 題こそ「眠れる美女」だが、まるで棺の中で永遠の眠りについた少女のような面持ち。ちょっとドキッとするような美しさだ。目のところに、本物のつけまつげを付けているようで、これも迫真の理由かもしれない。
 モノトーンとは言え、おそらく着彩しているのだろう。となると、あらためて「彫刻と人形の違いは何か」という難問が浮上してくる。
 ちなみに奥さまの川上加奈「ドーナツたべた」も着彩の人物立像で、同じ問題意識を抱かせる。

 また、野村裕之「訪ね得ぬ側」、森川ヒロシ「時のかなたに」は、彫刻と風景のかかわりについて考えさせられる。

 会友では、佐々木甲二「楔」が、堂々の量塊性で、周囲を圧していた。

 
 工芸。

 前回見たときにくらべ、「あれっ?」と思わせるジャンルの作品(フィギュアなど)が見当たらないのが少し残念。
 ガラスの新関千裕「陽に向かう」は、爽やかな造形と色調で、会員推挙も納得。

 一般では、香西毅、田嶋裕子の安定が捨てがたい。


 ところで、今年は札幌市民ギャラリーが改装工事に入るため、全道展の日程がいつもより早まった上、短縮されてしまった。これは残念だ。来年はもう少し長い会期で見られるようになってほしい。


2014年6月14日(土)~22日(日)午前10時~午後6時(最終日~4:30)、会期中無休
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)

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第64回全道展 ■続き
第63回全道展 ■続き ■続き

第58回全道展
第57回
第56回



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■第69回全道展 全体の印象・絵画(6月14~22日、札幌)

2014年06月22日 01時01分01秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
 最初の感想は
「作品が以前より少ないな」
というものだった。
 札幌市民ギャラリーで開かれる団体公募展といえば、多くが2段掛けで、絵の左右を詰めてびっしりと陳列する、というイメージがあったからだ。
 ことしの全道展は、陳列点数497点。もちろん、大変な数ではあり、筆者も3時間ぐらいかかって鑑賞したが、以前にくらべると2段掛けの壁が減り、絵と絵の隙間もあったように見受けられた。
 すくなくても、「道展U21」や毎日書道展などの過密ぶりとは、様相が異なるといっていいだろう。

 ちなみに10年前と比較すると、2004年(第59回)は、549点だった。
 今年が会員149点、会友104点、一般244点。
 2004年は会員129点、会友108点、一般312点。
 今年は一般の点数が減り、会員・会友の合計を下回っている。
 さらにいえば、一般の応募点数は、今年が532点だったのに対し、第59回は869点だった。
 もっとさかのぼると、1990年(第45回)は、応募点数1123点、入選307点、陳列点数計520点。
 過密な会場は疲れるから、今回のような会場構成は、見る側はありがたい。しかし、全道展という組織の維持のことを考えると、これはてこ入れをすべき状態ではないかと思う。
 とくに、彫刻が、応募14点に対し入選12点(うち奨励賞3点)というのは、そもそものジャンルのあり方も含め、抜本的に考えた方がよい時にきているのではないだろうか。

 以前も書いたが、全道展はかつて佐藤忠良、本郷新、北岡文雄、斉藤清、川上澄生、赤穴宏、国松登といった、とても県展とは思えない作家を多く擁し、その後も、一原有徳や安田侃、神田日勝らの会員を輩出して、戦後の北海道美術で大きな役割を果たしてきた団体である。
 今年の会場、とくに会員の絵画の壁面は、80代が多い。厳密に数えたわけではないが、たぶん70代以上で過半数を占めていると思う。このままでは、さらに会場がスカスカになっていくおそれは否定できないだろう。すそ野が再び拡大していくことを望みたい。


 作品について。

 絵画。

 やはり、森弘志「せんべい」がおもしろい。
 道新の夕刊にも図版が載っていたので、見た人もいるだろうが、さまざまな種類のせんべい208枚を、おおむね大きさで、等間隔に並べて、正面から描いただけの絵である。
 驚異的な写実力もさることながら、こんなものを絵にしてみようという発想が、ぶっ飛んでいるとしか言いようがない。いつも斜め上を行く森さんの発想にはあらためて敬意を表したい。

 土屋千鶴子「晴れた日は車に乗って」。
 土屋さんが自画像を描いたのは初めてではないか。車といっても、がらくたを詰め込んだ荷車のようなものだ。正面性の強い構図と、明るい色調の同居がおもしろい。

 渡辺貞之「大きな樹の下で」。
 大木の近く、長テーブルを前に並んで横一列に坐る少年と2人の少女。人物のデッサン力の高さは定評があるが、木の枝からつり下げられたぶらんこや、テーブルの下に転がっているリュートのような楽器とか、壊れたものたちの来歴が気になる。

 会友では、小島英一「歩道橋A」が、大都市のビル群や道路、群衆を、黒と紫のみで描き、インパクトを感じた。
 新会員の西村徳清「Hejira - 逃避行 III」は、チ・カ・ホにたたずむ男を正面から描出。これは、写真では難しい、絵画ならではの表現だと思う。
 高橋将「ODYSSY 12」は、お菓子のパッケージや新聞チラシなどが細かく描かれていてこの人らしいが、今作ではほぼモノトーンの表現にしたことで、以前見られた諧謔性のかわりに重い感じが前面に出てきている(図録には「将」の字が正字になっている)。
 土井善範「童夢~希望への旅立ち」は、暗い背景に、螺旋状の建物を背負ったゾウなどが登場し、童画ふうの世界が楽しい。

 協会賞は岡野修己「眠れない宙 II」。
 新聞で見たときには、なんかひょろひょろして迫力のない絵だなあと思っていたが、実物を見るとかなり印象が違う。黒い色斑が浮遊するさまは、魂がふわふわと漂う様子にも見えるし、プロ野球で観客席から放たれる風船を思い出させもする。不思議と目の離せない絵である。

 奨励賞では、海岸で傘をさす女性と砂地に突き刺さるたくさんの傘を描いて不思議な世界を現出させる、モリケンイチ「なくした時間」が印象的。
 竹澤瑠美子「THE SUSUKINO」は、スーパーリアリズムの手法でススキを描いているが、この題だと、なんか違う場所を思い出します(笑)。
 和田道「偶想」は、黒一色だけによるパワフルな抽象表現。

 新会友は8人と多く、しかも全員が女性。
 大田玲子が「札幌市豊平区」になっていて、いつ北見から移ってきたのだろう。群青を主体にした抽象はキレがある。

 一般では、水彩画が増えているという印象を持つ。あと、50号くらいの、これまでの基準でいえばやや小さめの作品がけっこう多い。
 横山正義、西澤直樹、小林麻美、仲野美砂子、宇佐美修一などが目を引いた。


 長くなってきたので、版画、彫刻、工芸は別項


2014年6月14日(土)~22日(日)午前10時~午後6時(最終日~4:30)、会期中無休
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)

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