ガリバー通信

「自然・いのち・元気」をモットーに「ガリバー」が綴る、出逢い・自然・子ども・音楽・旅・料理・野球・政治・京田辺など。

夕暮れ時の初釜。

2009年01月25日 | 季節の話題
 今日はお正月最後の日曜日。昨秋から始まった私たち「お父さんたちが作るオーガニックランチ」の日であり、朝からお昼のお客様のためにと4人の定年団塊の世代の親父たちが、宇治警察署近くの「ゆめカフェ」で準備をして、約20名のお客様に「ポパイ炒飯」「菜花のとろろ豆乳マヨかけ」「冬野菜と鮭の具たくさんスープ」「白菜の糠漬けとたくあん」のメニューをお出しした。

 自己満足も含めて、わざわざ来て下さったお客様たちには「美味しかった」との好評を得て、我々は嬉しく安堵したものだった。

 私は片付けもそぞろに、久しぶりに京都市内の東山丸太町からちょっと北東にある、黒谷西翁院に向かった。

 そこでは少し遅い感じだが、茶道の庸軒流家元を中心とした「初釜」が午後二時ころから行われていたので、楽しみに車を走らせたのであった。

 藤村庸軒という千利休の茶道の道を千宗旦のもとで修行し、皆伝を受けた四天王のひとりに数えられる茶道の師匠に端を発するね「庸軒流」の家元を西翁院の住職が接いでられて、今に伝えられる継承の地であるのだ。

 年に一度か二度しか私は参加できないのだが、昔若かりし頃には毎週、十年程前に亡くなられた先代の宮川祐宏師匠の指導によるお稽古に数年通っていたことがあるので、未だにご連絡をいただいて、お花見茶会と初釜の折には何とか参加しているのである。

 宇治から京都市内へと車を走らせる途中、ちらちらと小雪が舞った瞬間もあったが、西翁院に到着する頃には、冬の日差しとは思えない西日が、歴史的建造物でもある藤村庸軒作の茶室、「淀看席」のにじり口を照らしていた。

 待合から旧知の友たちと八人が、お庭を通って淀看席のにじり口に入ると、薄暗い茶室の窓辺から障子越に西日が変化して、なかなか粋な雰囲気の中、宗匠のお手前でお茶をいただいたのである。

 お正月、初釜と言えば恒例の「花びら餅」が菓子盆にのって出され、紅白の干菓子と共に食した後、本当に美味しいお抹茶のお薄を二服もいただいたのであった。

 正月、一月もあと一週間で終わろうとしているが、久々に正座し少し緊張した面持ちで「お茶を愛でる」と言った感じのひと時となった。

 花びら餅も、お正月らしい姿であったが、棗、茶杓、お茶碗、掛け軸、柄杓、茶せんと茶室の内外の見るもの、手に触れるもの全てが新鮮な感じであった。

 庸軒好みといわれる室町時代からの伝統の品もあり、また昭和の時代に先代の宗匠が買い求められたものもあり、伝統的な茶道の一流派である「庸軒流」の歴史と伝統の流れの中に、ひと時ではあったが座れて一服の茶を振舞われたことは、とっても幸せに感じたものである。

 若き青年たちが最近、再び水曜日の夜に、庸軒流の茶のお稽古に通っていると聞いて、私自身もそんな時代があったなと懐かしきもあり、また年を取ったなと改めて感じた。

 庸軒流が京都の地で末長く継承されていくことを期待したい。
コメント (1)
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