A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【Disc Review】FROM BACKSIDE JAPAN:アンダーグラウンド・ミュージック・シーン・イン 新潟 1980's-90's

2020年06月05日 00時16分20秒 | 素晴らしき変態音楽


FROM BACKSIDE JAPAN Underground Music Scene in Niigata : 1980s -90s
フロム・バックサイド・ジャパン:アンダーグラウンド・ミュージック・シーン・イン 新潟 1980's-90's

Suezan Studio - SSZ4000 / 2020.5.25

1. シェパードムーン/白昼の追跡者(柏崎 1993)
2. トレ/いつもの発電所(長岡 1986)
3. 種口裕人/うたかた(新潟/富山 1983)
4. ぶぢぢ/山田くん家へ(新潟 1990)
5. 愛と誠/気狂い(新潟 1993)
6. ドミナンテ/track 2(新潟 1990)
7. 神田聡/サテンソング(新潟 1980)
8. 高橋通吉+大崎厚志/ジョン・テリー・ガーラ・ブッシュ(栃尾 1982)
9. Glass/ICE(新潟 1985)
10. グレナデン/農政マヒがやってくる(新潟 1986)
11. ハイドラ/無題(新潟 1993)
12. BLUE-ist/ドキュメンタリストに死を(新潟 1993)
13. ガリノイズ/ガリノイズ(燕 1983)
14. さるおがせ道男と貞操隊/苦しい近親交配(豊栄 1986)
15. 新潟ドンカマティック楽団/Lebdoch!(ライヴ)(新発田 1994)
16. ハニー山本と新潟ポルカキングス/ぬすびと(新潟 1997)
17. F-Tissue/Pretty Plune(新潟 1984)
18. アクシデンタル・ミーティング/サブリメイション(栃尾 1996)
19. 土田昭彦/いもむし(新潟 1980)
20. 糸魚川市立根知小学校3・4・5・6年生 33名/光のなかで(糸魚川 2000)

井の中の蛙が集合した濃すぎるローカル地下音楽。
筆者は1977年中3の時に金沢から東京へ引っ越した。ちょうどロックを聴き始め、新しい音楽の情報に飢えていた年頃だった。ラジオや雑誌で知った最新の音楽が、近くの吉祥寺の輸入盤店やライヴハウスへ行けば、レコードやライヴで触れることが出来た。バンド活動を始めると、スタジオやライヴハウスで知り合った他のミュージシャンと交流し音楽の幅が広がった。もしあのまま裏日本の小京都・金沢に住んでいたら、今ほど音楽どっぷりの生活をすることが出来ただろうか。その答えのひとつが、SUEZEN STUDIO主宰・小柳カヲルが編集したこのコンピレーション。裏日本の閉ざされた文化圏の地下で人知れず育まれたローカル異端音楽のパンドラの函。多くが「他のバンドと交流を持つことなく、自分たち以外のミュージシャンがいることを知らなかった」という井の中の蛙状態だった。雑誌やラジオやレコードからの影響を、他の誰とも共有することなく、自らの内的宇宙の中で煮沸・醸造・濾過し排出した音楽は、自意識(自慰色)過剰の自己満足を極めた果てにたどり着いた、極北または極楽浄土に2,30年間放置された濃縮ミルクの腐乱死体である。個人的には富山出身Seed Mouthこと「種口裕人」の新潟大学時代の初期音源、高校生の宅録「神田聡」と「土田昭彦」、ナゴム系をローカライズした「グレナデン」「ガリノイズ」「新潟ドンカマティック楽団」、小学生の集団地下音楽「糸魚川市立根知小学校3・4・5・6年生33名」が良かったが、統一感のなさこそこの手のコンピの醍醐味であろう。筆者が東京へ転校することなく金沢で成人したパラレルワールドでは、筆者の童貞時代の栗の香り漂う黒歴史音源が、どこかのお節介者に発掘されて、白日の下に晒されていたかもしれない。こうした埋もれた音楽を解放することこそ盤魔殿の使命の一つである。

別の星
別の人生
別の音

ガリノイズ  「火の車」(ロケ地 新潟内野浜及び角田浜)
コメント
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