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■いなべみのり ひとつひとつていねいに空想を壊す(2024年6月12~16日、小樽)=6月14日その3

2024年06月16日 11時00分57秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
(承前)

 南小樽駅を出て、駅前の十字路から南東をまっすぐ進みます。
 郵便局や信号機のある交叉点を過ぎ、次の、信号のない交叉点を右に曲がって、「新地町踏切」を渡り、すぐに左手に折れると、生活道路沿いに旧園田商店が立っているのが見えます。
 2階建ての、ふつうの家ぐらいの大きさです。

 会場に入ると、ワンドリンク制ですと言われ、作品を見てから註文でも良いとのことだったので、まずは2階に上り、この日の目的である、いなべみのりさんの作品鑑賞です。

 いなべみのりさんは北海道教育大岩見沢校の在学中、学生有志の展覧会「七月展」や、500m美術館でのグループ展で、筆者がその絵を高く評価した人です(というか、めっちゃ好みの画風)。
 岩見沢駅の i-Box での個展は見られなかったので、筆者にとってはこれが初めての個展になります。
 卒業後は東北地方に拠点を移しました。

 今回の作品は5点。
「私の庭」
「庭の外でも寝てみる」
「宇宙で一番静かに血を流す人が、濃い霧のかかった無音の湖へ沈んでいくところを見かけた気がする 真ん中も輪郭もどこにあるのかわからない透明な人」
「本当を見つめていて」
「本当に誰も悪くない?」
 ただし「庭の外…」と「本当に誰も…」は
<会期中、展示室外へ移動する可能性がございます>
とのただし書きがありました。

 ほかにドローイングが、額装してあるものが3点。
 何枚かが、額装せずに直接壁につなげて貼ってありました。

 途方もない孤独感と切なさがどの作品からもつたわってくるようでした。
「私の庭」は、穴ぼこだらけの地面が広がっており、これが時系列的には一番古いのかもしれません。天からひものようなものがつり下がっているのも、以前見た作品と共通しています。
(穴だらけの地面もひもも他の4点には登場しません)

「庭の外でも寝てみる」は、山あいにある駐車場のような舗装面にふとんを敷いて女性が横たわっているという図柄。風景の壮大な様子が、孤独感をいや増すようです。

「本当を見つめていて」は、片側1車線の舗装道路をふさぐように大きなテーブルを出して、こちらを向いて並んですわっている2人の絵。空に不思議な模様が走っています。
 
 ことばに出してしまうと陳腐かもしれない切実な思いが画面を満たしているようでした。
 
 
 喫茶スペースでは、日によって異なるお店が飲食を提供しています。

 筆者が訪れたときは他に誰も客はおらず、好きな席につき、深煎りコーヒーを飲みました。600円。

 室内には、青や白のあかりを仕込んだ建物三十数棟の模型が並んだ都市のパノラマが設置されていました。
 これ、上田純也さんの作品なのかな?
(会場には作品名などが特に記されていませんでした)
 

2024年6月12日(水)~16日(日)午前11時~午後7時(金土曜~9時)
旧園田商店(小樽市若松2-2-20)

Twitter(現 X) : @minori054
Instagram : m.i.n.o.r.i.i

過去の関連記事へのリンク
emerging artists -躍動する新進芸術家たち- (2021)
七月展 北海道教育大学岩見沢校 美術文化専攻の学生による自主制作展 (2018)




・JR南小樽駅から約550メートル、徒歩7分

・中央バス「奥沢口」から約500メートル、徒歩7分
※札幌からの都市間高速バス「高速おたる号」など全便が止まります




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