北海道美術ネット別館

美術、書道、写真などの展覧会情報や紹介。毎日更新しています。2013年7月末、北見から札幌に帰還。コメントはお気軽に。

2017年5月の主な展覧会

2017年05月31日 23時23分00秒 | 主な記事へのリンク
 2017年5月のおもな展覧会の記事へのリンクです。
 書き終わっていないエントリには、まだリンクがはられていません。

 ■は、エントリ更新時点で終了しているもの、■■は終わっていないものを示します。

 カテゴリー分けは厳密なものではありません。


現代美術
ファッション / Fashion 東方悠平
吉増剛造展「火ノ刺繍乃る=道」
■■Mitsuko Miyakawa “MY NAME IS CHAPA” 宮川未都子展「マイ・ネーム・イズ・チャパ」


絵画
カナダ・イヌイトの版画たち 北海道立北方民族博物館所蔵展
竹岡羊子展―見果てぬ夢を追い求め…。
第35回一線美術会北海道支部展■第19回 蒼樹会北海道支部展
富田幸衛展
高橋弘子第11回個展『たぶん世界に私しかいない』
鈴木秀明小品展
高橋シュウ個展 未来の遺跡(混合技法・銅版画)
井上まさじ展


彫刻
國松明日香の今日展


写真
■■森山大道写真展
きらく写真展6丁目


工芸
絵付けの陶器展2017「草花のうつわ」なな窯土裕陶房 新林裕子
中田ゆう子バティック染め絵画展


複数ジャンル・その他
■■アフリカの仮面と彫像
第24回大正館(収蔵品)展/本城義雄油絵展
アトリエBeehive 展
第50回記念さっぽろくろゆり会展
男のドォルハウス
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■ファッション / Fashion 東方悠平 (2016年3月1日~5月31日、札幌)

2017年05月31日 09時17分56秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 ひえ~、ごめんなさい。最終日です。

 あらかじめ書いておくと、筆者は、東方ひがしかた悠平さんに悪意を抱いているわけではありません。
 ですが、500m美術館での映像作品も、すすきの夜のトリエンナーレも、、「HUE Project Vol.1/東方悠平:Authentic Fabrication -Sapporo 軟石を投じる」も、天神山での個展も、見てはいるのですが、ブログでちゃんと書いていないのです。

(さすがに「キャラクターになろう!? 狙えポストまんべくん!」は、会場が渡島管内長万部町と遠かったので、見てません)

 東方さんは、1982年札幌生まれ。道教育大では金属工芸を学び、その後、筑波大の大学院に進学しました。
 神戸ビエンナーレに出品したり、アーティスト・イン・レジデンスで各地に滞在したりしたあと、この数年は札幌を拠点にしていましたが、先ごろ青森県八戸市に移っています。
 「笑い」をテーマに、天狗を題材にした作品を手がけ、札幌ではもっとも活発に発表していた現代アート作家のひとりだったと思います。インスタレーションやビデオのみならずプロジェクトに多く携わっていたという点では、札幌でいちばん現代アート作家らしい存在だったといえるかもしれません。

 今回は、某有名コーヒーショップ・チェーンのロゴをパロディーにした「TENGUBUCKS Cafe」という文字が大きく踊っています。
 てんぐバックスは、ネット検索すると、もともと鳥取県倉吉市で東方さんが行ったプロジェクトで、昨年は神戸でも展開されました。
 倉吉での実施当時、鳥取県にはまだスターバックスコーヒーが進出していないことが
「スタバはないけど砂場(=鳥取砂丘)はある」
などと、ちょっとした話題になっていました。



 今回に関しては、JR札幌駅のブースに作品を配置するというスタイルになっており、プロジェクトというよりは、現代社会を諷刺したインスタレーションになっています。
 作者のステイトメントを引用しておきます。 

《循環する水を浴び続けるマネキン》が象徴するのは、
所有欲や消費欲を満たすことに浸りながら日々を暮らす私たちです。

冷戦終結以降に絶対的なものになった資本主義的な価値観の終焉は近く、
現在、政治経済や文化、宗教、教育、など多くの分野において
その歪みがさまざまな形であらわれてきていると感じています。
この作品では、資本主義的価値観の一つの要素でもあるグローバルと、
そのはるか以前から存在した、ローカルの象徴する《天狗》との衝突から、
これから生まれてくる新しい価値観について探ることを試みました。


 ここでは世界的コーヒーチェーンはグローバリゼーションの象徴とされています。
 まあ、マクドナルドでもレクサスでもグーグルでもかまわなかったのかもしれませんが…。

 一方、天狗は「ローカル」という位置づけです。地域的というよりは、日本の土俗的・伝統的な表象ですね。
 ただし、ここの文脈を外していえば、性的なものを表象しているともいえます。




 ブースの中には所狭しといろいろなものが並んでおり、統一感はありません。この雑然とした感じこそ、現代らしさなのでしょう。
 温泉旅館によくある「ケロリン」の黄色い湯桶があるのは、シャワーする女性への配慮?でしょうか。「ブラックニッカ」のウイスキーボトルの中には黒い水が詰まっています。考えてみれば、ブラックニッカは別に黒いわけではなく、サントリーレッドは赤くないわけで、洋酒のネーミングって不思議ですよね。
(ここから、西洋文化受容期におけるシニフィエとシニフィアンの関係に話をもっていきたい人は自由にやってください)


 これは、福岡県の名産菓子「にわかせんぺい」に付いてくるお面です。
 せんぺいはせんべいの方言で、にわかせんぺいは安くておいしい上、お面で遊べるので、九州のお土産としておすすめです。

 「市場経済」の「次」を考えるには、マルクスのように「生産様式」で考えるのは不十分で、「交換様式」を考えたほうが良い―と力説したのは「世界史の構造」(岩波現代文庫)での思想家・柄谷行人からたにこうじん氏です。
 いずれにしても現代のような交換様式が生まれたのが14世紀ごろの南ヨーロッパで、それが工場生産・産業革命とあいまって世界に広がっていくのが19世紀に入ってからですから、それ以前の人類の歴史に比べるとごく短いスパンしかなく、「次」を見通すのは至難の業としかいいようがありません。
 そういう大きなパースペクティブで考える話を、小さなスケールのインスタレーションでやってしまったというあたりに、そこはかとないユーモアというかおもしろさが感じられるというのは、考えすぎでしょうか。



 筆者はけっしてこの作品を批判しているわけではありません。
 むしろ逆で、こういうふうに社会や歴史を大きく見据えてアートに取り組む人が、道内には少ないと常々感じてきました。
 もちろん、身近な感覚を大切にしながら作品をつくる作家を否定しているわけではないのですが、道内に関して言えば、そういう「半径50メートル派」というか「小確幸」的な作家のほうが多く、東方さんのようなアプローチは貴重なのです。

 残念ながら札幌を去ってしまったわけですが、これからも天狗のようにフットワーク軽く、楽しい作品を作っていってくれたらうれしいです。


2017年3月1日(水)~5月31日(水)
JRタワー アートボックス(JR札幌駅構内、西側コンコース)

http://higashikata.com/

【告知】HUE Project Vol.1/東方悠平:Authentic Fabrication -Sapporo 軟石を投じる
すすきの夜のトリエンナーレ (2014、画像なし)
2004 金工展 北海道教育大学札幌校 芸術文化課程美術コース 金属造形研究室展 (画像なし)
北海道教育大学札幌校芸術文化課程美術コース作品展 七月展(2002、画像なし)
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5月30日(火)のつぶやき その2

2017年05月31日 00時47分56秒 | 未分類・Twitterのまとめ・その他
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5月30日(火)のつぶやき その1

2017年05月31日 00時47分55秒 | 未分類・Twitterのまとめ・その他
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札幌芸術の森美術館の2017年度日程

2017年05月30日 18時09分41秒 | 道内美術館の日程
 札幌芸術の森美術館から本年度の展覧会スケジュールが送られてきました。
 ありがとうございます。

 すでにツイッターでは速報していますが、あらためて日程をお知らせします。

札幌美術展 旅は目的地につくまでがおもしろい  4月8日~5月28日
(終了しました)
岩合光昭写真展 THE CATS ねこ科 ねこは野生生物だ。  4月29日~7月23日(日)
(野外美術館で開催中)

月光ノ絵師 月岡芳年  6月3日(土)~7月23日(日)

札幌国際芸術祭 2017  8月6日(日)~10月1日(日)

現れよ、森羅の生命― 木彫家 藤戸竹喜の世界  10月14日(土)~12月17日(日)

中庭インスタレーション 佐藤千穂  10月14日~12月3日(日)

新海誠展 2018年1月3日(水)~2月25日(日)

芸森の名品 II 3月10日(土)~4月22日(日)


 無料でもらっておいて文句を言うのもなんですが、可能であれば来年度からはもう少し早めに発表していただけると助かります。
 また、新海誠展の説明に<記録尽くめの大ヒットとなった「君の名は。」>とありますが、これは「記録尽くし」と「記録ずくめ」が混在した誤記と思われますので、機会があれば手直しをしたほうがよいでしょう。

 冒頭の画像が、季節外れでどうもすみません。
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■Mitsuko Miyakawa “MY NAME IS CHAPA” 宮川未都子展「マイ・ネーム・イズ・チャパ」(2017年5月3~31日、札幌)

2017年05月30日 01時01分01秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 宮川未都子さんは札幌生まれ、藤女子大の出身。
 ロシア語通訳として活動した時期を経て、アートに興味を抱いて文化学院に学びました。
 文化学院で先生に「留学するなら早い方がいい」と背中を押されて2000年から6年間、ニューヨークへ留学。帰国後は長野県を拠点に国内外で作品を発表しているとのこと。
 道内での個展は初めてです。

 全体的には平面(抽象画)が多く、冒頭画像の右側は「かけはし」。
 987×1447ミリの大作で、さまざまな色の布をコラージュしながらも、基調としては深い青が印象的です。

 その奥は「漂流列島と嘆きの天使」。
 ニューヨーク滞在時、カーネギーホールの裏通りで拾った3本脚のいすに、松葉杖を取りつけた作品で、人間の尊厳や可能性などを見る人に考えさせる作品。
 上部を飛ぶ「嘆きの天使」は、トンボに似た形状をしています。


 「Beat of Universe」はニューヨークに渡った頃の作品で、こちらは暖色が基調。革が素材です。
 オーカー系で表現された建物と人物から、大都市に生きる人々の孤独が伝わってくるようです。

 うまく言えないのですが、ロシアやニューヨークで暮らした宮川さんの作品世界は、どことなくコスモポリタン的な広がりがあるように感じました。その素地は、開放的な戦後の札幌でつくられたのかもしれない、などということを思ったのでした。


2017年5月3日(水)~31日(水)午前11:00~午後7:00(月曜日・第3火曜日休廊)
クラークギャラリー+SHIFT(札幌市中央区南3東2 MUSEUM 2階)




□SHIFT 日本語版の関連ページ http://www.shift.jp.org/ja/blog/2017/04/mitsuko-miyakawa-my-name-is-chapa/
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5月29日(月)のつぶやき その2

2017年05月30日 00時47分03秒 | 未分類・Twitterのまとめ・その他
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5月29日(月)のつぶやき その1

2017年05月30日 00時47分02秒 | 未分類・Twitterのまとめ・その他
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■鈴木秀明小品展 (2017年5月24~29日、札幌)

2017年05月29日 15時03分00秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 函館の画家、鈴木秀明さんが今年も小品展を開いています。

 美術文化協会と新道展の会員でもあり、両展にはいつも、古代ギリシャの彫像が崩壊する様子など、世紀末愛好者や廃墟好きにはたまらない大作を出品していますが、小品展は、花などの静物画や、静物と風景を組み合わせた端正な作品が中心です。もちろん、写実的なタッチは変わりません。 


 ただし、小品のなかに、鈴木さんらしい題材を見つけました。手前(左)の「サンジミニャーノ」です。
 昔、有力者たちが競って塔を建設したというイタリアの村。古びたルネサンスの村は、鈴木さんの作品世界にぴったりの舞台だと思います。
 もっとも筆者はイタリアに行ったことがないので、勝手に想像で言っているだけですが…。
 十数年前に訪れた鈴木さんによると、特に、建物がたくさん崩れたり、廃墟になっていたりというわけではないようです。

 冒頭の画像は「山葡萄」。
 ほかに「チューリップ」「薔薇」「湿原の水仙」など。
 単なる花の絵ではなく、風景などと組み合わせることで、画面が広がりを感じさせます。

 「鍵とバラ」も、そんな一枚です。


 ところで鈴木さんは、この個展が終わるとすぐに、5月31日(水)から、十勝管内鹿追町の福原記念美術館で「画業45年 鈴木秀明小品展」が始まります。
 6月18日(日)まで。午前9時30分から午後5時まで(最終日~3時)、入館30分前まで、月休み。
 一般600円など。
 週末は函館から通い、在廊する予定とのこと。

 さらに、7月20日(木)から26日(水)には、さっぽろ東急5階美術画廊で「鈴木秀明油彩展」も開きます。
 東急百貨店での個展は初めて。
 午前10時~午後8時(最終日~午後5時)。

 「体が動くうちに動いておかないとね」
と話す鈴木さんは1948年生まれ。
 東急の個展の案内状やポスターなどはパソコンのイラストレーターを駆使して自作しているとのことで、その若々しさには、自分も見習わなくてはと思うのでした。


2017年5月24日(水)~29日(月)午前10時~午後10時(土日月~午後7時、最終日展示~5時)
カフェ北都館ギャラリー (札幌市西区琴似3の1)

ツイッター @maru311595


関連記事へのリンク
鈴木秀明個展 (2016)
第41回美術文化北海道支部展 (2013)

北のアーティストドキュメント「鈴木秀明」

第54回新道展 (2009)
鈴木秀明展 (2009)

第36回美術文化北海道支部展 (2008年9月)
第35回美術文化北海道支部展 (2007年)
第34回美術文化北海道支部展(2006年)
新道展50周年記念展

鈴木秀明展(04年)
第31回美術文化北海道支部展
第30回美術文化北海道支部展
鈴木秀明展(02年)
第29回美術文化北海道支部展





カフェ北都館ギャラリーへの道順


・地下鉄東西線の琴似駅から約270メートル、徒歩4分
・JR琴似駅から約740メートル、徒歩10分

・ジェイアール北海道バス「山の手一条通」から約920メートル、徒歩12分(快速、都市間高速バスは通過)
・ジェイアール北海道バス、中央バス「西区役所前」から約960メートル、徒歩13分
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■高橋弘子第11回個展『たぶん世界に私しかいない』(2017年5月17日~29日、札幌)

2017年05月29日 01時01分01秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
1.絵の全体像

 札幌の高橋弘子さんの制作・発表ペースは依然としてすさまじい。ちょうど1年前の個展が第8回だった。ほかにも、グループ展に出品している。
 今回の個展は、140×700センチの大作アクリル画「たぶん世界に私しかいない」1点のみという、非常に潔い会場構成。
 キュレーターとして、札幌国際芸術祭2014のスタッフで、現在は横浜トリエンナーレ2017のアシスタント・キュレーターを務める大下祐司さんが参画しているのが目を引く。道内の個展で、キュレーター名がクレジットされていることは、非常に珍しい。
 大下さんは長文のテキストも寄せており、表裏に印刷した紙を持ち帰ることもできる。

 会場の長辺から逆算して割り出した作品サイズなのだろう。
 F120号を4枚つなげたよりも大きい計算となり、相当な迫力だ。

 岩場のような荒涼とした土地が作品の舞台。
 画面左側に1頭のオオカミがいる。
 画面のほぼ中央で、戦っている2頭の黒いオオカミが描かれ、この大きな作品の中でも中心となるような最も目立つモチーフだ。
 さらに、その右側手前にわなのような物が描かれ、画面右サイドの山の上には、幽霊のような白っぽいオオカミがいる。
 画面全体に、白く細い縦線が描かれ、雨が降っているように見える。

 全体として、絵の横幅は相当なものなのに、モチーフの数は絞っているといえる。


2.2頭の黒いオオカミ

 これまでも彼女の絵の多くにオオカミが登場していた。
 今回のオオカミがこれまでと一番異なっているのは、このメインの2頭を見ると一目瞭然である。
 これまで高橋さんが描いてきたオオカミは細かい毛並みなども描写されていた。
 しかし今回は黒で平坦に着色され、かなりデフォルメがなされている。

 この2頭は、互いの首を嚙み切るように死闘を演じている。
 だから、残酷な描写を避けたという見方も不可能ではないが、これまでの高橋さんなら、グロテスクさもいとわずリアルに描いたはずであろう。

 むしろこの黒一色の描写は、ラスコーの洞窟壁画などを想起させる。
 従来も高橋さんの絵のオオカミは、どこか神話のような雰囲気を宿していたが、今回の描法変更により、その性質がいっそう強まったのではないかと思われる。

 そもそも現実においてオオカミはお互いを死に至らしめるほどの戦いをするだろうか?
 縄張り争いはする動物は多い。しかし、殺しあいまでする高等動物は人間だけらしい。
 そう考えると、この2頭は、博物学的、現実的な存在というよりも、ますます概念的、観念的な存在としてのオオカミであるといわねばなるまい。


3.展覧会とテキスト

 ところで、大下さんが寄せたテキスト「火葬場、そこにまだ灰のない骨のために」は、シートン、アリストテレス、プラトンからデリダまでを縦横無尽に引用し、人間と動物の生と死について考察した、力のこもった論考である。
 安易な要約を拒む文章であるが、骨を生きているうちに見ることのできない不条理さのうちに、骨が精神的なものでありうる可能性に言及している。

 筆者がこのテキストを擁護するのは、そもそも道内の美術界で、とりわけ近年、このようなテキストの需要が極端に減っているように思われるからという面もある。
 ここまで長文のテキストを会場に置く例は少ないと思うが、展覧会の案内はがきなどに、美術評論家による紹介文を添えることは、札幌でも東京でもかつては広く行われてきた。
 しかし、東京では、団体公募展系から現代アート系へのシフトが少しずつ進む中で、こういった文章の需要が増える一方、札幌や道内では、目にする機会がむしろ減少していっているように感じられる。

 最近では、帯広コンテンポラリーアートの図録は、主催者側のテキストだけで、評論は一切載っていないし、昨年で幕を閉じた「北海道現代具象展」の図録に至ってはテキストが皆無である。
 地元紙も1紙がなくなり、もう1紙も本格的な展覧会評をあまり載せなくなって久しい。
 美術にまつわる文章の量が絶対的に足りないのだ。

 展覧会の案内はがきに付す気の利いた紹介文もなく、自主企画の展覧会の図録に載せる評論文も無いようでは、北海道の美術シーンは21世紀に入って、ますます中央から引き離されていくのではないかと感じてしまう。
 これについて、実作者や鑑賞する側、キュレーター、ギャラリストの意見を聞いてみたいと思う。



2017年5月17日(水)~29日(月)午後1時~10時30分、火休み
ギャラリー犬養(豊平区豊平3の1)


http://hirokotakahashi.net/
□twitter @harutoki_k

高橋弘子第8回個展『DAMAGED』 (2016)
高橋弘子第2回個展「Subjective observation」(2015)




・地下鉄東西線「菊水駅」から約700メートル、徒歩9分
・中央バス「豊平橋」から約180メートル、徒歩3分

・地下鉄東豊線「学園前駅」から約1キロ、徒歩13分
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5月28日(日)のつぶやき その2

2017年05月29日 00時47分28秒 | 未分類・Twitterのまとめ・その他
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5月28日(日)のつぶやき その1

2017年05月29日 00時47分27秒 | 未分類・Twitterのまとめ・その他
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■吉増剛造展「火ノ刺繍乃る=道」 (2017年5月16~28日、札幌)

2017年05月28日 18時06分23秒 | 未分類・Twitterのまとめ・その他
 毎年行われている、temporary space での企画展。
 吉増剛造さんは1960年代から活動を続ける詩人で、近年は活動の場を美術にも広げている。昨年、東京の国立近代美術館で個展が企画され、今年は札幌国際芸術祭への参加も決定している(会場は北大の総合博物館)。
 詩についていえば、当初から長編詩への志向が強くあったと思う。1990年代以降、ルビやタイポグラフィの活用で、印刷技術の極限を試すかのような作品が多くなった。

 テンポラリースペースからはeメールで次のような文章が来ていた。

前回「怪物君 歌垣」前々回「水機ヲル日」に続き花人村上仁美さん、
そして2回目「ノート君」以降常連の映像作家鈴木余位さんの参加を
今回も得て、ひとつの集大成のようにここでの展開が試みられます。

(中略)

今回鈴木余位さんは、昨年末の新宿ピットインでの吉増・大友良英
競演の映像をメインに映像で会場構成を、村上仁美さんは自宅・石狩河口
実家釧路近郷の湿原の石を素材に空間構成し参加します。


 会場に行ってみると、入り口をふさぐように、低い台の上に、詩行らしきものが書かれた紙が4枚置かれていた。一般的な横長の原稿用紙ではなく、むしろ縦長に近い形状。
 文字がおそろしく小さい上に、その上から絵の具がぶちまけられ、さらに白い絵の具の飛まつが散っていて、ほとんど判読できない。

 会場の中央の床上には、低い円錐形の砂山が鎮座していた。
 そして中央と、左手の壁には、上記のピットインでのライブ映像が流されている。
 なお、この会場は、はしごで上った中二階にも作品が展示されることがよくあるが、今回は映写機が設置されているだけで、作品はないようだ。

 結界のように台が置かれている上に、すでに会場内で2人がいすに腰掛けて映像を見ているので、入りづらかった。


 絵の具で覆われた原稿を見ていると、疑問の念がわきあがってくるのを抑えることができない。

 吉増剛造氏にとって「詩人」という肩書は何なのだろう。あるいは「詩」という媒体についてどう思っているのだろう。

 すぐれた現代のアーティストは、表現手段に対してラジカルな問題意識を抱くことが多い。ジョン・ケージにせよ森山大道にせよジャンリュック・ゴダールにせよ、音楽や写真や映画そのものを根底から批判し否定しているように見える。しかし、いずれも、否定のままにとどまらず、住み慣れた土地にもどるように、それぞれの媒体へと戻っていく。
 ジョン・ケージが4分33秒の後も沈黙を続けていればすでに音楽家ではないだろうし、カメラをテレビ画面などに向け続けた森山大道が再び街路に出てシャッターを押すことがないままだったらもう写真家とは呼べないだろう。どんなに根源的な問いを自作につきつけても、写真そのものは、最後の最後のところで、うたがったりしないのではないだろうか。

 だとしたら、せっかく言葉をつむぎ、搾り出した原稿の紙を、ほとんど読めなくして提示するというのは、吉増氏は言葉を信じていないのだろうか。
 こんなことを考える筆者が、保守的なのだろうか。

 アートの目線の人はきっとあまりショックを受けないのだろうけど、筆者はことばを使う人間の目線で見るので、正直言って、こういうふうにことばをないがしろにしてほしくないと感じた。ほかの人ならいざ知らず、吉増氏は「詩人」なのだから。



2017年5月16日(火)~28日(日)午前11時~午後7時、月曜休み
テンポラリースペース(札幌市北区北16西5)


吉増剛造展 怪物君(2013)
詩の黄金の庭 吉増剛造展 (2008)
詩の黄金の庭 吉増剛造展と「石狩シーツ」 (2008)





・地下鉄南北線「北18条駅」から約450メートル、徒歩6分

・中央バス「北18条西5丁目」から約310メートル、徒歩4分
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2017年5月23~26日は計12カ所(2)

2017年05月28日 16時17分20秒 | つれづれ日録
(承前)

 5月24日(水)

 病院の後、100円バスで札幌駅前へ。北海道銀行札幌駅前支店ミニギャラリーで三明伸さんらの絵画グループ展を見ました。



 25日(木)

 喫茶いまぁじゆで佐藤武銅版画展。
 月明かりを主題としたモノトーンの作品ばかり13点。どこか遠い国へのあこがれを感じさせる作品群です。
 27日まで。



 26日(金)

 ハートランドホーム・ショールームで中田ゆう子バティック染め絵画展(~27日)
青玄洞で「硝子と竹籠 巳亦敬一&やまわろ展」(~30日)
→ギャラリーミヤシタで山田恭代美展 みずとひかり(~28日)
シンビオーシスで山口賢一展覧会「Painting」(~30日)

の4カ所。



 27日(土)

 ト・オン・カフェで河合春香個展「くゆらす霧の行方」。ペインタリーな抽象画。
→temporary space で吉増剛造展

 トオンでは、札幌国際芸術祭でも展開される「Open Gate」のミニ写真集を中村さんに見せてもらう。とてもすてきだが、いったいどういう展覧会になるのか、やはり実地に体験してみないとわからないのだろう。
 木彫り熊のコレクターYさんにお会いする。

 ギャラリー犬養にも寄る。
 高橋弘子 「たぶん世界に私しかいない」と亀山タカヒロ「私たちの戦争」。

 高橋さんはオオカミを描いた大作1点のみという潔い構成。

 亀山さんは細密ボールペン画6点による初個展。
 絵を見ていたら、和服姿で化粧をした作者ご本人が登場して、びっくりした。

 作品はいずれも背景を白く抜き、少女など人物の上半身のみをリアルな筆致で、幻想性を交えて描いている。
 「8月6日」は、少女の頭部にミサイルが突き刺さり、そのミサイルには、日の丸(ここだけ赤い)が描かれた複葉機の模型のようなものをくわえたトカゲ? が這っている。
「すぐに答えが出るような絵にはしたくないので」
と亀山さんの言やよし。

 単に細密でおどろおどろしいだけではないボールペン画の作者として、今後も注目していきたいです。

 29日まで。 
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■富田幸衛展など 2017年5月23~27日は計12カ所(1)

2017年05月28日 15時20分43秒 | つれづれ日録
 仕事の分量はそれほどでもないのに、夕刊で朝からの勤務になったり、朝刊で昼から深夜までの勤務になったりして(夕→朝→夕→朝)、まったく規則正しい生活になっていない。

 たぶん23日ではなく、それよりも前だと思うけれど、道新ぎゃらりーと道新ぷらざDO-BOXで第64回写真道展の「審査会員・会友作品展」を見る。
 そして「いい写真とはなんだろう」と考える。


 23日は、さいとうギャラリーとスカイホールへ。

 さいとうギャラリーでは富田幸衛展と水野スミ子個展。

 富田さんの個展は4年ぶりだが、前回は筆者は札幌におらず拝見していない。リアリズムの手堅い風景画や群像画。色はやや薄めだが、黄緑など寒色が強調されている。
 「切ぎしの家並」はコンクリートの高い壁とその上にある住宅地を望んだ風景画。アニメ「耳をすませば」に登場しそうな景観だが、家々の間にポプラが見えるので、札幌だろうか。
 「風の砦」は海沿いにありそうな、板塀をめぐらせた民家がモティーフ。家の手前に転がった球形の消波ブロックが20個ほど描かれていて、おもしろい効果をあげている。
 「工房の女たち」と「アトリエの女たち」は、いずれも縦位置の構図で、女性3人を描いているので、連作のように見える。前者は版画工房だろうか、奥にプレス機が見え、3人はいずれも別の作業をしている。
 後者はひとりがイーゼルに置いたキャンバスに絵筆をふるう女性の背後で、2人が制作を見守っている。

 富田さんは、伊藤仁の評伝「微光のソノリテ」や、政治・社会の側から戦後美術史を解説した「社会史の中の美術家たち」の筆者として筆者は記憶しているが、ご本人にはお会いしたことはない。

 水野さんも、ギャラリー大通美術館での大規模な「千展」でおなじみ。個展は1年ぶり。
 タッチはますますすばやくなっている。一時は完全に抽象になった感があったが、今回はゾウが中央に描かれている。


 スカイホールは久しぶりに3室が三つの展覧会に使用されている。
 安達久美子個展。道展会員・一水会会友による、ごく穏やかなリアリズムの風景画。「川床」は、川の上流にたゆたう水の描写に神経が注がれている。

 奥の部屋での「小泉善博やきものオブジェ展」は、なんというか、びっくりした。
 中央に置かれた「大地」は高さ2メートルほどある正八角形の樹木のような大作で、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」を流しながら優雅に回転している。そして1分おきぐらいに、内側の八角形が伸び上がったり縮んだりする。
 壁には、シリンダーなどを使っての制作手順が二十数工程にわたって事細かに解説されている。

 これはアートだろうかと考える。
 工学系の人が陶芸に取り組めば、こういうふしぎな方向に走ってしまうのかもしれない。おもしろいことはおもしろい。


 いずれも28日まで。
 

 長くなってきたので、以下別項
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