A Challenge To Fate

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【私のB級サイケ蒐集癖】第33夜:女子サイケの楽園三角形~フェミニン・コンプレックス/エース・オブ・カップス/フィメール・スペシーズ

2021年05月14日 00時51分54秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


この年にして女子地下アイドルにハマっている筆者だが、ロックを聴き始めた中坊の頃から女子ミュージシャンや女子バンドが好きだった。というか男子の禊として幼時から女子への興味は大いに芽生えていた(幼稚園の学級会で同級の女子から「○○君からキスされた」と名指しで糾弾された想い出あり)ので、好きな音楽に好きな女子を求めるのは当然の成り行きだろう。だから1980年代に60年代サイケに目覚めた筆者がサイケ女子に憧れたのも自然だった。しかし、ジャニス・ジョプリンやグレース・スリック(ジェファーソン・エアプレイン)をはじめとして女性ヴォーカリストは多数いるが、全員女子のサイケバンドはほとんど見つからない。コンピレーションLP『Girls In The Garage』が出て、やっとオールガールのガレージ/サイケバンドが存在することを確認したが、各バンド1曲2曲では物足りなかった。パンク/ニューウェイヴ以降オールガールバンドは珍しくなくなったが、60年代の男性上位社会の中では女子がロックバンドをやることなど、非常識なことと思われていたに違いない。そんな時代に女子だけでロックバンドを続けることはイバラの道だったかもしれない。そんな時代を生き抜いた不屈のサイケ女子バンドは尊い。

●フェミニン・コンプレックス The Feminine Complex


メンバー:Mindy Dalton (g,vo), Judi Griffith (tambourine, vo), Lana Napier (ds), Pame Stephens (key), Jean Williams (b)
ナッシュビル州テネシーのメイプルウッド・ハイスクールの女子高生が結成。1966年秋にガールズバンドを結成しようとNapierとWilliamsがDaltonとGriffithを誘って結成。4人とも高校の女子バスケットボールチーム部員でもあり、チーム名と同じThe Povitsをバンド名にした。1967年にStephensが加入しバンド名をFeminine Complexに変え、ナッシュビルのパーティやクラブでライヴ活動を行う。男性グループばかりのローカル・シーンで全員女子のバンドは人気を集め67~68年にかけてテネシー州内をツアーするニューヨークでNBCテレビショーに出演し、1910フルーツガム・カンパニーと共演したこともあった。ナッシュビルのベテランA&R、Dee Kilpatrickが設立した新レーベルAthena Records第1弾アーティストとして契約しアルバム『Livin’ Love』を制作。デモテープはバンドで演奏したが、アルバムはセッション・ミュージシャンによる演奏だった。しかし68年秋に新学期が始まると、大学に進学したStephensが脱退、NapierとWilliamsもバスケット部に復帰するために脱退。DaltonとGriffithはデュオでバンドを続けようとするが間もなく解散した。
1996年にTeenbeatレーベルが『Livin’ Love』とデモテープ集を再発し、広く世に知られるようになった。

Feminine Complex - Hide & Seek



●エース・オブ・カップス The Ace Of Cups


メンバー:Mary Gannon (b), Marla Hunt (org, p), Denise Kaufman (g, hca), Mary Ellen Simpson (g), Diane Vitalich (ds)
1967年にサンフランシスコで結成。バンド名はタロットカードの「カップのエース」から取られた。1967年春にデビュー、同年6月ジミ・ヘンドリックスのゴールデン・ゲート・パークでのフリー・コンサートのオープニングを務める。気に入ったジミはメロディ・メイカーのインタビューで名前を出して推薦した。サンフランシスコのマトリックスやアヴァロン・ボールルーム、フィルモアの常連バンドとしてジェファーソン・エアプレイン、グレイトフル・デッド、クイックシルヴァー・メッセンジャー・サービス、ザ・バンドなどと共演し注目を集める。レコード契約の話もあったが、条件的にマネージャーが同意せず決まらなかった。また70年代になるとメンバーの結婚・出産などで活動に支障をきたし、72年に活動を停止した。2003年にACEレコードがデモやライヴ音源の編集盤『It's Bad for You But Buy It!』をリリース。それぞれ別の道に進んだバンド・メンバーは折に触れて共演してきたが、2011年にフェスに出演したことをきっかけに再結成の話が進み、2018年に正式な1stアルバム『Ace of Cups』、2020年に2nd『Sing Your Dreams』をリリースした。70歳超えのロックバンドである。

"Stones" by the Ace of Cups band — Footage from Revolution, 1968



●フィメール・スペシーズ The Female Species


メンバー(60年代):Vicki Gossett (vo,g), Ronni Gossett (vo,b), Linda Peters (g), Dawna Uyeno Snow (key,vo), Michelle Molner (ds)
1966年カリフォルニア州ウィッターでヴィッキーとロニーのゴセット姉妹がビートルズに憧れて結成、ビーハイブヘアとミニスカートのガールズバンドになった。60’sヒット曲のカヴァーに他にゴセット姉妹のオリジナルナンバーも手掛けた。1966年にアセテート10インチレコードを制作。しかし正式なレコード契約を得ることなく初期メンバーは脱退し、70年代、ゴセット姉妹はメンバーを変えながらラスベガス、ロサンゼルス、ナッシュビルへと活動拠点を移しながら活動し、80~90年代はソングライターとしてナッシュビルの音楽出版社と契約して作曲活動を続けた。彼女たちの活動をまとめた編集アルバム『Tale Of My Lost Love』が2021年にリリースされた。前半は60年代ガレージロック/サイケデリック時代の録音、後半はポップス/フォーク/カントリーに移行した70年代の録音を収録。ガレージサイケ期のメランコリックなナンバーはレアサイケの傑作。70年代のカーペンターズに通じるポップセンスも悪くない。Spotifyの同アルバムにはCD2としてカバー曲を含むガレージナンバーが追加されていて、とてもいい。

Stop And Think It Over


オール女子
ガレージサイケに
萌えている

Ace of Cups – Feel Good [Official Video]
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