ガリバー通信

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「はやぶさ」の偉業。

2011年09月21日 | とんでもない!
 小惑星探査機「はやぶさ」が七年間、60億キロの宇宙旅行を経て、小惑星「イトカワ」のサンプルを持ち帰ったというニュースは、既に伝えられてはいたが、日本の宇宙科学や技術の粋を集めた結晶としての探査機のストーリーについては、あまり知る由もなかった。

 先日NHK衛星テレビの番組で、この計画から実施、そしてイトカワから持ち帰った微粒子の合成物を電子顕微鏡で調査している現状までをドキュメンタリーとして放映しているのを偶然観て、とんでもない科学技術の進歩と宇宙科学者たちのとてつもない忍耐力と共に「夢とアイデア」の数々の実際を知ることができたのである。

 とかく宇宙と言われていても、アメリカやロシアによって打ち上げられている有人衛星が話題になって、宇宙飛行士の日本人をはじめとする多くの経験や宇宙から観た「地球」の話が伝えられるたびに、私はたかが地球から数百キロ離れただけの地球の大気圏を出た少し向こうの出来事に過ぎないと高をくくっていたのだが、今回の「はやぶさ」の七年にも及ぶ60億キロという長時間の長距離宇宙空間の旅には、有人ではないが驚かざるを得ないものがあった。

 60億キロといえば、地球一周が約4万キロだというのだから、そのなんと15万倍、ちょっと想像してただけでも一年に地球を8万5千周以上、すなわち一日に地球を230周以上するというとんでもない速さで宇宙空間を飛び続けて、しかも途中電気回路の故障やエンジンのトラブルなどもあったにも関わらず、科学者たちの総合力と緻密な計算と諦めない執念の結果、地球への帰還をなしたという、壮大なドラマだったわけである。

 宇宙航空研究開発機構、通称JAXAのプロジェクトマネージャーである川口淳一郎さんを中心にスタッフ全員が、探査計画の段階から実に20年にも及ぶ歳月をかけて、地球から数億キロ離れた宇宙空間に漂っている「イトカワ」という小さなピーナッツの形に似たかわいいと形容したほうがいいと思われる肉眼では決して見ることの出来ない物体の生い立ちや歴史を知るための探査機を巨額の予算を費やして飛ばすというとてつもない冒険を敢行したのであった。

 私たち凡人にとっては当たり前だと感じるのだが、全く見えない宇宙空間に漂う宇宙の塵の如き小惑星をターゲットにして、あらゆる科学技術と膨大なデーターを基礎にしているとはいえ、コンピューターによる計算、解析を繰り返してと行って、たぶん宇宙空間において、小さな見得ない針の穴を通すが如き、「イトカワ」の上空二十キロから刻々と状況を変化させて、イトカワに着地させるという想像を絶したイメージと現実的な技術力は、なんとも言葉では言い表せない不思議ともいえる集中力ではなかっただろうか。

 ましてや、イトカワに着地はしたものの、計画通りの小爆発による地上の粉塵や土壌の採取がなされたかどうかも判明しないままとはいえ、長距離の地球への帰還という難事業の途中に、「はやぶさ」が行方不明になってしまうという事故が発生し、約半年以上行方を捜し続けるという空白の期間を経て、ようやく全スタッフの願いが叶って、はやぶさとの交信が復活し、今年二月だったと記憶しているがオーストラリアの砂漠地帯に、はやぶさ本体は地球突入の際の3千度に及ぶ高温のため燃え尽きたのだが、探査機の目的であるイトカワの地上の状況を察知できるサンプルを採取できているかどうか不明だが、小さな回収容器は特殊な耐熱性の優れた金属等でできているので、無事帰還したのであった。

 そんな科学者たちの苦闘と努力と夢の記録が「はやぶさ君の冒険日誌」(毎日新聞社)、小惑星探査機「はやぶさ」の超技術(講談社)、はやぶさ/HAYABUSA(角川文庫)などとして刊行されているのだそうだが、10月1日公開の映画「はやぶさ HAYABUSA」として紹介されるという。

 「はやぶさ」が紹介された当時は、日本の宇宙開発や科学技術の発達とそれに関わる科学者たちの優秀さは信頼のおけるものだとは思ったが、これほどまでに緻密かつ集中力と努力、そして夢の実現のためへの研鑽が日夜なされていたという現実までを知る由もなかったためもあって、どうせ宇宙開発や技術は、アメリカと並んで宇宙開発が軍事目的や、今後の企業利益を拡大するための政府の投資を基にした「お遊び的事業」の様にも感じていたので、目から鱗とでも言うべきか、大変な誤解をしていたのだろうとさえ感じた、今回の「はやぶさの偉業」であった。

 壮大な宇宙空間に夢と共に、大宇宙誕生の謎を少しでも解き明かそうと日夜一生懸命に、とんでもない天文学的数値とコンピューターとモニターとにな睨めっこしながら、小さな星イトカワに向かい、帰還を果たすまでを追い続けていた科学者たちの熱意に敬意を表すると共に、今後持ち帰ったはやぶさの成果とはやぶさ二号計画を含む、宇宙研究の進展、そして宇宙の謎の解明に近づく成果を期待したいものである。
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