A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【盤魔殿アマルガム Vol.41】マリファナCD/BUCHLA NOW/THE HARDY ROCKS/Organum Electronics/鶴田錦史/D. GALAS/DARK OMEGA

2022年11月01日 00時53分18秒 | 素晴らしき変態音楽


●DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元


VARIOUS ARTISTS ” BUCHLA NOW “
アメリカのコラージュレーベルUltraviolet Lightが昨夏出版したBuchlaシンセサインザーのみを使用した楽曲を集めたコンピレーションである。参加アーティストはSuzanne Ciani,Marcia Bassett, Dan Deacon, Jonathan Fitoussi, Steve Horelick, Kaitlyn Aurelia Smith, Hans Tammen そしてTodd Barton。
BuchlaシンセとはDon Buchlaが設計したモジュラーシンセサイザーのシリーズで1963年に最初の"100Series"を開発。その後1970年により洗練された"200 Series"を開発し、以降も新たなシリーズをリリースし続けた。最近では2021年にTiptop Audioとのコラボレーションによって先に触れた200 Seriesのユーロラックバージョンを発表し、更に2022年には1970年に発表したBuchla 200 Seriesを復刻させてシンセサイザー界隈を騒つかせている。さて本作の内容に触れるが参加アーティストそれぞれがbuchla仲良く付き合っているようで流石、、、無二のシンセ魅力をしっかりと引き出している…場を異次元に移行させるかのような強力な音圧、生々しい脈動、微細なノイズの四散を感じているともはやbuchlaというシンセ自体が生き物なのか何なのかが分からなくなってくる。ただ音を生々と解き放っているのは分かる。
聴き終わった時、僕はただただ音と共にありたいと願った。


●DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武


HAINO KEIJI & THE HARDY ROCKS/きみはぼくの めの「前」にいるのか すぐ「隣」にいるのか(2022)
灰野敬二は1970年に前衛バンド「ロスト・アラーフ」でデビューする以前に、ブルースロックバンド「実況録音」にヴォーカリストとして参加していた。ビアホールに出演すると「うるさい!やめろ!」と野次が飛び、中断になることが多々あったという。当時の日本のロックは英米の物真似ばかりで、オリジナリティを追求するバンドはほとんどいなかった。自分だけの本当のロックをやりたいと灰野が加入したのがロスト・アラーフだった。それ以来40年に亘り独自の音楽表現を実践してきた灰野が、10代の頃に戻ったようなカバーバンドを結成したのは初期衝動への原点回帰だろうか? 
否。灰野は言う「ロックを同窓会にするな!」と。90年代半ばに灰野が結成した哀秘謡は、童謡、歌謡曲、フォーク、海外ロックをメロディを解体して日本語で歌うことで「歌=言葉」を本来あるべき姿に戻す試みだった。それに対してTHE HARDY ROCKSは、ロックの老化現象(同窓会化)を阻止し、忘れ去られていた猛々しい野獣の魂を復活させる蘇生術と言えるだろう。逞しき音像は万物の源。あまりにも生々しいこの音は、デジタルではなくアナログ盤により世に解き放たれるべきだと思う。


●DJ Vaby a.k.a. 大場弘規


Organum Electronics / Wildness
2019年末に新名義Organum Electronicsを立ち上げ、全てのファンを驚愕させた英国の重鎮David Jackman。これまでは鈴木大介氏が運営するSiren Recordsからのリリースを続けていましたが、本作をもって同レーベルによるOrganum Electronicsのリリースは完結となる第5弾であり、今後はドイツのDie Stadtによるリリースが予定されているとの事です。
~以下、レーベルインフォメーションをご紹介~
「タイトル”Wildness”が示すように,本作では熱と冷気を同時に放出するエレクトロニクスによる音塊がスピーカーのボックス内で振動し,空間に生じる音圧とスピーカー正面に放射される音圧が重なることで,ワイルドな低音効果を生み出しています。スピーカーに対峙して放出される音の輪郭を掴もうと意識を集中することで,自分自身が音に包まれる感覚を味わうことが出来ます」
まぁ昔からのファンからは、あまり高い評価を受けないような気しますが、いつまでも過去の幻影を追いかけている方が間違いでありOrganumではなくOrganum Electronicsとし、ニュートラルな気持ちで聴いて欲しい作品なのです。  


●DJ Bothis a.k.a. 山田遼


Kinshi Tsuruta(鶴田錦史) - Japon - Satsuma - Biwa 1991 CD Ocora
世界的に著名な現代音楽家・武満徹の代表曲「ノヴェンバー・ステップス」の演奏において、尺八の横山勝也と共に薩摩琵琶を演奏する強面の人物を見たことはあるだろうか。袴を履いて色付き眼鏡をかけ、まるで男性のように見えるかもしれないが、この人こそ日本の薩摩琵琶の第一人者にして異端である鶴田錦史その人である。小学校低学年より既に師範として弟子に指導する立場にあり、10代の頃よりプロとして演奏活動をするも、結婚、出産の後に夫と別れ、1930年代に実業家へと転身。ナイトクラブの経営などで当時の長者番付に名を連ねる程の大成功を収めたものの、その後音楽業界へとカムバック。突如男装をして演奏活動を再開する。それから鶴田は、1965年に小林正樹監督の映画「怪談」の音楽を担当した武満徹と運命的な出会いを果たす。古典的な薩摩琵琶の演奏技法を発展させた新しい技術を持て余していた鶴田錦史と、邦楽器による新しい音楽と劇伴を模索していた武満徹はお互い意気投合。その後の邦楽器とオーケストラを融合させた日本独自の曲として世界的に評価を受けた「ノヴェンバー・ステップス」へと結実していくのであった。
この辺りの鶴田錦史の数奇な人生は2011年出版の佐宮圭(著)『さわり -天才琵琶師「鶴田錦史」その数奇な人生-』に詳しいのでぜひ参照されたし。
さて、「ノヴェンバー・ステップス」においては尺八の横山勝也と共に、巌流島における宮本武蔵と佐々木小次郎の決闘を想起させるような二人の掛け合いが印象的であるが鶴田錦史の独奏でも、その技量と強度は比類の無いものだ。名曲「壇の浦」を聴いてもらえればわかるが、圧倒的な本物。地を這うようなボーカルと鋭利な薩摩琵琶の調べには、全くつけ入る隙がない。実業家として、音楽家として、夫と子どもを捨て、男装して生きた鶴田錦史という稀有な孤高の天才の名と音楽を、是非とも多くの方に知っていただき、記憶してもらいたい。


●DJ Ipetam a.k.a. Rie fukuda

DIAMANDA GALAS / BROKEN GARGOYLES
何か別の盤を探していてサンプルを見つけ、瞬時に気に入って購入した一枚。タイミングよく新譜であった。
彼女の印象は未だ、二本のマイクを掴み叫び狂う姿であろう。その記念すべきデビューアルバム(正確にはその前にミニアルバムがあるらしい?)からもうかなりの時間が経った。
しかしエイズで亡くなったお兄様へ捧げた作品は静謐な空気に満ちていた。
またライブアルバムも傑作であったが、印象はレコーディングしたものと殆ど変わらず、パフォーマーとしての実力も存分に発揮している。
この作品はかなり実験的な内容で、様々なノイジーなバック演奏に、抑えたトーンで語られる。とても狭い、黴臭い地下室に閉じ込められ、地上の全てを呪っている様な.....そんな映像が浮かんで来る。途中、ふと自主制作のダークなトーンの映画でも観ている気分になった。暗く寂しく、残酷な物語が浮かんで来る。
長い二曲のみで構成され、死のイメージが濃厚に打ち出された、創作の荒野に独り立つ姿をただ崇めるしか出来ない一枚。


●DJ Athmodeus a.k.a. 持田保


ザ・マリファナCD〜マインド・コントロール・サウンド (Della) 1995
歴史的円安時代に突入した我が国ジャパンにおいて霊的経済結界を祀る百円コーナー音源オンリーのDJパーティー"百均王ヒャッキング"を開催準備中…というアレで今回は地元ブックオフでヒャッキングしたアイテムを紹介。本作をリリースしたギロッポンの会社Dellaは今でこそ資本主義ヒーリングCDのレーベルとしてブックオフの中古ヒーリング・コーナーで多大なる勢力を誇っているが、かつて日本が合法ドラッグにフィーバーしていた90年代中盤にサブリミナルと称して本作のようなトリップ路線にもちゃっかり手を染めていた。まあコレ聴いただけで実際に実物を体験したようなブリブリになるとかトリップするとかは流石に無理だが、アシッド・キャピタリズムとは何か?という問いの一端を担うアイテムとして貴重だと言えよう。


●DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫


DARK OMEGA – Lucky (Camembert Electrique CE2202)
Music Performed by Toshiyuki Hiraoka, All sound generated by Gen Thalz synthesizer
DARK OMEGAは、平岡俊之氏によるGen Thalz社のモジュラーシンセのみを使用したテクノイド・ミュージック。本作品はヴァージン・プリューンズとの共演やホラー映画のサントラなど、多種多様な方面での作曲・演奏などの音楽活動で活躍中の平岡氏が、独創的なモジュラ―シンセの開発元であるGen Thalz社のシンセEngine 609とPercussive Noise Synthを使用して作成したラジカルでコールドなテクノ・ミュージック10曲を収録した限定30枚のCDアルバムだ。カバーアートはポーランドのDo It To Yourselfによるハンドメイド。カバーデザインはPawl Nalysnikによるモジュラーシンセの機体をイメージしたものである。Gen Thalzはフィリピン出身のMarlon Zoleta(マーロン・ゾレタ)氏による一連のハンドメイド・シンセ・プロジェクトであり、実験的なノイズとテクノ・ミュージックの境界線上にあるような音楽を作成するためのデバイスである。また発売元であるCamembert Electroniqueレーベルはフランスに本拠があり、注文したCDはフランスから送られてきた。このようにDARK OMEGAは世界各地の様々なアーティストの才能が国境を越えてインターナショナルに結ばれた成果として結実したものである。さて収録された音楽であるが、一聴してみて、80年代のカセットカルチャー最盛期にも通じる熱気に満ちた音楽であると思った。ハンドメイドの電子機器はあの時代のアナログな機材に非常に近い音色を持ち、個々の楽曲も良い意味で時間を遡らせるような感覚を私に与えてくれた。カセットリリースで聴いてみたい気もするし、ライブを見たいと強く強く願っている。

<―――――――――――----EVENT INFORMATION――――――――――――――>


【DJ Athmodeus a.k.a. 持田保】
12/15(木)阿佐ヶ谷TABASA
クレイジーミュージック探訪 ~ 黒人音楽史 奇想の宇宙 編

OPEN 19:00 START 19:30
チャージ ¥1000+D
ケロッピー前田&持田保
黒人音楽を触媒とし黒人秘境主義や宇宙論を展開させた名著"黒人音楽史 奇想の宇宙"をドロップした暗黒批評家、後藤護氏をゲストに迎えてのトーク!アフロ・フューチャリズムの裏街道を仏恥義理‼︎‼︎


【DJ Bothis a.k.a. 山田 遼】
11/20 (日) 国分寺いずみホール
第59回国分寺市民文化祭 古典尺八演奏会

午後1時30分~(開場=1時)
入場料:無料


【DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武】
MOGRE MOGRU ライヴ・スケジュール
11/6(日) 国立駅南口正面大学通り
第53回 くにたち秋の市民まつり~園田游 踊り場 

12:00~15:00過ぎ
観覧無料

11/13(日) 埼玉・風来の森 アウトドアフィールド
不思議な音楽~モグモグ&でぃすこ☆うぃっち主催 森のバーベキュー会

正午開場
入場・観覧無料
BBQ参加費 2000円

MOGRE MOGRU
DISCO WITCH
ゲスト:
ムラカミロキ
東京ハムカツ
Dr.stutter

11/17(木) 吉祥寺NEPO
DIVE DEEP vol.4~レッツ・ダイヴ・イン吉祥寺

Open 18:30 Start 19:00
Adv/Door ¥2,500+1d
Streaming : ¥1,000

MOGRE MOGRU / それ以染に / Kill me ELKとZoo Zoo Adult / Austur

12/3(土) 大久保ひかりのうま
東京インプロカーニバル vol.10

open 19:00 start19:30
¥2,000+1dr
MOGRE MOGRU / 村中裕季(舞踏)+大久保組(パーカッション) *フリージャムセッション有

12/16(金) 高円寺fourth floor II
対バンイベント(詳細後日)


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