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渡辺行夫「ドン・コロ」 ユカンボシ川河畔公園彫刻広場(3)

2020年05月22日 12時11分50秒 | 街角と道端のアート
(承前)

 渡辺行夫さんは1950年紋別生まれで、現在は小樽にアトリエを構えるベテラン彫刻家。
 どこかユーモアをたたえた石の抽象彫刻を得意とします(近年はイタドリといった、いっぷう変わった素材にも取り組んでいますが)。
 2011年から17年まで隔年で開かれた道内最大規模の野外美術展「ハルカヤマ藝術要塞」実行委の中心人物としても大活躍でした。

 図録にある渡辺さんのことばは、つぎのとおりです。


そこは下方に池がある斜面だった。見上げれば、視界の隅に木の枝が入り込んでくる程の空間であった。ここにどんな物を置くと自分にとって心地良いのか。やがて、子供の頃の記憶がよみがえってきた。それは、父と一緒にスケートリンクをつくるため、池ママをしたことである。

その泥の中から出てくる、しつこいしつこい泥だらけの<ドンコロ>(父はそう呼んでいた)は昔の大木の切り株だ。地中深く、長く伸びた数十本の根を一本一本切り取って、だるま状にしてから、やっとのことで引っぱり出し、池の端に押し上げる。1つの<ドン・コロ>に丸一日、二日と格闘を続ける。何個も出てくる。大きければ大きい程、子供心に池の主のように思えた。あの<ドンコロ>をまた置きたいなとおもった。


 ユーモラスな形ですが、北海道の開墾を思わせる大地との格闘の記憶が、この彫刻にはこめられているのでした。

 素材は花崗岩で、積み上げて形をつくったもののようです。
 それぞれ高さ180センチで、150×150センチ。

 2基のうち1基にタイムカプセルが仕込んであるそうです。
 20年後に開封するそうです。おや、今年ではないですか。

 いまのところ、恵庭・千歳面に記事は載っていないようです(そもそも、新型コロナウイルスの影響で、開封できていないのかもしれません)。


 渡辺行夫さんは野外彫刻を各地で手がけています。
 特に多いのは生まれ故郷の紋別・大山の山頂で、筆者が数えただけで九つはあります。
 紋別の海岸や、洞爺湖ぐるっと彫刻公園、中山峠には、存在感のある大作が設置されています。


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