A Challenge To Fate

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反骨精神で40年~The Plastic People Of The Universe

2009年08月31日 00時20分07秒 | 素晴らしき変態音楽
共産主義下のチェコスロヴァキア。1968年「プラハの春」という自由化運動は旧ソ連軍に弾圧された。しかしそれ以降チェコのアンダーグラウンド・シーンはむしろ活発化し、反体制派の文化運動が密かに盛んになった。

そんな中から産まれたアヴァンギャルド・ロック・グループがプラスティック・ピープル・オブ・ザ・ユニヴァースである。バンド名はフランク・ザッパの曲名から取られた。マザーズ・オブ・インヴェンション、キャプテン・ビーフハート、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ファグスなどから影響を受け独特の実験的ロックを展開する。ヴァイオリン、サックス、エレピなどを取り入れたサウンドにはチェコスロヴァキアの民族音楽の影響が濃く、当時の写真などをみるとかなり演劇的なステージを行なっていたらしい。

彼らは1969年頃から活動を開始したが、政府当局から「国民の恥」として弾圧を受け、正規の音源を本国で発表することは許可されなかった。そんなプラスティック・ピープルの存在が西側世界に知られたのは、1978年ヘンリー・カウの提唱するRock In Oposition(反対派ロック)の手によってフランスでリリースされた「Egon Bondy's Happy Hearts Club Banned」(1974年録音)というアルバムだった。彼らの闘争史を綴った50ページのブックレットの附属したこのアルバムで、彼らの驚異のサウンドと堅固な意志が明らかになり高い評価を得て、その後もカナダなど本国以外で作品がリリースされていくことになる。

本国ではメンバーの逮捕/投獄が繰り返され、そんな中で後のチェコ共和国のハヴェル大統領とも交流を深めたと言う。
1989年「ビロード革命」でチェコとスロヴァキアが民主化される直前プラスティック・ピープルは解散。
1997年ハヴェル元大統領からの依頼もあり再結成。結成40年を経ても反骨精神溢れる演奏活動を続けている。

裸のラリーズ、頭脳警察など日本にも反体制のロック・バンドが存在したが、ロック自体が弾圧された東ヨーロッパの状況を考えるとその不屈の反骨精神にめくるめく思いがする。

弾圧の
果てに産まれた
真の意志

政権交代に浮かれる日本でこそ語りたいバンドである。

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