ガリバー通信

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ロシアの権力

2011年09月26日 | とんでもない!
 我が国の首相は野田佳彦氏で何人めだか、ともかく民主党が政権交代を果たした一昨年八月末以来、約二年間で三人目、その前の自民党政権末期でも小泉首相の約五年間を最後に、福田、安倍、麻生とほとんど一年間づつやっていたので、ともかく毎年の様に国の最高決定権力者の首相が、一年ごとに変わる国は全世界、特に先進国ではありえないことだと思われる。

 来年は、世界の主な首脳が変わるという年度として注目を集めているが、アメリカの大統領は四年間はほぼ間違いなく君臨し、来年度にオバマ大統領が再選されるかどうかは大変難しい局面を迎えているという推測はあるが、世界の二大大国とかつては冷戦時代には言われた東側?ロシアでの権力移行が早くも確定的になったというニュースが伝わってきた。

 なんと四年前まで大統領だった現在のプーチン首相が、現在の大統領であるメドベージェフ大統領に彼らの所属する統一ロシアの党大会で指名されるという形で、ほぼ間違いなく大統領に返り咲くとの報道である。

 なんとも信じがたいとも思われる形で、首相と大統領という二大国家権力を交代しあい、来年プーチンが大統領に復帰したら、メドベージェフ現大統領を首相に指名するというのである。

 どう考えても権力の私物化、とっても民主主義的な交代とは言えない権力の委譲、いや権力のたらいまわし、もっと言えばプーチン氏の権力の私物化をより一層推し進めるというばかりの発表となったわけだが、党大会では全員が拍手?して承認したという、とんでもない茶番劇が演じられているのである。

 今に始まったわけではない、この双頭体制ともいうべきロシアの権力体制は、ロシアの憲法によってソ連倒壊後の大統領の任期を四年、最長二期までと規定したのだが、今回はプーチン氏が大統領の任期を6年に変更し、来年から二期務めて2024年まで大統領としての権力を行使することとなると推測されていて、年齢的あるいは執務に耐えるだけの健康さえあれば、その後は再び首相に返り咲くというシナリオまで見えているというのである。

 確かにソビエト連邦崩壊後のロシアの第二代目の大統領に就任したプーチン氏は、ロシア経済の混乱を建て直した評価が高いのだが、いくら実績があったとしても、このような手法で長期にわたっての国の政府機関の実質的権力、すなわち決定権を持ち続けるという横暴さは国民にとっては、いいところばっかりではないはずである。

 プーチン氏が権力の座についた2000年当時から、こうしたシュミレーションで、彼自身が憲法だけでなく、ロシア国家の舵取りを自らの意のままにしていくための方策、ルールを自らが作ってきたといえるのだが、日本でこのような手法が許されるわけはないのは、一応国会議員を数年毎に国民、有権者が選ぶという、間接的とはいえ民主主義の手法が辛うじて生きているからなのだが、ロシアの民主主義はどうなっているのだろうとさえ疑問に思うのである。

 日本で例えてみれば、先にもあげた小泉純一郎首相が首相を退任したあと、自分のお気に入りの政治家に首相の座を形だけ譲って、昔からよく言われた「院政」とやらをひいて、次の首相の権力に関与しつつ、一定の期間を経過した後に、再び首相に返り咲くといった形であり、現在の日本の政治ではありえない暴挙とも言ってもいい決定と言わざるを得ないのである。

 このロシアのプーチン氏とメドベージェフ氏の関係はいったいどういう関係なのだろうかと思うのだが、メドベージェフ氏は大統領職をこの四年間務めていたのだが、プーチン氏の傀儡、すなわちプーチン氏の言いなりと言ってもいい、絶対的服従関係と思われる状態ではなかったのだろうか。

 「権力のたらいまわし」としか言いようのないロシア権力の移行ごっこに対して、ソビエト連邦時代の最後の大統領であるゴルバチョフ元大統領は強権的なプーチン氏の大統領への復帰に対して、「ロシアの停滞を招く」と批判的だそうだが、数年前からプーチン氏はメドベージェフ氏と話し合ってきたという規定路線として説明しており、ロシアの多くの国民、有権者の判断はどのようなものかと注目されるが、なぜか多くの国民の支持が、強いロシアを演出するプーチン氏にあり、今年12月に行われる下院選挙でも、メドベージェフ大統領より人気の高いプーチン氏が政権党統一ロシアの党首として大統領へ復帰すると宣言した方が勝てるとの予測もあっての早々の発表だったらしい。

 いずれにせよ、この二人の関係は、いくつもの写真でも男同士で手をつないで散歩したり、仲が良すぎるのか、そういう演出がされているのか、どうても可笑しな関係であり、権力を我が物にするための自らの演出に国民すべてが酔っているとしか思えない異常な先進国と言われるロシアの実態ではなかろうかとさえ感じるのである。
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