ガリバー通信

「自然・いのち・元気」をモットーに「ガリバー」が綴る、出逢い・自然・子ども・音楽・旅・料理・野球・政治・京田辺など。

探し続ける日々。

2011年09月13日 | 感じたこと
 2011年9月11日は、いろんな意味での「探し続ける日々」を思い起こされた祈念日でもあった。

 あの忌まわしい米国同時多発テロと称された、ニューヨークの貿易センタービルにハイジャックされた民間旅客機が、なんとも映画のCGの如く突入する場面を日本のお茶の間のテレビ映像として観てから十年の歳月が流れた。

 また、記憶に新しい今年の春、3月11日に発生した巨大地震と大津波で壊滅的な被害に見舞われた「東日本大震災」の被災から、ようやく六ヶ月が経った。

 いずれも驚くばかりであった大災害、大事件なのだが、いまだニューヨークの多発テロで犠牲になったと思われる約3000人の方々の中で、四割近い1100名以上の方の亡くなったという遺体の一部などの確認できる証拠がなく、いまだ行方不明という状態のままで、ビルの倒壊による残留物の中からDNA判定も交えて、現在も調査と確認がなされ続けているという。

 また、東日本大震災の場合は、約2万人もの犠牲者が出ていると報じられているが、そのうちの4千名強の人たちの遺体や死亡を確認できる証拠が見つかっていなくて、中には大津波による海水の引き戻り現象で海の底に持っていかれた遺体も多くあると見られていて、いまだそう捜索に当たっている状況もあるという。

 とにかく人災、天災の区別なく多大な被害をもたらした事件、事象による人間の死が想像されるわけだけれど、亡くなったと思われる方々のご家族や友人、知人たちにとっては、亡くなったという思いは日増しに募ってはいるものの、その証拠の確認なくしては、心の中に空洞が空いたままで、なんともやるせない思いの中にあって、ひょっとすれば何処かで生存しているのではとさえ思ってしまうのではないだろうか。

 毎日、毎日、ご家族を探し続ける方々も東日本大震災においてはあったと思われるのだが、時が経って半年が経過してしまうと、「やっぱり亡くなったのだろう」と諦めざるを得ない心境に達しておられる方々が多いのだろうと思う。

 探し続けるのは、決して亡くなった方々のご遺体や遺留品ばかりではなく、残された生存者、つまり難を免れた人たちにとっても、津波でなにもかも流されてしまって、避難所暮らしや仮設住宅に住まわれども、自分の家に戻りたい、住み慣れた地域に帰りたいに始まって、仕事探し、仲間探し、家探しが急務として、日々考えておられることだろうと思うのである。

 災害救助法の適応や原子力発電事故の被災者に対する損害賠償の手続きなども始まっていると思われるが、いくら当座の生活資金の補充や補助がされたとしても、元どおりの生活に戻れるわけはないのであるので、誰もが何かを「探し求め続けている」のではないだろうか。

 一種の脱力感や焦燥感をはじめとする、「なにやら力が入らない」とか、「どうもやる気が起きない」と言った感じのケダルサややりきれなさの中で、人はどうして生きなければにならないのかと自問自答することもあるのではないだろうか。

 ずっと探し続けている人は、何処にもたくさんいる様に思うのだが、人生の良き伴侶としての結婚相手、彼氏や彼女などの恋人や親しい友人探し、そして自分らしさとは何かという、自分探しなども多いのではないかと思うのである。

 長い人生の途上で、少なからず躓いたり経ち止ったりすることは時として誰にもあると思うのだが、その究極が自分がどうすればいいのかが分からなくなるという、「自分探し」なのではないだろうか。

 青春時代ならいざ知らず、二十代、三十代どころではなく、いい年と言われる中高年世代になっても、この自分探しに没頭しているという方々もおられるのだという現代であるが、世の中ではそうした「自分探し」をサポートしたり、お手伝いするという触れ込みで、各種サービスを提供する事業、たとえば旅行、書物、趣味、出会い、仕事を斡旋するビジネスも盛んである。

 いずれにしても、自分らしく生きたいと願う人々の思いをサポートするといえば、聞こえがいいのだが、自分を探したいと思うのであれば、自分自身でその活路や方法は考えて実行すべきだと思うのだが、人間の弱さ、無力さとでも言うのだろうか、そういう底力さえ湧いた来ない時があるものである。

 被災地や被災者のために働く行政関係者、自衛隊、医者、看護婦、海上保安庁、消防、警察、ボランティアなどの方々のご苦労と日夜の献身的な働きに敬意を表すと共に、これからの人生の行く末を歩んで行くための「自分探しの旅」を続ける方々にエールを贈りたい気持ちでいっぱいである。

 この世に生を受けた人々の一生が、少しでも自分らしく生きているという実感が伴ったものに近づけます様にと祈るばかりである。
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