女性画家の小品を並べた展覧会。
冒頭画像の左は熊谷守一の娘で山岳画家の熊谷榧「凍った尾瀬沼を歩く」。かなりの厚塗りにした絵の具をひっかいて線を表現しています。
右側には丸木スマのジークレー版画3点。ジークレーはこれらだけで、ほかの画家の作は油彩や水彩、木版画などです。
いずれも「原爆の図」で知られる丸木俊(空知管内秩父別町出身)の作品で、右側は「ロードス島」、左は「モスクワの春 194 . . . 本文を読む
2025年4、5月の美術展などの日程に
驚異的な細密で抽象画などを描く佐藤健一、コンピューターのプリント用紙のドローイングで深みのある画面をつくる林玲二、多彩なコラージュで世界の絶望と希望に対峙する三神恵爾。3氏で行った詩の往復書簡も展示
と短い紹介文を書いたら、自分でこの記述から離れられなくなってしまいました。
絵画展ではあるのですが、3人とも造形にのめり込むのではなく、バックボーンに「 . . . 本文を読む
北海道教育大岩見沢校のマシュマロ美さんと札幌大谷大の三田涼々美さんの2人展。
ドローイングが、キャプションなしでびっしりと壁に貼られており、2人の作品が混在しています。
キャラクターっぽい絵もあり、日記ふうの紙片ありで、学生のうちにしかできない若さを感じます。
30日と最終日には、ドローイングを切り分けて来場者にプレゼントするというパフォーマンスも行っています。
この無料というのがく . . . 本文を読む
今回は、技法が多彩で、多色刷りの作品がいつもより多く、会場の雰囲気も何とはなしに春めいたものが感じられます。
志摩さんは1954年、利尻島生まれで、多摩美大大学院を修了後、スペインで版画を学び、東京を拠点に活動していました。2011年に札幌に移り、北国の冬の風景や室内の人物などを詩情豊かに表現しています。
個展やグループ展で精力的に発表を続けているほか、全道展と北海道版画協会の会員、日本版 . . . 本文を読む
※画像は、深川駅1番ホームから撮った、会場の深川市経済センターです。會は会の正字(旧字体)。
札幌の画家會田千夏さんが、深川では10年ぶりとなる個展を開き、この10年間の作品を展示しているので、見に行きました。
アートホール東洲館の2部屋のうち、手前の部屋には、「あの日見た、雲のようなもの」「あさがうまれた」など雲のようなものを描いた連作が、奥の部屋には、戦争や震災にインスパイアされ「罅ひび . . . 本文を読む
日高管内浦河町姉茶在住で、札幌などで精力的に発表するかたわら臨床美術の実践にも取り組んでいる田中郁子さん(1965年生まれ)と、いまは小樽在住の山内太陽さん(1987年生まれ)という、珍しい組み合わせの絵画2人展。
昨年、同管内平取町の「沙流川アート館」で山内さんが個展を開いた際に会い、開催の運びとなったそうです。
田中さんは抽象絵画ですが、それほど難解という印象は筆者にはありません。
. . . 本文を読む
(24日正午、文章を手直ししました)
1980年代から2010年代にかけて札幌のアートシーンに確たる足跡をのこしたギャラリーミヤシタをメイン会場として発表を行ってきた作家の多くは、ミヤシタ閉廊後、すっかり見る機会が減った人が多い。そのなかで守分もりわけさんだけは、別のギャラリーに活躍の場をうつし、毎年新作を世に問うています。
昨年の個展から明るい色調に一変しました。
複数の同じ大きさ支持体 . . . 本文を読む
札幌の若手 PesMas (ぺすます)さんが、昨年に次いで2度目の個展です。
今年はとくに、見に来てほしいという連絡もありませんでした。
また、ご本人が在廊しているらしいといううわさを聞いていたのですが、筆者がうかがったときは誰もいませんでした。
筆者が見ていると、何人かが入り口から中をのぞいては、直ちに立ち去っていきました(市資料館の2階はミニギャラリーが6部屋あり、他の部屋の展示目当 . . . 本文を読む
石狩市在住で、同市聚富シップにアトリエを構える日本画家の個展。
会場に入って最初に目に入った「日落ちる時」の前で足が止まりました。
全体にオレンジか薄茶色がかった色合いの風景画です。
近景は沼沢地帯で、遠景は丘陵でしょうか。初冬か早春の、木々に葉がない季節の、ものさびしげなたたずまいです。
寂寥感と同時に、はるかな世界への思いのようなものも、画面からつたわってきます。
白崎さん . . . 本文を読む
SOU さんは空間デザイナーとして札幌を拠点に多くの飲食店などの設計に携わっていました。
しかし、昔から詩や絵画に親しんでいただけに、創作への思い断ちがたく、2020年代から絵画の創作に没頭するようになり、国内外の個展やアートショーで矢継ぎ早に発表をするようになりました。
札幌でもギャラリーエッセで3度個展を開いています。筆者はこのうち2度見ています。
独学で、始めたばかりという割には、 . . . 本文を読む
(承前)
札幌から苫小牧市美術博物館へ行くには、列車よりも、都市間高速バスが便利です。
中央バスは「高速とまこまい号」、道南バスは「高速ハスカップ号」の名で走っています。
札幌駅前から大谷地駅バスターミナルを経て、苫小牧駅前が終着ですが、その前に止まる「出光カルチャーパーク前」で降りると、美術博物館はすぐです。
ただし、以前よりも本数は減っています。とりわけ高速ハスカップ号は土日祝日全便 . . . 本文を読む
(承前)
順番が前後しますが、会期の都合で先にアップします。
恵庭美術協会は1973年に創立されました。毎年の本展(恵美展)のほかに、図書館での小品展、テーマを決めての「企画展」を開いているそうですから、活動ぶりは盛んだといえそうです。
1937年(昭和12年)に島松農業組合がしょうゆなどの保管用に造った軟石倉庫を改装し、1999年(平成11年)にオープンした夢創館が会場です。企 . . . 本文を読む
平塚運一は1895年(明治28年)松江生まれ、1997年歿というから、102歳まで生きた長命の版画家です。
会場には、1918年(大正7年)の「髪結」から91年「椰子並木街道 パームスプリングス 南カルフォルニア」(冒頭画像の右)までの版画が並んでいます。
10年代から90年代まで作品がある芸術家は、そうそういないと思います。
しかも、戦前は創作版画運動の中心的な存在として活躍しながら、6 . . . 本文を読む
札幌の水彩画家石垣渉さんが、百貨店では2度目となる個展を開いています。
目を引くのは「厳おごそか」(冒頭画像の右)。
80号を2枚横につなげた、M150号という、水彩としては破格の大きさです。
手前は、石垣さんが近年よくモティーフにしている雪の道。ザクザクの、荒れた路面です。
遠景には、利尻富士を参考にしたという大きな山容が描かれ、さらにその上に葉のない木がそびえて、写実的な絵が一気 . . . 本文を読む
PTPは「Press Through Package」の略。薬を透明なプラスチックとアルミで挟み、一粒ずつ取り出せるようになっているシートで、見たことがない人はいないでしょう。
薬を飲み終わったら捨てられるシートを「もったいない」と感じた、茶廊法邑 さ ろうほうむらのオーナー法邑美智子さんが2017年から、いわば画材として使い、段ボールに貼って絵を描いています。
きっかけは自らが大腸がんにか . . . 本文を読む