北海道美術ネット別館

アート、書道、写真などの展覧会情報や紹介、批評、日記。毎日更新しています

3月30日というのに冬景色。の1日

2006年03月31日 02時39分08秒 | つれづれ日録
 7:40
 起床。
 おかしいな、6時半に目がさめたはずなのに、2度寝してしまったみたい。

 9:20
 いつもよりちょっと遅めの外出。バスで会社へ。

 10:05
 出社前、ギャラリーユリイカに立ち寄るが、まだ開いていなかった。
 会社に着くが、この日組む紙面の、原稿の半分がまだとどいていない。
 半分だけを出稿していると、社会科見学の子どもたちに取り囲まれてしまった。
 雨竜小学校の3、4年生に、コンピュータを使った組版作業を実演してみせるハメに。

 11:30
 ぼーっと原稿を待っていても仕方ないので、会社から徒歩2分の札幌時計台ギャラリーに行き、個展を開催中の吉川孝さんと話す。

 12:15
 会社に戻ってもやっぱり原稿は未着。
 同僚のW氏と、昼食を食いに出かけ、スープカレーを食べる。うまい。
 W氏は昨夜、仕事が早く終わったので、夜8時になってから札幌ドームにローリングストーンズのコンサートに行ったそうだ。前座も終わっており、案外良いタイミングだったかも。で、アンコールには予想通り「サティスファクション」を演奏し、去り際にミック・ジャガーは
「マタ来ルゼ」
と言ったそうだ。本当かよ。

 13:00
 らいらっく・ぎゃらりいを覗いてから、会社に戻る。

 14:00
 ふたたび会社を抜け出し、こんどは札幌時計台ギャラリーの徳丸滋さんの個展を見に行く。
 徳丸さんは、筆者なんぞ足元に及ばない、パソコンの達人だということを、あらためて思い知る。

 徳丸さんと吉川さんの個展については、別エントリにて紹介します。

 14:50
 会社に戻り会議。春の新紙面についての打ち合わせ。

 16:10
 ようやくのこりの原稿が届きだす。作業を再開。

 17:30
 作業を一区切りさせ、筆者にとって本日2枚目の面である「恵庭版」の作業に移る。
 まずまず順調。弁当を食いながら作業する。
 トップ記事は、52歳で専門学校を卒業し、弘前大の3年に編入する女性の話。すごいなあ。

 21:30
 恵庭版を降版。近くの人はまだ作業中であるが、お先に失礼。
 出社してから11時間たっているが、とても11時間労働したとはいえないなあ。

 22:05
 地下鉄東豊線に乗り、月寒中央駅で下りたら、バスは出発した直後だった。

 22:50
 ひどい雪の中を帰宅。
 ふろに入ったあと、メールのチェックや、サイトの更新作業などなど。
コメント (3)

「美術の窓」4月号の特集「新人大図鑑」

2006年03月30日 00時10分03秒 | 情報・おしらせ
 月刊誌「美術の窓」、毎春恒例の特集です。
 「評論家・ジャーナリストが選ぶ」の最後に出てくる服部篤浩さんは、日高管内浦河町生まれ。02年に札幌で個展を、03年に札幌でグループ展「原点回帰」をひらいています。
 「編集部が選ぶ」には、波田浩司さん(独立会友)、旭川の画家木滑(きなめり)美恵さん、彫刻の川上勉さん。40人中3人というのは高率ではないでしょうか。
 「画廊が選ぶ」では、不忍画廊の項で會田千夏さんが出ています。
 木滑さんは道展会員になって10年以上たっているはずで、新人とよぶのは、ちょっと意外です。
 木滑さん以外は全道展に所属しています。

 新人特集と関係ないですが、第58回立軌展の記事に出てくる笠井誠一さんは札幌西高出身です。

 もうひとつ。国展版画部北海道がことし1月にニューヨークでひらいたグループ展の記事も出ていました。
 それによるとメンバーは、木村多伎子、内藤克人、竹田道代、種村美穂、鳴海伸一、早川尚、吉田敏子、兼平浩一郎、水野愛子、山内敦子と、ニューヨーク在住の青柳愛子の各氏です。

■兼平さんが出品していた「道都大ゼミ展」
■鳴海伸一版画展(05年2月)

(追記)「評論家・ジャーナリストが選ぶ」に松原壮志朗、「画廊が選ぶ」に清田一樹という、2人の北海道出身者が出ていましたので、追加しておきます。
コメント

心和む椎名澄子展「真果の森」

2006年03月29日 23時02分55秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 「癒やし」ということばはつかいふるされているけれど、椎名澄子さんの彫刻を見ていると筆者は、ほんとうに癒やされる心地がする。心和む、とか、安らげるといった表現でもいいけれど、なんだか森林浴でもしているみたいに、気持ちがすーっとするのだ。たとえば、今回出品されている「相生」。木の枝に寛衣の女性が横たわっている情景を彫刻にしたものだけれど、子どものころ、木登りをしたときの爽快な気分がよみがえってくる。
 もうひとつ、椎名さんの彫刻の特徴は、小ささを感じさせないことだ。けっしてサイズは大きくないし、植物と人間というモティーフからして、ひとつ間違うと下手な盆栽みたいになりそうなのだが、決してそうはならない。小さいのに、スケール感があるのだ。
 出品作は
「静思II」「心地」「薫風」「華の月」「木の芽時」「子の実・どんぐり」「子の実・枝」「千秋の空」「風をゆく」「塒-gaku」「うたたねの木」「相生」

3月13日(月)-4月2日(日)9:00-18:00(土、日曜-16:00)
STV北2条ビル・エントランスアート(中央区北2西2 地図A)。

過去の「北海道美術ネット」の記事へのリンク

■05年10-11月の個展

■北の彫刻展2004

■13人の小品展(04年1月)

■椎名澄子展(03年11月 画像あり)

■北海道立体表現展(03年9月)

■しかおいウィンドウアート(03年夏)

■椎名澄子展(02年7月 画像あり)

■椎名澄子展(01年8月)
コメント (3)

「ミクログラフィア」佐藤孝写真展

2006年03月28日 20時24分04秒 | 展覧会の紹介-写真
 おくればせながら行ってきました、うわさの写真展。偏光顕微鏡を使ったさまざまな物質(ヒトインシュリン、パントテン酸カルシウム、着色料などなど)の写真約50枚ですが、かつて見たことのないふしぎな光景です。
 オーロラや宇宙の星雲とも違う、もっとシャープできらびやかな世界。
 強いて言えば、一原有徳さんの版画に彩色すれば、こんな感じになるかもしれないと思いました。
 それぞれの写真には、宮沢賢治の「春と修羅」から採った詩句が添えられていました。科学に造詣の深かった賢治のこと、これらの顕微鏡写真も見ていて、華麗な詩のことばの参考にしたかもしれないと思うほどに、写真とことばがうまくマッチしていました。

3月17日(金)-29日(水)10:00-18:30、会期中無休
富士フォトサロン(中央区北2西4、札幌三井ビル別館 地図A)
コメント (4)

夜の豊平館

2006年03月27日 09時25分47秒 | つれづれ写真録
コメント (5)

某日、旭屋書店にて

2006年03月26日 21時38分12秒 | つれづれ日録
 1週間前に来たときに買わず、こんど購入しようと思っていた、中央公論新社世界の名著「ゲーテ ヘルダー」を買おうとしたら、なかった。
 だれかが買って行ったらしい。

 前回買いそびれた徳田秋声の「縮図」を買おうとしたら、やはりなかった。

 レマルク「西部戦線異状なし」も、なかった…。

 -だれかが筆者の頭の中を読み取って、先回りしているのではないか。

 などと考え出したらそれは精神病の兆候である。

 ところで「世界の名著」「日本の名著」シリーズは、詳しい解説と文庫本2、3冊ぶんのボリュームで1500円前後と、お得な叢書であるが、近年急速に書店から姿を消しつつある。
 その理由は、中央公論新社が「中公クラシックス」と銘打って、「名著」シリーズの切り売りを始めたからだ。値段は同じくらいだが、たとえばこれまで1冊に収まっていた「イデオロギーとユートピア」と「大衆の反逆」が、それぞれ1冊ずつに独立しているので、どちらかだけを読みたい人にとってはいいのかもしれないが、両方読みたい人にとっては事実上の倍の値上げである。
 ただし「世界の名著」「日本の名著」シリーズは2段組である。(「中公クラシックス」は1段組)きょうび、2段組は売れないんだろうなあ。古本屋をまめに探せば、けっこう百均(100円均一)の棚で見かけるのだが、そのヒマがないのがつらい。

 ヘルダーは、ヘーゲル・マルクスとつづくドイツ歴史哲学の親玉みたいな存在だが、日本ではあまり知られていない。「世界の名著」版には、芸術論も収められていて、ひまができたら読もうと思っていたのだが。「中公クラシックス」での再刊もあまり期待できないな。
コメント (2)

春の便り

2006年03月25日 00時10分20秒 | つれづれ日録
 ピンが来てなくてすいません。家の近所で見かけたフキノトウです。
コメント (3)

3月23・24日のギャラリーめぐり

2006年03月25日 00時08分06秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 優しい時―中島敏文展2006
 おもに広告業界で35年活躍してきたイラストレーターの個展。現在は札幌市内に「イラストルーム・ナカジマ」を構えているそうです。
 結婚式や愛犬の写真を絵にした肖像画が9点のほか、パステル5点と水彩14点が展示されています。
 さすがプロだけあって、万人に好まれそうな、堅実な画風です。「カフェメニュー」「青空の下で」など、愛くるしい子どもや風景を描いたパステル画は、全体的にハイキー(明度が高い)で、夢とか記憶のような雰囲気をたたえています。
 水彩画は「ライラックの薫り」「晩秋の白樺並木」など、やはり明度が高めで、詩情をたたえています。

3月9日(木)-31日(金)10:00-17:00(日曜祝日休み。最終日-16:00)、
ギャラリー山の手(西区山の手7の6)。


 斉藤邦彦個展

 絵画10点。題にはいずれも「愛」「恋」ということばがついていて、ちょっと昔の歌謡曲を思わせます。
 抽象画が大半ですが、その名もずばり「愛」という作品など2点は、花瓶に盛られた花がモティーフ。
 「愛のボレロ A」「愛のボレロ B」は、暗い地に、刷毛で描いたように白い絵の具がほとばしり散る、情熱的な作品です。
 「愛のノクターン」は、即興的な白い線が躍り、クレーの小品を連想しました。

21-29日(26日休み) 11:00-22:00
coffee&pizza チャオ(北区北24西4 モンレーブビル3階)


 第12回 札幌 国井しゅうめい水彩画教室展

 透明感あふれる画風で知られる函館の水彩画家の国井さんですが、なんと札幌にも49人もの生徒さんがいらっしゃるんですね。アートスペース201の全5室を借り切っての展覧会です。
 国井さん自身は「爽風」という、緑の木陰が涼しげな作品を出品。
 札幌の三明伸さんが「子馬さんごめんね(すゞらん公園)」「あじさいの詩」「緑のオアシス(中島公園)」の3点を賛助出品しています。
 原よし子さん、本多照彦さんも賛助出品ですが、筆者には未知の方です。

23-28日 アートスペース201(中央区南2西1、山口中央ビル)
コメント

高井秀樹展(3月26日まで)

2006年03月24日 23時33分05秒 | 展覧会の紹介-工芸、クラフト
 高井さんは函館の陶芸家で、道展会員でもあります。
 今回の展覧会は、生活のうつわが中心。
 灰釉が多いのですが、ひとくちに灰釉といっても、織部のような緑がかったカップ、銅のような渋い茶色を帯びた皿、抹茶色から焼け焦げの色に変化する壺など、多種多彩。
 ならんでいる器も、茶碗や片口などのほか、フリーカップ、ぐいのみなどさまざまです。

3月21-26日 10:00-20:00(最終日-17:00)
三越札幌店(中央区南1西3)
コメント

水準高い「PHOTOGRAPHIC SYNDOROME」

2006年03月24日 01時08分54秒 | 展覧会の紹介-写真
 主催のkou.kamasの2人と、Hiromi Endo、maro、HIRO、samの6人による写真展。全員学生とは思えないほどの、見ごたえある展覧会でした。(ただ、この名前の表記、おじさんにはめんどくさい。あと、点数にくらべて壁面が長すぎて、スカスカしているのも残念)
 kamasさんはモノクロ14枚。とくに、クレーンが垂直に林立していて、その彼方に観覧車が見える1枚が、興味を引きました。東京ディズニーリゾートの工事現場で撮ったらしいですが、ただ幻想的なだけではなく、ふしぎな力をもっていると思います。ほかにも、東京都写真美術館の前、車を運転する男性などなど。たぶんフレーミングが抜群にうまいのだと思います。ファイルには星空の写真などもあり、ずいぶん引き出しの多い人です。
 kou.さんは工事現場や橋、煙突など。無機的な風景が好きなのかもしれません。
 上の画像はsamさんの写真です。
「写真を始めて間もない人が多く、かちっとした作品が集まると思ったので、わざとゆるい感じのを出してみた」
と話していましたが、カメラを動かしながら撮った人物や電線の写真には、ダイナミックな動きを感じます。右手の壁面は雪のシラカバ林。感傷に流れない、硬質の抒情をたたえています。 

Flower Gallery D'un coeur (中央区北3東6 )
22日(水)-26日(日)

26日午後2時からライブ。ペインティングのパフォーマンスもあるそうです。

会場は、サッポロファクトリーから北3条通を東に行き、工事中のマンションの向側の小路を左に入るとあります。
コメント (9)

藤女子大写真部展と小樽商大写真部三月展

2006年03月24日 00時26分46秒 | 展覧会の紹介-写真
 藤女子大の写真部展は、全体的に作風が、何年か前にもどったような印象を受けました。焼きのうまさは伝統ですが、かちっとまじめにモノクロを撮っている人が総じて多く、「藤女子大風」というのがあるように思いました。カラー作品はごく少数です。
 考えてみれば、北大風とか札大風とか北星風とか札幌学院大風とよべるような傾向はないわけで、おもしろい現象であります。
 あと、今回は、動物園でレンズを向けた人がとても多かったです。撮影会をやったんでしょうか。もっとも、岩本睦美さんのように、ライオンのあくびの連続写真などたのしい写真もあるのですが、総じてどことなくさびしげで静かなのが藤女子大風。杉本尚美さん、三浦亜希子さん、林奈緒子さんなどが、フラミンゴを撮っても、華やかさより静けさを感じます。
 さびしい写真ということでいえば、岡島貴衣さんが筆頭でしょうか。「Photo/graph」は、雪の上の車のわだち、葉を落とした冬の木々、雪の積もったモエレ山など、どこか旅愁にみちたモノクロ連作です。ただ、わだちの写真で、左端に車が見えるところなど惜しいです。一方、「汽車でぶらっとな。」は、倶知安に普通列車で行ったときのリラックスしたカラー写真5枚組みです。
 松田香さんは、古いミニ(自動車)のアップがユニーク。背後にテレビ塔が写っています。
 湯山美里さん「残されたもの」は、廃墟を思わせるコンクリートのアーチ状の物体にせまり、なかなかの迫力と質感です。
 平松萌さんは、東京(たぶん大田区)で撮ったモノクロ8、カラー7枚ですが、古くさいアイスクリームのケースや人気のない路地など、まるで東京らしくないところがいいです。とくに、横断歩道の前でたたずむ人を写した1枚は情感にみちています。
 今野真理子さんの被写体は旭川四条駅でしょうか。誰も歩いていない夜の道路、飲食店の裏口など、筆者の好みの写真です。地方都市のうらぶれた感じが良く出ていると思います。
 あと7人います。全員紹介できなくてごめんなさい。

 樽商大は、初めて見ました。
 藤女子大とくらべるのは酷かもしれませんが、とくに下級生は焼きの不安定さが目立ちます。
 なかでは、倍賞恵さんの家族を撮った作品、神田さやかさんの犬や子ども、魚を撮った写真が、ロードムービーのような物語を感じさせました。
 また、本多由明さん「始まるよ、という高らかな声」は、地下道や電車をとらえ、統一感のある9枚組みだと思いました。

藤女子大学写真部写真展
3月22日(水)-26日(日)10:00-19:00(最終日-17:00)、
札幌市写真ライブラリー(中央区北2東4、サッポロファクトリー・レンガ館3階 地図G)。

小樽商科大学写真部三月展
3月20日(月)-26日(日) 11:00-19:00
ADPギャラリー(中央区南2西10 アラゼンビル3階)
 西10丁目通と、南1条と2条の間の仲通が交叉する角のビルです。
コメント (2)

25匹のアート、吠える。

2006年03月24日 00時11分04秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 「JR TOWER 3周年記念イベント ワン! ダフル アートパレード」が、アピア、エスタ、パセオ、札幌ステラプレイスで、3月14-26日にひらかれていますが、こないだ偶然通りかかるまで知らなかったぞ!
 25匹の犬のオブジェが出現、ってことで、写真は齋藤周さんの「HARUINU」。
 ほかにも24匹いるのかあ。でも、さがしに行ってるヒマなさそうだなあ。ざんねん。
 作家は次のとおり。

 ★札幌ステラプレイス
 齋藤周、平田まどか、熊谷文秀、Kinpro、浅見和司、吉住ヒロユキ、加藤祐子、yukky、森迫暁夫、干場良光
 ★アピア
 松尾道行、すずきもも、笠見康大
 ★エスタ
 翔太郎、佐々木徹、Azkenpanphan、山本雄基
 ★パセオ
 金井英明、松本純一、佐々木小世里樋口雅山房、伊藤千織、千葉淑子、佐藤正人、大滝憲二
 
コメント (6)

20周年記念 北の日本画展

2006年03月23日 21時47分53秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 まず気がついたことは、これまで道展(北海道美術協会)の会員・会友・入選者にかぎられていた出品者に、小島和夫さんと伴百合野さんの両ベテランをはじめ、新興美術院の出品者がくわわったことで、道展以外にも広がりのある展覧会になったこと。道内の公募展で日本画部のあるのは道展だけですから、大半の日本画の描き手は道展に属しているんですが、笹山峻弘さんや浅野天鐘さんなど、道展にも北の日本画展にも出品していない人がいないわけではないのです。

 で、気になった作品。
 今橋香奈子「流れゆく先」
 植物や人物を描いた作品はたくさん並んでいたけれど、この絵はほかとちょっと違っていたと思います。右側を流れる川のような模様は、琳派を思わせますし、女性がすわっている布は、パッチワークキルトになっています。つまり、日本の絵画が伝統的に、西洋絵画にくらべてデザイン性、装飾性に勝っていた点について、この絵はかなり自覚的なのではないかと考えられます。

 上西友子「森(collage)」
 花や木を描いた正方形の支持体12枚と、同形のタイトルを書いた板をならべています。明暗を強調した描法にくわえ、葉の上を覆う雪や暗めの背景といった道具立てのために、植物画とは相当にちがう、むしろ写真のようにリアルなタッチです(支持体の形から、ハッセルブラッドを連想します)。マティエールも非常に洋画的で、この展覧会のなかでは異色の作品。

 加藤拓「嵐山周辺」
 わはははは。何の変哲もない住宅街を描いていながら、この題! この作家は、以前から都市風景というものにとても批評的なスタンスを持っていると思います。

 北口さつき「祈り・サンバハンの人々」
 224×543センチ! このサイズを破綻なくまとめるのは、大変です。

 小島和夫「風の門」「MALTA」
 画面のあちこちにうっすらと引かれた白い線が画面を上質なものにしています。

 高橋潤「border-水と空の間」
 ラファエロ前派の「オフィーリア」みたいで、モデルの女性は風邪をひかなかったんだろうかと心配になります。「零~久寿里橋」は、釧路川の風景をバックに、透明な衣に身を包んだ裸婦を配したエロティックな作品。リアルなタッチはあいかわらずですが、いつものこまごまとした日常性への接近が見られないのが変化した点といえるでしょうか。

 田村直子「ゴールはどこだ」
 あるいは、今展覧会いちばんの問題作かも。ハムちゃんずにそっくりのキャラクターが巨大迷路で右往左往。ざっと70匹。「水鏡」もおなじようなキャラクターが池のほとりにせいぞろい。草花がねじでとめられていたり、いろんな仕掛けがある絵です。日本画でこんなことをやってもいいんだと、新鮮さを感じました。

 陳曦「蒼-タウシュベツ」「北の浜」「モッコ岩」
 3点とも北海道の風景がテーマになっており、以前描いていたアジアの少数民族の絵はなくなりました。日本画で北海道の風景を描いている人は意外と少ないので(洋画はたくさんいるけど)、期待します。

 富山真祐「過ぎたあの日」
 ほとんど、石積みと、人の影だけで構成した画面。地味だけど、おもしろい取り組みだと思いました。

 中野邦昭「札幌夜景II」
 この絵を描くためには、円山の裏にある通称神社山に冬季に登らねばならないはずで、その根性に敬服です。絵自体は、根性よりも繊細さを漂わせるものですが。

 野口裕司「膜」
 ネットと樹脂を支持体にしたこの作品、1月の時計台ギャラリーでの個展にも出品されていたが、裏側を見たのは初めて。もう1点の「そう」は、8枚の障子に描いた大作。従来のいわゆる「日本画」の像を打ち破る意欲作が、野口さんと伴さんだけというのは、やはりいささかさびしい。

 伴百合野「風韻 -亜・己-」
 高さ505センチ、幅300センチ! 吹き抜けの天井から吊り下げられていました。文様と、絵の具の飛沫を大胆に配しています。

 平向功一「末裔たちの午後」
 182×460センチ。無人となった建設中のバベルの塔を描いた一連の作品の集大成といえるのかもしれません。

 谷地元麗子「しじまI」「しじまII」
 2点ともトップレスの女と、ブラジャーとパンティーだけを着けた女のふたりがモティーフ。「I」では、左のトップレスがたばこを持ち、「II」では、左がケータイを、右がたばこを手にしています。二人の下着がレースをおごった装飾的なデザインであること、背景がないこと、黒と朱の絵の具だけで描かれていることなど、エロティックにして意欲的な作品だと思います。

 61人、107点というのはたしかに壮観です。
 すくなくても、5年前の記念展よりも、それぞれの力量があがり、会場の華やかさが増しているのは、間違いないでしょう。
 しかし、このうち、1980年代半ばから盛んになっている日本画の見直し論(奥岡茂雄さんもあいさつ文でふれていましたが)の高まりを意識した作品がどれだけあるかというと、随所にきざしがあると見るべきなのか、あるいは、ほとんどが旧来の日本画をなぞっていると見るべきなのかは、意見が分かれそうです。
 筆者としては、草花と、人物をモティーフにした作品の2種類だけで、半数をかるく超えてしまうという事態に、あまり楽観的にはなれません。もうすこし、型破りな作品が増えてほしいと感じました。

3月17日(金)-26日(日)9:30-17:00(入場-16:30)、
道立近代美術館(中央区北1西17 地図D)。
26日午後2時からギャラリートーク。

□サイト
コメント (4)   トラックバック (2)

サッポロ未来展(25日まで)

2006年03月23日 00時36分47秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 道内在住と、道内出身で首都圏在住の若手作家が、時計台ギャラリーの全室を借り切って始めたグループ展も、ことしで5回目となりました。全体的に、首都圏組が増えて、道内組が減ったような気がします。とくに3階は、ムサビ(武蔵野美大)、タマビ(多摩美術大)といった大学に在学中の、80年代生まれの出品者がほとんどを占めました。もっとも、3階について言えば、彼ら・彼女らは、まだまだ若いなーというのが正直な印象ですし、昨年12月に見た「油展」(道教育大の油彩研究室展)のほうが個人的にはおもしろかったですね。それと、第3回展では少なかった「現代美術」的作品が今回はいくつかあった上、彫刻、工芸、版画、日本画の出品もあり、バランスという点ではとても良かったんじゃないかと思います。
 気になったのは、絵画では村山之都さん「幽霊が混ざる」。ポルノグラフィック的なイメージを氾濫させています。あからさまに写真を模倣していながら、いわゆるフォトリアリズムではなく、いかにも絵画的なのが、おもしろいと思います。
 谷地元麗子さん「時の間に時の間に」(日本画)は、猫の描写がリアルで驚きました。
 水野智吉さんの裸婦彫刻「神話」と、渡辺和弘さんの漆芸作品「巡煌」は、もう若手というよりは成熟した完成度の高さを見せていました。
 波田浩司さんと藤井康子さんについては、以前別のエントリで触れましたので、今回は省きます。

 出品作は次のとおり。(ただし小品は除きます)
久津間律子(73年江別生まれ)「想う」
山田啓貴(78年苫小牧)「翡翠の岸」(同題2点)、「白髭は見つめている」「白鳥のいる風景」
谷地元麗子(80年江別)「時の間に時の間に」
村山之都(69年旭川)「偽ボクサー」「幽霊が混じる」
波田浩司(71年江別)「羽の舞う日」(同題3点) 
田中怜文(78年旭川)「プロフィール」
宮地明人(77年岩見沢)「paradox」「off」
山本陽子(78年余市)「ディスタンス」
秋元美穂(83年函館)「垂」
河野紫(81年札幌)「フェナミナン3」「生の音色」
渡辺元佳(81年伊達)「まくどmonx」
佐藤正和(73年函館)「メンガタクワガタのヘルメット」(立体)
水野智吉(69年函館)「神話」
齋藤麗(78年浦河)「wax1」「wax2」
三浦卓也(78年函館)「遠い想い」「Rosa」「故郷へ」「哲学」「El abogado」
藤井康子(81年稚内)「THE MOMENT2」「THE MOMENT3」
宮澤佑輔(85年札幌)「使者」「厳正なる試練に向かって」
渡辺和弘(75年札幌)「巡煌」
平松佳和(79年旭川)「Jabberwork」「ALICE」「Bendersnatch」
河野健(73年苫小牧)「時速1.5キロ」

平野加奈子(85年札幌)「流れI」「流れII」(ドライポイント)「コミック・ワールド」(色鉛筆・サインペン)「Image01」「Image02」「Image03」(リトグラフ)
棟方一沙(83年旭川)「外の世界」「金鶏」
小林愛美(84年釧路)「渇望」「想葬」
西山直樹(81年東神楽)「誘い」「憂い」
片山実季(84年苫小牧)「乱心」
高村葉子(81年士別)「内陸」「地方都市の春」
竹居田圭子(71年東京)「九人と、本をつくる」「この場所で生きていくということ「おいしい水」」
菊地博江(84年小樽)「ひょうめんのてりかえし」「トラップ」
稲葉愛子(85年札幌)「路」(同題2点)
風間真悟(79年東川)「route32256」
 
もしまちがっていたらごめんなさい。

どうでもいい話ですが、意外と札幌出身の人が少ないですね。

3月20日(月)-25日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)、
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A)。
コメント (17)

祝! WBCで日本が優勝

2006年03月22日 01時36分34秒 | つれづれ日録
 札幌はきのう3月20日から雪。きょうは風はおさまったものの、雪が降りやむ気配はない。

 家にいて、テレビで野球観戦したい気持ちもあったけれど、休日でなければ思いきって美術館・ギャラリーまわりができないので、朝8時55分、ドニチカきっぷを手に、外へ。
 まず、札幌芸術の森美術館で「虚実皮膜その後」の「伊藤隆介展」。これは別エントリで書きました。
 つづいて、芸術の森入り口の向かいにあるカフェルシアへ。店内で「photo sketch*札幌中島公園*2006冬」。絞りを思い切り絞った心象風景的な写真は、いかにも若林浩樹さん率いるフォトファン的。佐野栄司さんの、街燈と満月が写った1枚がすてきだと思った。
 ちなみに上の写真は、店内から撮ったものです。

 このあと行ったのは、
石の蔵ぎゃらりぃ はやし 七尾佳洋・詩子作陶展
西武ロフト五番舘赤れんがホール 北斎と広重展 (別エントリにも書いたけど、すごかった)
カフェエスキス 詩と版画のコラボレーション「マリコのウタ」
道立近代美術館 北の日本画展
同 これくしょんぎゃらりい「片岡球子と院展の作家たち」など
道銀札幌駅前支店 宮内英而・孝子第2回生きがい夫婦展
ギャラリーART-MAN 春展06
CAI 2005年度CAIアートスクール木曜コース卒業展
オリジナル画廊 井堂雅夫の木版画でつづる「日本の四季展」

 キンビの展覧会についてはあす以降書くつもり。
 宮内さんの写真が、けっこう健闘していた。電線にとまった鳥の写真に「五線譜」という題をつけたりして、おもしろい。

 このあと、ドイツ・プログレッシブロックの伝説的ミュージシャン、ダモ鈴木と、トンコリ奏者OKIの共演するライブがあるというので、見に行くつもりだったが、会場があるはずの住所のあたりをぐるぐる回っても、どこでやっているのかわからない。
 浮世絵展で体力をかなり消耗したこともあって、会場さがしをあきらめて帰ってきた。

 今週はあと、サッポロ未来展、藤女子大写真展、PHOTOGRAPHIC SYNDOROME、丹心会書展の4つは最低でも見に行くつもり。

 そうそう、パセリさんから
富士フォトサロン(中央区北2西4、札幌三井ビル別館)での『ミクログラフィア』、良かったです」
というメールが来てました。
 水曜までなので、来週見に行くことになるかも。
コメント (7)