Live event
YEASAYER
LINE UP:YEASAYER Support act:80KIDZ
ご存知のように第55回グラミー賞でゴティエが最優秀レコード賞など3冠、FUN.が最優秀楽曲賞と最優秀新人賞の2冠、UKフォークバンドのマムフォード&サンズが最優秀アルバム賞など2冠に輝いた。いずれも世界的に大ヒットしチャートを席巻しているアーティストながら日本での知名度はイマイチ。ワイドショーや新聞ではゴティエの留学経験ネタとFUN.の「僕たちはそんなに若くない」発言が紹介されたくらいでマムフォード&サンズに至っては数秒PVが流れただけ。何故彼らがこれほど評価されるのかどんな背景があるのかといった説明は一切なし。ゴティエの記事で書いたように日本と世界の音楽市場の熱量差が証明されたグラミーだった。
因みにマムフォード&サンズはバンジョーなどアコースティック楽器だけで大会場を熱狂させるライヴ命のバンドである。フォークバンド編成だが若いリスナーへの受け方はアコギ版インディー・ロックと呼んだ方が相応しい。アメリカやヨーロッパは国土が広い分ライヴ・ツアーの重要性が高い。グレイトフル・デッドをはじめとするロードバンドへの支持の高さは圧倒的だが日本には伝わりにくい。英国出身の彼らの活躍でアメリカのルーツ音楽が注目されるという逆転現象も起こっている。
新世代アーティストの台頭が著しい中、NYブルックリン出身のエクスペリメンタル・ロック・バンド、イェーセイヤーの来日公演に参戦した。MGMTやベックとのツアーを経て2007年にデビュー、実験性とポップセンスを併せ持ったサウンドが高く評価され2010年の2ndアルバムで世界デビュー。同年のフジロックで初来日した。昨年リリースの3rd「フレグラント・ワールド」を引っ提げて初の単独公演が実現した。
代官山UNITは洋邦問わず実験的イベントや新世代バンドのライヴが多く開催される先鋭的なクラブである。場所柄外国人やオシャレ系の客が多い。この日も外国人客の姿が多い。一昔前は”外人が多い=日本ではマイナー”というイメージだったが21世紀には外国人の嗅覚が最先端日本人の感性とリエゾンするのが普通の光景になった。
オープニング・アクトは日本の若手バンド80KIDZ。全く知らないバンドだったが浜崎あゆみやOrange Rangeなどのリミックスも手掛ける人気エレクトロユニットとのこと。メインの二人(共にg&key)にb,dsの4人組。インストロック/ポストロックというのだろうか、4つ打ちビート+重いベースに乗せてギターやキーボードが弾けるサウンドは新感覚派。neco眠るやte’、TOE、LITE、空間現代に通じるがもっとファンキーなダンスビートでオーディエンスを温める。
短時間のセットチェンジでイェーセイヤーの登場。新世代ロックらしく普段着の青年4人組(ドラムはサポートメンバー)。予想外にベーシストの二の腕が逞しい。そのベースの太い音が演奏をドライヴさせる。アルバムは打ち込みビートが主体のマシーナリーな印象だったがUNITのフロア向けサウンドシステムで聴くとグルーヴィーな低音リズムが腰に来て気持ちがいい。ボーカロイドによる「ワタシタチハブルックリンカタキタイェーセイヤー。コンニチハトーキョー」という日本語のセリフを織り交ぜたエレポップ・サウンドにウルトラヴォックスやデペッシュ・モードやDAFを思い出す。全員マルチ・ミュージシャンというが楽器の持ち替えはない。3人ともヴォーカルを取るが歌の上手さに感心する。ゴティエに通じるR&B・ソウルの影響やレゲエやダブの要素を強く感じる。それがレイドバックではなく尖ったダンスロックになっている。あらゆる音楽要素を混ぜ合わせオリジナルなサウンドを創造しひとつのスタイルに拘らず常に変化する姿勢が今風。グルーヴ感たっぷりの演奏にはポストロック特有のクール感はない。人を踊らせるステージの楽しさは失神はないけれどザ・キャプテンズと同じである。
Photo by Takayuki Mishima
新世代
ロックに息づく
ダンス衝動
しばらく若者に交じって新世代音楽に身を委ねようかな。
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