ガリバー通信

「自然・いのち・元気」をモットーに「ガリバー」が綴る、出逢い・自然・子ども・音楽・旅・料理・野球・政治・京田辺など。

定食屋の女将さん。

2010年09月16日 | 感じたこと
 あれほどの猛暑が続いて、いつまで続くのかと半ば諦め顔だったのだが、意外にも急速に秋の風情が感じられる季節になって、「暑さ、寒さも彼岸まで」というのに、お彼岸まで一週間もあるのに、早や「秋風」を感じられる、とっても気持ちのいい日々となつた。

 仕事で外歩きが中心のため、長い夏は汗びっしょりになって、しばしの休みは毎日の昼食時だけなのだが、いろんな地域に出向くために一定のお店で食事をとることが難しいのだが、その地域周辺で「安くて、旨くて、感じのいい店」を見つけるのも仕事の内といった感じである。

 実は昨年の暮れから今年の春にかけて営業活動で行っていた地域に、とっても気さくで小柄なおかぁさんがやっている「小さな定食屋さん」があって、いつも「おふくろの味」といった感じのメニューからメインのおかずを選んで頼むと、小さな小鉢が四つもついて、ご飯と味噌汁で、何と「ワンコイン」、つまり500円ポッキリの店に出会ってたいそう気に入って通っていた。

 このお店は、商店街の長い通りに面してはいるものの、たった5人しかお客が入れないという、小さな定食屋さんなのだが、ご飯と味噌汁の御代りも出来て、腹いっぱいでもワンコインということもあるが、料理人の女将さんの人柄もあって、近くの大学生や仕事で外食する男たちだけでなく、近くのお年寄りたちにも大好評の店となっていて、昼食時には外で待つほどの盛況振りであった。

 約六ヶ月ぶりに近くに約束したお客さんがおられたために、朝から出向いてちょうどお昼時になったので、女将さんの定食屋さんに立ち寄ってみた。

 ほんとうに久しぶりだったので、前のお客さんが済むまで狭い店内で待ちながら、女将さんと話していると「この夏は暑かったけど、大変なことに遭遇した」というのである。

 いつも来られていたおばぁさんが足を悪くされたので、毎日「お弁当」として配達をされていたところ、七月の下旬に弁当を届けられた時、玄関で声をかけたが返事がないので、お二階の彼女の部屋へと伺ったら、ご本人は「熱中症らしき症状」で倒れておられ、救急車を呼んで病院に搬送されたが、既に亡くなっておられたというのであった。

 親切心で、親しく感じておられたお客さん宅に、ご高齢で足を悪くされたおばあさんと言っても、まだ78歳の孤独な「この夏の暑さ」による死亡は、定食屋の女将さんにとっても、とっても悲しくショックな出来事だったと思う。

 多くの学生や仕事の途中の昼飯で立ち寄る男たちも、まるで故郷の「おふくろ」のご飯を食べるが如く、いろいろとお喋りしながらの食事を楽しみにしているらしく、卒業後や仕事先が替わっても、訊ねて来るというのである。

 私自身も、まるで「学生時代」の通った定食屋の女将さんといった感じで、今日半年ぶりに立ち寄って、お喋りをしていろいろと教えられたものである。
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