ガリバー通信

「自然・いのち・元気」をモットーに「ガリバー」が綴る、出逢い・自然・子ども・音楽・旅・料理・野球・政治・京田辺など。

被災地からの撤退

2008年06月23日 | 日本の課題
 岩手、宮城内陸地震が発生し、12名の死者と共にまだ行方不明者が10名いるという現状の中、突如として自衛隊の救助活動にあたっている部隊の撤収が言い渡されたようである。

 宮城県、栗原市の今回の地震の象徴的な土砂災害で大きく移動し、一階部分が埋もれてしまった、あの「駒ヶ湯温泉旅館」の被災現場から、救出活動に従事していた自衛隊員が一斉に撤退したというのである。

 なんと、地元の宮城県知事が、撤収を命じたというから驚いたのであるが、栗原市長は、できればもう少し滞在して、救出、復興活動に従事してほしかったとコメントし、宮城県知事にも要請していたが、残念だとも語っていた。

 聴くところによると、現宮城県知事は、なんと防衛大学出身の自衛官であった方で、「本来の任務に戻ってもらう」ためと発言されていた。

 テレビ報道を通じての感想に過ぎないかも知れないが、まだ行方不明者が確実に埋もれているであろう、救出困難な現場ではあるが、たとえ「いのち」を救えなくても、ご家族、関係者にとってだけでなく、安否を気遣うすべての人たちにとって、せめて不明者の発見までは協力をしてほしかったというのが本音ではないだろうか。

 たぶん「本来の任務」といわれているのは、自衛隊は国防、国際協力などと、それに備えた日常訓練や業務ということなのだろうが、こんな自然の地震大災害の発生で、避難したり被災した人たちの救出や支援のためにこそ、自衛隊が活躍せずしてどこで「本来の任務」を役立たせようとしているのだろうかと疑いたくなる。

 つまり、現在も継続中のインド洋沖での海上自衛隊のアフガン、中近東のテロリストたちへの作戦を繰り返すアメリカ軍などへの燃料、水などの輸送には、多くの反対を押し切ってまで、米国に忠実に自衛隊を派遣し続けている日本政府。

 なのに、国内の自然大災害の被災地での救援活動には、よく言われている大災害で埋もれたり行方不明になった人たちを救出するタイムリミットとされている「72時間」をすでに三倍以上越えた時間が経過しているとは言え、安否を心配する人たちと復旧への人手としても、大量の物資の支援と共に、自衛隊が、災害派遣としての任務を遂行する必要がある。

 私たちにとっては、まさにここぞ、大災害の時こそ、自衛隊の出番であり、平和な日本にあって、憲法違反の「自衛隊」が唯一存在し続けていても、必要悪とでも言うべき存在理由となっているのではないだろうか。

 やはり割り切れない、理由に乏しい「撤退理由」であり、税金をたくさん使っている自衛隊が、ここぞ活躍することが、少しでも政治不信や税金の無駄遣いなどを指摘され続けている現在の福田政権の、信頼や期待を回復するチャンスでもあるのに、全く逆行する、多くの国民の納得のいかない「自衛隊撤退」を残念に思うものである。
コメント (1)
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