A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

川島誠+西沢直人+橋本孝之@越生 山猫軒 2017.9.24(sun)

2017年09月26日 08時45分38秒 | 素晴らしき変態音楽


川島誠 西沢直人 デュオ
ゲスト 橋本孝之
公開レコーディング

入場無料
ギャラリー&カフェ山猫軒
20:00開始

アルトサックス奏者川島誠が現在活動の拠点にしている山猫軒で公開レコーディングを開催。9月初めにソロ演奏を行ったが、今回はドラムに西沢直人を迎えてのデュオ演奏。西沢と川島はCD『Duo: 浜千鳥』(2016)で共演している旧知の仲。池袋から東武東上線で坂戸乗換で東武越生線の終点、約75分の緑とせせらぎの町・越生駅からさらに車で15分の森の中に山猫軒がある。カメラマンのオーナーが撮影した阿部薫や吉沢元治のポートレートが飾ってある。ギャラリーでは高村木綿子展『雨後の蛙をよけて通る』が開催されていた。緑に囲まれた新鮮な空気は演奏にもいい影響を与えてくれるだろう。

●川島誠


最初はソロ演奏。何度か観た川島のソロは地面に座り込み、地下の底の霊魂と会話するかのような呪縛的なパフォーマンスが印象的だったが、山猫軒での演奏は、地面ではなく空に向かって楽器を振り上げ、山の神に捧げるような拓かれたプレイを聴かせた。

●西沢直人


続いて西沢のドラムソロ。思索するように間を置いてスネアの打音を響かせる。川島の演奏に覚醒した山の精を諌めるように、激しさではなく音の行方を見極めるスタイルは、ドラム(太鼓)が古来、儀式を司る神聖な楽器とされていたことを思い出させる。

●川島誠 西沢直人 デュオ


高い天井に音を到達させようとする意志に導かれた川島の太い音色と、それをより高く羽ばたかせる西沢のドラミングの相互作用で、山の精は勿論、森羅万象の霊魂が騒ぎ始める。聴き手の感性が覚醒し、二人の演奏の変化に応じて頭が揺さぶられる。エンディングで行進曲のような力強いテーマを歌い上げ、この日この場で演奏できる歓びを謳歌した。

●川島誠 橋本孝之 西沢直人 トリオ



この日たまたま観客として来場した橋本孝之がゲスト参加。昨年の阿部薫の命日に福島のカフェパスタンに二人(と今井和雄、ヒグチケイコ)で出演したというが、対照的な両者の共演は貴重な機会である。橋本のハーモニカと川島のアルトの濡れ場のような一瞬の交歓の後、川島は客席のテーブルの間を徘徊し、照明の当たらない暗闇からステージに向かって音を放つ。共演者だけでなく、数人の観客、大気中の精霊、地下の底の霊魂へ音楽を捧げようとしたのかもしれない。橋本の植物的な音色は、肉体的な川島・西沢の演奏に切り込む異粒子だった。

この日の演奏が果たしてCDとして世に出るかどうかは分からないが、この場に居合わせた者にとっては、山の中での音楽の精との触れ合いの瞬間(とき)としていつまでも心に残るに違いない。また機会があれば山猫軒を訪れたいものだ。

山猫は
本当はかわいい
三毛猫でした

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