雲ひとつない春の行楽日和の日曜日、私たちの男の料理サークル「おりじ」は、春の野に出て地元の筍を思い存分使っての、野外での筍料理三昧となったのである。
今年は私たちの山城地方も、筍の生育が思ったより悪いため、なかなかいい筍をゲットすることが困難だったのだが、前日に約5キロほどを地元の筍生産者から購入して、前夜のうちに米ぬかで灰汁抜きをして茹でておいた物をメインに、男達で豪快に料理して食することを目的に、わが町が一望できる、標高は300メートルほどだが、最高のロケーションの天王、吹上、鷹が峰と地元では呼称される頂に近い所へと登ったのである。
途中、許可を得ておいた竹林で、メンバーが思い思いの工具を持って、孟宗竹を切り出したのである。
直径20センチ程もある、立派な孟宗竹を2本切り倒すのも至難の業であったが、各々が協力して、10数本に切り、道路わきに止めていた車まで担いで下りた。そこで小さな事件が起きた。と言うのは、竹の長さと重さのために、私の軽自動車の貨客車に積み込んだ際に、竹の端が当たって、フロンとグラスにひびが入ってしまったのである。
幸い、走行には差し支えなかったため、ダンボール紙をあてがって、急な坂道で軽4輪がやっと通れる位の山道を4WDに物言わせて登りきり、調理道具や薪、LPガスボンベやコンロと共に、筍などの食材を運び得たのである。
眼下には、木津川沿いに開けた山城地方が一望に見渡せる絶好のビューポイントであり、周辺は昔は棚田と呼ばれるような田んぼが耕作地として開墾されたところだが、現在は何人かの農作業者の地主が思い思いに、ごぼう、エンドウ、菜の花などを栽培されている美しい畑となっているところである。
私たちの料理サークル「おりじ」は、今年で13年目を迎える男だけの料理グループであり、「おりじ」とは、男、料理、自主、の頭文字であり、オリジナルに通じるオリジなのだが、50代から70代に及ぶ、いや80歳を越す元気なメンバーもいるため、男の料理、じいさんグループと皮肉られることもある。
ともかく元気で食べること、呑むこと、お喋りすること、料理することが好きな中高年齢のグループとしては、現在20数名のメンバーが所属して、毎月例会としての自主的な活動に励んでいるのである。
さて、本日のメインメニューは、当然「筍ご飯」と若竹煮、筍のお吸い物の、3種が中心なのだが、私たちのチャレンジ精神で、孟宗竹を飯盒としての、筍ご飯づくりの挑戦がメインとして、行った。
12名の参加者であったが、各々の得意や気づいた部分をお互いにサポートしながら、釜戸作りに励む者、、竹細工を企てる者、食材を切りそろえたり、調理を中心にする者などが、分業的に野外の気持ちのいい雰囲気の中で働いて、ようやく1時前に、グランドシートを広げた食事場所での乾杯となった。
いつものホームグランドの調理室は、公共施設の中にあるため、毎月の料理を作って食する際も、アルコール類を伴うことは出来ないので、折角の野外活動の今回はと、ビールとノンアルコールのビールとお茶も用意しての、筍料理三昧となつた。
ちよつと薄味に炊けた、筍ご飯には、筍、人参、鶏肉、薄揚げなどが入っており、食べる前に木の芽をあしらって食した。筍の吸い物は、絹さやや若芽と菜の花に筍を入れて、白だしをベースに味付けし、若竹煮は、筍、ワカメと木の芽で、竹筒を器として入れて食したのである。
このポピュラーな筍料理3点だつたが、充分、地元の旬の筍を味わうことが出来て、この日の春爛漫の天候のせいもあって、参加者の笑顔と満足感で、山を降りたのである。