北海道美術ネット別館

美術、書道、写真などの展覧会情報や紹介。毎日更新しています。2013年7月末、北見から札幌に帰還。コメントはお気軽に。

楢原武正展 今年もパワフル!(3月5日まで)

2006年02月28日 12時20分00秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 巨大なインスタレーションで見る者を圧倒してきた札幌の楢原武正さんが、ことしも「大地/開墾」と題した個展を、ギャラリー大通美術館の全室をつかって開いています。ここ数年は、くぎを集めてつくった塔をメーンに据えるなど、造形への意思が感じられたように思うのですが、今回は、長さ10メートルを超える防風柵のような、トタン板の巨大な山が展示空間を貫いており、衰えを知らない楢原さんのエネルギーには脱帽させられます。
 その量はトラック5台分にもなるそうです。

 会場には、黒く塗ったトタン板を角材に巻いたもの、針金を棒にぐるぐる巻きにしたもの、空き缶をつぶした物体などが、どっさり置かれています。
 いずれも楢原さんが仕事の合間にこつこつと作ってきたものです。
 黒い色が、「生まれ故郷の十勝管内広尾町の土の色を思わせる」(楢原さん)という面もあるでしょうし、これらの日常の積み重ねが、大地をたゆみなく開墾していく行為に通じるものがあるともいえるでしょう。
 下の写真は、インスタレーションの一部分です。



 楢原さんはここ数年、1月か2月に個展をひらいていますが、使用する「部品」は1年かけてつくり、全体像はだいたい9月か10月ころ、頭の中に見えてくるのだそうです。
 もちろん、搬入時の体調などにもよるのだそうですが、27日の搬入はうまくいったと話していました。

 メーンとなるインスタレーションのほか、くぎなどを使った立体、平面も十数点展示されています。
 どの作品も黒い塗料で覆われており、会場は重々しい雰囲気です。

2月28日-3月5日 10:00-19:00
ギャラリー大通美術館(中央区大通西5 大五ビル 地図A
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寒昴展(28日まで)

2006年02月28日 00時31分31秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 道内では数少ない企画専門ギャラリーとして、月がわりで、道内の画家の個展をひらいてきているギャラリーどらーる(中央区北4西17、ホテルDORAL)が、昨年から若手支援の企画としてスタートした「寒昴(すばる)展」。2回目のことしは、版画の山田恭代美さん、日本画の駒澤千波さん、彫刻の国松希根太さんの3人です。

 くわしいことは、この展覧会の企画者である吉田豪介市立小樽美術館長が、どらーるのホームページに書いているとおりです。
 筆者としては、若手というわりには、あまりにも「新しくない」のにびっくりしました。まあ、若いから新しくなければならないということもないのかもしれませんが。

 山田さんのシルクスクリーンによる作品は、たしかに自然の、これまでとは違った方法論による美の表現といえると思います。
 ただ、題のつけ方があまりに旧套だと思います。これは、じつは、山田さんの作品が、月並み俳句のような題詠的なものに堕す危険性を内側にはらんでいるためではないでしょうか。まあ、べつに、題詠的でもいいのでしょうが。

 駒澤さんの描写力はあいかわらず驚異的です。
 また、どうして女性が赤い瞳をしているのかとか、ウサギにトンボのような羽が生えているのはなぜか、など、絵の細部を探るのは楽しいことです。
 ただ、この描写力をこれから何に生かしていくのか。わたしは、駒澤さんが描きたくて仕方ないものを見たいです。

 国松さんの作品は、まったく分かりませんでした。
 茶色ならチョコレートで、水色ならアイスクリームですか。そういうのをたのしく感じる人もいるのでしょうが、わたしはべつになんとも思いませんでした。

 2月1日-28日 8:00-19:00
 ギャラリーどらーる(中央区北4西17、ホテルDORAL 地図D)
 
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札幌回顧-洋館のある街-(続き)

2006年02月27日 01時27分04秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
(承前)

 「街の中心部」
 大江正美「札幌風景」(34年ごろ)。左には旧大通郵便局と、豊平館(ほうへいかん)附近の緑が、右手には札幌のランドマークだった消防の望楼と、今もある石造りの教会が見えている。制作年が34年ごろとなっているのは、同題の絵が35年の国画会展に出品していることが判明しているため。
 おそらくこの画家は、長野県の「無言館」に「白い家」が収蔵されている、戦歿者ではないか。

 野村英夫「大通風景」(59年)。戦後、青年道展のメンバーだったらしい。道展では36年に会友、39年に会員になっている。
 長谷川三雄「大通風景」(不詳)。1914年の第4回エルム画会(道展以前にあった青年画家のグループ)に出品した記録があるから相当古い人であるようだ。左側には旧北海タイムス(現北海道新聞)のれんが色の社屋が建ち、路面電車が走ってくる。この絵を見ると、2丁目の大通郵便局は、かなり公園側にはみだしてたっていたことがわかる。手前に女学生が腰をおろしている。3丁目か2丁目に銅像が立っているようだが、誰のだろう。

 松島正幸「札幌雪日」(43年)。これは道立近代美術館の所蔵作で、松島の代表作とされている。丸井今井の屋上から大通公園側(北東)を眺めた図だが、こんな時代に、戦意高揚とはなんの関係もない、陰鬱な色調の大作を描いていたのは興味深い。
 山崎省三「大通風景」(31年)。
 山崎は1896年横須賀生まれ。幼少期を新潟で過ごし、12歳のとき小樽に移る。三浦鮮治とともに上京し、本郷団子坂のせんべい屋の2階に下宿。日本美術院の研究所に通うが、村山塊多・今関啓司とともに研究生の三銃士と称される。先ごろ閉店した小樽の丸井今井開店時には三浦と二人展をひらいたという。その後、院展から春陽会を経て、日展にうつる。上田鼎とともに長野県の農民芸術運動にたずさわったり、岩内に通って岩内派の形成に尽くしたりしたが、45年ハノイで病歿。
 道立美術館時代に回顧展がおこなわれているのだが、近年はあまりかえりみられることのない画家だと思う。ただ、初期の三岸が春陽会に出していたのは、山崎の影響があったのではないだろうか。
 また、村山塊多の遺稿集を編んだのも彼である。
 彼の作品がこちらで見られる。

 本間莞彩「幌都の冬」
 道内の日本画家の代表格。
 右は丸善ということは、左の石造りの建物は三越か。 

 ようやく「創生川と望楼」にうつる。
 武田忠雄「夕景(札幌創生川畔)」(制作年不詳)。1928年に札幌で蒼玄社というグループの設立にかかわっていた画家らしい。

 「三岸好太郎と札幌風景」
 先のエントリで掲げた絵は、三岸の「大通風景」。
 「水盤のある風景」を見ると、旧制札幌一中の生徒だった故小谷博貞さんが、三岸がこの絵を描いているのを目撃したときのことを語ってくれたことを思い出す。

 「豊平館」
 豊平館は開拓使が貴賓用に造ったホテルで、いまは中島公園内に移設されているが、もともと現在の市民会館の地にあった。
 八木保次「冬の豊平館」(45年)。いまの抽象とちがって八木さんにも写実の時代があったのだと驚くが、壁を茶色に塗っているあたり個性的。
 伊藤仁「豊平館と柳並木」(90年)。もちろん、中島公園に移築後。わずか15年で、この周辺の風情ある街並みは、高層住宅にとって代わられてしまった。
 
 ところで、小樽や函館で、似たような企画をやらないのだろうか?


 1月27日-3月21日(火、祝日) 月曜休み、9:30-17:00(入場-16:30)
 三岸好太郎美術館(中央区北2西15 地図D)
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札幌回顧-洋館のある街-

2006年02月27日 01時06分59秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 「札幌のピューリタニズム、小樽のリアリズム、函館のロマンティシズム」という亀井勝一郎のことばがある由だが、かつての札幌は、洋館が立ち並び、異国情緒ただよう街だったらしい。
 らしい、というのは、筆者はリアルタイムでその時代を知らないからで、かつての雰囲気は、わずかに黒澤明監督の「白痴」や、札幌市写真ライブラリー(中央区北2東4、サッポロファクトリー・レンガ館3階)の常設展などでしか、今となってはふれることができない。
 今回の展覧会も、そういう時代を肌で知っている人にはなつかしいのだろうけど、筆者のような人間は、そのような街並みがうしなわれてしまったことを惜しむのみだ。
 ほんと、いまの札幌には、かつての趣は、時計台や赤れんが庁舎などにわずかに残るだけだものなあ。

 展覧会は、劈頭の田辺三重松「札幌駅」につづいて
「停車場通りと赤れんが庁舎」
「北大構内と植物園」
「時計台」
「街の中心部」
「創生川と望楼」
「三岸好太郎と札幌風景」
「豊平館」
の6部構成からなっている。
 入り口で手渡された出品リストには、三岸の8点をふくむ47点が載っているが、リストにない作品も2点あった(三岸「風景」と田中忠雄「六月の札幌駅(旧)」。前者の制作年は三岸が札幌一中(現札幌南高)を卒業して上京した年であり、描かれた山道が札幌かどうかは断定できない)。
 このほか、三岸の代表作「蝶と貝殻」などは別コーナーで展示されている。こういう、観光客などにたいする配慮をわすれないのが、この美術館の伝統ですね。

 以下、コーナーごとに気がついたことを記していく。

「停車場通りと赤れんが庁舎」
 谷口一芳「北一条通り」(1948年)は、北1西14附近ではないかと思った。右側奥に見えるのは知事公館の緑では?
 同「冬の北海道庁」(51年)。右側に、旧札幌中央郵便局の庁舎が見える。これも趣のある建物だったんですね。
 石田徹「札幌駅前電車通り」(48年)。駅から南方向を望んだ図。右奥にグランドホテルが見える。駅前通りには路面電車が走り、幅は広い。街路樹は、中央ではなく、両側の、外側の車線と内側の車線の間に植えられている。60年代までは、遅い車(馬車など)と速い車をこのように分離する道路計画が理想とされていたのである。
 石田は、おなじコーナーに「道庁南門通」(27年)がある繁野三郎らとともに戦前、北海道水彩画会を発足させた人であり、学生関係をのぞいては札幌で最古の洋画団体「方究会」のメンバーだった人。

 「時計台」
 三岸のジンク板(リトグラフ原版)がめずらしい。

 「北大構内と植物園」
 北大蔵の林竹次郎「北大農学部風景」(制作年不詳)がでかい。代表作「朝の祈り」の倍はありそう。
 有島武郎「やちだもの風景」(14年)は、現在の医学部附近の由。もちろん、本展覧会でもっとも古い作品。
 大森滋「北大構内」(53年ごろ)。大森は1900年札幌生まれで、三岸の幼友達。小樽画壇をささえた三浦鮮治、兼平英治に師事した。北大のちかくで歯科医を開業しながら絵を描いた。戦前の道展では、32年にフローレンス賞を受け、35年に会員になっている。54年歿というから、これは最晩年の作品ということになる。
 
(長くなったので、分割します)
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2月25、26日

2006年02月26日 23時08分23秒 | つれづれ日録
 25日、仕事はやすみ。
 1週間のつかれがたまってほとんど寝ていた。

 26日、雨。
 ギャラリーどらーる、三岸好太郎美術館、アーティストギャラリーに寄った後、会社で仕事。
 小樽版を組む。
 原稿がちょうどいい間隔で着てくれたのでたすかった。
 帰宅20時。

 写真は、あー夕鉄バスに乗りたい、の図です。

(追記。今週は、札幌学院大の写真展に行き損ねた。反省)
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山本雄基絵画展(28日まで)

2006年02月26日 22時33分18秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 筆者は初めて入るアーティストギャラリーですが、昨年の10月からオープンしていたそうです。
 札幌とサンフランシスコを往復して制作している大井敏恭さんらが中心となって運営しています。
 若手を中心とした作品の展示販売のほか、レンタルも行っています。「絵画をすこしでも暮らしのなかに」というメンバーの願いによるものだと思います。

 28日までは、昨年の道展で、最高賞の記念大賞を受けた山本雄基さんの個展がひらかれています。山本さんは、道教大の大学院に在学中の若手です。

 ふつうのマンションの1室に、チャイムを鳴らして入り、くつを脱いで、絵を見るのは、なにやらふしぎな感じ。

 写真奥の作品は「ブラックホールの奥の方」。120センチ四方で、奥行きが15センチあります。
 山本さんの作品は、奥行きがあって側面も色が塗られており、こちら側の面と側面との境が、丸みを帯びているのが特徴です。

 山本さんも
「これだけ映像が氾濫している中で絵画を描く意味ってなんだろう」
などと、いろいろ考えていたそうです。
 駅構内をハイパーリアルなタッチで描いた2004年の道展出品作を見たときから、たぶんそういう問題意識のある人なんだろうなとは思ってましたが(こういう言い方は後出しじゃんけんみたいでずるいですね)、写真そっくりに描くことに限界を感じ、現在のような作風になったそうです。
 たしかに、側面を利用すると、これまで多くの画家の頭を悩ませてきた「画面の端をどうするか」という問題はかなり解消されます。
 また、現代の絵画が、物質であること(つまり単なる平面というのは幻想であること)に対しての自己言及性を必要としているのだとすれば、これほどあざやかな回答はめったにないのでは、と思います。

 まあ、それほどむつかしいことは考えなくても、山本さんの作品はじゅうぶんにポップでたのしいわけですが。
 水色のキューブ状の「絵」には「空気遠近法」というユニークなタイトルがついていました。(写真右の作品)


 ほか、10.5センチ正方形の小さな絵25枚からなる平面インスタレーション「SMALL POWER」などが展示されていました。

 で、新機軸がこれです。
 左の三つの丸は「FULL MOON」、右側の黒い背景のある絵は「FULL
MOON ON THE DARK」という題がついています。

 
 満月です。
 山本さんによると、満月は、じつは球体なのに、平面に見える。
 これは、絵画とはなにかを考えるにあたって、おもしろい存在です。
 また、錯覚によって、わたしたちは実際よりすごく大きく感じている。
 人間の視覚のいい加減さを象徴するものでもあるのです。

 というわけで、とても刺戟を感じた個展でありました。  

 2月14日(火)-28日(火) 月・水・金曜休み 13:00-17:00(土日は11:00-19:00)
アーティストギャラリー(中央区北1西15 大通ハイム209)
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浮世絵美人画の魅力 国貞・国芳・英泉(3)

2006年02月26日 08時12分42秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 前回の続きです。なにが幸せかというと、図録の横に「江戸名所図会」の文庫本を置き、江戸の地名が登場する絵を見ながら、関聯(かんれん)する項目を読むのが楽しいんですよ。
 とくに、こま絵(上のほうに、窓のようにはまっている小さな絵)にさまざまな場所が登場する「江戸名所百人美女」シリーズは、個人的には楽しいです。
 この「今川はし」は、「江戸名所図会」ではつぎのように書かれています。

 本銀町の大通より元乗物町へ渡る橋を云ふ。この堀を神田堀と号(なづ)く。元禄四年辛未掘割りたりとぞ。その頃この地の里正(なぬし)を今川某と云ひければ、直に橋の号に呼びけると云ふ。

 図録を見ても、どこのことをさしているのかわかりませんが、どうも、千代田区神田鍛冶町と中央区日本橋宝町の境界みたいです。
 千代田区と中央区との境界に、神田堀が流れていたようです。

 □地図へのリンク

 上の地図で、中心点のすぐ上の、郵便局や銀行のある交叉点は、いまも「今川橋交差点」と呼ばれています。

 このシリーズでは、「日くらしの里」もいいですね。
 いまの「日暮里」です。
 「江戸名所図会」には

 感応寺裏門のあたりより道灌山を界(さかひ)とす。この辺寺院の庭中、奇石を畳んで仮山(つきやま)を設け、四時(しいじ)草木(そうもく)の花絶えず、常に遊観に供ふ。就中(なかんづく)二月(きさらぎ)の半ばよりは酒亭(さかや)茶店の床几(しょうぎ)所せく、貴賤袖をつどへて春の日の永きを覚えぬも、この里の名にしおへるものならん。

(「床几」はもっとむずかしい漢字があてられていますが、パソコンで出ないので…)

 なんだか、昔ののーんびりした風情がつたわってきませんか。

 筆者はこうして時間旅行をたのしんでいます。

 最後に、永代橋の項。
 「江戸名所図会」は、美文調のところはそれほど多くはないのですが、ここは力が入っています。

 東南は蒼海にして、房総の翠巒(すいらん)斜めに開け、芙蓉の白峰は、大城の西に峙(そばだ)ち、筑波の遠嶺は墨水に臨んで朦朧たり。台嶺・金竜の宝閣は、緑樹の蔭に見えかくれて、自(おのずか)ら丹青を施すに似て、風光さながら画中にあるがごとし。

 なお、台嶺は上野の山、金竜は金竜山浅草寺、丹青は絵画を指します。
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22-24日の札幌のギャラリー回り・続

2006年02月25日 14時35分28秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 ギャラリーまわりの続き。

 内海真治個展=さいとうギャラリー(中央区南1西3、ラ・ガレリア5階)
 うつわもありますが、無国籍風の独特の陶板画やオブジェが目を引く内海さんは、砂川在住で、札幌でもよく個展をひらいています。
 「今回は絵付けにこだわってみましたが、釉薬は、なかなか絵のようには、思うように色が出てくれないので苦労しました」
と話していました。
 内海さんの絵は、模様がどこまでも増殖していくようで、中心がないみたいで、ふしぎな感じがします。 

 ■04年の個展
 

 札幌市立高等専門学校卒業・修了制作展=ライラックホール(札幌駅地下APIA)
 シュレッダー古紙をつかったいす、札幌・真駒内を舞台にした農による循環型都市の構想、都心型の保育施設、昭和30年代風のなつかしいサイドボードなどなど、現実の中にどう提案していくかということを考えた発表で、好感を持ちました。
 なお、これは、一部の生徒の発表で、全員の展覧会は、2月27日-3月14日10:00-17:00(9、10日除く)、南区芸術の森1の同校でひらかれます。

 北海道東海大学芸術工学部/建築学科・デザイン学科卒業展=スカイホール(中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階)
 すごい作品数。
 個人的には、建築の場所が札幌、旭川だけでなく道内各地にわたっていることが良かった。
 あと、クリップ型のハンガー。楽しい。
 広告デザインも手慣れているなあ。

 彩友会展=札幌市民会館(中央区北1西1)
 水彩画のグループ展。
 小笠原育子さん「秤」は丁寧なタッチ。背後の古い時計もいい感じ。それに対し、筒井敦子さん「サイロ」は大まかな筆遣いで、力強さがあります。

 以上26日まで。

 g 彩展=アートスペース201(中央区南2西1、山口中央ビル)
 町田睦子さん、野呂知子さん、丸山繁策さん、柿崎勇さんによる油彩画グループ展。毎年ひらかれています。
 丸山さんは、前田森林公園などの風景にほかのイメージを重ね合わせた複雑な画面をつくっています。

 悠々会展=同
 3人展ですが、石川秀和さんが、青いミニのワンピースを着た女性像1点だけで、あとは早坂隆さんの淡彩と、原田富弥さんの油彩・淡彩で占められています。お二人とも風景は手慣れたもので、道内外のさまざまな場所で筆を走らせています。

 28日まで。

 ところで、写真は、大同ギャラリー(中央区北3西3、大同生命ビル3階)の下のフロアです。
 大同ギャラリーはかならず上下のフロアとも、1年前に予約が埋まっていましたから、これはめずらしいと思いました。
 
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22-24日の札幌のギャラリー回り

2006年02月25日 13時18分27秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 22日からはわりあい淡々と仕事。
 24日はトリノオリンピックのスケート女子フィギュアを見るため午前5時起床。さすがにねむい。

 仕事の合間を見ては会社の近くのギャラリーと札幌芸術の森美術館をまわった。
 同館の展覧会と、横山宏写真展、酒井嘉也自選展については、別エントリーで書いた。
 ほかに行ったのが、時計台ギャラリー、三越、アートスペース201、さっしんギャラリー、らいらっく・ぎゃらりい、さいとうギャラリー、スカイホール、ライラックホール、石の蔵ぎゃらりぃはやし、大同ギャラリー、市民会館。
 くわしく記すと読むほうも書くほうもくたびれるので、かいつまんで書きます。

 札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)は、2階のA、B、C室が「第34回アルディ会展」、3階のD、E、F、G室が「あひる会展」。
 アルディ会は、道新油絵教室の受講生展。
 案内状のはがきには24人の名前が印刷されています。
 講師は、故國松登さんから引き継いだ米谷哲夫さん(全道展会員)です。
 米谷さんも「樹」という大きな絵(100号くらい)を賛助出品しています。
 男性陣がわりあい写実的な小品の風景画などを描いているのにくらべ、女性は受講歴も長く、写実にとどまらない、フォーブ的な大作に挑んでいます。
 このうち、全道展会友の福江文子さん「人物」は、モティーフが闇に沈んでいきそうなほど暗い絵。
 おなじく全道展会友の佐藤説庫さん「地風景」は、矩形と矩形の境目があいまいになり、混沌としてきたように感じました。個人的には、コラージュの小品「作品A」「作品B」「作品C」のほうが好き。
 ちょっとおもしろいなー、と思ったのが、山本トシ子さん「風景の中の画像」。大胆な構図です。
 山下晶子さん「幻像」は水面からチューリップが群立する、シュルレアリスム風の世界を描いています。

 あひる会は、札幌市役所職員の絵画同好会。
 新道展会員・会友の実力派やベテランがD室に集中しています。
 市川雅朗、大林雅、白鳥洋一、中矢勝善、森山誠、西澤宏基、中屋勝善、小林敏美、今野正通、といった各氏です。
 大林さんはあいかわらずしわだらけの奇怪な物体を描いていますが、「洞」は、中央に真っ黒い部分があり、見る者をいっそう不安にさせます。
 森山さん「静物」は、キキョウのような青い花が盛られた白い花瓶がモティーフで、うまいです。
 
 いずれも25日で終了。

 三越札幌店(中央区南1西3)では、佐藤祐治油絵展と田中賢一郎油絵展がひらかれています。
 どちらも欧洲の風景を題材とした洋画です。
 このうち佐藤さんは北海道出身で、示現会会員、日展会友とのこと。
 トレドやアラゴンなどスペインの町を細密に描いています。時が止まったかのようなクールさと、温かみを併せ持った画風だと感じました。
 27日まで。
  
 らいらっく・ぎゃらりい(中央区大通西4、北海道銀行本店ビル)では「矢部賢治卒業展「ぼくのうた」をきいてほしい」。
 難病と闘いながら北海道真駒内養護学校に通う中学生が、この春高等部に進むのにあわせてひらいた水彩画展。
 たいへんな病気だからだと思うのですが、絵の具をぶちまけたような絵ばかりです。題はお母さんがつけています。
 大半の作品に値段がついています。号8000円くらい。そうか、値段をつけるか。いや、べつに、だめだとは言いませんが。
 25日で終わり。

 かいつまんで、と言いながら、長くなったので、ここで一区切り。
  
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白菊荘の謎

2006年02月25日 01時07分46秒 | つれづれ日録
 先日、札幌の東屯田通を歩いていたら、白菊荘というアパートがあった。

 小樽の稲穂にも白菊荘がある。



 共通点は「古い」ということ。

 なぜ、白菊荘は古いのか。

(他愛のないエントリーです。もし、住民の方などで心象を害された方がいらしたら、どうも申し訳ありません)
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酒井嘉也自選展(26日まで)

2006年02月24日 16時43分39秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 後志管内倶知安町在住のベテラン画家(三軌会会員)酒井嘉也さん(82)が、戦中の「船見坂」からことしの新作「緑雨」まで大小の油彩約75点によるかなり大がかりな、見ごたえのある回顧展をひらいています。
 酒井さんは、道内画壇の大御所だった故國松登さんに絵を習いました。第1回から14年ほどは全道展にも出品しています。
 戦後すぐに、冬山を描いた「朔北早春」は、物資のない時代で、グライダー用の布をカンバス代わりに使い、シッカロールから絵の具を自作して描いたそうです。馬橇が通る中央の急坂は現在の国道。北国らしいたたずまいです。
 50年代には「鳥篭」の連作など、ややキュビスムを意識したような作品もあり、寒色主体の色合いには國松さんの影響が感じられないでもありませんが、ほかは、石切り場を題材に画面を構築した作品や、おだやかな色調で海外の風景を描いた小品など、師匠の画風は感じさせません。
 80年代には「カタコンベ」など、モティーフは地下の積み上がった石室なのでしょうが、一見すると暖色の矩形を組み合わせた抽象画のような絵もあります。
 80年代以降の100号クラスの作品は、縦長のものが多く、縦の中央線に要素を集めて配置したスタティックな、きれいに整理された構図が目立ちます。なかでも「夜」は、月とバイオリンを、深緑系の色だけで描いた、或る意味で大胆で、幻想味あふれる作品です。
 小品には、夫人の肖像画や静物画などがあり、優しい視線を感じました。

2月21日(火)-26日(日) 10:00-19:00
ギャラリー大通美術館(中央区大通西5、大五ビル 地図A
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「アフリカン・マスク」を見てつらつら考えた

2006年02月24日 05時11分47秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 どうしても客足の鈍る北海道の冬は、美術館も、派手な企画展は行わず、所蔵品展を開くことが多いようです。
 札幌芸術の森美術館(略してゲーモリ)のこの冬は、所蔵品のうち、アフリカの美術品に的をしぼった展覧会をひらいています。これはこれで、割り切っているというか、わかりやすい展覧会です。

 タイトルは「アフリカン・マスク」となっていますが、仮面は半分くらいで、あとは人や鳥の彫像、布、錠前、水差しといった展示品です。
 筆者が一番気に入ったのは楽器で、木琴や太鼓などを観覧者が演奏することができます。
 ロビ族の木琴は、俗に言うヨナ抜きの音階ではなく、1オクターブに7音ありました。まあ、調律は大ざっぱでしたが。そして、左が低音、右が高音でした。
 (当たり前のことを言うなと言われそうですが、かつて筆者が国立民族学博物館で世界各国の木琴を見て回った経験では、左が高音の楽器のほうが断然多いのでした)

 あと、気になったのはアシャンティ族の母子像。満月を模しているという母の丸顔は、たしかにクレーの絵に似ています。

 でも、全体としては、すごく異世界な感じ。
 たとえば遠野で見た鹿(しし)踊りの仮面とか秋田の獅子舞とかは、いくらふだんじぶんが見ているものと違っているとはいえ、或る種の親しみを覚えるのだけれど、今回のはどれも、とてもおなじ人間が作っているとは思えないくらいだったです。

 で、ふと考えたこと。
 ここに並んでいるのは、美術品として作られたんじゃないんだよな。
 美術館でわたしたちが見る絵画などは、たいてい美術館やギャラリーやお金持ちの家などに並べられ鑑賞されることを予期して作られているのだけれど、今回の展示品はすべて、儀式などのために作られたもの。
 だから、作者名が明示された展示品はひとつもないし(制作年が記されたものも皆無)、また、マッスがどうのボリュームがどうのということを言っても、あまり意味がないような気がする。
 そして、本来あるべき密林やサバンナからすっぽりと切り離されて、日本の白い空間で仮面だけを鑑賞しても、なんかちょっと違うな、という気がするのだ。うまく言えないけど。
 まあ、美術館では美術品しか見ちゃいけないというのも窮屈な話だから、アフリカのマスクを展示するのも見るのも自由なんだけど。

 もうひとつ。
 これらアフリカの品々がピカソなどに大きなインスピレーションを与えたことはよく知られている。
 アフリカは欧州にとって大いなる外部だったわけだ。
 しかし、この地球上には、西洋に「発見」されるのを待っている美術は、もはや存在しない。
 まるっきり新しいものを一から創造するのは、容易でない。
 とすると、アジアやアフリカの「発見」でいろんな新潮流であふれかえった19、20世紀の美術(だけでなく音楽などもそうなんだけど)と違い、21世紀は、既存のものを並べ替えるだけの時代になりそうな気がする。 

1月21日-3月26日 9:45-17:00(入場は-16:30) 月曜休み
札幌芸術の森美術館(札幌市南区芸術の森2)
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北の創造者たち展-虚実皮膜・・その後 鈴木涼子展

2006年02月24日 00時06分53秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 2003年に芸術の森美術館で開かれ、道内中堅の現代美術作家の水準の高さを見せた記念すべき展覧会となった「北の創造者たち 虚実皮膜」展。その出品者のうち、4人の「その後」を紹介する展覧会が、同館で開催中です。すでに、坂巻正美さんと上遠野(かとおの)敏さんの個展が終わり、現在は鈴木涼子さんの個展となっています。

 東京都写真美術館でのグループ展や上海ビエンナーレへの出品などめざましい活躍を続けている鈴木さんのこれまでの作品については、下記のリンク先をご覧いただくことにして、今回は、あっさりと。会場もわりと、あっさりした雰囲気だったので。

 今回は、昨年の個展で発表した「HOME LIGHT SERIES」ではなく、03年の「虚実皮膜」展で展開していた「ママドール」シリーズの続きといえそうな写真作品。
 会場左側には、西洋人の顔を二重写しにしたカラー作品がならび、正面と右側にはモノクロのヌード写真が展示されています。
 前者は、とくに解説がなかったので「ママドール」とおなじ方法論で制作されたものかどうか、つまり、母と娘のネガを重ね合わせてプリントされたものかどうかはわかりません。
 後者は、8つ切ほどの小さなものと、高さ2メートルを超える巨大なものとがあります。小さいほうには着衣の写真もあります。いずれにせよ、共通しているのは、横に人物が並んでいることです。男性のヌードは正面を向き(性器は自然なかたちで手で隠されている)、男女のヌードは背中を向いていますが、ふたりとも似たようなポーズをとっています。背景は白く飛んでいます。
 ひとりのヌードならありきたりですが、ふたりが対のポーズで立って(あるいはすわって)いるところに、作者の意図がかくされているのではないでしょうか。
 あまり断定的なことはいえませんが、わたしたちはひとりでは生きていけない、お互いに依存しあって暮らしている存在であることなどを、思わずにはおれません。
 うつくしいモデルなどではない、中年の夫婦とおぼしき男女が背中を向けて立っている写真は、ジョン・レノンとオノ・ヨーコの「Two Virgins」の裏ジャケットを思わせますね。
 背中のしわに人生が刻まれています。

 2月14日-3月5日
 札幌芸術の森美術館(札幌市南区芸術の森2)

 このつぎは、伊藤隆介さんです。

□gaden.comのロングインタビュー
■05年の個展(画像あり)

■挿絵展(02年 画像あり)
■リレーション・夕張(02年)
■2002年の札幌美術展
■01年の個展(画像あり
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浮世絵美人画の魅力 国貞・国芳・英泉(2)

2006年02月23日 00時39分20秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 前回のエントリから1週間が過ぎてしまったわけですが、あれからなにをしていたかといえば、寝る前になると、この展覧会の図録をじっくり読んでいるのです。うーん、幸せ。
 「読んでいる」
というのは、文字通り解説を読んでいるというのもありますが、浮世絵のたのしみは、絵そのものを読むことにあるのでは、と思います。
 そもそも文字が画面に書かれているし、女の髪に派手な笄(こうがい)でもさしてあれば「ははあ、この女は花魁だな」などと推理できるし、題の地名からいろいろ思い浮かぶし・・・。
 考えてみると、西洋の絵画は、純粋を尊ぶから、情報を盛り込むなんてのは、邪道なんですね。わたしたちは、セザンヌやモネやポロックやロスコの絵に、長時間視線を泳がすことはできても、そこに情報を読み取ることなんてできやしない。「読める」画像のほうが、下位におかれているわけです。「読める」画像とは、たとえばファッション雑誌の写真とか、商品のポスターだったりするわけですから。
 でも、昔の人は、純粋な絵画だから偉いとか、そんなことは考えずに、いまの人がファッション雑誌をめくるのと似たような感覚で、浮世絵を見ていたんでしょうね。
 この絵(「七小町 応需見立かよひ」)にしても、小野小町のもとに通って99夜目に凍死してしまった深草の少将の物語が背後に隠されているということを、図録の解説を読んで知りました。江戸時代の人は、町人でも教養があったんですね。
 娘の着物が桜模様なのは、左上に書かれた小町の歌
「色見えでうつらふものは世の中の人の心の花にそありける」
に関連しているのだそうです。
 
 
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デジタルの実力見せた「横山宏のNATURE SCENE」

2006年02月23日 00時03分38秒 | 展覧会の紹介-写真
 尾岱沼、阿寒など道東の美しい自然を撮影した29点。いずれも、キヤノンEOS5Dという高級1眼レフで撮ったもの。
 とくに、オンネトーの氷は、どういう現象かわかりませんが、宝石箱をひっくり返したかのような美しさ。
 尾岱沼の夕日、紅葉も鮮烈です。
 ほかに、しぶきが凍ったつらら、オリオンの大星雲など。

 横山さんは弟子屈町の在住だそうです。

 以前にも書きましたが、デジタル写真は、粒状性などではフィルムにくらべてまったく遜色ない水準に達していると思います。プリントアウトに気をつければ、かつてはよくデジタル写真に見られた独特の薄っぺらい感じもありません。
 また、ラティチュードが狭いということがよくいわれますが、今回の写真で見る限り、影がべたっとつぶれていたり、明るいところが飛んだりしているところはありませんでした。
 ただし、グラデーションの表現は、フィルムとちょっと異なるのかな、という思いを持ちました。これは好みの問題でしょうが、デジタルは「かすかにほかの色がふくまれている」という状態を表現するのが得意ではないのかもしれません。
 

 2月20日(月)-24日(金)9:00-17:30
 キヤノンサロン(北区北7西1、SE山京ビル 地図A)

 それにしてもキヤノンサロンは、次回の展覧会の予告などがどこにも掲示されてないのが、ちょっと気になります。
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